――わたしは、あなたに■をしています。
* * * * * * * * * * * *
川尻しのぶは、平穏無事な朝を過ごしていた。
おうすと呼ばれる少女は、今朝がた川尻家のポストに投函されていた白い封筒を持って早人の部屋に向かった後で、『やらなければならない事があります』と真面目そうな顔で告げると外出してしまった。
どうやらそれは、冬木市での滞在目的である『聖杯戦争』なるものに関係ある手紙だったらしい。
(手紙に書かれている何かしらの依頼を達成した者が勝ち残っていくような形なのだろうとしのぶは理解したし、おうすも『そんなようなものです』と肯定した)
一人息子の早人は呑気なもので、朝早くから『遊びに行ってくる』とだけ発言してどこかに行ってしまった。
以前の川尻家よりもずっと小さな家――だが、一人になると一気に広く感じられる家で――しのぶの日常は淡々と過ぎていった。
ドキドキするような刺激も無ければ、わくわくするような事件も起こらない。
あるのは『この町で生計を立てる』という現実ばかり――たとえ、世間がどうであろうと。
まずは朝食の片づけ、洗濯、掃除といった数々の家事をこなしていった。
ベランダで洗濯ものをパンパンと広げて干している間に、上空を悠遊と飛んでいく大ガラスを目撃して眉を顰める。
朝食前にゴミ出しは済ませたけれど、あんな大きいカラスがいたらゴミネットも役に立たないんじゃないかしら、と。
やがて空を注視して、早朝に降っていた雪がまた振りだしやしないか、もう一度だけ空模様を確認する。
全ての雑事を終わらせるとキッチンテーブルに腰かけ、引っ越し祝いに貰った菓子箱を空けて、かわいいクッキーとレモンティーでひと息つく。
前の家から持ってきてしまった茶葉(このお茶を自室で読書中の夫に差し入れしたこともあった)を全て使い切ったことにため息をひとつ。
寂しさをごまかすように、わずかな休憩時間に少しでも娯楽を見つけようとテレビをつけた。
しかし、映し出された地元局の番組では放送事故が起こったらしく、『放送が再開されるまで、暫くお待ちください』というテロップが流れるのみだったので、また少しがっかり。
しんみりしてしまったお茶の時間を終えると、化粧の具合を確認して、いよいよ町の外に出た。
都合のよい副業を探している主婦には、クリスマスの前日だろうとそれなりにやることがある。
最初の行先は、商店街の入り口近くにある銀行だった。
実のところ、お金のことを考えながらの道中だというのに少しワクワクしていた。
ここのところ商店街には野良猫が多い――ご近所に挨拶回りをした時にそんな噂を聞いていたからだ。
しのぶは無類の猫好きだった。
以前の家で飼っていた猫も、『猫に長旅や見知らぬ土地での生活は堪えるはずだ』と息子から諭されて泣く泣く親戚に預けた。
以前はブリティッシュブルーの猫のせいで恐怖体験をしたこともあったけれど、それは夫との絆を再確認できる忘れられない思い出でもあったし、それで猫そのものを嫌いになることはない。
そうして行きの道中をきょろきょろと見回してみたけれど、見かけた猫は一匹だけ。
それも、すぐに路地裏へと見えなくなってしまったので、とても触れ合えるような位置関係ではなかった。
そんな名残惜しさを感じながら銀行に到着して、二種類の通帳を取り出す。
川尻家の口座から生活費の残額をチェックした後で、形ばかりの不動産経営者(代行)として、仕事上の口座に賃貸料が過不足なく振り込まれていることを確認。
さすがにクリスマス直前、年末ボーナスが出た後ともなれば、どの家も羽振りがいいらしい。
今年のクリスマスはどうしようかしらね、としのぶは数日前から憂いていた悩みのことをまた思い出した。
もう何年も、ただ子どもにプレゼントを買い与えるだけ(息子はオモチャではなく、たいてい機械類を要求した)、そして無口な夫もかろうじて同席してそれなりに良い食事をするだけの、形ばかりのクリスマスを過ごしてきたけれど、今年はそれさえも金銭の問題で厳しくなりそうだ。
ようやく安定収入を手に入れたとはいえ、前の家を退去するまでの滞っていた家賃の支払い、冬木市への引っ越しにかかった諸経費も積み重なって、家計はいまだギリギリのラインにある。決してぜいたくができるような経済状況ではない。
そんな状況にも関わらず、知り合ったばかりの『おうす』をあっさりと扶養するほど金使いには無頓着なしのぶではあったが、しかし。
(そもそも夫がいた頃から、息子の遊興費はさして惜しまないわりに家賃の支払いは滞納するぐらいにいい加減な金遣いをする家庭ではあったが、しかし)
それでも、なお、この事態にはいささか、頭を悩ませていた。
