その夜も、私は彼女を抱いていた。
「んっ……あっ、あっ、んあっ……」
彼女の声が、静かな室内に響く。
私は彼女の上で腰を振っていた。
体を重ねるのは何度目になるだろう。二桁は行っただろうか。
しかし、何度見てもこの時の彼女は特別に可愛い。
そう思いながら小さな胸から手を離し、唇をなぞる。
彼女はそのまま、躊躇いなく私の指を含んだ。
「はむ……うあんっ……ちゅっ……あんっ……」
腰を振るのに合わせて、口の中に指を突きこんでいく。
彼女を上下で犯す感覚に、鳥肌が立つほどの陶酔を覚える。
「ちゅっ……じゅるっ……あっ、んんっ……」
もう持たない。私は空いた手で結合部の上、ピンク色の若芽を摘み上げた。
「ふああっ!?」
急に中が締まった。相変わらず良い感度だ。
「……ちゅっ……ごめんなさい、もう、んっ……」
羞恥に頬を染めながら、彼女が囁く。余裕が無いのはこっちも同じだ。
私はそのまま責め立てる。彼女が喘ぐ度に、舌がいやらしく指に絡む。
「んああっ!はう、ちゅるっ……奥に、来てま、んあっ!うんっ!あっ!」
彼女が自分から腰を動かし始めた。さっきまでとは違う快感が走る。
膣内が狭くなり、搾り取るように締め付けてくる。限界だ。
「くっ……」
最後に奥を一突きして、私は欲望を解放した。
「中に、出て、やあっ、ああぁぁぁっ!」
直後、彼女は背中を反らせて大きく震え、絶頂を迎えた。
「あっ、あぁっ、はあぁぁぁ……」
快楽の余韻に弛緩した体を震わせる彼女を、私は熱っぽい頭で眺めていた。
四年前、戦争が始まった。
欧州の一部での戦争は、今では全世界を巻き込む世界大戦に発展していた。
彼女は魔道技官。我が国の主戦力にして最終兵器。
薬物と催眠暗示で莫大なエネルギーを生み出す、現代の魔法使い。
激化する戦況の中、戦線を支えてきたのは常に彼女達だった。
指揮官の私は只の連絡役。
快適なオフィスで彼女達の配置を考え、ロンドンに提案するだけ。
彼女達は有無を言わず徴兵され、前線で泥水を啜り、幻覚に怯え、それでも誰かの為に戦い続ける。
それが兵士だと言われればそれまでだ。
だが、それは本来、幼い少女に背負わせるものではない。
ならば、この少女だけでも。その背負っているものを軽くしてやりたい。
私は、ある決断を下した。
交情の熱も醒めたころ。並んで寝台に横たわり、私は機会を窺っていた。
彼女に言わねばならぬことがある。
だが、緊張が顔に出ていたのだろうか。
「あの、何か?」
こちらの様子を窺うように覗きこんでくる。
私は思い切って言った。
「結婚しないか」
彼女の反応は醒めたものだった。
「……あら嬉しい。正気ですか?」
私は思わず起き上がって、彼女の顔を正面から見つめた。
「どういう事だ。私は本気で言ってるんだ」
「……」
私の顔を見て、本気とは理解してくれたようだ。
そして、彼女は笑みを浮かべて視線をそらした。
ぽつりと呟く。
「冗談でないなら……同情ですか」
確かに、言われてみればそうかもしれない。
だがそんな事はどうでもいい。
「いつも一緒に居たいだけだ。君を離したくない。離れたくない」
ただそれだけ。君の隣にいて、力になりたい。なんと言われようが、それが私の愛情だ。
声を荒げて、彼女が言い返してくる。
「戦時の軍人が何を言ってるんです。男やもめになりたいんですか?」
「……分かっている。それでもだ」
夫を亡くした妻、妻を亡くした夫。私は何人も知っている。
だがそれでも。今ここに、彼女はいるのだ。ならば、今できることをする。
「……精神安定剤が無いと日常生活が出来ないものを妻にして、どうするつもりですか」
「戦争が終わったら、一緒に克服して行けばいい。全部私が面倒を見てやる」
「言うのは簡単です!」
泣きそうな声で彼女が叫んだ。
「やってみせよう。朝起こして、下の世話をして、飯を作って食わせ、話をして、本でも読もうか」
驚いたような表情。だが、さらに否定の言葉が紡がれる。
「それに私、子供が産めません」
「知っている。君が子供が欲しいと言うなら、養子をとってもいい」
「……」
「……」
沈黙。ゆっくりと、彼女がこちらに振り向いた。
「…いいんですか?私、本気にしますよ?」
「構わない。君が欲しい」
「……」
再び沈黙。今度は長かった。
表情を隠すように、彼女が顔を伏せる。その視線を追うように、涙が伝う。
結んだ唇から嗚咽が零れる。
