「……言ってみなさい。愚痴くらいなら聞いてあげるわ。どうせ、ずっと昔の思い出に浸って、今と比べたり煩悶したりしてるんでしょ、違う？」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら
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発言者：[[ニナ・オルロック]]
対象者：[[トシロー・カシマ]]
互いに抱えた理想に縛られる主従。
そんな中、ようやく弱みを見せてくれた朴念仁の従者に、主の少女が電話越しに告げた言葉。
人間を襲った&ruby(ﾄﾗｲﾌｨﾝｶﾞｰ){三本指}討伐後、明らかに様子がおかしかったトシロー。
頑なに心の影を隠そうとする彼に[[休息を命じるも、その先へと踏込む事を躊躇する>……判らないの？ 今のあなたは使い物にならないと、私はさっきからそう言っているのよ]]ニナ。
[[裁定者]]討伐の任務の後、会話の中で僅かな隙を見せたトシローに向けて、
「話してみなさい」と、張り詰めた余裕のない雰囲気ではなく……
傷に震えた自分を不器用なりに気遣ってくれた彼のように、ニナは微笑と共に告げるのだった。
余りに的確に内心を見抜かれていた事に驚きつつも、
&bold(){同じく「理想通りに生きられない」己に悩む主に促されるまま、男は重い口を開いた。}
&size(18){&color(#040414){「俺は………恥知らずだ」}}
&size(18){&color(#040414){「君は俺を忠義の騎士だと言ってくれた。}}
&size(18){&color(#040414){信ずるに足る者だと言ってくれた。だが俺は────」}}
&color(#040414){今まで、ニナ・オルロックを利用していた。過去に喪った自分の&ruby(みれん){理想}を取り戻すために。}
&color(#040414){棄てたと言いながら、こうしてまた夢の残骸に縋り他者を軽んじている………何と、底の浅い男だろうか。}
&size(20){&color(#040414){&bold(){「俺は、&ruby(おれ){己}自身以上に憎らしい相手を知らん。知らんのだ」}}}
絞り出すように、ただそれだけを言葉として、ニナに伝えるトシロー。
&size(17){&color(#99ccff){「――驚いた。あなた、本当に弱ってたんじゃない」}}
それに対し、ニナは―――&color(#99ccff){&bold(){仕方ない}とばかりに小さく笑んで。}
&size(19){&color(#99ccff){『よく聞きなさい、トシロー。今から命令をあげます』}}
その命令とは………
&size(20){&color(#99ccff){『&bold(){“私はあなたを許します”。} ほら、これで解決だわ』}}
&size(20){&color(#040414){&bold(){「俺は許せぬ」}}}
&size(19){&color(#99ccff){&bold(){『けれど私は許したわ。だから、まずはそれが最初の一歩』}}}
&size(14){頑なな男に、想いが届くようにと。}
&size(17){&color(#99ccff){『よく自分を許せるのは自分しかいないと言うけれど、私は違うと思う。}}
&size(17){&color(#99ccff){もし自分だけが先に自分の罪を許してしまえば……それはただの傲慢じゃない』}}
&size(17){&color(#040414){「都合のいい詭弁だ」}}
&size(16){&color(#99ccff){『ええ、詭弁かもしれない。でもね&size(15){&italic(){────}}』}}
&size(17){&color(#99ccff){『そちらの方が美しいじゃない。真偽の他に美醜があるなら、それが偽りでも美しくありたいわ』}}
&size(17){&color(#99ccff){『たとえそれが取り繕った見せ掛けでも、}}
&size(17){&color(#99ccff){いつかは真になれるかもしれないもの。……受け売りだけどね』}}
その言葉に、[[夢で見た謎の存在の記憶>https://w.atwiki.jp/vermili/pages/175.html]]が蘇るも……それを振り払いトシローは、彼女の気遣いに感謝を告げる。
するとニナの方も、凛々しくなったという従者の声に、&color(silver){&bold(){己はまだ未熟だと、至らなさを感じてばかりの日々だ}}と弱音を打ち明け、
理想に重ならない「未熟者」達は、自分には妥協できずとも、&bold(){互いの苦しみをより近くで感じとっていた。}
&bold(){表情の見えない電話越しに言葉を交わして―――}
&bold(){主従は、きっと面と向かってでは、これから先もきっと、ここまで素直な想いを吐き出せなかっただろうと苦笑する。}
&bold(){過去に意地を張ってばかりの、互いに面倒な性根だと確認しあったところで……}
&size(21){&color(#040414){「ニナ……ありがとう」}}
&color(#040414){トシローは、己を許せないと思いつつも、}