むしろ、おうすもクリスマスをともに過ごすからこそ、ごちそうも何も無しの寂しいクリスマスにはしたくないという良識と見栄もある。
だから、クリスマス・ケーキも予約している。
早人へのプレゼントだって――平年よりゴタゴタしていたので希望を聞くことはできなかったが――用意しているし、おうすにも女の子らしい髪飾りの一つでも買ってあげたら喜ぶかしら、などと考えている。
だから、銀行を出た後に向かうのは、本命の、どちらかと言えばこちらが主目的となる、最後の問題をクリアするための目的地だ。
もう何回かは足を運んだから、『今のしのぶに必要な場所』が新都の市役所近くにあって、その支部がこの深山町の商店街を出てしばらく歩いたところに立地することも覚えている。
そして、そこは祝日ならば閉まっているけれど、『そこ』の前にはひと昔前の駅構内によくあったような掲示板が建っていて、簡単な情報交換ができることを。
しのぶは、公共職業安定所――の前にある大きな看板から、求人募集を探し始めた。
* * * * * * * * * * * *
「どれも決め手に欠けるわねぇ……」
しのぶは帰宅するや、またキッチンテーブルに座って顔を曇らせていた。
スカートからすらりと伸びる足を組んで、頬杖をついて卓上を眺める。
テーブルの上には、コンビニで入手してきた収穫物――今度は茶菓子ではなく、求人広告をメモに写したものを幾枚も広げている。
『今日申し込んでも、まだ間に合うもの』だけを選別して連絡先と条件を書きとってきたものだ。
そして、その隣には比較参考までにと、先日に職安で貰って来た求人募集を並べている。
別に、金を稼ぐアテが全くない、というワケではない。
冬木市の家を斡旋してくれた親戚にも、それとなくおススメの働き口は無いかどうか聞き齧ったりしているし、仕事を探すなら今の時代はまず職安だと聞いて、とりあえず足を運んでみたりもした。
短大を出るやそのまま専業主婦として十年余りを生きてきた川尻しのぶにとって、ベストな就職活動のやり方」とは、息子がのめりこんでいるAV機器の内部構造並みによく分からないものではあったが、とにかく『どうすれば仕事の情報が手に入るのか』については分かった。
しかし、それらはあくまで『パート勤め』としての仕事であり、腰を据えて長期的に働いていくための仕事だ。
例えば、この町でなかなか人気があるらしいスポーツクラブに併設された売店(スポーツグッズやスポーツ飲料を扱うらしい)の店員だったり。
例えば『スターク・インダストリー』という、CMでもよく見かける会社の求人――とはいっても社員ではなく郵便物の仕分けを担当する非正規従業員だが――だったり。
例えば、とある財務官僚が所有する豪邸でお手伝いさんを募集していたり。
職安で貰っておいた求人には、そんな募集の数々があった。
パート仕事、と聞くとスーパーのレジ打ちが思い浮かんでしまうしのぶにとっては、『世の中にはそんな求人もあったのか』と感心するようなものばかりだ。
しかし、こういったものは履歴書を書いて、面接を受けて、採用されてからも説明を受けて……と言った手順を踏むことが必要になる仕事で、今日明日始められるものではない(と、職安の相談員から教わった)。
それでは間に合わない。ずっと続けていく仕事も必要だが、その上で今すぐに欲しいのは、『定収入』よりも『臨時収入』――このクリスマスから年末までの間だけでも、家計に多少余裕を持たせるための小金が得られる、日雇いのアルバイトだ。
掲示板で見つけてきた求人は、そういう種類の仕事になる。
例えば、明日に開催されるアイドルライブの臨時スタッフだったり。
例えば、『ヴェルデ』というショッピングモールの近くで一斉販売する、クリスマスケーキの売り子の手伝いだったり。
例えば、冬木ハイアットホテルでクリスマス・イヴに興業する大道芸の手伝いだったり。
他にも心惹かれるもの、惹かれないものの優先順位はあるけれど、これが一番だという決め手にはどれも欠けている気がする。
むしろ、イヴ前日の駆け込み応募だというのに、選択肢がこれだけあるだけでも、収穫としては上々だというのは、なんとなく分かるけれど。
今日は午後いちばんで臨時アルバイトへの応募と、他にも『長期的な仕事』の方で下見ができるならば(祝日でも職場が営業しているようならば)覗きに出かけてみるつもりだった。
クリスマスイブの日中は、できれば見つけてきたアルバイトで一日働き、イヴの夜を豪勢にするための軍資金を作る。
そこまでスケジュールは決まっているのに、肝心のアルバイトをどれにするかで迷う。
冒険心とインスピレーションでこれだ!と感じるものを見つけて、さっさとお昼ごはんの支度を始めてしまうつもりだったのに――
そんな時だった。玄関のドアが開く、やや重たい音がした。
