近場で紅葉の姿を見た時に、長兵衛が抱いたイメージは、『人の姿だけを真似た怪物』、であった。
男が女性の事を魅力的だと思う対外・肉体的な要素の全てを内包した女性だ。身体つきから美貌まで、町娘のそれを隔絶している。
初めて見た時は、大名共の正室や継室の類かと本気で思った程である。
――だが、違う。何気なく会話出来る距離まで近づいて、初めて知った。
目の前の女は、美女の肉と皮を纏った魔物である。人の言葉と知能を得た、餓えた虎である。
大男が逞しい筋肉を身に着け、凶悪な剣を構えた姿、と言う解りやすい姿の方がまだ可愛げがあった。鶏すらも解体出来そうにない女性が、そんな性情の持ち主であると言うのだから、寒気を憶えぬ訳がない。
一方、紅葉から見た長兵衛のイメージは、何処にでもいる町娘だった。
生前は華の都である京と、田舎も田舎である鬼無里の村で人生の多くを過ごして来た彼女は、煌びやかな貴族の女や、野暮な格好の村娘など随分と見て来た。
長兵衛は、後者の方である。当世風の服装をバッチリと決めている上に、元の顔立ちも中々如何して、涼しげで無駄なく整っている。
肌を露出すれば、男が放っておくまい。一見すれば高いレベルを維持していると言う風に見える。村娘と言うには、長兵衛と言う女は洒落ていた。
だが、逆に言えばその程度なのだ。優れた顔付き、溌剌とした雰囲気。その程度の人物が、サーヴァントとして呼ばれ得るものなのか?
自分が本気で殴れば、身体が粉々に砕けてしまいそうな程、何処にでもいるか弱い民衆。それが、紅葉が長兵衛と言うランサーに対して抱いた感想である。
「あまりにも無防備、って奴じゃないか? 姐さん。誰も出歩く奴がいないとはいえ、アンタみたいな美人が街中で一糸纏わぬ姿ってのはさ」
「見られて恥じいる身体じゃねーので、要らぬ気遣い、って奴ですわ」
そう言う問題じゃねーだろと長兵衛は内心で突っ込む。と言うかこの女、寒くないのか。
「それより、私に何か用でもありやがるんですか?」
「サーヴァントが一人でいるってのに、無視する訳には行かないでしょ。知らない訳じゃないでしょ? 聖杯戦争始ってるし、瓦版、そっちにも届いてるだろ? お尋ね者の件もある」
「あら、心配で此方に来てくれた、と?」
「まぁね」
平気な顔で、長兵衛は嘘を吐いた。油断させて相手を葬る事が肝要な彼女が、初手で喧嘩を売ると言う馬鹿な真似をする筈がない。
とは言え、まだ相手は警戒を解いていない。それもそうである。如何に長兵衛が優れた対話能力を持っているとは言え、見ず知らずのサーヴァントから信頼される筈がない。ある程度、迂遠な会話を経る必要があるのは、自明の理だ。
「三人寄れば何とやらと言うだろ、姐さん。ある程度まで一緒に行動した方が、お互いに生き残れるってもの。どうだい。一緒に――」
「無用なお世話、と言う物ですわね」
そう言って紅葉は、脇に置いてあった、紅葉(もみじ)の紋様が特徴的な改造和服に手を伸ばし、それを器用に身に着けて行く。
先程の戦いで血を吸った和服は、この公園の水飲み場で今度は水を吸わせ、雑巾を絞る要領で血を落とす、と言う力技で洗ったせいか。
所々にシワがつき、よれよれで、見てくれが大層悪くなっていた。そんな物を着ていても、紅葉の美貌は艶やかなままと言うのだから、美人と言う人種は得だった。
「私としては、貴女が首を私に捧げに来たのかと、殊勝に思っていたのですが」
「首は流石にやれないね、大事な用事の為に必要なんだ」
「別に私だって、お前の小汚い首は要りませんわよ。ただ聖杯って、貴女の首を落とさないと、現れないのでしょう?」
――成程、こう言う手合いだったか、と。長兵衛は此処に来た事は失敗だったなと再認する。
長兵衛の持つ諜報スキルは、敵対者だと人に思わせなくさせるものである。長兵衛自身が抱く敵意を相手から隠し通す、一枚のヴェールのようなもの。
換言すれば、『印象についての気配遮断』と言うべきものだ。此方から余程迂闊な行動に出ない限り、向こう側は、此方の事を先ず敵以外の軸のサーヴァント。
中立的、或いは自軍の側のサーヴァントだと錯覚させてしまう、使い方次第で化けるスキルとなる。
但し、このスキルは絶対ではない。通用しない手合いと言う者も、また存在する。
その最たるものが、そもそも誰彼構わず殺そうとする手合いか、目に見えるもの全てを敵と見做す異常者……つまりは、『バーサーカー』だ。
狂化の度合いが強いサーヴァントは、そもそも中庸や味方の区別がつかない為、諜報がまるで意味を成さないのである。
そして、バーサーカーでなくとも、初めからサーヴァント全てを取るに足らない敵として蹂躙する様な者にも、諜報は意味を成さない。
初めから、此方に対して肥大化した敵意を抱いている者。そんなサーヴァントに対して、諜報は通用しなくなるのである。
紅葉は、その敵意を抱いている側の者であった。
しかもその上、長兵衛の事を相手をするのも面倒で、殺した方が早い格下のサーヴァントであると認識しているのが、見て取れる程の態度。
長兵衛はそう言う人物が苦手だった。百姓が嫌悪して止まない、偉ぶる士族共を連想させるからだ。
生来の性格と言う事もあるだろうが、紅葉が何故、此処まで自分を警戒するのかが、長兵衛は理解出来ていない。
ケットシーを追う事に集中するあまりに、長兵衛は気付いていなかったが、彼女と菜々は紅葉の展開した、鬼道を応用した巧妙な人払いの結界を潜り抜けて、
今この場所にいるのである。余程勘の鋭いサーヴァントでなければ気付かれないような物を張った筈なのに、こうして簡単に侵入してくる。
そう紅葉は、『長兵衛がただケットシーを追っていたらこの公園に偶然やって来てしまった手合い』だと気付いてないのだ。
意図してこの結界に気付き、此処へとやって来たサーヴァント。紅葉は長兵衛の事をそう思い込んでいた。
そう考えた場合、長兵衛が信頼出来ないのは当たり前の事だった。此方の敷いた地雷原を突破して来て、「自分は味方である」と言った所で誰が信じると言うのか。
これが、紅葉が警戒を解かない訳であり、諜報スキルによる印象の気配遮断の効き目が、長兵衛が予想したよりも薄い事の理由であった。
「……困ったね~」
バツが悪そうに目を伏せ、後頭部を掻きながら、長兵衛が口にする。
「どうしても欲しかったりする? 姐御」
「えぇ」
「本当に?」
「ほん――」
「やるかよ馬鹿」
紅葉が全てを言い切る前に、長兵衛が動いた。
目にも留まらぬ速さで、右手を動かし、己の着ている黒ドレスの左袖に手を持って行き、これまた迅速な速度で、今まで其処に隠し持っていた物を取り出した。
長兵衛の宝具とは、手にした棒状の武器(ポール・ウェポン)を、天下人にまで王手をかけた光秀を生前討ち取った、
あの竹槍として定義させる、三次元空間上に物質的な形を伴わない、言ってしまえばエピソードに由来する宝具である。
落ち武者狩りを行う人物にとって竹槍は最もポピュラーな武器であり、百姓を代表する武装の一つ。長兵衛は、百姓の象徴としての竹槍を、投影する事が可能である。
