「ならば、そのような道など……縛りなど、俺は要らぬ! 美影は美影、天にも地にも代わりなどおり申さぬ!」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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発言者:[[トシロー・カシマ]]
祝福で迎えられるはずだった、『侍』鹿島杜志郎と[[美影]]の婚姻。
だが、春を前にして美影の父から伝えられた言葉に、杜志郎は我が耳を疑った。
&size(13){&color(#373B4C){&bold(){――&ruby(・・・・・・){美影を諦めよ}と申したのだ。}}}
&size(13){&color(#373B4C){&bold(){&ruby(・・・・){殿の下命}とあらば、もはや何とする事もできん……}}}
&size(13){&color(#373B4C){&bold(){お主も生まれながらの武士たる身であれば、その&ruby(ことわり){理}は弁えていよう。}}}
杜志郎が忠を尽くすべき対象……
最高権力者である藩主が、&bold(){偶々見初めた美影を側女とするように望んだというのである。}
藩の重役を務めていた彼女の父は、初めこそ抗していたものの……
主君の命である、という絶対の決定を前に、上下階層の定まりし社会に生きてきた彼は、
一個の&bold(){「父」}ではなく&bold(){「臣」}として&bold(){役割を果たすためその意を受け入れたのだった。}
加うるに、美影という一人の「女」など、男側の意思で如何様にもその道を左右されて当然の存在だった。
そして、同じく男で、武士である杜志郎に対し、美影の父は今一度……彼の存在意義を問いかける。
&size(14){&color(#373B4C){―――&bold(){杜志郎、&ruby(・・・・・・){汝は侍なりや}?}}}
&color(black){&bold(){突きつけられた現実の壁。忠も、愛も。そのどちらも、この一刀の元に守っていけると、[[無邪気に信じていられた時間>https://w.atwiki.jp/vermili/pages/862.html]]はもはや過ぎ去った。}}
&size(14){&color(gray){周囲の者達の規範たるべき存在となり、主君のために全霊を尽くす事を誉とした武士の道。}}
&size(14){&color(#89BDDE){傍らで微笑みかけてくれた、小さくも愛しい命を生涯かけて慈しみ抜くと誓った男としての生。}}
二つの譲れない真実の間で、杜志郎の自我は軋みを上げていたが……
「臣」としての冷厳な言葉が、遂に彼を立ち上がらせた────
&size(18){&color(#373B4C){&bold(){『}───&bold(){侍ならば主君を奉じ家を守れ。 お主の子をなす女は美影には限らぬ』}}}
己という存在を成り立たせていた半身とも言うべき、&bold(){武士という&ruby(束縛){在り方}}────それを。
&size(20){&color(#5E909E){&bold(){「……子をなす為に契るが&ruby(なんにょ){男女}の全てならば、我らは獣と同じで御座ろう………}}}
&size(20){&color(#5E909E){&bold(){&ruby(・・・・){人の誇り}を捨てても獣に甘んじるのが士道だと申されるのか」}}}
&size(23){&color(#5E909E){&bold(){&tt(){&italic(){「ならば、そのような道など……縛りなど、&ruby(・・・・・){俺は要らぬ}!」}}}}}
&size(24){&color(#5E909E){&bold(){&tt(){&italic(){「―――美影は美影、天にも地にも代わりなどおり申さぬ!」}}}}}
痛みを感じながらも投げ捨て、&bold(){誰でもない一人の男として……}二つの道から一つの生を選び取ったのである。
&color(black){&bold(){「トシロー」は藩主の妾となる伴侶を奪い去り、迫る追手を、祝福の証となるはずだった[[同田貫>肥後同田貫]]により斬り捨て藩を抜けた。}}
(あるいはこの瞬間から、この刀の用いられる意味は既に定まっていたのかもしれない……)
その結果、磨き続けてきた『剣』の腕前による栄達の道も、自分を育んだ鹿島の『家』の未来も共に閉ざされ、
&color(#443042){不忠者という最大の落伍者としての烙印を押され、&bold(){得てきた、あるいは得られるはずだった誇りは皆闇に消えて失せた。}}
&bold(){踏み出した先は、誰が敵とも判らぬ無縁の荒野。追っ手から逃れるために、陽光の下を歩くことさえ少なくなっていった。}
&size(17){&color(#5E909E){それでも杜志郎は、半身を失った苦しみを心の底に抱えながらも、}}
&size(17){&color(#5E909E){己の胸に納まるだけの小さな&ruby(みかげ){真実}に、確かな救いを感じていた……}}
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- チトセ「私もゼファーからこんな事言われたいわね」 -- 名無しさん (2018-11-03 19:25:47)