あら、さっき確かに内鍵を閉めたはずなのに、としのぶはとっさに記憶をたぐる。
「ただ今帰りました」
直後に、少女の声で帰宅の挨拶が聴こえてきて安心した。
いや、声音で判断しなくとも、もう一人の家人である息子は滅多に『いってきます』『ただいま』などと言わないから分かる。
まもなくして、緑色の冬用ワンピーススカートの上からダッフルコートを着こんだ少女が、キッチンへと姿を現した。
「おかえり、おうすちゃん。お昼にはまだ早いけど、どうしたの?」
「いえ、そのことなんです。実は私、本日は町のいろいろな所を探索しようと思ってまして。
それでお昼ごはんは探索中にいただくので要りませんと朝にお伝えしなければいけなかったのに、忘れていたものですから」
「それでわざわざ帰って来てくれたの? 公衆電話から電話一本でも良かったのに、律儀ねぇ」
「いえ、家事の真っ最中で出られないかもしれませんし、確実にお伝えしないとしのぶさんに迷惑がかかってしまうと思って」
この家にやってきた当初はしのぶを『マスター』などと堅苦しく呼んでいた彼女も、すっかり『しのぶさん』と呼ぶようになっている。
未だに遠慮が抜けきらないところはあるものの、常に川尻家の窮状を察してしのぶを立てた言動をしてくれるこの居候少女に、しのぶは決して悪感情を持っていなかった。
「それはいいんだけど、今日はいつにも増して慌ただしいのね。
封筒に書いてあった『依頼』ってどんなことをするの?」
まぁ座っていきなさいと示すために、立ち上がってテーブル向かいの椅子を引いた。
おうすは一礼してからスカートをならし、そこに座る。
本当に礼儀正しい少女だ。少なくとも十代の自分は、もう少し反抗期全開だったと思う。
「ひと言で言えば、『人探し』ですね。
できる限り早くに、手紙で指定された人物たちを見つけねばならないのですが。
手がかりが『ここ最近出没した場所と、そこで行った行動』ぐらいしかないもので、なかなか骨が折れそうです」
おうすの話を聞きながら、彼女がいないなら昼食は残ったご飯を使って炒飯でも作れば二人ぶんに足りるかな、と算段を立てる。そして相槌をうつ。
「それは確かに大変ねぇ。
まぁいいわ。せっかく帰ったんだし、今すぐ戻るわけじゃないんでしょう?
お茶淹れてあげるから、軽くクッキーでも食べて行きなさい」
「ありがとうございます。いただきます」
と、そこでおうすは改めて、卓上に残っていた求人広告を目にした。
「これは……お仕事の募集ですか?」
「ええ。パートをするつもりだって前にも話したじゃない?
あたし、今までにお仕事したことってなかったし、慣らしも兼ねて一日アルバイトから始めようかと思って。
でも、どれにするのか迷っちゃってねぇ……」
笑顔をつくりながら、棚を開けて茶葉を取り出し――紅茶を使い切ったことを思い出して、ティーバッグで悪いけど、と日本茶を用意した。
「しのぶさんは、どこか働きたい場所はあるのですか?」
湯呑と菓子皿をテーブルに置いて自身も腰かけると、対面のおうすがタイミングをうかがっていたように尋ねてきた。
「働いてみたい場所、かぁ……」
このアルバイトの中から選ぶならば、大体の順位付けまではできている。
けれど、おうすが聞きたいのは『どんな分野の仕事を希望するか』と言ったことだろう。
職安の相談員にも似たようなことは聞かれたけれど、『できればこれこれこういった条件がいいんですけど~』という形でしか話せなかった。
(逆に『息子さんがいらっしゃるそうですが、この先私立を受験するようなことは考えておられますか?』と聞き返された時は、正直早人の進学費用のことまで考えていなかったので、かなりドキリとした)
だからと言って、今さら『将来なりたいお仕事』なんてものがある歳でもなく……。
「正直、まだ自分が働いてるところが想像できないわねぇ。
私が学生だった頃は、女の子は学校を卒業したら結婚してお嫁さんになって終わり、が普通だったから、なりたい仕事とか無かったし」
「そうなのですか」
こんな素直な答え、付き合い初めて間もないご近所さんとのお喋りでは口に出せなかっただろう。
下手すると『きっと今まで夫に食べさせてもらってた優雅なご身分だから、こんな呑気なことが言えるんだわ』とか思われたりしかねない。
けれど、おうすが相手だと素直に喋れた。
彼女がまだ二十にも満たない少女だったこともあるけれど、『自分の服を着た、若く溌剌とした少女』という存在に、不思議な安心感があったのだ。
就職も恋愛も知らないまま結婚して『奥さん』になり、とうとう『社会人』と呼ばれる時代を経験しなかった。
そんなしのぶにとって、見た目十代後半の少女であるおうすは、川尻浩作に出会うまでの自分――青春時代の姿、と重ねてしまうものがあった。