だが、投影している時間に攻撃を叩き込まれ、消滅してしまっては元も子もない。其処で長兵衛は常にその身体に、何時でも己の宝具で竹槍に変じさせる事の出来る、棒状のアイテムを緊急用にと忍ばせていたのだ。
モップや物干し竿では長すぎて携帯に向かない。
かと言って菜箸や楊枝では棒状の武器の要件である『長さ』が足りない。しかし長兵衛は、既にその物品を聖杯戦争の開催前に既に見つけていたのである。
長兵衛が目を付けたのは、適度な長さがあるだけでなく、状況に応じて伸縮可能で、何よりも店で安く――菜々曰く100円ショップと言うらしい――手に入るもの。
そんな都合の良い物こそが、今長兵衛が手に握っている――園芸用の支柱であった。一番短い物で三十cm程だが、伸ばせば百cm程に達するそれは、服の何処かに忍ばせるにはうってつけの代物だった。
長兵衛の右手が、伸びきった支柱を握ったその瞬間、支柱全体に若竹色の亀裂のような物が生じ始める。
それだけではなく、支柱の先端部分に、苔色の淡く光るキノコの笠のような物が展開され始めた。――否、それは笠と言うよりは寧ろ、『槍の穂先』に似た鋭さを持っているではないか。これこそが、長兵衛の宝具が展開された、何よりの証だった。
元が園芸用の支柱なだけあって、得物は驚く程軽い。それ故、疾風の如き俊敏さで長兵衛は移動する事が出来、一瞬で槍が紅葉の身体を貫ける間合いにまでいた。
戦国の塵埃を潜り抜けて来た武将を葬った凶槍が、紅葉の細い喉を穿たんと迫る。目を見開かせた紅葉は、バッと、首を左の方向に傾ける事で、危なげに回避。
――完全な回避とは行かなかった。透明感すら感じられる彼女の白い肌は、槍の穂先が掠った影響で斬られてしまい、其処から紅い血が処女の破瓜の如く、つつと流れ出て行く。
「――てめぇ」
恫喝するかのような、怒気を孕んだ低い声で紅葉が言った。
流石に鬼の身体能力である。殆ど完璧に近いタイミングで放った、長兵衛の不意打ちを寸での所で避けてしまった。
双眸に怒りの炎を灯した紅葉は、乱雑に振るった左腕で、長兵衛の握る支柱を打擲。手の甲が当たった所から、プラスチック製の支柱が裂けて砕けた。
元が原価百円以下のプラスチックの棒である、鬼の膂力に耐え切れる筈がない。そして、砕かれた支柱から伝わる、紅葉の筋力の凄まじさを今長兵衛は知った。
人間のそれを完全に超越していた。厳しい鍛錬を終えた武士が十人束になって掛かって来た所で、紅葉の膂力には叶うべくもないだろう。一発殴られるだけで、死を覚悟せねばならないレベルだった。
持っていた支柱を捨て、後ろに長兵衛が数m程飛び退くや、直に竹槍を投影。
片手で持てる程度の長さと幹の太さに調整しておき、それを左手で握った。
竹槍ではない棒状の武器を握った時とは違い、本物のそれを握ると、また形態が違って発動するらしい。
緑色の亀裂のような物が竹槍全体に刻まれ始め、穂先に類する先端の削って尖らせた部分が、エメラルド色に輝き始めた。
そしてこれを、槍投げの要領で、紅葉目掛けて投擲。英霊になった身空とは言え、戦場で槍働きをしていた男達に比べれば精度も速度も全く劣るが、それで良い。
このサーヴァントは強い。少なくとも、策なしで真正面から戦って勝てる手合いではない。よって、長兵衛が選択した行動は、『逃げ』だ。この槍投げは、逃げる為の時間稼ぎだ。
槍がじきに紅葉に当たる、と言う距離になって、突如、紅葉の前面に白い壁のような物が地面から立ちはだかった。
それは、雪だった。紅葉の鬼道によって操られて形になった、雪の塀である。彼女の身長程もある雪塀と、竹槍が衝突する。
一〇cm程槍が突き刺さった所で、竹槍は勢いを完全に殺された。長兵衛の握る竹槍は、Cランクの攻撃宝具に等しい。ただの雪や石の壁程度、容易く貫ける。
貫けてなくて、当たり前だ。竹槍を防いでいるこの雪塀は、紅葉の鬼道の影響で巌の如き耐久力を得ているのだから。
これを見て長兵衛は、臆したりはしない。猶更、相手にするのは時間の無駄と言う確信を得るだけだ。
あの雪の高さでは、自分の産み出した雪塀で紅葉自身も視界を防がれて此方の姿が見えない筈だと長兵衛は確信。そのまま背を向け、一目散に遁走しようとした――その時だった。
走り始めて七m程と言う地点で、ガクリ、と膝から力が抜ける感覚を長兵衛は憶えた。操り人形を操る糸が切られたように、彼女は膝から雪の上に頽れた。
何時間もの労働の後の虚脱感にも似た不快感が、長兵衛の身体を襲っている。そしてそれだけではなく、耳鳴りにも似た不快な高音が、鼓膜に響き脳を揺らしている。余りにも、不愉快な感覚だった。
「か……っ!? なん、だこれ……!?」
肺に残った僅かな空気で何とか紡いだ、絞り出すようなか細い声だった。
己の身体に起った異変に長兵衛が戸惑う中、紅葉が動いた。己の産み出した雪塀を、蹴りの一発で粉々に粉砕。
三日月状に口の端を裂いた様な笑みを浮かべ、竹槍を杖代わりに立ち上がろうとする長兵衛を見下ろしていた。
「何、しやがった、色狂いッ」
「樹木を門とす木霊(こだま)の霊。岩木を家とす魑魅(すだま)の精。八十瀬を宿とす魍魎(もうりょう)の魂魄」
そう言いながら紅葉は、足元の雪を右人差し指で指して見せた。
「森羅万象は一つの命であり、そこには霊が宿り、精を息吹かせる。木に、石に、水に、鉄に、銅に、空に。それぞれ霊が住み、各々の家にしていると言いますわ」
其処で紅葉は肩を竦めて見せた。
「ま、私はぜーんぜん理屈も道理も理解してないんですけどね。そう言う小難しい理屈捏ねて術を成すのは、陰陽師や祈祷師や坊主共の仕事。私は天才って奴ですから、感覚で何でも出来ちゃうんですのよね」
「何しやがった、って、言ってんだよ!!」
「人に質問する時は下手に出るもんだって、パパから教わらなかったのか未通女(おぼこ)がよ」
紅葉の声音が途端に、ヤクザ者のように低く、威圧的で、脅すようなそれへと変わった。そして、言葉の乱雑さも、先程の比ではなくなった。
「そのザマでよくもまぁ、強気を保ってられるもんだな。私がその気になれば、プチッ、と潰せてしまえますのに」
言外にはしていないが、紅葉の答えは、答えるつもりはない、と言う物であるらしい。敵にそう簡単に手品のタネを教える程、馬鹿ではなかったと言う事か。
紅葉の行った事は単純である。
彼女程の鬼道の持ち主ならば造作もない事であるし、普段精霊や霊的存在に鬼道で無茶振りばかりする彼女にしては、まだ霊達にとって常識的で簡単な命令。
大地に眠る霊を強制的に目覚めさせ、狂わせたのである。宛ら、『精霊の狂騒』とでも言うべきか。これを鬼道によって引き起こさせた。
狂った地霊の宿る大地の上に立てば、どうなるか。足から精霊の空騒ぎの影響が全身へと伝わり、今も長兵衛が味わっているような耳鳴り――これが精霊の声だ――で、
じきに精神に亀裂が入り、やがては心が砕けて発狂する。頑強なメンタルを持ち、精神攻撃が効かなくとも、今度は武器を振う事や足を使っての移動が出来なくなる。
