デッキビルドパック(遊戯王OCG)

登録日:2023/06/14 Wed 17:06:34
更新日:2024/04/22 Mon 21:47:06
所要時間:約 35 分で読めます







「デッキビルドパック」とは、遊戯王オフィシャルカードゲームのパックのシリーズの1つである。

+ 目次

【概要】

第9期に登場していた「ブースターSP」の流れを受け継いだパックシリーズ。
ただしそちらと違い、こちらは収録カテゴリはOCGオリジナルテーマばかり。
その名の通り「デッキ」を構築(ビルド)するためのパックであり、基本的にこのパックを集めるだけで初出のテーマカテゴリ3つ(最初の方は既存テーマ1つと新カテゴリ2つ)のデッキの骨子は組めるようになっている。
公式でも「同じシリーズのカードがまとまって入っていて、収録カードだけでデッキ構築を楽しめるデッキビルドパック」と紹介されている。
通常パックと変わらない1パック5枚入りだが以下の特徴がある。

  • 収録テーマ3つのエースカードが表紙を飾っている。
  • パック名は基本的にカタカナであり、「~ズ」という単語で統一されている。
  • 収録カードのうち5分の1程度は再販カード。基本的に収録カテゴリーと相性が良いものが選ばれている。
  • パックの最後のカードがノーマルの場合パラレル仕様で収録されている。レア(通称「字レア」)カードは存在しない。
  • 1BOXに挿入されているパック数が15パックと、通常弾の半分。1BOXの値段も通常弾の半分。
  • アニメや原作、通常パックで展開されているストーリーに関係する新規カードの収録は基本的に行われない。
  • 後の通常パックで痒いところに手が届く強化がされる場合が多い。
  • ほとんどのパックに女性型モンスターばかりの美少女カテゴリが1つは含まれている。それ目当てに購入するデュエリストも多いとか。
  • 1年に2回、2月~3月と8月~9月に販売されている。
  • 公式からキャッチコピーがつけられている。
  • サーチカードの類が大体スーパーレアなのでサイフポイントにダメージを与える。

第10期から登場し、殆どの場合は環境に顔を出す強力なテーマカテゴリとなる場合が多い。
前述の通りこのパックを数BOX買うだけでほとんどのデッキを組むことができる揃えやすさと、通常パックの合間に登場し環境が硬直化しない事からデュエリストからの注目度も高いパックである。
ちなみに強力カテゴリが多いとはいうが、実は2023年6月現在まで禁止カードは1枚しか出しておらず、そういう意味でも比較的バランスの取れたカードパックと言えるだろうか。


【パックの種類】

スピリット・ウォリアーズ


己の魂をかけて戦え──。

記念すべき最初のデッキビルドパック。2017年8月11日発売。
「精霊の戦士達」ということで様々な属性を駆使するカテゴリが多い。

収録カテゴリは【魔弾】【天気】の新規2つと既存カテゴリの【六武衆】。
再録カードは何故かドローソースが多く、あの《増殖するG》も再録枠なのにスーパーレアで収録されている。


かつて一世を風靡した【六武衆】の新カード達は今までのような戦国武将ではなく忍者がモチーフの「影六武衆」として収録。
元祖六武衆を思わせる身代わり効果も持つが彼らの場合は墓地からの除外と言う形になっており、ボード・アドバンテージを維持しながら戦線維持が可能。
総じて墓地や除外に関する効果を持ったカードが多く、忍者らしく墓地や除外という影から六武衆を支援する。
だが正直な話カードパワーは控えめなものが目立ち、《影六武衆-リハン》など活用が難しいカードも少なくない。
過去に環境を席巻した【六武衆】のポテンシャルの高さを危険視されたためであろうか。

【魔弾】は扱いは難しいものの高い迎撃能力を持つ。カテゴリ名が示す通りガンマンや砲撃手をモチーフにしている。
こちらは様々なガンマンが架空、実在人物問わずモデルとなっている。
コントロール系のデッキであるが、場に「魔弾」モンスターがいる場合は手札から銃弾……魔法、罠を放つことが出来る。
その為この手のデッキが苦手とするバック破壊カードが全く苦ではない。
何をしてくるかわからない、どこから弾が飛んでくるかわからないという、相手としては不安の中で戦う事になるテーマである。
更に「LINK VRAINS PACK 2」で現れた《魔弾の射手 マックス》はヤケクソじみた展開力も持ち、一度通してしまうとその弾幕を超えることはほぼ不可能であろう。

