アーカードの使い魔の群れは、一瞬にして暗黒空間に粉微塵となって送り込まれた。さて、その戦果を確認してやろう。
ヴァニラ・アイスは吸血鬼
DIOの血を授かった自らの絶対的な優位を示すように、悠々と暗黒空間から顔をさらけ出した。眼下には、弾薬庫内でひしめき合っていた使い魔の中にポッカリと穴が開き、ヴァニラ・アイスのスタンドの威力を知らしめていた。自らの主を、さんざんとこき下ろしていた輩だが、結局はこの様だ。やはりあの方以上の存在はおられないのだ。ヴァニラ・アイスはその厳然たる事実を胸に、残りの使い魔を一掃してやろうと再びクリームの暗黒空間に身を沈めようとする。
「……捕まえた!」
突如として、耳元から聞こえてきたアーカードの声によって、それは阻害された。単なる一匹の蝙蝠だった。その蝙蝠がヴァニラ・アイスの耳に囁くと同時に、蝙蝠の羽は人間大の腕となって、彼の首を掴んだのだ。驚くヴァニラ・アイスを尻目に、周辺にいた無数の蝙蝠が集まりだし、アーカードの上半身を形成。そのままアーカードは、首を絞められ、嗚咽を上げるヴァニラ・アイスの口の中に、もう片方の手でプレゼントを贈る。
「ジャッカルの弾だ。吸血鬼の小僧……果たして貴様に耐えられるか?」
アーカードは戦闘の最中に如才なく弾薬庫で拾い上げたジャッカルの弾丸を、ヴァニラ・アイスの口中に一塊にして放り込んでやったのだ。そして止めとばかりに一切の遠慮を排したアッパーカットをヴァニラ・アイスの顎に叩き込む。法儀礼を済ませた銀の弾丸はアーカードの意志に応えるかのように爆ぜ、瞬時に夜の一族(ミディアン)を滅ぼさんとする祝福の光がヴァニラ・アイスの中から溢れ出した。
「グッ!? グワアァァーーッッ!!!」
痛みとは無縁のはずの吸血鬼の脳に、確かな痛みが届けられた。神経を引き裂き、骨を焦がし、身を焼き尽くす壮絶な苦痛が、意志を持ったかのようにヴァニラ・アイスの身体を占有する。ヴァニラ・アイスは身体を這いずり回る痛みから逃げ出すように、暗黒空間から必死になって身を捩り出し、地面に転がった。
「どうした、貴様はそれで終わりなのか? その程度なのか? さあ、どうなんだ、吸血鬼の小僧?」
「……オオオウゥゥーーーッッ!!!」
嘲笑の混じったアーカードの声を耳にすると、ヴァニラ・アイスは焼きつくような痛みを振り払い、激烈な咆哮と共に立ち上がった。ヴァニラ・アイスの顎は既に灰となり消えてしまった為に、言葉を発することはできない。そしてその顎から発生した炎は、徐々に身体に広がりつつある。だけど、その身には、いまだ頭があり、自由に動く四肢があった。ならば、アーカードは殺さなければならない。自らの主の価値を貶めた罪は、まさしく万死に値するものだ。それなのに怨敵を目の前にして、どうして苦痛などというつまらないものに構っていられようか。ヴァニラ・アイスは強靭な意志によってスタンドを呼び出し、殺意と怨嗟に溢れた声で怒号を上げると同時に、アーカードに向かって駆け出した。
「フフ……そうだ、それでいい。それでこそ、私の前に立つ価値がある」
アーカードは身体を再構成し、喜色満面にその言葉を発すると、ヴァニラ・アイスを歓迎するように自らも地面を勢いよく蹴り上げた。僅か一瞬後にぶつかり合う二人。そしてその結果に、アーカードはにんまりと笑みを浮かべた。自らが突き出した手刀が、ヴァニラ・アイスの心臓を貫いたのだ。これで勝敗は決した。
だが、アーカードがそう思った瞬間、ヴァニラ・アイスのクリームの腕が、アーカードの胸を貫通した。更に驚愕をその目に映すアーカードの顔を、クリームが大口を開けて、丸ごと飲み込む。クリームの口の中は暗黒空間。ヴァニラ・アイス以外が、その中に入れば瞬時に粉微塵と化す。
アーカードの誤算は、ヴァニラ・アイスを自らの世界と同じ吸血鬼だと思っていたことだ。アーカードの世界の吸血鬼は、心臓を弱点としているが、ヴァニラ・アイスはそうではない。ヴァニラ・アイスの世界の吸血鬼は、心臓ではなく、頭部を弱点としているのだ。