- やっぱり天秤にかけるのが軽いものじゃなくて、本当はどっちも選びたいけどどっちかを選ぶしか無いって状況で決断出来る男はカッコいいわ -- 名無しさん (2018-11-05 19:53:02)
- 美影さんをntrるのを受け入れた場合、シェリルは衰弱死し、アイザックはあの妄執を発揮せず「ありふれた縛血者」として生きて死ぬし、ニナやホワイトパイルも近い内に破綻する。そう考えると逃避行で磨り減っても少ない時間でも美影さんと寄り添えた時間は存在しただろうし、どのルートでも美影さんとの未練は受け入れられることとなると考えれば、間違いであると同時に間違いじゃなかったんだな。 -- 名無しさん (2018-11-05 20:02:50)
- ディルムッドに比べりゃトシローさん恵まれてる気がする。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:19:24)
- ↑トシローさんは主君とは縁切ったけどディルムッドは・・・・・・ -- 名無しさん (2019-04-20 16:20:51)
- トシローさんが他の女といちゃいちゃするところみて美影は腸煮えくりかえってそうだが、ディルムッドはさてそんなシーンが想像できないのだが・・・・・・ -- 名無しさん (2019-04-20 16:24:56)
- ↑(ディルムッドは)横恋慕に苦悩する様な奴だからだよ。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:27:08)
- ↑自らの魔性さ故に呪怨化しちまった様な奴だからなあ。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:29:40)
- ↑好きでもない女性に誤って好意を抱かれてしまい(しかも主君の嫁)、それが元で破滅した男。改めてみると酷いフラグだよなあ。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:34:11)
- ディルムッドの祈りは・・・・・・トシローさん、ゼファーさん、アッシュ君、ムラサメ師匠からは賞賛されてもいい願いなんだけどなあ。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:37:28)
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発言者:[[トシロー・カシマ]]
暖かな祝福で迎えられるはずだった、&bold(){『侍』}鹿島杜志郎と[[美影]]の婚姻。
だが、春を前にして美影の父から伝えられた言葉に、&bold(){杜志郎は我が耳を疑った}。
&size(13){&color(#373B4C){&bold(){&size(12){───}&ruby(・・・・・・){美影を諦めよ}と申したのだ。}}}
&size(13){&color(#373B4C){&bold(){&ruby(・・・・){殿の下命}とあらば、もはや何とする事もできん……}}}
&size(13){&color(#373B4C){&bold(){お主も生まれながらの武士たる身であれば、その&ruby(ことわり){理}は弁えていよう。}}}
杜志郎が忠を尽くすべき対象……
最高権力者である藩主が、&bold(){偶々見初めた美影を側女とするように望んだというのである}。
藩の重役を務めていた彼女の父は、初めこそ抗していたものの……
主君の命である、という絶対の決定を前に、上下階層の定まりし社会に生きてきた彼は、
一個の&bold(){「父」}ではなく&bold(){「臣」}として&bold(){役割を果たすためその意を受け入れたのだった。}
加うるに、美影という一人の「女」など、男側の意思で如何様にもその道を左右されて当然の存在だった。
そして、同じく男で、武士である杜志郎に対し、美影の父は今一度……彼の存在意義を問いかける。
&size(14){&color(#373B4C){―――&bold(){杜志郎、&ruby(・・・・・・){汝は侍なりや}?}}}
&color(black){&bold(){突きつけられた現実の壁。忠も、愛も。そのどちらも、この一刀の元に守っていけると、[[無邪気に信じていられた時間>https://w.atwiki.jp/vermili/pages/862.html]]はもはや過ぎ去った。}}
&size(14){&color(gray){周囲の者達の規範たるべき存在となり、主君のために全霊を尽くす事を誉とした武士の道。}}
&size(14){&color(#89BDDE){傍らで微笑みかけてくれた、小さくも愛しい命を生涯かけて慈しみ抜くと誓った男としての生。}}
二つの譲れない真実の間で、杜志郎の自我は軋みを上げていたが……
「臣」としての冷厳な言葉が、遂に彼を立ち上がらせた────
&size(18){&color(#373B4C){&bold(){『}───&bold(){侍ならば主君を奉じ家を守れ。 お主の子をなす女は美影には限らぬ』}}}
己という存在を成り立たせていた半身とも言うべき、&bold(){武士という&ruby(束縛){在り方}}───それを。
&size(20){&color(#5E909E){&bold(){「……子をなす為に契るが&ruby(なんにょ){男女}の全てならば、我らは獣と同じで御座ろう……}}}