これが第二の効果だ。英霊に列せられる程のサーヴァントであろうとも、筋力と敏捷のステータスダウンは避けられない。
人は如何しても、大地に立脚して戦わねばならぬ生物だ。地に足を付けている限り、モロにこの疑似的な精霊の狂騒の影響を受ける。
生前は自分の討伐の為に京が遣わした千人にも達する程の数の兵士を、この狂騒を以って足並みを崩させ、一人残らずその精神を破壊させていた。その効果は、冬木の聖杯戦争でも十分過ぎる程有効らしい。
何とか立ち上がり、竹槍を構える長兵衛。
口角を吊り上げた笑みを浮かべ、此方に近付いてくる紅葉。彼我の距離が、四mにまで縮まった時、長兵衛が動く。
一歩踏み込み、現状での渾身の力で、紅葉の胸部を穿たんと突きを放った。
「おっせぇ」
槍が皮膚に刺さるまで後数mmと言う所で、万力にでも挟まれたかのように竹槍は動かなくなり、長兵衛はつんのめった。
紅葉が寸前で竹槍を握り締め、攻撃を停止させたのである。先程首の皮を紅葉が裂かれたのは、不意打ちだったからである。
敵意を以って攻撃してくると既に相手に知られているのであれば、長兵衛の攻撃はいとも簡単に防がれてしまうのだ。
「まるで油の切れたロボットみたいですわ。貴女、本当に槍を満足に振るった事がありますの?」
竹槍を握る右腕に力を込める。ミシ、と嫌な音が竹の方から聞こえて来たのもつかの間。
中頃から竹槍は縦方向に湾曲し始め、やがて靱性の限界を迎え、メキメキと湾曲の頂点部分から裂けて、圧し折れてしまった。
竹のささくれが宙を未だ舞っている、そのタイミングで、長兵衛が動く。元より竹槍の強度などたかが知れている。破壊される事など、織り込み済み。
長兵衛の握る、圧し折られて無惨なささくれを晒す竹槍、そのささくれ部分がひとりでに、綺麗にカッティングされた。
水平にではなく、斜めに。そして、尖る様に。それは、竹槍だった。破壊されたとしても、十分な長ささえあれば、破壊した傍から竹槍として作り直す事が出来る。
これで不意を討てる。そう思い長兵衛は再び、紅葉の方に刺突を放つ。――が、魔王の因子を継ぐ女は、長兵衛の方へとステップを刻み、急接近。
見事に槍の軌道を避けて、二十cm程の所まで接近してしまう。息が掛かり、身体の匂いすら嗅ぐ事も容易な距離。長兵衛の目が、見開かれる。
「だから遅いんですって」
だが、敏捷が低下した状態の今の長兵衛では、人外の反射神経を持った紅葉の不意を討つ事は叶わない。
これだけ近付かれては、槍の技は大幅に制限される。接近して来た相手に対処出来るよう、石突を用いた技もなくはないが、石突を持たない竹槍では構造上その技は不可能。
この状況、これだけ接近して来た紅葉に対処出来る技は、長兵衛には無かった。
ガッと紅葉は、長兵衛のドレスの襟を両手で掴み、グッと持ち上げた全く抵抗が出来ない。
腰に力を込めて持ち上げられまいと抵抗はしたが、自分に重力が掛かっていないかのように、簡単に持ち上げられてしまった。
「アハハ!! 軽い軽ーい!! まるで赤子を持ち上げてるようですわ!!」
「そりゃどうも、オタクと違って胸に余分で邪魔なモンがない身体でね!!」
悪態を吐く程度の余裕を演出して見せるが、誰の目から見ても、そして真実、長兵衛には余裕がない。無論、紅葉がそれに気付いている事は言うまでもない。
今の不様な状態から長兵衛は、紅葉の鳩尾に蹴りを入れようとする。そして紅葉は、避けない。いや、避ける必要がなかった。
靴の爪先が、紅葉の胴体に直撃する。長兵衛の右脚全体に最初に走ったのは、痺れだった。そしてすぐに、蹴った自分の方がダメージを負った、と感じる程の痛みを感じた。
硬い、とかそんな次元の問題ではない。岩を蹴ってしまったのかと、長兵衛は一瞬錯覚してしまった。それ程までに、紅葉の身体は頑強だった。
「ちょっとした術で、私の身体を硬くしてみましたの。いつもは、褥での抱き心地は良いと男には評判の身体でしてよ」
紅葉自身、本気で身体に力を込めれば人間の腕力では逆に殴った方の骨が折れる程硬くなるが、今回はそれに加え、鬼道によるブーストもかけている。
今の紅葉の身体は、人間の殴打どころか、刀で斬れず矢や弾丸が刺さらない程の、異常なまでの防御力を誇っている。今の紅葉は、風の様な速度で移動する、人間の大きさをした要塞に等しい。
長兵衛の襟首を掴んだまま紅葉は、身体を勢いよく回転させ、ゴムボールでも投げるような感覚で、長兵衛を放擲。
地面と水平に投げ飛ばされている状態を見れば、どれだけの力で紅葉が彼女を投げたのか窺い知れよう。
そしてそのまま長兵衛は、背中から、先程まで紅葉が水浴びしていた水飲み台に激突。衝突の勢いで、水飲み台を構成する石材が砕け散り、その破片が宙を舞った。
更に、水道管自体も破壊されたか、間欠泉のように水が上に吹き上がり、堆積している雪にバシャバシャと掛かって行く。
「の、野郎……!!」
背中の筋肉と背骨がイカレたのではないかと錯覚する程に、背面が痛い。石が砕ける程の速度と勢いで投げて叩きつけられたのだから、それは当然だ。
現状のダメージも全く無視出来る程のものではないが、頭を打って気絶しなかっただけでも儲けものだと、長兵衛はポジティヴに考える事にした。
生前の、何て事はない村娘のままであったら、今の一撃で長兵衛の身体は粉々だったろう。サーヴァントになって耐久力が上がった事が、明暗を別った。
身体中に水が掛かりながら、長兵衛が立ち上がる。冬の寒さの相乗効果もあり、彼女の体温を的確にそれは奪って行く。田舎の冬を、長兵衛は思い出してしまった。
「ら、ランサー!!」
此処で予期せぬ、自分を呼ぶ声。そして、紅葉にとっては、自分以外のサーヴァントのクラスを叫ぶ声。
バッと、紅葉が辺りを見回す。「あいつ……!!」と、胸中で長兵衛が苦言するのと殆ど同時に、紅葉は件の人物を見つけた。その人物を、長兵衛は知っていた。
今紅葉が佇んでいる所からでは、絶妙に視界の死角となって視えなくなる曲がり角。其処から、今にも泣き出しそうな心配そうな様子をした女性が姿を見せていた。
安部菜々。今ランサーと叫んだ当の張本人であり、長兵衛のマスター。その人物が、長兵衛の言いつけを守らず、外に出て来てしまったのだ。
とは言え、菜々を責められまい。
現状、この冬木における自分の理解者である長兵衛が、一方的とすら言える程追い詰められ、剰え、人間だったら到底生きてられない程のダメージを負わされたのだ。
何時まで経っても公園から抜け出せず、敵サーヴァントに甚振られるその様子を見せ付けられ、とうとう菜々は、耐え切れなくなって飛び出してしまったのだ。
そして紅葉は考える。
如何やら今まで姿を隠していたあの女は、この田舎娘のマスターである。その事は既に紅葉も気付いている。
問題は、長兵衛と菜々のどちらを叩くか、である。逡巡は一秒程。直に標的が決まった。菜々である。
サーヴァントは宝具と言う切り札、隠し玉を持っているのが常である。長兵衛の宝具は、自分に見せた握った物を強力な武器にするものである事を紅葉も理解したが、
