GLUG GLUG GLUG
牙を剥き出しにして、死体から血を啜る。
弾薬庫の中に突入して、リヴィオが目にしたのは、
アーカードのそんな姿だった。
その常軌を逸した行動に一瞬気後れするが、リヴィオはすぐに気を引き締め、アーカードに臨んだ。
僅かな遅れも油断も許されない。既に幾つかの戦闘を経たリヴィオは、この島にいる者達が尋常でないことを肌で悟った。
ならば、目の前のこの人物も自らに並び立ち、それ以上の強さを持つ化け物なのかもしれないのだ。
「あなたが、その人を殺したんですか?」
「……クク、だとしたら、どうする? 闘うのか? 逃げるのか? それとも私と一緒に血でも啜るのか?」
口の周りについた血を滴らせ、尖った牙を見せながら、アーカードは笑う。
常人であれば、その死を愛好するような狂った姿に、慄いてしまうかもしれない。
しかし、アーカードの眼前に立つはリヴィオ――弱者を守らんとするウルフウッドの意志を引き継いだ男である。
彼は自らを誇るように胸を張り、毅然と答えた。
「闘います! それが今の僕の在り方ですから!」
「クク………ク……ク、ククク、ククク、クハハハハハ!! 素晴らしい! 何て楽しいのだ、このバトルロワイアルは!
私が感謝するなど、一体いつ以来だ、大魔王バーン? こんなに楽しいのは久しぶりだ! 胸が躍る!
私を前にして、死を目の前にして、小揺るぎもしない! ここにいる奴らは、皆がそうなのか?
ああ、答えてやるぞ!! 私だ!! この私が一切の容赦なくコレを殺したぞ!!」
THUD!
ヴァニラ・アイスの残骸が、リヴィオの足元に投げ捨てられた。
むせ返るような死臭と血の臭いが、リヴィオの鼻を突き刺す。言うまでもなく、アーカードが殺意の成れの果てだ。
リヴィオはそれを確認すると、大きく息を吸い込み、酸素を満遍なく肺へ、血液へ、筋肉へ送り込んだ。
BLAM!!!!!
すかさずダブルファングが吼えた。リヴィオの抜き打ちの射撃。
理性を投げ捨てたようなアーカードを止めるには、死しかない。
それを瞬時に判断したリヴィオは、神速とも言えるスピードでアーカードの脳天を撃ち抜いたのだ。
たった一発の銃弾。されど、それはダブルファングの弾。
アーカードの頭は、その威力を示すかのように跡形もなく砕け散り、決定的な死を与える。
だが、首の上に僅かに残ったアーカードの口が不気味に、そして嬉しそうに動き、その確実な死を否定した
「銃なんぞ撃ったってムダだ。吸血鬼は銃なんかじゃ死なん!!」
アーカードの挑発とも忠告とも取れるような宣言。
それに答えるかのようにリヴィオは再びダブル・ファングのトリガーを引いた。
BOOOOOOOM!!!!!!!
耳を劈(つんざ)くような轟音――ダブルファングの咆哮が、弾薬庫を震わせた。
首、心臓、肺、肝臓、腎臓、みぞおち、金的。生命を司る人体の急所を余す所なく撃つ。
正確無比の銃弾は容赦なくそれらを穿ち、更にはアーカードの身体に穴を開けるだけでは飽き足らず、彼の内臓全てをもぎ取っていった。
PLOP
その場に残った手足が、床の血の海に落ちる。
身体の主要器官を全て無くしたのだ。最早、生命など存在しようはずもない。
だが、その血溜まりから哄笑が発せられ、瞬く間にアーカードの身体が、声と血を織り成すように浮かび上がってきたのだった。
「ムダだと言ったろう。ただの銃で、私は死ぬことはない!!」
BANG! BANG! BANG!
アーカードがジャッカルでリヴィオに返礼。この銃もまた化け物を屠るための武器。
ジャッカルの弾丸は唸り声を上げ、空気を震わせ、リヴィオの命を刈り取らんと迫る。
しかし、その勇ましいまでの牙は虚しくリヴィオの横を通り過ぎていくだけだった。
BAM!!