大学時代、一方では就職活動をしていた川尻浩作も、こんな不安と焦燥を経験していたのだろうか。
そう思えばこそ、夫の不在がいっそう寂しく嘆かわしかった。
「……こんな時、『あの人』が帰って来てくれたら、『君にはこういう仕事が向いてるよ』って相談できたのに」
ぽつりとつぶやいた言葉に、おうすが目を丸くした。
あら、驚かせるようなことを言ったかしらと首を傾げ――そして、数秒遅れてはっと気付いた。
「やだ、あたしったら。そもそも『あの人』が帰って来てたら、あたしが仕事を探すことなんか無かったじゃない。
おうすちゃんもごめんなさいね、変なこと言って」
「いえ、変だなんてことは……」
重い言葉を聞いてしまった、と感じたのかおうすは口をつぐんだ。
気まずい沈黙が数秒、卓上に満ちる。
そして。
言おうか言うまいか迷った末に、という風なためらいを経て、彼女は口にした。
「しのぶさんは、ご主人の無事を、信じておられるのですか」
無事じゃないと考えるべきでしょう、という含みがこもらないようにしたのだろう。
『信じておられるのですか?』という疑問形ではなく、『信じておられるのですか』と確認するような響きがあった。
「信じたい、のもあるけど…………そうね」
緊張した面持ちのおうすと向き合っていると、この子にならあの人との思い出も話せるという気分になってきた。
「こんなこと言うと変に思うかもしれないけどね……わたし、あの人は不死身なんじゃないかって思ったことがあるのよ」
「不死身、ですか。それほど強い方という意味ですか?」
「強いというよりも……ああいう人をミステリアスって言うのかしらね。
一緒にいると日常が刺激的になって、こっちがドキドキするような危ない事もするのだけど、そういう危ないことをするのがサマになって。
もっと一緒に非日常を味わいたいって思ってしまうの。
……ごめん。上手く説明できなかったわね」
「いいえ……そういう気持ちは、分かります」
「あら。もしかして、おうすちゃんにも、好きな男の子とかいるの?」
興味が湧いて来て問いかけると、おうすは動揺したように言葉を濁した。
「いえ、それは…………はい。過去の話ですけれど」
「へぇー。どんな子だったの? それがおうすちゃんの初恋?」
「いえ、ですから過去の話で…………その、お仕事の話について、思ったのですけど!」
強引に話題を断ち切られた。
この子が、こんなに恥ずかしそうな顔をするのは珍しい。
「早人君に相談してみてはどうでしょう。明日のお仕事について」
「あの子にぃ?」
突拍子もなく、予想外の名前が出てきた。
あの、挨拶もろくにしない――以前よりもだいぶマシになったとはいえ――無口で、何を考えているか分からない子に、バイト先について相談しろと?
「小学生のあの子に仕事の話なんか分からないでしょ。
あの子、冬木に越してくる時も、不動産の仕事をするって言った時も、何も言わなかったもの。
引っ越し作業の時だっていつもの機械いじりばっかりしていたし」
ナイナイ、と手を振ってしのぶは否定する。
しかし、おうすはしごく真面目に言った。
「以前、早人君と一緒に町を歩いた時に、言っていましたよ。
『お母さんがどんな仕事をするのか気になるけど、下手なことを言ったらお母さんに重圧をかけそうで言えない』って」
「あの子が……?」
それは寝耳に水だった。
家にいても自室に籠ることが多く、一緒に食事をしていても決して口数が多くない――むしろ母であるしのぶよりもおうすと喋っていることの多い息子が、そこまで母のことを気遣っていたとは。
でも、しかし、おうすを相手に打ち明けたというのなら、まだ分かる。
早人は新しくできた『お姉さん』のような立場の居候にずいぶん気を許している風に見えたし、心の深いところを語るということは、あり得るかもしれない――さっきのしのぶも、話を聞いてもらったように。
「そんなことを言ったの……ふぅん。そんなことを、ねぇ……」
そう言えば、としのぶは思い出す。
浩作がいつまでも帰ってこなかったあの日の夜、息子は元気がなさそうにしていて、『ボクもパパが帰って来たら一緒に食べる』と、しのぶと共に父を待ち続けていた。
早人だって、家族の窮状に何も思わない、何も感じない子ではないのだ。
おうすが初めて家に来た時も、やけに順応してしのぶにあれこれ言い聞かせてきたように。
「早人君だって、お母さんを心配しています。きっと、どう話したらいいのか分からないだけだと思います」
「そうなのかしら…………心配して貰えるのは悪くない気持ちだけど。
そうね、試しにお昼の時に話してみようかしら、ダメ元で」
どのみち、もっと本格的なパートを始めるとなれば説明しなければならないことは増える。