【天気】はその名の通り天気の精霊のような存在で、可愛らしいイラストが特徴。
しかしその本質は天気モンスターに効果を与える永続魔法、永続罠が主体のデッキである。
大抵が天気モンスターの除外を必要とするが、得られる効果の多くはフリーチェーンであり、更にモンスターの除外ゾーンから帰還する能力と併せて「フリーチェーンで除外領域に逃げ込む」ムーブで徹底的に相手の攻勢を回避してしまう継戦能力に長けたデッキとなっている。
一方でその永続カードは「魔法・罠ゾーンから左上、真上、右上」のモンスターに効果を与える都合上位置取りが難しく、適当にカードを発動させたら本調子になれないという性質を持ち、さらにロービート志向のためにパンチ力にも乏しくともかく非常に扱いにくかった。
その事もあってかイラストアド以外は余り注目されていないカテゴリであったが、2022年に現れた《天気予報》によってデッキの回転力が大幅に高まり、さらに強力な制圧効果を持ちながら展開力の乏しい【天気】では扱いづらかった《虹天気アルシエル》の運用性が劇的に改善された事が追い風となり、地雷デッキ的なポジションで現環境でも戦える程のパワーを手に入れた。
また、10期に訪れた大きなルール変更の影響もあり、【魔弾】と【天気】は「カードの位置」がとても重要なテーマとなっている。
前者は「テーマ内モンスターと同列で魔法・罠が発動すると追加効果発動」、後者は「特定のモンスターゾーンにいるテーマ内モンスターに追加効果を付与」といった感じ。

ダーク・セイヴァーズ


その力は、救いか、破滅か──。

2018年2月24日発売。
収録カテゴリは【閃刀姫】【空牙団】の新規2つと既存カテゴリの【ヴァンパイア】。
そのタイトル通り闇属性が主体のテーマが収録されているが、セイヴァーは「救世主」の意味でもあり「何かを救おうとしている」共通点が見いだせる。
ヴァンパイアはちょい怪しいが「眷属にすることで死の恐怖や俗世の苦しみから解放する」という意味では、ある意味こちらも救世と言えるだろうか。


【閃刀姫】はレイちゃん早着替えショーリンク1モンスターとそれを支える魔法カード群から成るカテゴリ。
滅びゆく国を護るためたった一人で戦い抜く美少女……というフレーバー面も大人気で、後にこのテーマがメインの漫画も連載されることとなった。
設定を忠実に再現し、常に低攻撃力モンスター単騎で中長期戦を行う近年では珍しい【コントロール】系デッキだが、うまく扱えれば環境水準の強さを誇る。
総じてガチ・ファンの両面で人気を誇るテーマと言える。

獣人達の傭兵部隊をモチーフとする【空牙団】は、【閃刀姫】と対照的に高い展開力と物量が特徴的。
どこかソシャゲを彷彿とさせる多様なケモキャラを連鎖的に横並びさせ、仲間の力で盤面を形成する。
初心者にも扱いやすいテーマでありながら、うまく回ったときの総火力は圧倒的。
最強の空牙団は闘士でも英雄でもなく積荷ともっぱらの噂。

また既存テーマである【ヴァンパイア】も《ヴァンパイア・フロイライン》を始めとした新規が追加されている。
ライフを犠牲にしながら相手の墓地を漁り眷属を増やしていく、という形に落ち着いたようだ。
《ヴァンパイア・フロイライン》や《交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン》は効果の汎用性も高く、【アンデット族】の強化にもなった。
ある程度汎用カードも増えたため、コントロール奪取系テーマに出張することも多い。


ヒドゥン・サモナーズ


その召喚術は神秘なる力。

2018年8月4日発売。
収録カテゴリは【魔妖】【プランキッズ】の新規2つと既存カテゴリの【ネフティス】。
とはいえ【ネフティス】はこのパックが出るまでは厳密にはカテゴリではなく、また【魔妖】は名前こそ違うが【不知火】と関係が深くシナジーもある為、新規・既存の境目は曖昧なパックと言える。
このパックに収録されたカテゴリはどれも「既存の召喚法(融合儀式シンクロ)の内1つ+リンク召喚」が戦略の主軸となっているのが特徴。
方向性は違えど3つのテーマ全てに「秘密」が含まれており、得体の知れない力で相手デュエリストを翻弄する。