リヴィオの前蹴りが、アーカードの腹に突き刺さる。
リヴィオは一瞬とも言えるスピードで銃弾の群れを掻い潜り、その勢いのままにアーカードを蹴り上げたのだ。
アーカードの口から血が吐き出され、その身体は矢のように吹き飛び、弾薬庫の壁にめり込む。
CRAAAAAAAASH!!!!
間髪入れず、リヴィオの俊足の超スピードと全体重を乗せた飛び蹴りが、アーカードの胸板に炸裂。
アーカードの胸骨、肋骨、胸椎は全て粉砕され、その後ろの壁には大きな穴を作り上げた。
耳を塞ぎたくなるような骨や脊椎の潰れる音。しかし、リヴィオはそれらに耳を一切貸さず、更に蹴りを押し込む。
弾薬庫の壁とリヴィオの足によって押し潰されたアーカードの身体は、ボロ雑巾のようになって、情け容赦なく外へと吹っ飛ばされた。
燦々と太陽の光が降り注ぐ。今は夜が別れを告げ、朝が訪れる時間帯。
夜の一族(ミディアン)の天敵たる陽光が、外に身をさらけ出したアーカードを隈なく照らし出した。
しかし、肝心のアーカードは笑みを絶やさずに、身体を再生させながら、不敵に立ち上がったのだった。
「吸血鬼は太陽が弱点じゃありませんでしたっけ?」
アーカードの様子に、リヴィオの口から疑問が漏れ出た。
「弱点さ。もっとも私は大嫌いなだけだがな」
「……なら、ニンニクや十字架はどうですか?」
「嫌いさ。勿論、それだけだがな」
「……それって卑怯じゃないスか?」
「だからこそ倒しがいがあるだろう?」
アーカードはそう告げながら、両手の親指と人差し指で長方形を形作る。
その四角形の中にリヴィオの姿を捕らえたアーカードは、己の劣勢に構わず、ますます笑みを深めていった。
まさしく狂乱である。しかし、その狂喜の中には、紛うことなき自らの強さへの自信があったのだ。
「さあ、お喋りはお仕舞いだ。おまえとの掛け替えのない時間を、こんなことで無駄にはしたくない。
闘争。それこそが私達の語らいにふさわしい…………そう思わないか? ああ……文句など言わせないさ。
何故なら次こそは、私が攻撃する番だからな。拘束制御術式『クロムウェル』――第3号第2号第1号、開放」
アーカードの身体が暗闇となり、そこから無数の黒い獣、鳥、蟲が現れた。
地面を黒く覆い尽くし、空を再び闇で染め上げるアーカードの使い魔の群れ。
それはまるで全ての命を貪り喰らわんとする漆黒の津波だ。
しかし、その絶対的な絶望を前にして、リヴィオは勇壮にダブルファングを構えた。
BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
地響きを起こすほどの爆音。ダブルファングは、ここぞばかり咆哮を続けた。
前後に銃口を持ち、上下左右前後に同時射撃が可能な二連式機関銃――二重牙(ダブルファング)。
圧倒的多数に対してこそ、周囲を敵に囲まれてこそ、ダブルファングという超兵器は映えるのだ。
使い魔の悉(ことごと)くは二重の牙により木っ端微塵と化す。
近づけない。空間を埋め尽くすほどの数が、一定距離以上に近づけないのだ。
どれほどの量を用いようと、どれだけ隙を突こうと、いかなる使い魔をけし掛けようと、その距離が壁となって塞ぐ。
当たり前だ。リヴィオこそ、かつてGUNG-HO-GUNSと呼ばれる人外戦闘集団で最強の一角を占めた魔人――
リヴィオ・ザ・ダブルファング。
その身体能力は物理限界を超えた速度の移動を可能とし、死角のない殺戮戦闘術を持つ。
「ククク、クハハ! 素晴ぁひゃッッ!!」
使い魔から湧き出たアーカードの顔を撃砕。視界の隅に映った僅か一瞬で、リヴィオは撃ち抜いたのだ。
背後の蟲一匹すら見逃さない。その卓越した技量の銃捌きは、最早神域と言って等しかった。
しかし、ダブルファングから吐き出される銃弾は、何ら神の祝福を受けておらず、おまけにその数は有限なものであった。
一方でアーカードの使い魔は、まさに無限と言っていいほどに延々と湧き出てくる。
このままの戦況が続けば、どちらが天秤が傾くかは、明白なものであった。
――失笑だ。秤(はかり)に乗せられる重さが常に一定だと言える闘いが、どこにある。
そこに変化がないのなら、リヴィオはウルフウッドとの闘いで負けることなど有り得なかった。
そしてその敗北の経験があるからそ、秤に何を乗せればいいか、リヴィオは冷静に、素早く選択出来る。
SQUASH!!