私は彼女を抱きしめた。
「返事を、聞かせてくれないか」
涙に濡れた顔を上げ、精一杯の笑みを浮かべて彼女は言った。
「喜んで」
私の背中に手を回して、彼女が抱きついてきた。
「ありがとう」
言いたいことは沢山あるが、口に出せたのはそれだけだった。
そして、それで十分だった。
二人共落ち着いたころ、彼女が言い出した。
「あの、式は一月後でもいいですか?」
「ん?別に構わんが。何なら今からでもいいぞ。どうせ隊内式だ」
「マーケット・ガーデン作戦が終わってからにしたいんです」
「作戦前でも同じことだろう」
「自分にけじめを付けたいんです。それに、今回は少し厄介な任務なので」
「厄介?……ああ、パスファインダーに出向だったか」
「はい。アルンヘムの鉄橋の確保と、本隊の誘導です」
知っている。彼女を選んだのは、この私だ。
パラシュート降下する本隊のために、先に侵入して安全を確保し、その地点に誘導する。
中隊内では、彼女以上に適任な者はいない。
「分かった。だが気が変わったらいつでも言ってくれ」
「わかりました」
だから彼女を向かわせる。我々は軍人なのだから。
しばらくして、明かりを付けようと枕元のスイッチを手探りする。
「おや、どこだったかな」
ふと彼女が体を起こした。
「あの、少佐」
「何だ?」
「式の前に、両親に会って欲しいんです」
当然だ。彼女の人生を引き受ける以上、こちらもそれなりの礼儀を尽くさねば。
「分かった。怒られるかな」
「そのときは、私も一緒に怒られます」
楽しそうに言う。いい両親なのだろう。
「あ、それと」
微かに頬を染めて、しかしはっきりと彼女は言った。
「もう一度、しませんか?」
私はそれには答えず、そのまま彼女を押し倒していった。
幸せを胸に抱き、その温かさだけを感じながら。
強い風が吹き、木々が一斉にざわめいた。
頭を振って、私は現実に戻る。
あれは、私のプロポーズが受け入れられた夜。
そして私は今、彼女の両親の家の前で、柄にもなく緊張している。
意を決して、玄関の古風なベルを鳴らす。
出てきた男性に、私は話しはじめた。
「私は、貴方の御令嬢が英国軍人として立派に戦い、名誉の戦死を遂げられたことを誇りに思います……」
「んっ……あっ、あっ、んあっ……」
彼女の声が、静かな室内に響く。
私は彼女の上で腰を振っていた。
体を重ねるのは何度目になるだろう。二桁は行っただろうか。
しかし、何度見てもこの時の彼女は特別に可愛い。
そう思いながら小さな胸から手を離し、唇をなぞる。
彼女はそのまま、躊躇いなく私の指を含んだ。
「はむ……うあんっ……ちゅっ……あんっ……」
腰を振るのに合わせて、口の中に指を突きこんでいく。
彼女を上下で犯す感覚に、鳥肌が立つほどの陶酔を覚える。
「ちゅっ……じゅるっ……あっ、んんっ……」
もう持たない。私は空いた手で結合部の上、ピンク色の若芽を摘み上げた。
「ふああっ!?」
急に中が締まった。相変わらず良い感度だ。
「……ちゅっ……ごめんなさい、もう、んっ……」
羞恥に頬を染めながら、彼女が囁く。余裕が無いのはこっちも同じだ。
私はそのまま責め立てる。彼女が喘ぐ度に、舌がいやらしく指に絡む。
「んああっ!はう、ちゅるっ……奥に、来てま、んあっ!うんっ!あっ!」
彼女が自分から腰を動かし始めた。さっきまでとは違う快感が走る。
膣内が狭くなり、搾り取るように締め付けてくる。限界だ。
「くっ……」
最後に奥を一突きして、私は欲望を解放した。
「中に、出て、やあっ、ああぁぁぁっ!」
直後、彼女は背中を反らせて大きく震え、絶頂を迎えた。
「あっ、あぁっ、はあぁぁぁ……」
快楽の余韻に弛緩した体を震わせる彼女を、私は熱っぽい頭で眺めていた。
四年前、戦争が始まった。
欧州の一部での戦争は、今では全世界を巻き込む世界大戦に発展していた。
彼女は魔道技官。我が国の主戦力にして最終兵器。
薬物と催眠暗示で莫大なエネルギーを生み出す、現代の魔法使い。
激化する戦況の中、戦線を支えてきたのは常に彼女達だった。
指揮官の私は只の連絡役。
快適なオフィスで彼女達の配置を考え、ロンドンに提案するだけ。
彼女達は有無を言わず徴兵され、前線で泥水を啜り、幻覚に怯え、それでも誰かの為に戦い続ける。
それが兵士だと言われればそれまでだ。
だが、それは本来、幼い少女に背負わせるものではない。