それ以外にも何かしらの奥の手を持っているのではないかと、彼女は考えたのである。そう考えた場合、下手に追い詰めては危険だ。
今はマスターとも距離を取っている。正直軽んじてると言うレベルじゃない程に音石の事を軽んじている紅葉であるが、それでも、無理は出来ない。
下手に突けば蛇が出そうなサーヴァントの方を叩くより、マスターの方を叩いて殺すのは、当然の考えと言えた。
紅葉は菜々の方目掛けて、跳躍。
垂直に数m程飛んだ紅葉は、そのまま地面に落ちる事無く、何と水平に空中を滑り、目にも留まらぬ速度で、一直線に菜々の方へと向かって行くではないか。
これも鬼道の応用だ。大気に満ちる霊に働きかけ、空中に気流を作り、其処にそって移動する事で、飛翔と滑空を紅葉は可能とした。
菜々は、紅葉が此方に接近している事にすら、気付けていなかった。スタッ、と、菜々の前に紅葉が降り立ってもまだ気付けず、
人の形をした魔王が彼女の肩に手を当てたその瞬間になって漸く、菜々は己がどれ程危機的な状況に陥っているのかを理解してしまった。
「ひっ……!?」
菜々よりもずっと背が高く、胸も、腰も、脚線美も、何よりも見た目上の若さも。菜々の上を行っている女性だ。美貌に関しては語るまでもない。
割り箸を割るような感覚で竹槍を破壊する、埒外の腕力を誇るサーヴァントが今、自分の肩に手を触れている。何か力を込めるだけで、肩の骨を砕く事も容易いだろう。
息が詰まる、眼前が涙で見えなくなる、水を浴びせた様に身体から熱が引いて行く。ホラー映画を見たりとか、怖い小説を読んだりとかとは、別種の感覚。
生命の危機に瀕した際に人間が抱く、プリミティヴな恐怖を、安部菜々は今感じていた。青褪めた顔を浮かべる菜々に反し、紅葉はその麗貌に、薄い笑みを刻んでいた。子供が小さな虫でも潰すような、嗜虐的な笑みだった。
「やや粉っぽさを感じる、水っぽさと張りが失われつつある肌。所々だらしなさが見え隠れしている肉付き。痛み始めている髪質……十代って事はありませんわね。二十代……それも、結構後ろの方っぽいですわね」
髪と顔、そして、メイド服と言う服装の構造上露出している肌部分に目線を向けながら、紅葉が言った。まるで、コーディネーターだった。
「もう少し年齢に見合った服装、と言うのがあるんじゃないんでして? ――それとも」
其処で、紅葉の笑みが強まった。口の端を吊り上げ、犬歯を覗かせる、獰猛で、凶悪な笑みだった。
「その服装を死に装束にでもするつもりか? あーん?」
「マス、ター!!」
後ろから長兵衛の叫びが上がるのと同時に、紅葉は一瞬で菜々の背後に回り、彼女を羽交い絞め。
彼女の右瞼にそっと、右中指を当て始める。その瞬間、公園の植え込み部分から敷地外に今飛び出そうとしていた長兵衛が、急停止する。
歯噛みしているその表情からは、切歯扼腕の念が隠し切れていない。
「別に、遠慮せずこれ以上近付いても構いませんのよ? でもその場合驚いて、ちょ~っと手が滑って、おめめを零してしまうかも知れませんが」
軽く瞼の辺りに爪を立てる。チクッ、とした感覚を、菜々は瞼に感じてしまう。
「……クソ女が」
「不意打ち仕掛ける、心も体も貧相な女が言えた口? 負け惜しみにしか聞こえねーんですのよ」
状況の有利は、紅葉の方が圧倒的に上である。
長兵衛が何を口にしたところで、悔し紛れの負け惜しみにしか聞こえない事だろう。
自分は、死ぬ。菜々は己の状況を認識し、ガタガタと震え始める。
紅葉が気まぐれ一つ起こすだけで、自分の身体は破壊され、夢の姿を結局、アイドルを志してから一度も見る事無くその命を終えてしまう。
嫌だ、と菜々は思った。何も出来ていない、何も見れていない、何も感じていない!!
アイドルの本当の仕事とは、何なのか? アイドルの高みからは、何が見えるのか? アイドルになったら、何を感じるようになるのか?
もっと忙しい仕事なのかも知れない。今の高さと大して変わらない展望なのかも知れない。意外に何も、感じないものなのかも知れない。
アイドルになった所で、自分に劇的な変化が訪れず、アイドルと言う地位をそのままに、以前までの生活を送るのかも知れない。
そうかも知れないと思っても、菜々はアイドルになりたかった。此処で、死ぬ訳には行かなかった。ガラスの靴の何より似合う女に、なってみたかった。
しかし、生殺与奪を握るのは、自分ではない。紅葉と言う名の、子供の精神性のまま大人になったような恐るべきサーヴァントである。
彼女が癇癪を起こせば、自分は死ぬ。縦しんば生き残れても、最早アイドルを名乗れぬ程身体を破壊されるのは間違いない。そんな未来を思い描いて、恐れぬ筈がない。
フルフルと震える身体から、何かの拍子で、サクッと。懐に忍ばせていたスマートフォンが雪の上に落ちた。
菜々の懐から落ちたものに気付いた紅葉。それがスマートフォンであると彼女は知っている。
足を動かし器用にそれを挟み、ブンッ、と。足首の力だけでそれを空中に放り、それを開いた左手でキャッチ。興味深そうにそれを眺め、電源を入れ始めた。
「ちょっと」
「は、はい……」
震えながら、紅葉の言葉に菜々が答える。
「ホーム画面って奴に進めないんですけど? この、『パスコード』ってのを教えなさいな」
「何やってんだコイツ……」とでも言うような顔で、長兵衛は、紅葉の動向を注視する。
紅葉からは表情が見えないが、菜々も、同じような表情をしていた。どちらにしても菜々に、パスコードを教えないと言う選択肢はない。
素直にそれを教えるや、紅葉は慣れてない手つきで、パスコードを入力。ホーム画面に移行した。
この女にはプライバシーも欠片もない。平気で菜々のスマホのデータやアプリを物色しまくっていた。
何のアプリを使っているのかは元より、電話帳の物色からLINE、メールのやり取りまで、粗方確認。
「フムフム」、と何を知りたかったのか、一人で紅葉は勝手に納得。知りたい情報も大体収集し終えたのか、彼女は口を開いた。
「貴女、アイドルでしたのね。全然見えませんでしたわ」
「きょ、恐縮……です……」
「……そうだ!! 私、こう見えて結構音楽にウルサイ性格でして、貴女達が行うライブイベント? って奴をマークしてるんですよ!!」
と、何かを思いついた様に紅葉は一人で、水車のようにベラベラと饒舌に喋り始めた。
「え? え?」と、菜々は、捲し立てるような紅葉の早口トークに圧倒され、相槌の返事すら出来ないでいた。
「貴女、え~っと……まぁ名前は良いか。このライブイベントに出やがるんですのよね? 宜しければ、当日のイベントの事詳しく教えて下さる?」
「え、え……その……、私……ライブに、出れません……」
「……は? 何でですの?」
口ぶりから察するに、紅葉は如何やら、安部菜々はアイドルであると言う情報を見て、彼女が442プロダクションのライブイベントに当日出演する、
アイドルの一人であると先走ってしまったらしい。だが実際には、菜々はあぶれた側のアイドルであり、当日彼女は出演しない。お留守番だ。
