●PHASE 1
メル:どうです、カルコスさん。
ネイティアルの扱いには慣れましたか?
ネイティアルの扱いには慣れましたか?
カル:う~ん……
俺ってこういうの、得意じゃねんだよな。
俺ってこういうの、得意じゃねんだよな。
メルレットさんよ、俺でもちゃんと
あんたみたいになれんのかなぁ……
あんたみたいになれんのかなぁ……
メル:私になる必要はありませんよ。
貴方のネイティアルは、
貴方だけのものなのですから。
貴方のネイティアルは、
貴方だけのものなのですから。
メル:さあ参りましょうか。新たなる地へと……
●PHASE 2
メル:では、今日は新しい召喚具に
触れてみましょうか。
触れてみましょうか。
カル:おっ、すげえ。
その召喚具は……
その召喚具は……
へへへ、コイツは闇値で高く売れるんだ。
滅多にお目にかかれねえし……
滅多にお目にかかれねえし……
カルコス、夢中になっていたことに気付き、慌てる。
カル:おっといけねえ。ついクセで……
な、なあメルレットさん。
俺は別にその……売り飛ばそうなんて
考えてたわけじゃねえぜ。
俺は別にその……売り飛ばそうなんて
考えてたわけじゃねえぜ。
メル:カルコスさん、
私は善悪を問うものではありません。
私は善悪を問うものではありません。
貴方が今まで
盗賊として生きてきたのなら、
それを否定するつまりはありませんよ。
盗賊として生きてきたのなら、
それを否定するつまりはありませんよ。
カル:あ、ああ。だけどさ……
カル:……メルレットさん。
俺は修行の間は、盗みはやらねえよ。
約束する。絶対しない。
俺は修行の間は、盗みはやらねえよ。
約束する。絶対しない。
その代わり、俺のことを
ちゃんと鍛えて欲しいんだ。
ちゃんと鍛えて欲しいんだ。
どうか、お願いします。
メル:……分かりました。
何か事情があるようですね。
何か事情があるようですね。
詳しい話はお聞きしませんが、
その約束は受け取っておきましょう。
その約束は受け取っておきましょう。
●PHASE 3
カル:こっちだ、メルレットさん。
カルコスが先導して、道を進んでいる。
カル:町に行くんだろ?
こっちの道を使えば、すぐに森を抜けられるぜ。
こっちの道を使えば、すぐに森を抜けられるぜ。
あの町は海も近いから、
美味いものもたくさんある。
へへ、急ごうぜ!
美味いものもたくさんある。
へへ、急ごうぜ!
メル:随分お詳しいのですね。
カル:ああ、俺って昔、
この辺りを荒らしまわってたからさ。
この辺りを荒らしまわってたからさ。
ここいらの町は、裏路地から
自警団の巡回ルートまで知り尽くしてるのさ。
自警団の巡回ルートまで知り尽くしてるのさ。
カルコス、またもや夢中になっていることに気付く。
カル:って、そうじゃなくって……!
メル:ふふ……
それほど気にすることはありませんよ。
それほど気にすることはありませんよ。
物の見方や考え方は、
容易に変えられないものです。
容易に変えられないものです。
それを少しずつ変えていくのも、
修行の目的の一つ……
さあ行きましょう。
修行の目的の一つ……
さあ行きましょう。
カル:あ、ああ。
●PHASE 4
カル:はあ、はあ……
……ふう、やっと追いついた。
……ふう、やっと追いついた。
メルレットさんって、
意外と体力あるよなあ……
意外と体力あるよなあ……
メル:ふふ、これでも
相応の修行を積んでいますから。
相応の修行を積んでいますから。
メル:それに、カルコスさんは
いつも初めに飛ばしすぎですね。
いつも初めに飛ばしすぎですね。
召喚術の習得にしても、
必要以上に力が入っているように思えます。
必要以上に力が入っているように思えます。
……カルコスさんは、
どうして強くなりたいのですか?
どうして強くなりたいのですか?
カル:えっ?そ、そいつは……
カル:ハハ、照れちまうな。
……そのうち話すよ。
ちょっと、恥ずかしい話だからさ。
ちょっと、恥ずかしい話だからさ。
●PHASE 5
カル:物心ついたときには一人ぼっちだった。
そんな俺が生きていくために頼れるのは、
この体一つだけさ。
そんな俺が生きていくために頼れるのは、
この体一つだけさ。
生きていくためには何でもした。
店先でちょろまかすだけの盗みから、
でかい屋敷に忍び込むようなやつまで……
店先でちょろまかすだけの盗みから、
でかい屋敷に忍び込むようなやつまで……
でもさ、そんな暮らしの先に
待っているのは、寂しい最後だけ。
待っているのは、寂しい最後だけ。
きっと俺は、誰の気にもとめられず
ぼろ雑巾のように消えていく。
……そいつに気づいちまったんだ。
ぼろ雑巾のように消えていく。
……そいつに気づいちまったんだ。
カル:…あー……もうこんな話はやめやめ!
