●PHASE 1
メル:どうです、ペレールさん。
ネイティアルの扱いには慣れましたか?
ネイティアルの扱いには慣れましたか?
ペレ:なるほど……
意思を持たぬ道具、というわけだな。
意思を持たぬ道具、というわけだな。
メル:……その捉え方もまた、貴方次第です。
メル:さあ参りましょうか。新たなる地へと……
●PHASE 2
メル:ご覧なさい。眼下に広がる大地を。
野をえぐった傷跡は、大戦が残した人々の憎悪……
野をえぐった傷跡は、大戦が残した人々の憎悪……
憎悪は何も生み出しはしない。
だだ他のものを傷つけるばかりです。
だだ他のものを傷つけるばかりです。
ペレ:…確かに不毛な光景だ。
だが、それが命令とあらば
大地を焼くのも道具の仕事……
だが、それが命令とあらば
大地を焼くのも道具の仕事……
メル:ペレールさん?
ペレ:この後、仕事が入っているのでな。
また後日。
また後日。
ペレ:(……道具、か……
俺も、いつまでも奴に
使われているつもりはない……)
俺も、いつまでも奴に
使われているつもりはない……)
ペレールが走り去る。
●PHASE 3
メル:闇が強く感じられます。
闇の活性に伴い各国の緊張も高まってきました。
……彼らの裏で暗躍する影。
それがペレールさんの正体ですね。
それがペレールさんの正体ですね。
ペレ:我が生まれは影の眷属。
意思を持たず、ただ雇い主の道具に徹し、
命じられた役目を果たすのみ……
意思を持たず、ただ雇い主の道具に徹し、
命じられた役目を果たすのみ……
メルレット殿、貴女が
我らをどう捉えようと構わぬ。
不満なら破門していただいても結構だ。
我らをどう捉えようと構わぬ。
不満なら破門していただいても結構だ。
だがそのつもりがないのなら
術の伝授を続けてほしい。
またいつ何時、仕事が入らぬとも限らぬゆえ。
術の伝授を続けてほしい。
またいつ何時、仕事が入らぬとも限らぬゆえ。
メル:……わかりました。
メル:ペレールさん、
私は誰であろうとも
入門者は拒まないことにしています。
私は誰であろうとも
入門者は拒まないことにしています。
貴方を破門するつもりもありません。
……さあ、行きましょうか。
……さあ、行きましょうか。
●PHASE 4
夜、岩を突き立てただけの墓地の前。
ペレールが何者かの気配に気付く。
身構えるが、正体を察し剣を納める。
ペレールが何者かの気配に気付く。
身構えるが、正体を察し剣を納める。
ペレ:メルレット殿か……
メル:ペレールさん、
気が立っているようですね。それに、その血の臭い……
気が立っているようですね。それに、その血の臭い……
ペレ:フフ、今回は
少々厄介な仕事だったものでな。
少々厄介な仕事だったものでな。
……仲間内に、
影を抜けようとする者が現れた。
よって掟に従って、始末したのだ。
影を抜けようとする者が現れた。
よって掟に従って、始末したのだ。
それほど珍しいことではないが、
その男、唯一親友……と呼べる者だったのでな。
その男、唯一親友……と呼べる者だったのでな。
メル:掟……
貴方の一族に伝わる、鉄の掟のことですね。
貴方の一族に伝わる、鉄の掟のことですね。
その絶対的な規律は、
一族を去ろうとするだけでも
裏切りとみなし、死を与えると聞きます。
一族を去ろうとするだけでも
裏切りとみなし、死を与えると聞きます。
しかし、それは貴方にとって
親友よりも大切なものだったのですか?
親友よりも大切なものだったのですか?
貴方の親友はただ、自由になりたかっただけではありませんか?
ペレ:メルレット殿、貴女には分からぬだろう。
何百年も続く戦乱の中で、
常に我らのような存在が必要とされてきた。
何百年も続く戦乱の中で、
常に我らのような存在が必要とされてきた。
そして我らは時に大国の道具になることで
その庇護を受け、戦乱の世を生き延びる……
そのための掟であり、裏切りは許されぬのだ。
その庇護を受け、戦乱の世を生き延びる……
そのための掟であり、裏切りは許されぬのだ。
我らは、この数百年、そうしてきた。
この世界に、終わりなどない。
この世界に、終わりなどない。
そう言い残し、ペレールが走り去っていく。
メル:(……それならば何故、
私の元を訪れるのですか……?)
私の元を訪れるのですか……?)