その事をたどたどしく口にして、説明する菜々。紅葉の方も、少し気にかけていたライブイベントの事を知れると思って意気軒昂としていたが、求めていた情報を得られず、ガッカリとした様子を隠せていなかった。
「……まぁ、いっか。最後に物を言うのは、私とマスターの演奏力ですものね」
「その……何を、やる、つもりなんですか……?」
「うーん……まぁ、教えて差し上げましょう。イベントの告知とやらは大事だと、マスターも言ってやがりましたし?」
いつの間にか世間話に興じるような雰囲気を醸し出し始める紅葉だったが、油断なくその中指は菜々の瞼に当てられている。
長兵衛はこのせいで、未だに地面に縫い付けられている状態にあるのだった。
「私、貴女達がライブイベントをやる時間と全く同じタイミングで、私達のゲリラライブを演奏してブチ当てるんですの」
「は、はい?」
「きっと歴史に残りますわよ~? 私の琴ギターの超絶テクと美貌で魅了される男達、私の隔絶された魅力に悔しがりつつも称賛の念を禁じ得ない女達。何よりも、442プロとか言うイベントに足を運んだせいで私のイベントを見れなかった人間達の悔しがる様子!! そう言ったものを得て、奪って、感じたいから、ゲリラライブを行いますの」
「ライブの為に、人を殺すのかよ」
長兵衛が遠巻きで容喙してくる。
「うーん、それも考えはしたんですけどね。でもやっぱり、対抗馬がいるからこそ、ロックってもんじゃありませんこと? やはり、敵に張り合いがないと面白くありませんわ」
「だ、駄目です!! そんな、ライブなんか……!!」
「はぁ?」
菜々の言葉が癪に障ったか、明らかに不機嫌な態度を隠しもせず、紅葉は菜々の瞼を摘まみ始めた。
長兵衛の脚部に力が入る。何かアクションを起こせば、一気に飛び掛からんばかりの気魄が、彼女の身体から発散されていた。
「今日の為に、皆、一生懸命……れ、練習して来て……、日陰で、厳しくて、辛い毎日を、過ごして来たんですよ……!!」
「知りませんわね。才能がない人間が、影でコソコソ努力して、後で日向に躍り出るのは、何もおかしい所はないでしょう?」
「貴女みたいな綺麗な人に出張られたら、皆が迷惑するに決まってるじゃないですか!!」
自分が出る訳でもないのに、菜々は、紅葉がやろうとしている行為について激怒していた。
それは、ひょっとしたら何かの間違いで、自分がライブに出れるかもしれないと言う、あり得ない展望を心の何処かで抱いていたからなのかも知れない。
もしもそうなれば、自分は、人を殺しに殺した末に現れる聖杯に何かを願う必要性もなくなるのだから。
だが、明日行われるライブに、急遽自分がねじ込まれる事など、それこそ聖杯にでも願いを託さない限りは出来ない相談と言うもの。
出れもしないのに、心の何処かで出れるかもと思い抱く女。何処までも、応援する側としての根性が染みついた女。
それが、この冬木における、安部菜々、と言う女だった。彼女の言葉が、明日の最高のライブに出演する仲間達を思ってのものだったのか、それとも、自分本位から来た言葉だったのか。それは、発言している当の本人にすら、解らないものであった。
「やっぱり~~~~~?????????」
その言葉を受けて紅葉は、非常に舞いあがったような態度と声音で、羽交い絞めにしていた菜々を解放。
突如として拘束を解かれた物であるから、菜々は地面に膝から転んでしまい、雪の上に俯せになった。
「菜々!!」、と叫ぶ声が聞こえてくる。まだ、動けない。此方が動くよりも更に最小限度の動きで、紅葉は菜々の事を殺せる位置にいるからだ。
「いや~、やっぱり私が綺麗だって事も、私がその気になっちゃえば客も耳目も奪えるって事は解りきってた事何ですが、こうやって言われちゃうと気恥ずかしいですわね~~~~~!!」
と、滅茶苦茶有頂天かつ、調子に乗った態度で、紅葉は気恥ずかしげに身体をくねらせる。
美貌については流石に長兵衛もイチャモンを付けられないが、演奏技術まで自信があるのかこの女は、と胸中で呟いた。と言うか、煽てに弱すぎである。
「――そうだ。貴女、ライブにどうせ出れないのでしょう? どうせ暇なんでしょうし、私のライブの方を盛り上げませんこと?」
「ひ、暇じゃ、ありません!! 私には――」
何とか立ち上がり、身体に付着した雪を払う事もせず、紅葉の方に身体を向けて菜々は言葉を紡ごうとする。
「私には……」
「?」
「み、皆を、応援するって……仕事が……」
「アハハハハ!! 何ですのそれ? そう言うのは、暇って言うんですのよ? 応援席から貴女一人が消えた所で、歌って踊ってる人間は気付きはしないでしょうに!!」
紅葉としては何気ない、それこそふざけて口にした言葉だったのだろう。しかしその一言は、菜々の心をこれ以上となく抉る、無慈悲な一言だった。
酷い虫歯が与える耐えられぬ痛みのような、剣で直に突き刺されたような。途方もない衝撃が身体に舞い込む。呼吸を忘れる程の痛みが彼女の身体を支配する。
自分一人が消えた所で、ライブは当たり前のように進行し、ライブに出演する442プロのアイドルらは喝采を得る。それは、この世から人間の一人が消えた所で、当たり前のように時間が前に進んで行く事に似ていた。
参加アイドルや目玉のアイドルが突如消えれば、成程確かにライブは中止される。だが、応援する側の自分が消えた所で、恙なくライブは遂行される。
そしてそれだけではない。自分が消えた所で、誰もその事に気づきはしないと言う事もまた、どうしようもなく事実だった。
無論、自分と親しい関係にあったアイドルは、自分がいない事に気付くかも知れない。ポジティヴに、考えられた筈なのだ。
しかし今朝、あの
白菊ほたると言う名前のアイドルが、自分の事を全く知らないと言う風な態度でいた事実が、菜々の心に影を落としていた。
自分が消えた事に、気付く人間もいるだろう。
だが、自分が消えた事に、気付かぬ人間も大勢いる。つまり紅葉の言った事は、ある意味で正しい事柄だった。
とどのつまりは、一個の人間としては兎も角、442プロに所属しているアイドルとしての安部菜々、と言う女性の知名度も存在意義も、その程度に過ぎないのだ。
それを紅葉に突かれた瞬間菜々は、ほんの少し呆然としてしまった。両目とも風景を映しているにも拘らず、何も映せていない状態が、その時間続いてしまった。
【菜々、菜々!!】
放心の状態の菜々に活を入れるべく、長兵衛が念話越しで叫んできた。
頭の中に響く、己のサーヴァントの声に、漸く我を取り戻した菜々。それを受けて長兵衛が、更に念話を続ける。
【よく聞け菜々、業腹かも知れないけど、此処はその、頭クルクルパーの女の要求を受け入れろ!!】
【ちょ、長さん!!】
【解ってる!! だが、此処で受け入れないと、こっちの命がないぞ!!】
長兵衛は気付いていた。今しがた紅葉の言った事は、事実上の、『同盟の申し込み』のような物であると。
菜々が、こんな女と同盟を組みたくないと言うのは百も承知。と言うより当の長兵衛ですら、紅葉となど同盟を組みたくない。