親戚から紹介された仕事には、昼間は形ばかりとはいえ不動産の仕事もあることに気を使ったのか、夜勤を伴う勤めもあった。
仕事の職種によっては早人の夕食を作り置きで済ませることも多くなるかもしれないし、問題が起きないよう息子とのコミュニケーションを増やしたいところは確かにある。
川尻親子は、この冬木市でこれから先もずっと暮らしていくのだから。
「はい、早人君も、それを待っていると思います」
おうすは、本当にほっとしたような顔をした。
◆
さねさし 相武の小野に 燃ゆる火の 火中に立ちて 問ひし君はも
◆
幾分か明るい顔になったしのぶに見送られ、川尻家の門を出る。
『本当に出かけたのだ』という偽装のために、しばらくはそのまま商店街の方向へと歩く。
そして、人目が無いことを確認して霊体化。
すぐに元きた方向へと引き返し、川尻家へと戻った。
門戸をすり抜け、玄関を通過し、キッチンへとドアを開けず帰還。
そこではしのぶが、昼食を作り始めるべく冷蔵庫を開けている。
(今のところ問題なし……と言ったところでしょうか)
実のところ、おうすという少女――セイバーのサーヴァントは、朝から出かけてなどいなかった。
同じようにして朝から出かけたようにごまかし、ずっと川尻しのぶのそばで警戒にあたっていた。
それも実質的なマスターである、
川尻早人の指示によるものだ。
討伐令に書かれていた二組の主従――無差別に人を襲う『悪』がもたらした被害者の実態を正確に知ったことで、早人はより危機感を強くしていた。
その二組は、吉良吉影と同じように善良な人々を食い物にして楽しむ犯罪者たちだ――いや、被害規模だけで見れば、おそらく隠れてこっそり人を殺していた吉良よりも危険性は高いと言える。
そして、ニュースで見た『窃盗事件』などから察するに、討伐令を下されるほど目立った被害を出していないだけで、市民へと被害を出している者はきっと他にもいるはずだ。
そういった者に聖杯を渡せないのはもちろんのこと、早人にとっての懸念はしのぶがそういう事件に巻き込まれないことにあった。
彼等は、聖杯戦争に関係ない人々だろうと襲っている――つまり、川尻しのぶが本来のマスターだとバレようがバレまいが関係なく、襲われる可能性は常にあるのだ。
そして、もう一つ懸念がある。
いくらしのぶが鈍くて聖杯戦争に無関心だろうと、これだけいろいろな事件が越してきたばかりの町で立て続けに起これば、不審や危機感を抱くのではないかということだ。
そうなると、万が一にも『この町が次々と事件の起こる奇妙な町だということ』と『この町で開かれている聖杯戦争とかいうイベント』の二つを、結び付けてしまうかもしれない。
なんせ、はっきり『戦争』というぶっそうな単語がくっついているのだ。
『おうすちゃんは本当に戦争をしているのではないか?』という考えにいきついたら、しのぶが介入してくることは避けられない。
だから、ご近所に今のところ怪しい『影』が無いかを確認するのも兼ねて、ママが何か感づいた様子がないかを探ってほしい。
それが午前のうちに与えられた、セイバーへの仕事だった。
早人が仕掛けたカメラによって家にいる間の様子は後から確認できるけれど、しのぶが何を思っているのか、そして家の外を出たらどんな行動範囲を持っているかまでは一緒にいなければ分からない。
結果として、しのぶは毎日の生活――特に家計のことと家事のこと――に精いっぱいであり事件どころではなく、早人の懸念が杞憂であることは証明された。
ちなみに、しのぶが出かける前の化粧で自室にいる間に、こっそり霊体化を解いて消音でテレビを付け、続報のテロップから『テレビ局で襲撃事件が起こった』ことまでは把握している。
銀行への道中で使い魔の気配を感じたけれど(何せ、生前から白いイノシシを初めとして霊的な存在に出くわした経験はそれなりにあった)、向こうがこちらに気付いてる様子もなかったし、アクションを起こすとしのぶに気付かれかねなかったので、『街を徘徊して偵察する使い魔がいる』と認識するだけにとどめた。
そして、口実をつくって帰宅した振りをして、『仕事をするなら早人君に相談してはどうか』と提案した。
さらに、事前に『お昼ごはんは要らない』と遠慮しておくことで、居候である自分がいては話しにくいような仕事のことも話せる状況を作った。
これならば、しのぶの明日の行き先を早人が事前に把握しておくことができるし、仮に事件が起こったばかりの危険そうな場所に向かうようであれば、阻止するよう誘導もできる。
そしてそれ以前に、しのぶと早人が親子として、より健全な関係を築くためにも良いことのはずだ。