俺、辛気臭いのは苦手なんだからさぁ。
俺、辛気臭いのは苦手なんだからさぁ。
メル:ふふ……
それでも貴方は、夢を追い続けるのですね。
それでも貴方は、夢を追い続けるのですね。
カル:ああ。
俺は強くなりたい。
強くなって、証明したいんだ。
俺は強くなりたい。
強くなって、証明したいんだ。
カル:……俺の人生は、
この程度じゃないんだって。
この程度じゃないんだって。
●PHASE 6
メル:カルコスさん、お見事でした。
まだ、先に進むのですか?
貴方はもう十分強くなったと思いますが。
貴方はもう十分強くなったと思いますが。
カル:聞いたことがあるんだ。
ギド・カーンって男の噂……
ギド・カーンって男の噂……
そいつはこの大陸で一番強い、
最強のネイティアルマスターだってな。
最強のネイティアルマスターだってな。
俺は、ずっと前から決めていた。
そいつに勝てたら、盗賊をやめようって。
そいつに勝てたら、盗賊をやめようって。
カル:ギド・カーンに勝つなんて、
以前の俺には、絶対無理な話だろ?
以前の俺には、絶対無理な話だろ?
でももし勝てたら、
そいつはきっと俺が変わったってことだ。
そいつはきっと俺が変わったってことだ。
……それならもう、コソコソしなくていい。
どこでだって、堂々とやっていける。
どこでだって、堂々とやっていける。
メル:貴方から、約束を預かっています。
『修行の間は、盗みはやらない』と。
『修行の間は、盗みはやらない』と。
ですがもう修行は終わりました。
これ以上、私が教えられることはありません。
これ以上、私が教えられることはありません。
ここで約束をお返ししましょう。
カル:……うん。
ありがとな、メルレットさん。
ありがとな、メルレットさん。
俺、そいつを持って行って、決めてくるよ。
盗賊をやめるかどうか、見極めてくる。
盗賊をやめるかどうか、見極めてくる。
カルコスが一人旅立つ。
●ENDING
カル:……俺、勝ったよ。
勝てたよ。
世界で一番強いと言われた男に……
世界で一番強いと言われた男に……
カル:へ、へへ……
自分でもびっくりしちまうよな。
自分でもびっくりしちまうよな。
だって俺、
今まで褒められたためしがない
ただの盗賊だぜ?
今まで褒められたためしがない
ただの盗賊だぜ?
メル:もう、そうではないのでしょう。
貴方は新しい力を手に入れたのですから。
貴方は新しい力を手に入れたのですから。
カル:へへ、そうだったな。
俺はもう、ネイティアルマスターなんだよな。
俺はもう、ネイティアルマスターなんだよな。
カル:メルレットさん、本当にありがとう。
こんな俺の、面倒をみてくれてよ。
こんな俺の、面倒をみてくれてよ。
本当に、感謝してる。
メル:カルコスさん、
盗賊をやめてからは、どうするつもりなのですか?
盗賊をやめてからは、どうするつもりなのですか?
貴方はもう、十分に強い力を持っています。
大陸の覇者ギド・カーンですら、
打ち負かしてしまったのですから。
大陸の覇者ギド・カーンですら、
打ち負かしてしまったのですから。
貴方はその気になれば、
ギド・カーンの築いた帝国を
手にすることもできるのですよ。
ギド・カーンの築いた帝国を
手にすることもできるのですよ。
カル:俺が帝国の主……?
へへへ、そいつはすげえや。
へへへ、そいつはすげえや。
でもなんだか、ガラじゃないな。
カル:俺は、どこか
この世界の片隅で生きていければいい。
この世界の片隅で生きていければいい。
俺はさ……
ただほんのちょっと、誰かに俺のことを
覚えてもらいたかっただけなんだから。
ただほんのちょっと、誰かに俺のことを
覚えてもらいたかっただけなんだから。
新しい力を手に入れたカルコス。
その瞳には、自信に裏づけられた
静かな輝きが宿っていた。
その瞳には、自信に裏づけられた
静かな輝きが宿っていた。