プレイボーイ(オリビエ)
●PHASE 1
(カッコつけながら)
オ:ふう、道に迷ってしまったよ。
いくら歩いても、
同じ所をぐるぐると回っているようだ。
オ:ふう、道に迷ってしまったよ。
いくら歩いても、
同じ所をぐるぐると回っているようだ。
いや、しかし見方によっては
これはロマンチックなシチュエーション……
これはロマンチックなシチュエーション……
ああ、この機会に
ステキな女性などに巡り合わないだろうか。
ステキな女性などに巡り合わないだろうか。
(メルレットすれ違う)
オ:おお、噂をすれば妙齢の美女が……
これはまたすごい偶然だな。
これはまたすごい偶然だな。
これはきっと、天の思し召しに違いない。
フッ、ボクの普段の善行が報われたという事か。
フッ、ボクの普段の善行が報われたという事か。
そう考えると、この薄気味悪い森も
パラダイスに思えてきたよ。
パラダイスに思えてきたよ。
ウフフ、それでは早速
ボクのとろける美声で……
ボクのとろける美声で……
ってあの!? ちょっと待ってください!
お願いだから置いていかないで~っ!!
●PHASE 2
オ:いや、まさに
地獄に仏とはこのことだよ。
地獄に仏とはこのことだよ。
あのまま森の中を彷徨っていては、
ボクは確実にミイラになっていただろうからね。
ボクは確実にミイラになっていただろうからね。
メ:ついでですから、
近くの町までご案内しましょう。
近くの町までご案内しましょう。
それほど距離もありませんから。
オ:いやいや、それには及ばないさ。
流れる雲に澄んだ空気、
美女の佇む素晴らしい眺め……
美女の佇む素晴らしい眺め……
これこそがボクが求めていたものだ。
この世の美を追求する天才演奏家、
オリビエ・レンハイムのねッ!
この世の美を追求する天才演奏家、
オリビエ・レンハイムのねッ!
さあメルレット殿、
このボクをどこへなりと連れて行ってくれたまえ。
このボクをどこへなりと連れて行ってくれたまえ。
きっとその場所こそが、
ボクにとってのパラダイスなのだからね。
ボクにとってのパラダイスなのだからね。
メ:(……要するに、私に、
ついて来たいということでしょうか。)
ついて来たいということでしょうか。)
●PHASE 3
オ:ふう、素晴らしい料理だった。
やはり港町では魚料理に舌鼓を打つに限るな。
やはり港町では魚料理に舌鼓を打つに限るな。
娘の声:
あっ、いた!!
あっ、いた!!
娘:アンタ、さっき
代金を払わずに店を出ただろ!
この食い逃げ犯め!!
代金を払わずに店を出ただろ!
この食い逃げ犯め!!
オ:食い逃げだなんて滅相もないな。
ボクはきちんと、演奏で支払ったじゃないか。
ボクはきちんと、演奏で支払ったじゃないか。
フフ、しかし君が聞きそびれて
しまったというのなら仕方がない。
しまったというのなら仕方がない。
キミの愛に応えて、
ボクの天才的な演奏をもう一度……
ボクの天才的な演奏をもう一度……
娘:だから、そうじゃなくてだなぁ!
(オリビエ楽器を奏でる)
娘:えーい、いい加減にしやがれ!!
(娘とび蹴り)
オ:ぎゃふーん……!
メ:オリビエさん、
町の様子はどうでしたか……?
町の様子はどうでしたか……?
…
(……また何か、
騒ぎを起こしたようですね。)
騒ぎを起こしたようですね。)
●PHASE 4
黒猫:
ふう、たまには静かなのもいいよね。
ふう、たまには静かなのもいいよね。
あのオリビエってやつ、
いつもヘラヘラしてるし
問題ばっかり起こすし……
いつもヘラヘラしてるし
問題ばっかり起こすし……
きっと今頃も、町で好き勝手してる頃だよ。
ねえメルレット、
今まで成り行きで連れてきちゃったけど、
そろそろ切り捨てた方がいいんじゃない?
今まで成り行きで連れてきちゃったけど、
そろそろ切り捨てた方がいいんじゃない?
メ:……それはどうかしらね。
彼は一見ふざけているけれど、
召喚術の腕は確かなようよ。
召喚術の腕は確かなようよ。
まあ、自分の考えを
悟らせないところはあるみたいだけれど。
もう少し様子を見てもいいんじゃないかしら。
悟らせないところはあるみたいだけれど。
もう少し様子を見てもいいんじゃないかしら。
それより、あの噂は気になるわね。
ギド・カーン……
彼が争いの火種を撒き、
再び大戦を起こそうとしているという噂……
彼が争いの火種を撒き、
再び大戦を起こそうとしているという噂……
もしやとは思うけれど……
●PHASE 5
(通信中)
オ:いやなに、
少し気になることがあってね。
もう少し、単独で動くつもりだ。
少し気になることがあってね。
もう少し、単独で動くつもりだ。
……………………………………
いや、そちらの方は心配ない。
偶然にも、絶世の美人と一緒になってね。
むしろ、予定より早く着きそうだ。
偶然にも、絶世の美人と一緒になってね。
むしろ、予定より早く着きそうだ。
……………………………………
ハッハッハ、ミュラー君ったら
妬いてるのかい?
妬いてるのかい?