父に疎まれて都から追い払われたセイバーと違って、川尻親子は不器用なりに、いつでも帰れる家庭を作っている。
老婆心ながら、その二人の遣り取りが円滑になされることは悪いものでないはずだ。
(実務的な報告は、昼食の後にした方が良さそうですね……)
早人の方でもおそらく、子ども達の噂などを通しての情報収集に励んでいる頃だろう。
親子の会話をした後は、改めて情報を精査しなければならない。
セイバーと早人の主従にとって、他の主従に繋がる情報は多ければ多いほど欲しい。
聖杯戦争における情報の重要性は今さら語るまでもないけれど、早人達にとってはもっと深刻な事情がある。
明確に『叶えたい願いがある』であろう他の主従と違って、『最悪を阻止することが第一である』早人の主従には、最終的に三つの選択肢が存在するのだ。
『しのぶの願いを叶えない』ことと『悪人の手に聖杯が渡ることを阻止する』の二つを達成すればいいというのなら、取り得る道は一つではないのだ。
一つ目は、令呪を全て使い切り、サーヴァント――つまりセイバーである
小碓媛命――との契約を失って、聖杯戦争から自ら脱落するという選択肢だ。
早人はセイバーの願いをできれば叶えたいと思ってくれているので、セイバーを令呪で自害させるのではなく、例えば『サーヴァントを失った善良なマスターと再契約させる』といった方向で考えることにはなるだろうが。
ともかく規則上は『サーヴァントを失ってもマスターは死なない』し、『サーヴァントも令呪も喪ったマスターには参加資格が無くなる』のだから、聖杯戦争から敗退すればしのぶの願いはかなわなくなる。
しのぶは願いが叶わなければ落胆するだろうが、『全力で頑張ったけど負けました』という風に誤魔化せば、わざと敗北したことは悟られないだろう。
しかし、今すぐにそれは選べない。
早人もセイバーも、冬木市を脅かす悪党の脅威を改めて認識したばかりなのだ。
そして川尻親子は、聖杯戦争をするために冬木市へと越してきたわけではない。
生活上のやむを得ない事情から引っ越してきただけで、聖杯戦争を辞めても冬木市で暮らしていかなければならない立場なのだ。
今セイバーを失ってしまえば、町を脅かす連中に対抗する術がなくなってしまう。
そして、聖杯戦争を辞めてしまえば全てが解決するという保証もない――というのが、早人の口にした考えだった。
聖杯戦争は、突き詰めれば『殺し合い』だ。
お互いに命を懸けた戦いをすると了承した者が多くいる時点で、日本の法で裁ける『殺人事件』と同列に考えることはできないけれど、(少なくともセイバーが生きていた時代では、正々堂々と決闘することと無辜の民を殺すことは同じではなかった)それでも戦争の運営者は『人殺し』をさせようとしている。
少なくとも皆がみんな『人殺しにはなりたくないからマスターは殺さずにサーヴァントだけを倒して勝ち残ろう』と考えるとは思えない。
そんな『人殺し』の当事者になったけれど、手を引いた者――言うなれば『殺人の目撃者』がどうなってしまうのか、早人はよく知っていると、そう証言した。
『口封じに、殺される』のだ。
『聖杯戦争』の運営は一般人に秘密がばれないよう徹底しているらしいので、さすがに命を狙ってくるような真似はしないかもしれないが、それでも完全に信用はできない。
『一度聖杯戦争から脱落したマスターは狙われない』という確信が得られないかぎりは――そして、早人ひとりが戦いを辞めても町は安心だと、後を託せるような人物でも見つからない限りは――第一の選択肢は選べない。
二つ目は、聖杯を悪用しないような善人を優勝させて、聖杯戦争を終わらせるという落としどころだ。
その場合、セイバーの願いが叶わなくなるという問題は持ち上がってくるけれど、『まず悪党が聖杯を手に入れてしまわないようにする方が優先だ』という点ではセイバーも早人に同意している。
そして早人の望みをそのまま受け取るならば、『聖杯を悪用しないし町に余計な被害を出さないようなマスターならば、聖杯を獲得することに異論はない』ことになる。
そういうマスターならば、いずれ同盟を結ぶことができるかもしれないし、そこで早人が『この人の願いを叶えてあげたいな』とでも思ったりすれば、その先も協調して聖杯戦争を乗り越えるという道が開ける。
しかし、この方法にも問題がある。
それは、三つ目の選択肢にも共通する問題だ。
三つ目は、聖杯戦争そのものを中止させる――戦争を裁定する側に戦いをしかけるという無謀な道だ。
やはりこの方法でも、セイバーの願いが叶う見込みは限りなく低くなる。
それ以前に、具体的な手段がそれまでの二つに比べてずっと漠然としているし、『聖杯戦争を続ければ僕の家や町にも被害が出るし、悪人が願いを叶えてしまうかもしれないから聖杯戦争を辞めよう』というのは、他の主従からすれば論外ということにもなる。