自分が破壊されることで魔法罠を全て破壊し、自らは戦場に舞い戻る【ネフティス】。
だが即効性が無いために、このパックが出た頃はもはや過去の栄光だった鳳凰神を信仰する少女達の存在が突如判明。
特にまだ子供にしか見えない《ネフティスの祈り手》は何やら強大な力を隠している様子。
他にも「ネフティスの像」や「形を変えて復活する鳳凰神」等が登場し、一気に物語性が増すこととなった。
一方デッキとしては、今までズッ友だった【炎王】とのシナジー性は薄くなり、また儀式やリンク等が絡み非常に複雑な物となっている。
とはいえ儀式による展開自体はやりやすく、その為に何かしらの儀式テーマのサポートに入ることもある油断ならないカテゴリだ。

日本妖怪モチーフの【魔妖(まやかし)】も美少女が登場するカテゴリで、運命に翻弄される少女達の友情が描かれる世界観は百合厨背景ストーリー愛好家を唸らせた。
性能面に関しても、アンデット族お得意の連続シンクロ召喚に特化しており、妨害がなければEXデッキが無くなるまで半永久的にシンクロ召喚を繰り返すことが出来る。
こいつらを相手取る時は《増殖するG》を投げるタイミングには注意が必要である。
強力なデッキであるがその強力さを発揮するにはEXデッキの殆どを「魔妖」で埋めなければならない。
そのジレンマとどう向き合うか、デュエリストの知識と経験が問われるテーマと言えよう。

残る1テーマは、キャラクター性でもストーリー面でも上2つとは大きくかけ離れた【プランキッズ】。発表された時は海外先行テーマかと騒がれた。
カートゥーンのようなその姿は他2つのカテゴリとは別のベクトルの可愛さと言えるが、その実態は一度騒ぎ出すとポンポン出てくる桁外れの展開力の持ち主であった。
とはいえ登場当初は爆発力は高いが初動に必要なカードが多く、その特異なイラストもあって余り評価されなかった。
彼らの脈動は約2年後に《プランキッズ・ミュー》が登場するまで待つこととなる……。


インフィニティ・チェイサーズ


求めよ! 無限なる力。

2019年2月23日発売。インフェルニティではない。
このパックから遂に3つ全てのカテゴリが新規となり、以降もこの傾向が続くこととなる。
収録カテゴリは【呪眼】【無限起動】【ウィッチクラフト】。
全てのテーマが物理的、知識的問わず何かしらを「追いかけている」。もしくは「追いかける力」に長けているテーマである。


【呪眼】は《セレンの呪眼》で相手の動きを止める「石化」をテーマとしたようなカテゴリ。二人の呪眼使いの権力争いがモチーフ。
呪われた眼は代償もあり、ほとんどのモンスターがデメリット効果を持っている。
ちなみに『守れ!しゅごまる』という漫画で何故か《呪眼の眷属 バジリウス》が登場し、余りにも絶妙なカードチョイスが話題となった事もある。

【無限起動】はその名の通り「無限軌道(キャタピラ)」をテーマとしたデッキ。古今東西の様々な重機を模したモンスターが特徴。
更に彼らの殆どが「機械族地属性」をサポートできるのでそれらのデッキやカードも混ぜやすいという、正しくデッキを回すことに特化したテーマと言える。
それゆえ純構築よりも、もっぱら「【地属性機械族(アースマシン)】」の形で組まれる。

そして特に話題をかっ攫ったのが美少女テーマの【ウィッチクラフト】。魔導具を作る工房の街の魔女達によるテーマ。
可愛い少女達が試行錯誤し新しい魔法を生み出す世界観と、手札の魔法を別の効果に変換するというある意味では非常に魔法使いらしい効果を併せ持つテーマである。
表紙にもなっている《ウィッチクラフトマスター・ヴェール》はこのパックに登場した時点でサボタージュしたりなんとも言えない表情で合成魔法を作ったりしておりコミカルなキャラなのでは?と言われていたが、2年後の年末にそれは事実だと判明する
その高い魔法回収力から、後にリンクスで【メスガキ粉砕機】なるパワーワードを生み出しバズったが、OCGではそんなことしない。

以上、3つとも強烈な個性を持ったパックと言えるだろうか。


ミスティック・ファイターズ


新たな世界を切り開け──!!

