彼に似合いの女になってみたい。格好付けてみたいのよ、きっと理由なんてそれだけなんだわ

「彼に似合いの女になってみたい。格好付けてみたいのよ、きっと理由なんてそれだけなんだわ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
彼に似合いの女になってみたい。格好付けてみたいのよ、きっと理由なんてそれだけなんだわ」を以下のとおり復元します。
発言者:[[エリザベータ・イシュトヴァーン]]
対象者:[[マレーネ・フランケンシュタイン]]


&sizex(3){&bold(){絶望的な相手に挑もうとする一人の女が、少女に語った、“今の自分を突き動かす何よりの理由”。}}


穏やかに、マレーネ達の仲間に迎え入れられたエリザベータ。&bold(){そして、彼女は[[恋人となった少年>秋月凌駕]]の部屋で、深く想いを交わし合う。}


………事が終わり、年下の恋人が穏やかに寝息を立てる中、
&bold(){エリザベータは身支度を整えて、ある一つの行動に出ようとしていた。}

&sizex(3){&color(darkviolet){&bold(){魂にまで染み付いた、己を縛り付けるあの&ruby(キャタピラ){覆帯}の音。}}}
&sizex(3){&color(darkviolet){&bold(){それは、愛する男に受け止められ、真に身体と思いを重ねた今であっても、消えるものではなかった。}}}
&sizex(3){&color(darkviolet){&bold(){夕映えのような、青春のような、儚い一瞬の安らぎ……}}}

&sizex(3){&color(darkviolet){&bold(){だから今こそ、自らの手で戦場の呪縛を断ち、彼が与えてくれた美しく優しい時間を、永遠のものに留めたいと誓う。}}}
&sizex(3){&color(darkviolet){&bold(){そして、その時こそきっと……}}}
&sizex(3){&color(darkviolet){&bold(){素顔の自分を、本当の意味で愛せるようになると。}}}


&sizex(5){&color(darkviolet){「だから、待っていてね、凌駕。私の愛しい人……」}}


そう告げて、彼女は部屋を後にしていく……。そんなエリザベータの前に、


&sizex(5){&color(#00BFFF){&bold(){「戻るのは自殺が目的か?」}}}


&bold(){マレーネが現れ、はっきりと彼女の意図を言葉に表してみせた。}
目的を見抜かれていた事に一瞬、驚くエリザベータだったが、&bold(){今の彼女には返すべき言葉は決まっていた。}


&sizex(5){&color(darkviolet){&bold(){「いいえ、逆よ――生きる為に」}}}


しかし、あくまでマレーネは&bold(){その行動を死にたがりのそれと断じ、その証明として彼女が標的としているであろう、ギアーズ最大戦力・[[アレクサンドル・ラスコーリニコフ]]の名前を口にする。}
&bold(){&ruby(ギアーズ){討滅部隊}総帥、時計機構最強の&ruby(){刻鋼人機}の名前、それはエリザベータの心中に、かつての&ruby(ちから){暴力}の恐怖を体現するものとして響いたが、}


&sizex(5){&color(darkviolet){&bold(){「……そうだとしても。いや、だからこそ。}}}
 &sizex(5){&color(darkviolet){&bold(){だからこそ、私は夢を見る。想像力を駆使し、可能性を拡げる。そしてその為に、死力を尽くす」}}}

&bold(){胸に新たに息づく、かの少年が自分との戦いで伝えてくれた言葉を繰り返し、心を奮い立たせて、}

&sizex(5){&color(darkviolet){&bold(){「私を終わらない殺戮の歯車から解き放ってやりたい――そう言ってくれた、彼の願いに応える為に。}}}
 &sizex(5){&color(darkviolet){&bold(){私は行く。自らの意志で、この&ruby(くさり){歯車}を解き放つ。」}}}
 

&sizex(5){&color(darkviolet){「……ああ、なんだ。こんなに簡単なこと」}}


&sizex(3){&bold(){そうして、彼女は自分の本音に気づいて―――}}


&sizex(5){&color(darkviolet){「彼に似合いの女になってみたい。格好付けてみたいのよ、きっと理由なんてそれだけなんだわ」}}


&sizex(4){&color(darkviolet){それが何よりも、胸にしっくり来る言葉に思えたから。}}



&bold(){不退の意志を伝え、再び歩み出そうとするエリザベータに、変わらず鋭い眼差しで見つめながら、マレーネは銃口を以て迎える。}
&bold(){その瞳には、司令官としてだけではない、複雑な感情が覗いており……}

&sizex(5){&color(#00BFFF){&bold(){「いや、行かせん」}}}
&sizex(4){&color(#00BFFF){&bold(){「身を捨てて他者に報いんとするような死にたがりを見ると、黙っていられなくなる&ruby(たち){性質}でな。}}}
 &sizex(4){&color(#00BFFF){&bold(){そして何故か、そんな人間が私の周りには多すぎる……&ruby(・・・){昔から}そうだよ」}}}

鋭い視線と照準を向けられながらも、エリザベータは微笑みを浮かべ、立ちはだかる少女との距離を詰めていき……
&bold(){二人が静かに見つめ合う中、その銃口は女の胸に押しつけられていた。}

&sizex(5){&color(#00BFFF){&bold(){「――行かせん、と言った」}}}

&bold(){その言葉と共に鳴り響く銃声。}

&sizex(5){&color(darkviolet){「……&ruby(しんぞう){永久機関}は外れているわ。私の勝ちね。}}
 &sizex(5){&color(darkviolet){ごめんなさい。そして、ありがとう。}}
 &sizex(5){&color(darkviolet){あなたが本気で向かい合ってくれたこと、どんな形であっても嬉しかったわ」}}


&bold(){&ruby(・・){脅し}と、&ruby(・・・・・・・・){裏切り者への試験}、あるいは手向けとしての銃撃。}
その事実を見抜かれていたマレーネは、溜息混じりに告げる、


&sizex(4){&color(#00BFFF){&bold(){「……度し難い。引き金を絞る重みだ、本気で相対くらいするだろう。}}}
 &sizex(4){&color(#00BFFF){&bold(){死相の出ている相手に、その場限りの賛辞や叱咤が出来るほど厚顔無恥ではないつもりだ」}}}


その姿と言葉に、エリザベータもまた静かに答える、


&sizex(4){&color(darkviolet){「きっと、それも優しさよ。あそこには、私を見ようとする意思さえなかったから」}}


&bold(){その言葉を最後に、二人は無言で擦れ違う。}
&bold(){女が行動で示した決意に対し、隻眼の少女も背中で敬意を示すのみ。}
&bold(){やがて、エリザベータ・イシュトヴァーンは、目的の場所へと強く駆け出して行く。}
&bold(){そして、彼女が想う少年もまた……}

----
- これって鉛弾を体内に入れたまま闘ったのか?  -- 名無しさん  (2017-05-27 07:39:55)
#comment

復元してよろしいですか?