(それは貴方の意思なのでしょう、
ペレールさん……)
ペレールさん……)
●PHASE 5
轟音が響く大地をメルレットが一人見下ろす。
メル:(酷い戦争ですね。)
(しかし戦争において、実際に動いている者と
それを動かしている者は違うものです。)
それを動かしている者は違うものです。)
(……ペレールさん。
貴方の雇い主は、この大戦を起こした本人、
ギド・カーンなのですね。)
貴方の雇い主は、この大戦を起こした本人、
ギド・カーンなのですね。)
(…ギド・カーンは、最強と謳われる
ネイティアルマスターでもあります。)
ネイティアルマスターでもあります。)
(彼にとって、貴方たち影は
ネイティアルと同じただの道具……)
ネイティアルと同じただの道具……)
(ペレールさんは、
そのことをどう考えているのでしょうか……)
そのことをどう考えているのでしょうか……)
●PHASE 6
メル:ペレールさん、
ついに私を超えるまでになりましたね。
ついに私を超えるまでになりましたね。
もうこの大陸で
貴方に敵うものも少ないでしょう。
これからどうするつもりですか?
貴方に敵うものも少ないでしょう。
これからどうするつもりですか?
ペレ:……メルレット殿、今まで
召喚術を授けてくれたこと、感謝しよう。
だがここでお別れだ。
二度と会うことも無かろう。
召喚術を授けてくれたこと、感謝しよう。
だがここでお別れだ。
二度と会うことも無かろう。
メル:それは唐突な話ですね。
ペレールさん、
私は入門者を拒まないのと同様に
去る者も引き止めないようにしています。
私は入門者を拒まないのと同様に
去る者も引き止めないようにしています。
ですが、これから一体
何をするつもりなのか、
それだけは聞かせてください。
何をするつもりなのか、
それだけは聞かせてください。
ペレ:フッ、大したことではない……
影としての、最後の仕事だ。
ペレールが走り去る。
●ENDING
暗い森の中、ペレールが一人佇む。
ペレ:これでようやく、俺も影を抜けることが出来る。
敵も味方も全てを騙し、
ギド・カーンの首だけを狙う日々……
…………長かったな……
ギド・カーンの首だけを狙う日々……
…………長かったな……
ペレール、何者かの気配に気付く。
ペレ:(何者かが接近している……
……2人……いや3人か……)
……2人……いや3人か……)
(抜かった、ここまで気付かぬとは。)
ペレール、立ち去ろうとする。
声 :待て、ペレール。
シャドウが三人出現、それぞれ白鳳、赤虎、青龍。
取り囲まれるペレール。
取り囲まれるペレール。
白鳳:我らは刃を交える気などはない。
お主が抜けたことを咎めるために
来たのではないのだ。
お主が抜けたことを咎めるために
来たのではないのだ。
ペレ:ほう、見逃すとでも言うのか。
笑えぬ冗談だ。
俺を逃がしては、一族の信用も危うかろう。
俺を逃がしては、一族の信用も危うかろう。
俺もお前たちに追われて死ぬのだ。
まさか、これほど早いとは思わなかったがな。
まさか、これほど早いとは思わなかったがな。
ペレール、剣を構える。
赤虎:そう急くな。
時代が変わったのだ。
時代が変わったのだ。
ペレ:なに……?
赤虎:大陸の覇権を目指していた男、
ギド・カーンの征服事業によって
諸国の勢力図は一変した。
ギド・カーンの征服事業によって
諸国の勢力図は一変した。
そして奴が消えた今、
我らにも新興の機会があるとは思わんか。
我らにも新興の機会があるとは思わんか。
影に生きてきた我らが、
陽の下に立ち上がる時が来たのだ。
陽の下に立ち上がる時が来たのだ。
青龍:掟や契約に縛られ生きることに
疑問を感じていたのは、
お主ばかりではなかったのだ。
疑問を感じていたのは、
お主ばかりではなかったのだ。
里の者や、これまで我らと
しのぎを削り合った者たちも、
すでに志を一つにしている。
しのぎを削り合った者たちも、
すでに志を一つにしている。
白鳳:お主はギド・カーンを倒し、
この事態の引き金を作った男……
この事態の引き金を作った男……
ペレールよ、お主の力が必要なのだ。
我ら同志を一つに束ね、
光を我らのものとするために。
我ら同志を一つに束ね、
光を我らのものとするために。
ペレール、剣を納める。
ペレ:光を我らのものに……か。
なるほど、それは面白いかもな。
なるほど、それは面白いかもな。
影に生き、道具に徹することだけを
教えられてきた我々が、
表の世界でどこまで通用するのか……
教えられてきた我々が、
表の世界でどこまで通用するのか……
煙が立ち上がると共に、四人が立ち去る。
闇に生きればこそ、光を求めてやまない。
今、影達は光を手に入れるために動き出した。
今、影達は光を手に入れるために動き出した。