相続の開始原因
- 自然人の死亡(自然人とは法人の対義語)
- 失踪宣告
- 普通失踪 家裁による失踪宣告後7年で死亡したものと見做される
- 特別失踪 危機的状況(戦地や沈没船)の終了から1年間生死不明のとき、家裁による失踪宣告によって死亡したものと見做される
同時死亡の推定
飛行機事故のように、複数人がほぼ同時刻に死亡したような場合は、
同時刻に死亡したものと見做し、死者から生者へ遺産が継承される。
同時刻に死亡したものと見做し、死者から生者へ遺産が継承される。
相続人の順位
配偶者は資産の共同形成者であるため、常に相続人の資格がある。
上位の相続人がいない場合、下位が相続人になる。(胎児も相続人になれる)
上位の相続人がいない場合、下位が相続人になる。(胎児も相続人になれる)
- 子(養子、実子を含む。養子は養親、実親の両方の相続人になることができる)
- 直系尊属(被相続人の父母)
- 兄弟姉妹
代襲相続
被相続人の子や兄弟姉妹が下記に該当するとき、相続権はその下の世代に移転する。
- 死亡
- 欠格
- 廃除
相続権の欠格
下記行為により、手続きなしで相続権を失う。
- 遺産目当てで殺人
- 遺言書の偽造
相続権の廃除
下記行為を受けた被相続人が生前もしくは遺言によって家裁に請求することで、相続権を剥奪できる。
- 被相続人を生前に虐待された
- 重大な侮辱を相続人から受けた
相続対象
- 相続財産: 被相続人が死亡時に有していた財産のこと。下記2つが含まれる。
- 積極財産 現金、不動産
- 消極財産 借金、
- 非相続財産
- 祭祀用財産: 仏壇、墓地、系譜などで、祭祀主宰者が承継。
- 一身専属: 身元保証人の義務など
相続分
- 指定相続分 遺言によって定める相続分。法定相続分より優先。
- 法定相続分 指定相続分がない場合に適用。配偶者以外の相続人で等分する。
法定相続分
配偶者がいる場合 | 配偶者がいない場合 | |
配偶者のみ | 配偶者1/1 | - |
第一順位 | 配偶者1/2、子1/2 | 子1 |
第二順位 | 配偶者2/3、直系尊属1/3 | 直系尊属1 |
第三順位 | 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 | 兄弟姉妹1 |
代襲相続人
被代襲人の相続分を代襲相続人の人数で均等分割する。
相続の承認と放棄
対応 | 特徴 | 手続 | 効果・制限 |
放棄(民法938) | 積極財産も消極財産も相続しないこと | 相続開始の認知時から3ヶ月以内に家裁へ申し出る。単独で行なえる。 | 初めから相続人として見做されない。代襲相続は発生しない。 |
限定承認(民法922) | 積極財産の範囲内で消極財産を相続すること | 相続開始の認知時から3ヶ月以内に家裁へ申し出る。単独で行なえない。 | 相続人全員が限定承認を行なうこと |
承認(民法920) | 積極財産も消極財産も相続すること | 上記手続きを行なわないと自動的に承認したものと見做される。 | 延期不可 |
遺贈と死因贈与
遺贈
- 遺贈の定義: 遺言によって遺贈者の死後に受遺者へ財産を与えること。受遺者には第三者も含まれる。
- 遺贈の方法
- 包括遺贈: 相続財産全体に対する割合を指定する方法。「遺産の5割を○○に遺贈」
- 特定遺贈: 個別の財産を特定する方法。「~~の土地を○○に遺贈」
注意: 消極財産のみを特定遺贈することはできない。積極財産とのセットならOK(負担付遺贈)という。このとき限定承認と同様の負担責任になる。
- 相続との違い
代襲は発生しない。遺贈者の死亡時に受遺者が生存していなければ遺贈は無効。
- 承認と放棄
方法 | 手続き |
包括遺贈 | 相続の場合と同様 |
特定遺贈 | 相続開始後いつでもよい。民法規定がないため家裁手続きも不要 |
死因贈与
- 定義
贈与の方法 | 特徴 |
遺贈 | 単独行為(受遺者の意思を確認しない) |
死因贈与 | 契約(生前に贈与者と受遺者の意思を確認する) |
- 仮登記
死因贈与を原因として、不動産に対する(始期付き贈与として)仮登記が可能で、
差し押さえに対抗することができる。
差し押さえに対抗することができる。
- 遺言による取消
遺贈と同じく、後からの遺言で取り消すことができる(判例はまだない)。
被相続人が遺言で取り消さないことが信頼できれば、
生前の世話を見た人が死因贈与を受けておくことにより、下記メリットあり。
被相続人が遺言で取り消さないことが信頼できれば、
生前の世話を見た人が死因贈与を受けておくことにより、下記メリットあり。
- 被相続人: 死ぬまでは被相続人の所有
- 相続人: 仮登記をしていれば、資産取得がほぼ確実、相続税で安くすむ