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主よ人の望みの喜びよ -Jesus bleibet meine Freude-(第7回)
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入部届けを出した日は金曜日だったので、来週から部活動に加わることとなった。
本当は翌日にでも参加したかったのだが、こういう時に週休二日制というのは忌々しい。なぜ私立のくせに中途半端に文部科学省のお達しに準じているのかとか、先生達に訴えてみようとか、この学校に入るために探し出したメリットが、ここに来てデメリットになるとは……ああ、自分の心変わりの早さが腹立たしい。
とにかく、金、土、日曜日の三日間を費やし、なんとか「暗闇の爆撃機」を弾けるように、四六時中ピックを持って鳴らしていた。結果を述べれば、予想通り計画倒れだった訳だが。
来る月曜日、僕は部室に足を踏み入れる。いきなりセッションはできなかったので、とりあえず、響子先輩から基礎中の基礎という「概念」を教えてもらうことにした。
僕がこれまでやって来たことは、「スピーカーから流れる音をいかに忠実に再現するか」ということに固執していて、仮にその音が出せたとしても、どのような要因でその音が出せているのかがよく分かっていなかった。ひたすら原音に忠実な音の出る音階を探し、全て体に覚えこませていただけで、コードの持つ音を理解していない。
月曜日の響子先輩は、嬉々として講師の役を請け負ってくれた。曰く、
「こんな楽な教え子、早々いないしね」
なんとも実益と優越を兼ね備えた意見だなと、僕は正直感心した。
とりあえず、ここを押さえたらこんな音が出る、とか無茶な教育を呑み込まされ、君の思うリフを演奏しまくれ、とか言われて、ひたすらディープ・パープルやらエアロスミスやらを弾きまくるハメになった。
二時間ほど黙々と練習し続け、そこで一息入れることになり、他の部員はトイレにでも行くのか、ほとんどは廊下に出て行ってしまった。この部室にいるのは、僕と響子先輩だけになる。
「お疲れさん。疲れた?」
「いつもこんなもんですよ。ただ、緊張はしたけど」
「余裕だねぇ、新人君」
茶目っ気たっぷりにウインクして、快活に笑う先輩。どう反応すればいいのか困り者だが、この人のペースに振り回されているのも悪くはない。
「あの先輩、俺、弾けない曲があるんですけど………」
と言って、ヴァン・ヘイレンの『暗闇の爆撃機』を途中まで弾いてみせた。しかし、やはり最後の部分のフレーズがまったく弾けない。というか、そもそもメロディーそのものを出せないでいる。これは僕にとってあまり体験し得なかったものであり、戸惑いを隠せないものであった。
「ああ、それ。普通にピッキングだけじゃ弾けないよ」
響子先輩によると、どうやらこの曲の弾けなかった部分は、右手で押さえているフレットを、左手で叩いて弾くものだったらしい。ライトハンド奏法と教えられたが、レフトハンド奏法はないのか?、と僕が質問を投げかけたところ、苦そうな顔をしながら腹を抱えて笑い転げていた。まったく、あまりに失礼で、目に余るほど面白い先輩だ。
本当は翌日にでも参加したかったのだが、こういう時に週休二日制というのは忌々しい。なぜ私立のくせに中途半端に文部科学省のお達しに準じているのかとか、先生達に訴えてみようとか、この学校に入るために探し出したメリットが、ここに来てデメリットになるとは……ああ、自分の心変わりの早さが腹立たしい。
とにかく、金、土、日曜日の三日間を費やし、なんとか「暗闇の爆撃機」を弾けるように、四六時中ピックを持って鳴らしていた。結果を述べれば、予想通り計画倒れだった訳だが。
来る月曜日、僕は部室に足を踏み入れる。いきなりセッションはできなかったので、とりあえず、響子先輩から基礎中の基礎という「概念」を教えてもらうことにした。
僕がこれまでやって来たことは、「スピーカーから流れる音をいかに忠実に再現するか」ということに固執していて、仮にその音が出せたとしても、どのような要因でその音が出せているのかがよく分かっていなかった。ひたすら原音に忠実な音の出る音階を探し、全て体に覚えこませていただけで、コードの持つ音を理解していない。
月曜日の響子先輩は、嬉々として講師の役を請け負ってくれた。曰く、
「こんな楽な教え子、早々いないしね」
なんとも実益と優越を兼ね備えた意見だなと、僕は正直感心した。
とりあえず、ここを押さえたらこんな音が出る、とか無茶な教育を呑み込まされ、君の思うリフを演奏しまくれ、とか言われて、ひたすらディープ・パープルやらエアロスミスやらを弾きまくるハメになった。
二時間ほど黙々と練習し続け、そこで一息入れることになり、他の部員はトイレにでも行くのか、ほとんどは廊下に出て行ってしまった。この部室にいるのは、僕と響子先輩だけになる。
「お疲れさん。疲れた?」
「いつもこんなもんですよ。ただ、緊張はしたけど」
「余裕だねぇ、新人君」
茶目っ気たっぷりにウインクして、快活に笑う先輩。どう反応すればいいのか困り者だが、この人のペースに振り回されているのも悪くはない。
「あの先輩、俺、弾けない曲があるんですけど………」
と言って、ヴァン・ヘイレンの『暗闇の爆撃機』を途中まで弾いてみせた。しかし、やはり最後の部分のフレーズがまったく弾けない。というか、そもそもメロディーそのものを出せないでいる。これは僕にとってあまり体験し得なかったものであり、戸惑いを隠せないものであった。
「ああ、それ。普通にピッキングだけじゃ弾けないよ」
響子先輩によると、どうやらこの曲の弾けなかった部分は、右手で押さえているフレットを、左手で叩いて弾くものだったらしい。ライトハンド奏法と教えられたが、レフトハンド奏法はないのか?、と僕が質問を投げかけたところ、苦そうな顔をしながら腹を抱えて笑い転げていた。まったく、あまりに失礼で、目に余るほど面白い先輩だ。