突如として、弾薬ケースを山ほど詰め込んだ木箱が一つ、アーカードの真上に降ってきて、彼を押し潰した。
リヴィオが戦場を後にし、一瞬にして弾薬庫から、それを掠めてきたのである。
勿論、それだけで終わるはずもない。木箱の上に立っていたリヴィオはそれを蹴り上げ、上空高くにジャンプする。
「些かマンネリした感がありますが、パニッシャーのロケットランチャーの砲弾。威力は折り紙つきです」
砲弾を思い切り投げた。それだけである。それだけで砲弾は音速を凌駕し、木箱へ到達。
そしてそこに詰め込められた大量の弾薬を巻き込んで、砲弾は大爆発を引き起こした。
KABOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
炎と熱は荒れ狂い、辺り一体に散らばったアーカードの使い魔を一匹残らず、飲み込んでいく。
黒い獣達は劫火に焼かれ、鳥達は熱風で吹き飛び、蟲達はその両方でもって蒸発した。
焼け焦げた大地には大きな穴が開き、砂漠の星ノーマンズランドもかくやという荒涼とした風景を見せる。
これでもまだ生きているとしたら、それこそお手上げという奴だ。
弾薬庫の屋根の上に降り立ったリヴィオは半ば勝利を確信しつつも、念の為にと凄惨な大地を見下ろした。
リヴィオの口があんぐりと開く。どこからか一匹の蝙蝠がやってきて、一箇所を滞空し始めた。
そしてそれからどんどんと蝙蝠の数が増えていき、あれよあれよという間に、怪我一つないアーカードが蝙蝠の中から現れたのだ。
「ククク!! 素晴らしい!! 秀逸だ!! 戦闘能力、戦闘経験、そして戦闘判断!! そのどれもが一級品!!
長らく生きてきたが、おまえほどの敵に出会ったことはない!! ああ! だからこそ、こちらも全てのカードを出しきろう!!
おまえとの闘い!! この夢のような一時!! 出し惜しみをして、怠惰な眠りになどしたくない!! さあ、闘いはこれからだ!!」
数匹の蝙蝠がバッグをもって、アーカードの元にやってきた。
戦利品として集めたそれは数が多く、戦闘の邪魔になるので、アーカードは使い魔に持たせ、戦場から遠ざけていたのだ。
そしてそれを再び手元に手繰り寄せたアーカードは、バッグの中から数々の支給品を取り出した。
「……なんか家に帰りたくなってきたな……いや、自分の家なんて持ってないスけどね」
リヴィオの口から諦念を感じさせる情けない言葉が漏れてきた。
だけど、それもしょうがないことなのかもしれない。
何故ならアーカードが手にした武器は、先ほどの黒い津波を超える絶望だったのだから。
アーカードの右手と左手それぞれに漆黒に染められたパニッシャーが登場。
更にアーカードの背中からは使い魔の集合体である黒い塊が手となって飛び出し、
ラズロのトライ・パニッシャーのように漆黒のパニッシャーを一つ掲げる。
そしてアーカードの身体からスタンド――クリームが飛び出し、右手にジャッカル
左手にはエレンディラ・ザ・クリムゾンネイルのネイルカノンをぶっ放すスーツケースを装備し、その銃口を雄々しく向けてきた。
まさしくワンマンアーミーであった。
「では始めよう…………闘いをッ! 闘争をッ!! 戦争をッ!!!」
BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
アーカードは喜色満面に全ての武器のトリガーを引いて、開幕の鐘を猛々しく鳴らした。
【一日目 朝】
【現在地 B-5 弾薬庫】
【アーカード@ヘルシング】
【状態】健康、歓喜
【装備】ジャッカル@ヘルシング(残弾 3/6)、ラズロのパニッシャー×3@トライガン・マキシマム(残弾100%)
エレンディラのスーツケース@トライガン・マキシマム(残弾100%)
【道具】ミカエルの眼の再生薬×3@トライガン・マキシマム、武器支給品×1、ランダム支給品×3、支給品一式×5
【思考】
基本 インテグラの命令がくるまで全力で闘争を楽しむ
1. リヴィオと闘う
2. ヴァッシュ、
空条承太郎と闘う