だが此処で紅葉の提案を受け入れねば、死ぬのは此方である。それ程までに、長兵衛達の状況は最悪である。
不興を買えば、菜々はたちどころに殺され、それに付随して、単独行動スキルの無い長兵衛もまた消滅を免れない。
こんな女と手を組むのならば、矜持を取って死を選ぶ。そんな高潔な心を持ったサーヴァントもマスターも、いる事であろう。
だが、生憎と長兵衛も、そして菜々も。そんな高邁な人物ではない。共に生汚く、共に奇跡を信じてみたい女達だからだ。
それが煮え湯と解っても。それが苦い水だと解っても、此処は紅葉の提案を呑めと、再度長兵衛は念話を入れる。
【……約束する。機が来れば、あたしはそいつを、槍で貫いて首だけの姿にして見せる。……今は、雌伏の時を、あたしと一緒に過ごしてくれないか?】
【……長さん。解りました。私……一緒に頑張ります】
意を決し、紅葉の方に目線を向ける菜々。
「何をやって、盛り上げれば良いんですか?」
「まぁ、乗って下さいますのね!! 何をするべきかは……うーん……まぁ追って伝えますわ。生憎と今はマスターが――」
「お、オイキャスター!!」
其処で長兵衛は、自分達とは違う、男の闖入者の声を聞いた。
声が聞こえた方向に、三名が顔を向ける。其処には、何かの紙袋を左手に下げながら、驚きの表情を浮かべる、濃い顔をした若い男が佇んでいた。
音石明、紅葉のマスターである。紅葉の言い渡した買い物を今終え、彼は、待ち合わせ場所である深山町の市民公園に戻って来たのだ。
これを受けて長兵衛は、即座に竹槍を投影し、音石目掛けてそれを投擲しようとする。
そうはさせじと紅葉は、菜々の口に人差し指と中指、薬指を突き入れた。気道を防ぐ形になり、呼吸も出来なくなるばかりか、『えづく』箇所に紅葉の指は触れていた。
「動くな!!」
紅葉が一喝する。菜々の身に迫る危機を認識した長兵衛が、槍を今まさに投げようとしている体勢のまま静止した。
「この女の頭が吹っ飛んでも宜しいと言うのなら、その粗末な武器をブン投げてみな」
「……クソ女」
「あーこわいですわ~」
誰が聞いても明らかな棒読みで、紅葉は応対する。二人のやり取りの間、菜々は吐くに吐けず、「うぇっ……!!」と言いながら涙目の状態でいた。
にっちもさっちもいかなくなった長兵衛は、手にしていた竹槍を放り捨てる。「まだ隠してるでしょう?」、と紅葉が言った。
惚けても無駄だと思った長兵衛は、袖に隠していた園芸用の支柱を全部地面に捨てる。これで真実、長兵衛は早急に行える攻撃手段を失った。
その様子を見届けて満足した紅葉。「マスター、此方に」。紅葉のその言葉を聞き、急いで走り寄る音石。
421 名前:] 投稿日:2017/03/27(月) 00:25:01 ID:Al.Ic/VA0 [12/17]
「この女を見張ってて下さいまし」
そう言って紅葉が、菜々の口に突き入れていた指を離し、音石に菜々を任せた。
「うえぇっ!!」と、指を離した瞬間菜々は酷くえづき始め、何が何だかと言う様子で音石は、菜々の事を監視する。
菜々の下を離れた紅葉は、憮然とした態度で佇む長兵衛の所までゆっくりと近付いて行く。
敵意を宿しながら、冷めた瞳で、紅葉の麗姿を睨みつける長兵衛。
「手ぇ上げな」
「大層な悪党じゃないか、キャスターさんよ」
悪態を吐きながらも、紅葉の言われた通り、ホールドアップを行う長兵衛。
その瞬間、紅葉の右拳が、長兵衛の華奢そうな身体の鳩尾に勢いよく突き刺さった。
両目が飛び出そうな程の衝撃を受け、嘔吐感にも似た不快感と、呼吸すら出来ない程の激痛を受け、乾いた息を吐き出しながら、
長兵衛は両膝を地面に付き鳩尾を抑え涙を流した。殆ど反射的に流した涙であった。痛みは今も胴体を中心に、吐きそうな程の痛みを長兵衛に与え続けている。
「これで済んだだけ、ありがたく思いやがるんですのね」
そう言って紅葉はダメ押しと言わんばかりに、長兵衛の背中に力を加え、彼女を俯せに雪の上に倒した後、その後頭部に右足を起き、一切の抵抗を不能とさせる。
紅葉の言う通りだった。この程度の処遇で済んだ事は寧ろ、有情とすら言えた。紅葉が本気で人体を殴ろうものなら、人間の身体など殴った所からその部位が千切れ飛ぶ。
嘔吐感を催す程の痛みで済ませている辺りが、最早奇跡とも言うべき状況であった。
「メアド……? 電話番号……? 専門用語は訳が解りませんわ。まぁ兎に角、貴女への連絡手段は憶えましたから、追って詳しい事は連絡しますわ。その間、いつも通りの日常をお過ごし下さいませ」
そう口にし、長兵衛の後頭部から足を離す紅葉。
所用は終わったらしい。「マスター、帰りますわよ」、と言う言葉からも、それが窺えよう。
「こいつら、殺さなくて良いのかよ? キャスター」
当然の疑問を口にする音石に対し、紅葉は、笑みを浮かべて口を開いた。
香気すら感じさせる程の艶やかさを含んだ、美しい笑みであると言うのに――例えようもない邪悪さを孕んだ、鬼の笑みだった。
「手足のもがれた蛙を急いて殺すのは、伊達とは言えないでしょう?」
胃の中に氷の粒を限界まで入れられたような圧迫感と恐怖を、音石と菜々は、紅葉の笑みを見て覚えた。
そして音石は、再認させられた。この女は、人の形をした『鬼』、と言う別の次元の生き物なのだと。
人間の言葉を解するが、何処までも人間の社会と風俗、倫理から逸脱した思考と行動をモットーとする、この世で最も恐れなければならない、正しい人間の敵に当たる存在なのだと。こんな女の手綱を握っていると言う事実を改めて音石は思い知らされ、震えた。
「それより、シャワーを浴びたいですわ。やはり公園の水じゃ満足出来ませんもの。早く戻りましょう」
もう長居は不要とばかりに、ととと、と音石の方に駆けよって行き、この場からの退場を促す。
音石としても、それには賛成だ。得体の知れないサーヴァントといつまでも一緒にいる程暢気ではないし、何よりも……今は紅葉が、堪らなく、怖い。
「あ、あの!!」
いざ帰らん、と言う段になって、菜々が、紅葉達を呼び止めた。
「何ですの?」
くるっ、と、菜々の方に身体を向ける紅葉達。
「な、何で、ゲリラライブを、行おうとするんですか?」
菜々は、このゲリラライブを行うと言う発想が、紅葉から来た物ではなく、実は音石の提案である事を知らない。
とは言え、紅葉が音石の発想と提案を称賛し、それに乗っかって来たのは事実である。彼女はノリ気なのである。
紅葉、と言う女の事だ。注目を浴びたい、褒められたい、と言う気持ちも確かにあるだろう。菜々は、そう考えていた。そしてそれもまた、事実ではあるが――
「ライブに成功して得られるもの、何だと思います?」
「え? えーっと……ボーナスと……褒められる事?」
「……ボーナスって、何ですの?」
「金の事だ、キャスター」
「何だ、禄ですのね。まぁ、お金も確かに欲しいですけれど、それの為に演奏をするのは、ロックじゃありませんわね。私が欲しいのは寧ろ、賞賛の言葉ですわ」
言葉を続ける紅葉。