ヴァニラ・アイスは頭部を失ったアーカードの身体が、血の塊となって地面に落ちるのを見届けると、歓喜の声を上げた。絶対的な誅罰。ようやく体現された断罪。それに至るまでの道のりが困難も極めたこともあり、喜びも一入(ひとしお)だ。だけど、そんなヴァニラ・アイスの背中に、不意に冷や水が浴びせかけられた。
「素晴らしい。流石じゃないか、吸血鬼の小僧。数えるほどの夜しか過ごしていないはずなのに、その強さ。貴様の主は、余程のものなのだろう。そしてその血を頂き、私の前に勇敢に立つ貴様は、もう小僧ではない。一人前の立派な吸血鬼(ヴァンパイア)だよ! ハハハハハハハハ!!」
「フハハアアァァッ!!!」
背後から、殺したはずのアーカードの声が聞こえてきたのだ。ヴァニラ・アイスはすぐさま首を捻り振り返るが、その頭は途中でアーカードの手によって遮れらる。そしてアーカードはそのままヴァニラ・アイスの頭を掴み、力任せに地面に叩きつけた。ヴァニラ・アイスの頭部は轟音と共に砕け、クレーターの中に、動かなくなった身体を横たえる。好敵手として認めた相手のその凄惨な結末に、アーカードは僅かに悲しむ素振りさえ見せず、逆に笑みを浮かべヴァニラ・アイスの身体に牙を立てた。
シュウの血を飲んだ時のように、ヴァニラ・アイスの半生が、アーカードの脳裏に訪れる。DIO、
空条承太郎、
ジョセフ・ジョースター、
J.P.ポルナレフ、そしてスタンド。アーカードは丹念にその意志の銀板を眺めていると、突然と喉に違和感を覚えた。ヴァニラ・アイスのクリームが、アーカードの首を掴んだのだ。
ヴァニラ・アイスの頭蓋から脳味噌が零れだし、その半分はミンチ状態。しかし目を向けてみれば、地面に転がる眼球は爛々と光り、容赦のない殺意をアーカードに向けていた。そしてヴァニラ・アイスの意志に呼応するように、クリームは口を開け、今度はアーカードの身体全てを飲み込まんと、かぶりついた。
「……残念だ。あとほんのちょっぴり早ければ、貴様の勝ちだったかもしれん。……本当に残念だ」
クリームの中から聞こえてきた声に、ヴァニラ・アイスは目を剥いた。暗黒空間にあるのは、死のみだ。それは例え不死を謳う吸血鬼とて、変わらない事実の筈。よしんば生きていたとしても、粉微塵となった身体で声を届けるのは、不可能なこと。ヴァニラ・アイスは先ほど聞こえてきた声を振り払うように、急いでアーカードの身体全てをクリームの中に入れた。そしてヴァニラ・アイスは再び驚きをその目に宿すことになった。クリームが自らの頸木を離れて歩き出し、その口の中からアーカードの平然とした顔が現れたのだ。
「……血だ。私は貴様の血を吸ったのだ。つまり貴様の生命は私の内にあり、貴様の精神も私の内にあるということ。その写し身であるスタンドも、今や私の支配下だ。そしてこのクリームの暗黒空間は、主を傷つけることは決してない」
アーカードは慈母のような優しい眼差しと柔和な声を、ヴァニラ・アイスの残骸に送る。そしてゆっくりとジャッカルに弾を装填すると、アーカードは全弾をヴァニラ・アイスの脳に向けて放った。
【ヴァニラ・アイス@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【一日目 朝】
【現在地 B-5 弾薬庫内】
【アーカード@ヘルシング】
【状態】健康、歓喜
【装備】ジャッカル@ヘルシング(残弾 0/6)
【道具】ミカエルの眼の再生薬×3@トライガン・マキシマム、武器支給品×4、ランダム支給品×3、支給品一式×5
【思考】
基本 インテグラの命令がくるまで全力で闘争を楽しむ
1. 弾薬を手に入れる
2. ヴァッシュ、空条承太郎と闘う
3. インテグラを……
【備考】
※北斗の拳の世界観を知りましたが、どうでもいいと思っています
※シュウの知識(北斗の兄弟、南斗六聖拳のこと)を得ました。
※ヴァニラ・アイスの知識(DIO一味、ジョースター一行、スタンド)を得ました
※ヴァニラ・アイスの血を吸ったことにより、スタンド(クリーム)を使えるようになりました
※今はインテグラより闘争の方に心が傾いています
※
アミバをトキだと思っています
最終更新:2013年12月10日 21:37