&color(#040414){“主”の優しさを、ニナという幼い主君の思い遣りが、自分の惑いを軽くしてくれたと感謝し―――}
&size(17){&color(#99ccff){『どういたしまして。 再度の任が下るまで体を休めておきなさい。あなたによこす件は荒事が主なのだから』}}
&color(#99ccff){ニナも、紅くなった頬を隠したまま、男が調子を戻してくれたことに安堵していた。}
&size(14){こうして、束の間の語らいは終わり―――}
&size(14){トシローは、ニナ・オルロックに仕えている――その己の現実に強い意思でもって向き合おうとする。}
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#comment
発言者：[[ニナ・オルロック]]
対象者：[[トシロー・カシマ]]
互いに抱えた理想に縛られる主従。
そんな中、ようやく弱みを見せてくれた朴念仁の従者に、主の少女が電話越しに告げた言葉。
人間を襲った&ruby(ﾄﾗｲﾌｨﾝｶﾞｰ){三本指}討伐後、明らかに様子がおかしかったトシロー。
頑なに心の影を隠そうとする彼に[[休息を命じるも、その先へと踏込む事を躊躇する>……判らないの？ 今のあなたは使い物にならないと、私はさっきからそう言っているのよ]]ニナ。
[[裁定者>『裁定者』]]討伐の任務の後、会話の中で僅かな隙を見せたトシローに向けて、
「話してみなさい」と、張り詰めた余裕のない雰囲気ではなく……
傷に震えた自分を不器用なりに気遣ってくれた彼のように、ニナは微笑と共に告げるのだった。
余りに的確に内心を見抜かれていた事に驚きつつも、
&bold(){同じく「理想通りに生きられない」己に悩む主に促されるまま、男は重い口を開いた。}
&size(18){&color(#040414){「俺は………恥知らずだ」}}
&size(18){&color(#040414){「君は俺を忠義の騎士だと言ってくれた。}}
&size(18){&color(#040414){信ずるに足る者だと言ってくれた。だが俺は────」}}
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&color(#040414){棄てたと言いながら、こうしてまた夢の残骸に縋り他者を軽んじている………何と、底の浅い男だろうか。}
&size(20){&color(#040414){&bold(){「俺は、&ruby(おれ){己}自身以上に憎らしい相手を知らん。知らんのだ」}}}
絞り出すように、ただそれだけを言葉として、ニナに伝えるトシロー。
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それに対し、ニナは―――&color(#99ccff){&bold(){仕方ない}とばかりに小さく笑んで。}
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その命令とは………
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&size(20){&color(#040414){&bold(){「俺は許せぬ」}}}
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&size(14){頑なな男に、想いが届くようにと。}
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その言葉に、[[夢で見た謎の存在の記憶>https://w.atwiki.jp/vermili/pages/175.html]]が蘇るも……それを振り払いトシローは、彼女の気遣いに感謝を告げる。
するとニナの方も、凛々しくなったという従者の声に、&color(silver){&bold(){己はまだ未熟だと、至らなさを感じてばかりの日々だ}}と弱音を打ち明け、
理想に重ならない「未熟者」達は、自分には妥協できずとも、&bold(){互いの苦しみをより近くで感じとっていた。}
&bold(){表情の見えない電話越しに言葉を交わして―――}
&bold(){主従は、きっと面と向かってでは、これから先もきっと、ここまで素直な想いを吐き出せなかっただろうと苦笑する。}
&bold(){過去に意地を張ってばかりの、互いに面倒な性根だと確認しあったところで……}
&size(21){&color(#040414){「ニナ……ありがとう」}}
&color(#040414){トシローは、己を許せないと思いつつも、}
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&size(14){こうして、束の間の語らいは終わり―――}
&size(14){トシローは、ニナ・オルロックに仕えている――その己の現実に強い意思でもって向き合おうとする。}
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