――結局、俺を殺そうとするんだから

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――結局、俺を殺そうとするんだから - (2017/02/26 (日) 17:24:34) のソース

発言者:ゼファー・コールレイン
対象者:マルス-No.ε
チトセルートにおいて、グランセニック邸を強襲した2体の魔星。
それらとの戦闘の最中に、ゼファーが怒り混じりにマルスに告げた虚飾なしの本音。
この時点ではまだ明らかではない、マルスの真実の一面を突いている言葉でもある。
相棒にトラウマを刻まれたのは本当でも――栄光を奪われたとか、そのような妬みは一切ない。
あいつは最強であり、紛うことなき最高の存在である。
自分が惨めなのは、あくまで塵屑である自分にすべての原因があるのだとゼファーは断じる。
かつてスラムから軍に転がり込んだのは、ひとえに今日の命をつなぐため。
これでまた明日も生きられる、という安堵の中にだけある幸福以上に価値のあるものなどは知らなかった。
地位も栄光も命あって初めて高いだの低いだの言えること。
生きてるだけで精一杯の自分のような雑魚は、軽んじられるのも惨めなのも当然であり、
世の中ってのはそうでなくてはいけない。
「つまり、”勝利”に興味を持っていない……と」
「ああ、そうさ。試練に挑んで不幸になり、挙句の果てはボロボロに。
そして傷つき死んでいけ?」
嫌だ、嫌だ。痛いことはしたくない。
「生憎と、不幸も傷も腹一杯だ。もう一つも要らねえんだよ、俺の人生には」
「だから俺にそんな試練を押し付けたがるおまえも不要だ。死んでくれ」
そうだろ?なにせ、おまえ―――運命運命、命の価値がどうだといいつつ。
「――結局、俺を殺そうとするんだから」

余談
この直後にゼファーは自分の矛盾に気づく。
生存最優先の自分をともに死地という高みへと連れまわそうとする彼女について。
彼自身の生存哲学に照らせば、あきらかに魔星と同類の害でしかないはずで、だから無理だと何度も何度も伝えたはず。
なのにどうして、この俺は――と、合理では割り切れない感情が脳裏を過ぎったのだった。

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