……………………………………
フッ、それはもちろんだとも。
また明日にでも熱いラブコールを届けるよ。
また明日にでも熱いラブコールを届けるよ。
(通信終了)
オ:さてと……
噂の人物――
覇者と名高きギド・カーン殿にも
まだまだ裏の顔がありそうだ。
覇者と名高きギド・カーン殿にも
まだまだ裏の顔がありそうだ。
もう少し探らせてもらうとしようか。
●PHASE 6
メ:お見事でした、オリビエさん。
もう召喚術も使いこなしていらっしゃいますね。
もう召喚術も使いこなしていらっしゃいますね。
オ:フッ、お褒めに預かり光栄だよ。
これもメルレット殿のご指導のお陰……
いや、貴女のような師に巡り合えて
正に弟子冥利に尽きるというべきか。
いや、貴女のような師に巡り合えて
正に弟子冥利に尽きるというべきか。
メ:ふふ……
オリビエさんは、いつもお上手ですね。
オリビエさんは、いつもお上手ですね。
それに、調査の方も順調なようですし。
オ:……エッ?
メ:町に出ては、ギド・カーンの情報を
集めていらしたのですね。
集めていらしたのですね。
いかがでしたか? 彼の動向は。
オ:ふう、さすがに
《紫のメルレット》殿相手に
隠し事は通用しなかったか。
《紫のメルレット》殿相手に
隠し事は通用しなかったか。
……まあ、僕も初めは
半信半疑といったところだったんだが……
半信半疑といったところだったんだが……
どうやら、ギド・カーンという男が
巨大な闇を抱えていることは間違いなさそうだ。
巨大な闇を抱えていることは間違いなさそうだ。
世間からは英雄視される一方で
軍備強化の段取りは密かに進められていた。
今や諸国の中でも最強の軍と言っていいだろう。
軍備強化の段取りは密かに進められていた。
今や諸国の中でも最強の軍と言っていいだろう。
問題は、彼がただの権力主義者ではなく
何らかの目的によって動いているという点さ。
何らかの目的によって動いているという点さ。
あるいはバックに
何者かがついているのかもしれないが……
ふう、その真意についてはまだ調査中なのさ。
何者かがついているのかもしれないが……
ふう、その真意についてはまだ調査中なのさ。
メ:オリビエさんにも、
何か目的がおありなようですね。
何か目的がおありなようですね。
これからどうするおつもりなのでしょう。
オ:そうだね、あちらさんも
そろそろ感づく頃だろうが……
僕なりに、もう少し探りを入れてみるつもりだ。
そろそろ感づく頃だろうが……
僕なりに、もう少し探りを入れてみるつもりだ。
フフ、詳しくは話せないが
僕自身も色々と抱えていてね。
僕自身も色々と抱えていてね。
いずれ始まる大舞台のために、
不安要素は取り除いておきたいところなのさ。
不安要素は取り除いておきたいところなのさ。
●ENDING
オ:さてさて、どうしたものか
まさかあの状況で
僕の身分を明かすわけにもいかないし、
つい手を出してしまったが……
僕の身分を明かすわけにもいかないし、
つい手を出してしまったが……
まあしかし、あのまま
放っておくのも危険には違いない。
放っておくのも危険には違いない。
ふむ、こんなときは無性に
ノリのいい同志が欲しくなってしまうねえ……
ノリのいい同志が欲しくなってしまうねえ……
(メルレット登場)
メ:各地のギド・カーン軍が
撤退を始めたようですね。
撤退を始めたようですね。
これはオリビエさんの仕業でしょうか。
オ:やあメルレット殿か。
いや、参ったよ。
ボクは紳士的に振舞ったつもりだったんだが、
どういうわけか無粋な連中に取り囲まれてしまってね。
ボクは紳士的に振舞ったつもりだったんだが、
どういうわけか無粋な連中に取り囲まれてしまってね。
ふう、あれがステキな女性たちなら
囲まれ甲斐もあるんだがねえ……
囲まれ甲斐もあるんだがねえ……
メ:ふふ、ご無事だったようで何よりです。
ところでオリビエさん、実はここに
来る途中、オリビエさんの知り合いという方に
お会いしたのですが。
来る途中、オリビエさんの知り合いという方に
お会いしたのですが。
オ:ボクの知り合い……?
男の声:
ああ、腐れ縁と言ってもいいぞ。
ああ、腐れ縁と言ってもいいぞ。
オ:ミュ、ミュラー君……!?
ミ:話はメルレット殿から伺っている。
随分と楽しく遊びまわっていたようだな。
随分と楽しく遊びまわっていたようだな。
あれから一度も
連絡がないから来てみれば……
連絡がないから来てみれば……
オ:ハ、ハハハ。
ヤダナ、ミュラー君……
それはきっと、そちらの通信器が
故障していたとかで……
それはきっと、そちらの通信器が
故障していたとかで……
ミ:ほう、そうか。
では戻ってからじっくりと
話を聞かせてもうらうとしよう。
では戻ってからじっくりと
話を聞かせてもうらうとしよう。
今回の顛末(てんまつ)あたりもまとめてな。
まったく、勝手な行動に走りおって……
まったく、勝手な行動に走りおって……
心配するな、お前が留守の間に
宿題が随分と溜まっている。
宿題が随分と溜まっている。
帝都に戻ったらしばらくは缶詰だからな。
ついでにみっちりお仕置きしてやる。
ついでにみっちりお仕置きしてやる。
オ:イ~~ヤ~~~……!
やめて~……っ!!
やめて~……っ!!
ギド・カーンの野望は阻止された
後に残されたのは謎の演奏家オリビエ・レンハイムの奇行だけであったという。
後に残されたのは謎の演奏家オリビエ・レンハイムの奇行だけであったという。