ならば、この少女だけでも。その背負っているものを軽くしてやりたい。
私は、ある決断を下した。
交情の熱も醒めたころ。並んで寝台に横たわり、私は機会を窺っていた。
彼女に言わねばならぬことがある。
だが、緊張が顔に出ていたのだろうか。
「あの、何か?」
こちらの様子を窺うように覗きこんでくる。
私は思い切って言った。
「結婚しないか」
彼女の反応は醒めたものだった。
「……あら嬉しい。正気ですか?」
私は思わず起き上がって、彼女の顔を正面から見つめた。
「どういう事だ。私は本気で言ってるんだ」
「……」
私の顔を見て、本気とは理解してくれたようだ。
そして、彼女は笑みを浮かべて視線をそらした。
ぽつりと呟く。
「冗談でないなら……同情ですか」
確かに、言われてみればそうかもしれない。
だがそんな事はどうでもいい。
「いつも一緒に居たいだけだ。君を離したくない。離れたくない」
ただそれだけ。君の隣にいて、力になりたい。なんと言われようが、それが私の愛情だ。
声を荒げて、彼女が言い返してくる。
「戦時の軍人が何を言ってるんです。男やもめになりたいんですか?」
「……分かっている。それでもだ」
夫を亡くした妻、妻を亡くした夫。私は何人も知っている。
だがそれでも。今ここに、彼女はいるのだ。ならば、今できることをする。
「……精神安定剤が無いと日常生活が出来ないものを妻にして、どうするつもりですか」
「戦争が終わったら、一緒に克服して行けばいい。全部私が面倒を見てやる」
「言うのは簡単です!」
泣きそうな声で彼女が叫んだ。
「やってみせよう。朝起こして、下の世話をして、飯を作って食わせ、話をして、本でも読もうか」
驚いたような表情。だが、さらに否定の言葉が紡がれる。
「それに私、子供が産めません」
「知っている。君が子供が欲しいと言うなら、養子をとってもいい」
「……」
「……」
沈黙。ゆっくりと、彼女がこちらに振り向いた。
「…いいんですか?私、本気にしますよ?」
「構わない。君が欲しい」
「……」
再び沈黙。今度は長かった。
表情を隠すように、彼女が顔を伏せる。その視線を追うように、涙が伝う。
結んだ唇から嗚咽が零れる。
私は彼女を抱きしめた。
「返事を、聞かせてくれないか」
涙に濡れた顔を上げ、精一杯の笑みを浮かべて彼女は言った。
「喜んで」
私の背中に手を回して、彼女が抱きついてきた。
「ありがとう」
言いたいことは沢山あるが、口に出せたのはそれだけだった。
そして、それで十分だった。
二人共落ち着いたころ、彼女が言い出した。
「あの、式は一月後でもいいですか?」
「ん?別に構わんが。何なら今からでもいいぞ。どうせ隊内式だ」
「マーケット・ガーデン作戦が終わってからにしたいんです」
「作戦前でも同じことだろう」
「自分にけじめを付けたいんです。それに、今回は少し厄介な任務なので」
「厄介?……ああ、パスファインダーに出向だったか」
「はい。アルンヘムの鉄橋の確保と、本隊の誘導です」
知っている。彼女を選んだのは、この私だ。
パラシュート降下する本隊のために、先に侵入して安全を確保し、その地点に誘導する。
中隊内では、彼女以上に適任な者はいない。
「分かった。だが気が変わったらいつでも言ってくれ」
「わかりました」
だから彼女を向かわせる。我々は軍人なのだから。
しばらくして、明かりを付けようと枕元のスイッチを手探りする。
「おや、どこだったかな」
ふと彼女が体を起こした。
「あの、少佐」
「何だ?」
「式の前に、両親に会って欲しいんです」
当然だ。彼女の人生を引き受ける以上、こちらもそれなりの礼儀を尽くさねば。
「分かった。怒られるかな」
「そのときは、私も一緒に怒られます」
楽しそうに言う。いい両親なのだろう。
「あ、それと」
微かに頬を染めて、しかしはっきりと彼女は言った。
「もう一度、しませんか?」
私はそれには答えず、そのまま彼女を押し倒していった。
幸せを胸に抱き、その温かさだけを感じながら。
強い風が吹き、木々が一斉にざわめいた。
頭を振って、私は現実に戻る。
あれは、私のプロポーズが受け入れられた夜。
そして私は今、彼女の両親の家の前で、柄にもなく緊張している。
意を決して、玄関の古風なベルを鳴らす。
出てきた男性に、私は話しはじめた。
「私は、貴方の御令嬢が英国軍人として立派に戦い、名誉の戦死を遂げられたことを誇りに思います……」