二つ目と違って、多くの主従を敵に回すリスクを背負わなければならない。
そして、これは二つ目の選択肢とも共通する問題でもあるが。
川尻早人は、二人以上のマスターから『聖杯が要らないなら、自分にこそ譲ってくれたっていいじゃないか。自分は切実な願いを持っているんだ』と迫られた時に、どちらかを選ぶか、あるいは二人ともを拒絶しなければならないのだ。
たとえ悪人では無かったとしても、セイバーのように極めて個人的な事情(たとえば癒えることのない病に侵されており、聖杯に願わなければ先が無いような)で、他のマスターを倒そうとする者はいるだろう。
そんなマスターと『悪いマスターでは無いから』と一時は同盟を組むことになったとして。
そのマスターが、川尻親子ほど複雑な事情はなくとも『聖杯戦争を中止させたい』『聖杯戦争を辞退したい』というスタンスのマスターを殺そうとした時。
早人は、持ち前の正義感とやさしさから、襲われるマスターを見捨てられないかもしれない。
下手に動いてしまえば、一度でも同盟を組んだマスターに対して、『貴方達の願いを叶えたかったけれど、やっぱり聖杯戦争を中止させる側に回ります』と掌を返さなければならなくなる。
あの聡明で勇敢な――しかし、まだ幼い少年に、果たして『悪人ではないマスター』を切り捨てる選択ができるのか。
今はまだ『討伐令をだされた主従を倒すまでは争わないようにしよう』といった落としどころを見つけたり、争いを回避する方便はいくらでもある。
けれども、聖杯戦争をなるべく生き残り、事件の解決まで見届けようとするならば、いずれはこの三つのどれか、あるいはどれでもない裏技のような道を選ばなければならなくなる。
だから、立ち回りは慎重にしなければならない。
だからこそ、立ち回るための情報は少しでも多く欲しい。
『最悪の結果』さえ避ければいいからこそ、最終到達地の難度が上がる。
『自分が聖杯を手に入れなくてもいい』からこそ、『聖杯を誰に託すべきか』を選ばなければならない。
他のマスター達との関係で両天秤になり得るからこそ、情報はできる限り精査したいのだ。
他のマスターのことを調べて、誰と手を組めばいいのかを判断して、この聖杯戦争をどう終わらせるべきなのか決めるために。
(実際、誰かと同盟を結べるならばずいぶんと楽になることは確かなのですけどね――)
するり、と身体を通り抜けられた。
あ、という間抜けな声を、念話で漏らしそうになった。
どうやら、考え事に没入するあまり、川尻しのぶが霊体化した己に接近したことさえ気付かなかったらしい。
いけません、と自省する。
鼻歌を歌いながら食器棚を開けるしのぶの平和さに、少し安心する。
きっと夫の帰還を諦めていないからこその明るさなのだろう、と感傷を覚える。
さっきしのぶから『愛する夫の話』を聞いたばかりだというのに。
すぐに、こうして『しのぶの願いを叶えない前提』で考え事をしている己のことが、少し、寂しかった。
自虐はしない。いつだって、そうすべきだと割り切って、時には卑怯な手段で大和を平定してきたから。
ただ、ほんの少しだけ、そんな自分を寂しいもののように感じた。
――おうすちゃんにも、好きな男の子とかいるの?
妃として選ばれた少女達ならば、たくさんいた。
公的には『男性』として振る舞っていたために、宮簀媛にいたっては『小碓の方から熱烈に求婚した』という評判までたてられたほどだ。
彼女たちとの仲も決して険悪では無かったけれど、『伴侶(異性)』として恋をした存在ならば、ただ1人に絞られる。
その少年は、少女のように細面で瘦せており、小碓とあまり体格が変わらなかった。
顔だちも『少年のような顔だちの少女』である小碓との面影があった。
人前では似ていることをごまかす為にかなりの化粧をし、飾り物を多くちりばめた衣服や櫛で着飾っていた。
しかし本当はそういう飾り物や人工物が好きではないらしく、人のいないところでは化粧が落ちて衣服が濡れるのも構わずに川遊びをしたりしていた。
口数も少なく、気づけば遠くの景色を見て何を考えているか分からないような顔をしている奴だった。
そして、『ヤマトタケルノミコト』の東征に同行したのだ。
なぜ、何人もいた妃のなかで、その人だけがヤマトタケルの遠征に同行したのか。
――それも、御輿に担がれたり、多くの随伴に囲まれたりするような物見遊山などとは縁遠い、わずかな手勢のみを連れた危険きわまりない道中に同行したのか。
それは、彼女(彼)が小碓媛命の影武者に他ならなかったからだ。
そうであるように小碓の近臣によって見いだされ、本人の意思など関係なく同行を命じられた、偽装の夫婦だったからだ。