「私達が何もしなければ、賞賛されるのは寧ろ442とか言う連中でしょう。だけど、此処でゲリラライブを演奏すれば、褒められるのは私。442が得る筈だったブラボーの声を、全部奪える。私達の心も大変満足。理由になってません?」
「そ、そんな事の為に……皆の練習を、無駄にするんですか……!?」
「そんな事の為にって、此処に来てから二週間と経ってない私達に、客の全部を奪われる何て、その程度の練習とアイドルだったと言う事になりません?」
言葉が詰まった。それは確かに、その通りだと思ってしまったからである。
「それに――」
言った。
「欲しいから奪うのは、何処にもおかしい所はないのではなくて?」
焚火に水を掛ければ、火は消える。物を上に投げれば、下に落ちる。一に一を足せば、二である。
そんな当たり前の事を言葉にするかのような口ぶりで、紅葉はそんな事を言ってのけたのだ。
「貴女、応援する側よりも、舞台の上で、歌って踊りたい側なのではなくて?」
不意に紅葉が、そんな事を菜々に訊ねて来た。自分に向けた質問だと言う事に、菜々は漸く気付いた。
「そ、それは……あ、当たり前、じゃないですか。でも、出れないと言うのなら――」
「もしも私が貴女の立場だったら、他のアイドルとやらを殺してでも、自分が出るよう頑張りますけどね」
菜々はまたしても、目を見開かせてしまう。
「たった数人殺して星の地位を得られると言うのなら、私は喜んで殺しますわよ。それに貴女には、それが出来るだけの『力』。あるでしょう?」
目線が菜々の方から、その背後の人物に変わった。やっと紅葉の与えた殴打の痛みから回復し、此方の方を睨みつけている長兵衛の方だ。
バッと、菜々がその方向を振り向いた。自分のパートナーである長兵衛と、視界が交錯する。
――長、さん……――
「願いがあって、しかも、サーヴァントなんて言うこれ以上と無い力があるのに、それを自己の為に振う事すらしない。随分と禁欲的ですのね。まるで高僧のよう。素敵ですわよ」
紅葉が何かを言っているが、菜々にはその言葉が遠い所から聞こえてくる物音のように、小さなものにしか聞こえなかった。
菜々が自分の言っている事を聞いているのか如何かなど、関係ない。これでもう、紅葉も言いたい事は言い終えたのか、音石を伴い、思い思いの方向に歩き去って行った。
力。そうである。今まで菜々は考えつきもしなかったが、サーヴァントとは、無辜の一般人から見ればこれ以上と無い恐るべき兵器としての側面も持っているのだ。
人間の姿をして、人間の言葉を離し、人間の価値観と倫理を持った存在であるから、菜々は露程もそんな事を考えられなかった。
それはひとえに、安部菜々と言う人物が有する生来の性格の良さもある。菜々は本来、そんな事を考えられる人間ではないのである。
自分ではどう足掻いても、シンデレラにはなれない。
かぼちゃの馬車にも乗れはしない、美しいドレスも着れはしない、何よりも、シンデレラのシンボルであるガラスの靴も、自分には合わない。
――だが、同じくシンデレラの象徴である、嘗て灰被りと呼ばれた少女を美しく着飾らせた魔法使いは、己の傍にいるのだ。
中村長兵衛と言う名前の、菜々をシンデレラのしてくれるかもしれない友達が。
「私……」
菜々は聞いた事がある。
昔話と言うのは元来寓話的な側面があり、本来のルーツは戒めの意味を込めて、毒があるものだと言う事を。
現代に伝わるにつれ、その毒気は抜かれ、子供達にも親しみやすく、そして教育にも相応しい物にされている。シンデレラの話も然り。
だが、グリム童話のシンデレラでは、シンデレラの姉達は、己の足の指や踵をナイフで切り落としてまで、ガラスの靴の合う女になろうとしていたと言う。
ガラスの靴は、血に濡れた自分の足を受け入れてくれるのだろうか?
奪ったガラスの靴を履いても、自分は、シンデレラになれるのだろうか? 菜々の狐疑は、今此処より始まったのであった。
.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
知っている。
中村長兵衛は、知っていた。紅葉、と言う女性のような人物を、生前大量に見て来た。
彼らは、百姓の敵だった。影で彼らの愚痴を言いあった事など、枚挙に暇がない。
戦があるから米を出せ、麦を出せ、稗も粟も全部出せ、と。もう出すものも出るものもないのに、身体を逆さに揺すってまで此方の食い扶持を奪う狼。
戦う事しか能がなく、人の上に立つ事しか出来る事がない。戦の度に村を焼き、戦の度に田畑を荒らす。
食い物と言う食い物を奪って行き、人夫人をコキ使い、女がいたぞと女を犯し、刃向うものなら殺してしまう。
彼らは、百姓を悪ずれしたけだものにする張本人だった。
差し出すものなど何にもないなど嘘八百のデタラメだ。床下を掘ってみると良い、其処にないなら納屋の隅!!
出て来る物は、瓶や壺に入った米、塩、豆、酒、味噌!! 馬が入って来れず、具足を纏ったままでは昇る事も難しい山間には隠し田だ!!
百姓は平気で嘘を吐く。出すものなど何もないと平身低頭しながら、心の中では舌を出す。何でも誤魔化す。
戦があれば良く見える丘の上から連中らの殺し合いを馬鹿だ阿呆だと言いながら笑って眺め、戦が終われば死体から刀を抜き、装飾品を奪い、
何処かに隠れた敗残の兵を殺さんと竹槍作って待ち構える。
百姓とは、ケチで、せこくて、狡賢く。よく泣き、性悪で、間の抜けた人殺しである。
人の言葉を口にして、人の倫理を騙る、狐なのである。狸なのである。そして、人間であった彼らを此処までねじくれさせた人物と言うのが、確かにこの国にはいた。
長らく日本と言う国の頂点に君臨し、長らく人を支配し続けたその人物達を、長兵衛は知っていた。嫌っていた。だからこそ、竹槍を作って彼らを殺し、他の奴らがやめろやめろと口にしても、彼らの親玉を殺さんと息を潜めて待ち構え続けた。
そんな、嫌な奴らと、紅葉の姿が被った。
余りに横暴、余りに我儘。人の持っているものを欲しがり、奪い尽くそうとする、狼よりもずっと意地汚かった連中と、あの女の姿を、長兵衛は重ねて映した。
そんな酷い連中の事を、長兵衛は、こう言うのだ。
「……士(さむらい)みてーな奴だよ、クソっ」
侍。士。武士。言い方は何でも良い。
それは長らく、長兵衛を初めとした百姓を苦しめ続けて来た悪玉であり、もう二度と長兵衛が従いたくもないと思う人種達の事だった。
サーヴァントになっても、そんな連中に近い思考回路の持ち主に従わざるを得なくなる。そんな因果を、中村長兵衛は、心の底から呪った。両目から血が流れんばかりに、呪い尽くした。
【深山町 市民公園周辺/1日目 午前】
【安部菜々@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]健康、精神的ダメージ
[令呪]残り3画
[装備]なし
[道具]メイド服、財布や携帯電話などの日用品
[所持金]あまり余裕はない
[思考・状況]
基本行動方針:迷い。
1. 奇跡を願っても、いいんですか……?