&size(20){&color(#5E909E){&bold(){&ruby(・・・・){人の誇り}を捨てても獣に甘んじるのが士道だと申されるのか」}}}
&size(23){&color(#5E909E){&bold(){&tt(){&italic(){「ならば、そのような道など……縛りなど、&ruby(・・・・・){俺は要らぬ}!」}}}}}
&size(24){&color(#5E909E){&bold(){&tt(){&italic(){「―――美影は美影、天にも地にも代わりなどおり申さぬ!」}}}}}
痛みを感じながらも投げ捨て、&bold(){誰でもない一人の男として……}二つの道から一つの生を選び取ったのである。
&color(black){&bold(){「トシロー」は藩主の妾となる伴侶を奪い去り、迫る追手を、祝福の証となるはずだった[[同田貫>肥後同田貫]]により斬り捨て藩を抜けた。}}
(あるいはこの瞬間から、この刀の用いられる意味は既に定まっていたのかもしれない……)
その結果、磨き続けてきた『剣』の腕前による栄達の道も、自分を育んだ鹿島の『家』の未来も共に閉ざされ、
&color(#443042){不忠者という最大の落伍者としての烙印を押され、&bold(){得てきた、あるいは得られるはずだった誇りは皆闇に消えて失せた。}}
&bold(){踏み出した先は、誰が敵とも判らぬ無縁の荒野。追っ手から逃れるために、陽光の下を歩くことさえ少なくなっていった。}
&size(17){&color(#5E909E){それでも杜志郎は、半身を失った苦しみを心の底に抱えながらも、}}
&size(17){&color(#5E909E){己の胸に納まるだけの小さな&ruby(みかげ){真実}に、確かな救いを感じていた……}}
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- チトセ「私もゼファーからこんな事言われたいわね」 -- 名無しさん (2018-11-03 19:25:47)
- やっぱり天秤にかけるのが軽いものじゃなくて、本当はどっちも選びたいけどどっちかを選ぶしか無いって状況で決断出来る男はカッコいいわ -- 名無しさん (2018-11-05 19:53:02)
- 美影さんをNTRるのを受け入れた場合、シェリルは衰弱死し、アイザックはあの妄執を発揮せず「ありふれた縛血者」として生きて死ぬし、ニナやホワイトパイルも近い内に破綻する。そう考えると逃避行で磨り減っても少ない時間でも美影さんと寄り添えた時間は存在しただろうし、どのルートでも美影さんとの未練は受け入れられることとなると考えれば、間違いであると同時に間違いじゃなかったんだな。 -- 名無しさん (2018-11-05 20:02:50)
- ディルムッドに比べりゃトシローさん恵まれてる気がする。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:19:24)
- ↑トシローさんは主君とは縁切ったけどディルムッドは・・・・・・ -- 名無しさん (2019-04-20 16:20:51)
- トシローさんが他の女といちゃいちゃするところみて美影は腸煮えくりかえってそうだが、ディルムッドはさてそんなシーンが想像できないのだが…… -- 名無しさん (2019-04-20 16:24:56)
- ↑(ディルムッドは)横恋慕に苦悩する様な奴だからだよ。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:27:08)
- ↑自らの魔性さ故に呪怨化しちまった様な奴だからなあ。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:29:40)
- ↑好きでもない女性に誤って好意を抱かれてしまい(しかも主君の嫁)、それが元で破滅した男。改めてみると酷いフラグだよなあ。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:34:11)
- ディルムッドの祈りは……トシローさん、ゼファーさん、アッシュ君、ムラサメ師匠からは賞賛されてもいい願いなんだけどなあ。 -- 名無しさん (2019-04-20 16:37:28)
- ディルムットめっちゃ同情されとるw…まぁ好きでもない嫁すら結構アレだしなぁ…確かに酷ぇや -- 名無しさん (2020-12-09 18:50:18)
- ……子をなす為に契るが男女の全てならば、我らは獣と同じで御座ろう…… 人の誇りを捨てても獣に甘んじるのが士道だと申されるの、そのならばような道など……縛りなど、俺は要らぬ―――チトセはチトセ、天にも地にも代わりなどおり申さぬ!誰でもない一人の男としてチトセを愛している! -- 綺麗なゼファー (2020-12-09 19:51:40)
- チトセ様、自演なんてしてないで早く職務に戻りましょう。ヴェンデッタ=サンが「ウチの狼を食べさせてあげないわよ」って言ってますよ -- 名無しさん (2020-12-09 20:04:40)
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