背格好や顔だちが似ていることも大きな理由だったし、男なのだから遺体を敵の手勢に回収されても『ヤマトタケルノミコト』が女子だと露見することはない。
だから、別に愛されてなどいないだろうと思っていた。
お役目だからと危険な旅に同行する羽目になり、選択肢もなく『妻』として不要になるまでは使われるのだから。
それなのに。
そいつ――弟橘媛という名前を与えられた彼は、最期の時に言った。
『さねさし 相武の小野に 燃ゆる火の 火中に立ちて 問ひし君はも』
「相武の野に燃え立つ火の中で、わたしの心配をしてくださったあなた」と、それだけの意味だった。
確かに、心配した。
世にいう『焼津の返し火』を成し遂げる直前、火の手に囲まれた場所に閉じ込められた時に、アイツは謝った。
「こんな場所では、貴女の身代わりになる役目を果たせない。申し訳ない」と謝罪をした。
そんなことを考える暇があるなら、二人ともが助かる方法を考えろと、本気で□った。
その心配が、うれしかったと、そういう辞世の歌を残した。
『用意された伴侶だから案じる態度を見せた』のではなく、心から身を案じてくれたことが、何よりもうれしかったのだと、そう伝えるための歌を詠んだ。
そして、嵐の海に身を投げ出す直前に、こうささやいた。
『生きてヤマトにお帰りくださいませ』と。
『ヤマト政権の為に東征を成功させてください』ではないく、『故郷に生きて戻ってください』と。
影武者として皇子の身代わりになる為に死ぬのではなく、一人の少女に生きて故郷へと帰り着く幸せを与える為に、その人は死んだ。
そして。
だから。
聖杯に願って、彼を取り戻すという選択肢は選ばない。
黄泉に落ちた者を無理に取り戻そうとすればどうなるのかは伊耶那岐命と伊耶那美命の時代から証明されているし、それに。
そんなことをしてしまえば、『小碓の為に命を投げ出した』という彼の行動そのものを否定してしまう。
彼にとっても、ヤマトの国は生まれ故郷だった。
そして二人はが出会ったのも、その故郷だった。
だから小碓は、彼の分まで帰り着いて、愛する故郷で彼の御霊を弔いたかった。
それに。
召喚された後で、『彼を取り戻すことを願わない理由』が、もう一つ増えた。
セイバーは、川尻しのぶの恋路を決して叶えまいとしているのだ。
より大きな善のためとはいえ、そしてしのぶを守るためでもあるとはいえ、恋しい人に帰って来てほしいという純粋な願いを断ち切ることに同意したのだ。
彼女の気持ちを知っているのに。
共感もしているのに。
理解した上で潰そうとしている。
だというのに、己の恋人だけは我欲によって取り戻そうとするような二重規範(ダブルスタンダード)を持つことはできない。
ヤマトタケルノミコトは数々の卑怯な手段を用いて豪族を討伐してきたが。
そんな『卑怯』だけは、小碓という少女に犯せるはずがなかった。
【深山町 住宅街(川尻邸)/1日目 午前】
【川尻しのぶ@ジョジョの奇妙な冒険 第四部】
[状態]健康
[令呪]残り二画(表示されていない)
[装備]求人情報
[道具]なし
[所持金]向こう数日の生活費
[思考・状況]
基本行動方針:願いが叶えばいいなぁと思っているけれど、かなり話半分
1.昼食を食べつつ早人にアルバイトのことを相談、午後一番で応募し、明日のクリスマスイヴに備える
2:ちゃんとしたパートも見つけたい。余裕があれば、職安で紹介された職場を偵察しに行ってみる
[備考]
令呪を1画使用しています。
早人へのマスター権の譲渡に伴い、令呪は見えなくなり、使えなくなっています。
サーヴァント召喚時に起こった何らかのトラブルにより、マスターに与えられるはずの知識がありません。
聖杯戦争についてセイバーから断片的な説明を受けていますが、正確には把握しきれていません。
どうやら何かゲームで争うらしい、勝てば願いが叶うらしい、家に間借りする必要があるらしい、程度の理解です。
【セイバー(小碓媛命)@古事記・日本書紀等】
[状態]健康、偽臣の書によりステータス低下
[令呪]
[装備] 天叢雲剣(くさなぎのつるぎ)、袋に秘せられし燧石(やいづのかえしび)
[道具]普段着(しのぶから拝借)
[思考・状況]
基本行動方針:仮のマスターである川尻早人に従う
1.川尻家の昼食を見守った後、念話でしのぶの身辺を観察していた成果を報告する。
2.情報収集と探索を続ける。立ち回りが重要となってくるので、早人君にも覚悟のほどを確認しておきたい。
[備考]
※『テレビ局が何者かの襲撃を受けたらしい』と知りました
※キャスター(
パトリキウス)が放った妖精のうち、一匹(ケットシー)を察知しました
時系列順
投下順
最終更新:2017年05月27日 16:20