2. 長さんが、力……?
[備考]
※アイドルですが442プロ所属ではなく、当然クリスマスライブの出演者でもありません。
冬木市内における知名度も、442プロのアイドルには遠く及びません。
※音石&キャスター(紅葉)主従と、同盟、の様なものを結びました
【ランサー(中村長兵衛)@史実(16世紀日本)】
[状態]肉体的損傷(中)、魔力消費(小)
[令呪]
[装備]無銘・竹槍
[道具] 黒のドレス(菜々の私物)
[思考・状況]
基本行動方針:どんな卑怯な手を使ってでも勝ち残る。
1. ひとまずは菜々が決意を固めるまで見守る。
2. 紅葉が大嫌い
[備考]
※ランサー(
ガレス)とキャスター(
パトリキウス)の会話を聞いています。
※音石&キャスター(紅葉)の存在を認知しました。
.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「なぁ、キャスター」
「はい?」
長兵衛達から百m程離れた所で、漸く音石が、沈黙に耐え切れないと言う様子で口を開き、言葉を発し始めた。
「勝手に戦うのはよ~……」
「やめて欲しい、と? それでも私の旦那様なのかしら? あんなの、取るに足らない雑魚ですわよ。私の手に掛かれば、パーッってしてポーイっ、ですわ」
「まぁ、あのサーヴァントとキャスターのダメージ、全然違ったからな。それは信じるよ。……んで、どんなサーヴァントだったんだ?」
音石としてはそれは気になる所だろう。
何せ彼があの場にやって来た頃には、もう自体は完全に収束しきっており、決着のムードであった。
戦う場面をこの目に収められていないのだから、長兵衛がどんな戦い方をするのか、全く分からないのである。
不安に思うのも無理はないし、どんな戦い方をするのかも、聞いて置きたいのは寧ろ当然の心理だ。
「フフン、取るに足らない、相手にするだけ時間の無駄のサーヴァントでしてよ。確か……確か……」
「確か……?」
歯切れの悪くなった紅葉を訝しく思う音石。
――あれー? どんな武器使う、どんなクラスのサーヴァントでしたっけ……?――
変だな、と紅葉は思った。
長兵衛がどんな武器を使い、どんな戦い方をするのか。あの時あの公園で、紅葉は完璧に理解していた筈なのに。
その部分の記憶が、ゴッソリと洗い落とされたように、『思い出す事が出来ない』。
紅葉の言う通り、圧倒していた。歯牙にもかけぬ相手でもあった。だが、その肝心な戦い方が、全く思い出せない。圧倒こそすれど、向こうは抵抗もした筈なのに。
――……まいっか!!――
思い出せなくても、圧倒していたのは事実である。それを便に、紅葉は気を直す事にした。
「ま、憶えなくても問題ない程弱いサーヴァントだった、と言う事で」
「はぁ!? お前、全然理由に……」
「まぁまぁ黙りやがれ。それより、どんな服を買って来たんですの?」
紅葉の興味は寧ろ其処に在る。彼女は当世風の服装には大変興味を抱いている。
そして、音石がどんなセンスで、どんな服を自分の献上するのかも、彼女は気になっていた。
無理やり話を逸らされたと思いながらも音石は、さしあたって自分の買って来た服の入った紙袋を紅葉に手渡す。
その中身を、プレゼントの箱を貰った子供のように紅葉は物色し始めた。
紙袋の中に入っていたのは、紅葉色のライダージャケット。紅葉が履けば、太腿のほぼ根元まで露出する事になるホットパンツ。
彼女の胸のサイズよりもややきつめで、ボディラインが浮かび上がる黒いシャツ。小物の類も買おうかと思ったが、それは後で良いかと音石は後回しにしていた。
どちらにしても、言える事は一つ。紅葉自身が身に纏わなくても、露出度が恐ろしく高いコーディネートである、と言う事だった。
「……マスター、これ」
「ん、んだよ。一緒に買いに行かなかったお前が悪いんだからな。お気に召さなくても、それはお前の――」
「と~~~~~~ってもロックな服装じゃないですか~~~~~~~」
あ、良いんだ……、と、音石は思ってホッと胸を撫で下ろした。
鬼女紅葉。初めて見た時からもしかして、と思い、そして今回の一件で確信した。
この女、肌の露出を好む服装の方が好みなんだなぁ、と。つくづく、単純な女で助かったと。服の入った紙袋を抱きしめ、満面の笑みを浮かべる紅葉を見て、音石はそう思うのであった。
【深山町/1日目 午前】
【音石明@ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない】
[状態]健康
[令呪]残り3画
[装備]こだわりのギター
[道具]携帯電話、財布など
[所持金]盗んだ現金(そこそこ)&盗んだ貴金属類(たっぷり・ただし換金手段のアテなし)
[思考・状況]
基本行動方針:美味しいトコを掠め取りつつ聖杯戦争で勝利を。ついでに伝説開始
[備考]
1.討伐令には真面目に取り組まないが、チャンスがあれば美味しいとこだけ横取りを狙う
2.442プロのライブの時間に合わせて『路上ゲリラライブ』を決行する! そのための準備だ! まずは場所探し!
※深山町の片隅にアパートがあります。
※バーサーカー(
モードレッド)、セイバー(スルト)、アーチャー(ヴェルマ)の戦闘を途中から観戦していました。
セイバー(スルト)とアーチャー(ヴェルマ)主従の同盟を確認しました。
※スタンド『レッド・ホット・チリ・ペッパー』は、バーサーカー(モードレッド)の赤雷の余波を少量吸収しました。
スタンドの色が黄色から赤へと変化し、僅かに神秘の力と魔力を纏っています。
【キャスター(紅葉)@史実(10世紀日本)】
[状態]健康、魔力補給十分、お肌ツヤツヤ、ウキウキ
[装備]紅葉琴(ギター型)
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:美味しいトコを掠め取りつつ聖杯戦争で勝利を
[備考]
1.討伐令には真面目に取り組まないが、チャンスがあれば美味しいとこだけ横取りを狙う
2.442プロのライブの時間に合わせて『路上ゲリラライブ』を決行ですわ! そのための準備です!
※バーサーカー(モードレッド)、セイバー(スルト)、アーチャー(ヴェルマ)の戦闘を途中から観戦していました。
※冬木市に死者の霊が居ないことに気付きました。何らかのキャスタークラスの干渉を疑っています。
※キャスター(パトリキウス)が斥候に放った妖精たちの存在に気付いています。
1回に限り脅して支配権を強奪できると読んでいますが、実行すると確実にパトリキウスに察知され対策されます。
※安部菜々&ランサー(中村長兵衛)の主従と一方的に同盟を結びました。今回手に入れた、菜々の電話番号とメールアドレス越しに、何らかの連絡を入れる事が出来ます
※ランサー(中村長兵衛)の記憶抹消スキルにより、『ランサーのクラスとどんな武器を使うのか』、と言う情報を抹消されました
※音石から露出度の高いパンキッシュファッションの服装をプレゼントされました。後で着るようです
時系列順
投下順
| ←Back |
Character name |
Next→ |
| :硝子狩 |
安部菜々 |
:[[]] |
| ランサー(中村長兵衛) |
| 音石明 |
:[[]] |
| キャスター(紅葉) |
最終更新:2017年05月07日 22:24