3. インテグラを……
【備考】
※北斗の拳の世界観を知りましたが、どうでもいいと思っています
※
シュウの知識(北斗の兄弟、南斗六聖拳のこと)を得ました。
※ヴァニラ・アイスの知識(
DIO一味、ジョースター一行、スタンド)を得ました
※ヴァニラ・アイスの血を吸ったことにより、スタンド(クリーム)を使えるようになりました
※今はインテグラより闘争の方に心が傾いています
※
アミバをトキだと思っています
【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
【状態】疲労(大)
【装備】二重牙(ダブルファング)@トライガン・マキシマム(残弾10%)
【道具】支給品一式
【思考】
基本 殺し合いの打破
1. アーカードを殺す
2. 核爆弾と弾薬を危険な奴らから守る
【備考】
※弾薬庫には核爆弾@トライガン・マキシマムが置かれています
弾薬庫の影に
ヴィータはいた。満身創痍では戦闘の役に立たない。
そう判断したヴィータは、リヴィオの闘いを
シグナムに預け、自らは回復に努めようとしたのだ。
そうしてこっそりと弾薬庫に侵入を果たしたヴィータは、魔力カートリッジで得た魔力を身体に注ぎ込み、怪我を治した。
早速参加者共を殺してやろう。そう息巻いた彼女だったが、そんな彼女の目に飛び込んできたのは、
シグナムと相対している筈のリヴィオに、銃撃や爆発を物ともしないアーカードであった。
シグナムを僅かな時間で一蹴するという圧倒的な戦闘力に、不死身とも思える再生力を持った化け物。
一体どうすれば、あんな奴らに勝てるというのだ。
BRR BRR BRR
弾薬庫の片隅で膝を抱えて身体を震わす。
八神はやてを救う。それは嘘偽りない信念だし、それを違える気持ちなど、ヴィータにはない。
だけど現実として、彼女の力ではどうにもできない壁が、目に見えるものなって存在しているのだ。
「クソッ!!」
自らの情けなさを痛感したヴィータは、苛立ち紛れに床を叩いた。
「クソ! ぜってぇーこんなとこで終わりになんかできねぇー。あたしがはやてを守るって約束したんだ!!」
そんな彼女の目の端に、ふと一つの爆弾が映る。
他の爆弾とは一線を画すデザインであり、また他の何百倍はあろうかという大きさだ。
爆弾であるが故に、決して言葉は発さない。しかし、それは言い知れぬ迫力を持った不気味なものであった。
それもその筈。弾薬庫の奥で、静かに鎮座していたのは、島一つを軽く消し飛ばすことの出来る核爆弾なのだから。
「これは爆弾……か? こんだけデカければ、あいつらを殺せるかな?」
核爆弾と知らないヴィータは、その威力を確かめるように爆弾の表面を撫で上げた。
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは A's】
【状態】疲労(中)、魔力消費(中)
【装備】グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのは A's
【道具】ランダム支給品、支給品一式
【思考】
基本 八神はやてを守る
1. 爆弾をアーカードとリヴィオにぶつける?
2. 八神はやて以外を殺す
【備考】
※
戸愚呂兄を殺したと思っています
※リヴィオの行動に困惑しています
※核爆弾を、ただの大きい爆弾だと思っています
【支給品情報】
リヴィオのもう一つの人格であるラズロが使っていた三丁のパニッシャー。
ウルフウッドのパニッシャーと同じ性能を持つが、色は黒く塗装されている。
- エレンディラのスーツケース@トライガン・マキシマム
スーツケースから展開するネイルカノンが武器で、巨大な釘を撃ち出す。
遥か遠く飛行するロストテクロノジーの戦闘機に一瞬で届き、撃ち抜いた後もさらに遥か後方まで飛んでゆくケタ外れの速度と破壊力を持つ。
奥の手としてパイルバンカーの後部カバーをパージして弦を極限まで引いて放つ攻撃手段も隠し持っている。
最終更新:2014年02月07日 20:36