2019年8月3日発売。
収録カテゴリは【斬機】【ドラゴンメイド】【ジェネレイド】。
全てのカテゴリが大型モンスターを有する豪快なテーマであり、そして例外なく環境に顔を出している非常に強力なパックである。
「ファイターズ」というタイトル通り3つのテーマ全てが戦闘に長けているが、それまでの展開力にも長けており、神がかり=ミスティックな戦い方が出来る。


ヒロイックなロボットをモチーフとする【斬機】は展開型で相手の動きを封じながらエクシーズやシンクロを駆使して布陣を整えるテーマ。
中でも特徴的なのがレベル12《炎斬機ファイナルシグマ》で、ヤケクソじみた完全耐性と殺意に満ちた効果を併せ持つ、名実ともに最強最大のエースである。
代わりに縛りがサイバース族しか特殊召喚できないという類なので、他の汎用サイバース族と組んで展開することが半ば前提となる。
それ故《炎斬機ファイナルシグマ》より優先して【サイバース族】の最強エース《アクセスコード・トーカー》でフィニッシュを狙う場面もままあるが、こういったプランの切り替えが可能なのも強みと言えるだろう。
純構築よし、出張よしの優良テーマだがこの時はまだ一歩足りなかった。
が、2022年にその他のカテゴリが喉から手が出る程欲しがる効果を持った《斬機サーキュラー》が登場してから一転。自分ターンにはぶん回しながら相手ターンには妨害を構えられる盤面が安定して作れるという大幅強化と相成った。
……しかし間が悪いことに《斬機サーキュラー》が登場したパック「POWER OF THE ELEMENTS」は寄りにも寄ってOCGの歴史に名を残す程強力なテーマ【スプライト】、【ティアラメンツ】が収録された魔のパックであった。
その為めっちゃ強いカードが実装されたのに【斬機】はそれらが規制されるまでまだもう少し雌伏の時を過ごすのであった。
なおスプラやティアラより先に《斬機サーキュラー》が来たMD環境では当たり前のように暴れた。

竜人のメイドによって構成された【ドラゴンメイド】はおなじみ美少女カテゴリであるが、その中身はバリバリのドラゴン族
効果は強力だが能力が心もとない下級ドラゴン族を駆使して、圧倒的制圧力、破壊力を持つ上級ドラゴンを出すというのは古き良きドラゴン族の動きである。
イラストは下級がメイド人型形態、上級がドラゴン形態となっており、メイド形態は特に人気が高い。
魔法罠に描かれているイラストも彼女達の仕事風景であり、こちらも人気。
特に《ドラゴンメイド・ラドリー》は一人だけ未熟な言動を見せており、そのポンコツさや【ドラゴンメイド】と若干噛み合わないランダム墓地送りが災いし採用率が低いということで一端の人気キャラとなった。別カテゴリで活躍している姿も稀に見かける。
デッキとしては肝心の切り札である《ドラゴンメイド・ハスキー》が攻めてる時は強いが守りになるとそれほどでもない事や、融合カードである《ドラゴンメイドのお召し替え》をデッキから手札に加えることに一手間掛かることから使い勝手が良くなく、
後にサーチ能力の高い《ドラゴンメイド・チェイム》、制圧力の高い《ドラゴンメイド・シュトラール》が登場するまで雌伏の時を過ごすこととなる。

そして最後が北欧神話×ネットゲームのボスキャラをイメージした【(ジェネレイド)】。なんとほぼ全てのモンスターがレベルorランク9という超大型テーマ。
一方でフットワークは軽く比較的安易に出てくる。
また効果のコストをジェネレイドだけでなく自らの種族でも代用できる事から出張テーマとしても人気。
だが純構築の場合はやはり事故率が半端なく、安定性を大幅に上げる《王の影 ロプトル》が登場するまで雌伏の時を過ごすことに。

って3カテゴリとも雌伏してるじゃねーか!
ただしタイムラグはあれど3カテゴリ全てが環境に顔を出したという、こちらも優良パックと言えるだろうか。



シークレット・スレイヤーズ


──その秘密は今、解き放たれる。

2020年3月7日発売。
収録カテゴリは【エルドリッチ】【アダマシア】【六花】。
3カテゴリ中2カテゴリが発売直後から大暴れし、最後の1カテゴリも数年後に強化され強力になったという恐怖のパックである。
またしても「隠された秘密」をモチーフとした3カテゴリ。彼らの隠し事を暴き出す事、それは吉と出るか凶と出るか……。


黄金の不死王を題材とする【エルドリッチ】は《黄金卿エルドリッチ》以外は少しの魔法カードと多数の罠カードで構成されたテーマ。
一見難しそうであるが、その本質はあらゆる永続罠の制約をすり抜ける超強力カードである。
墓地の光属性・闇属性を問答無用で除去する【ビーステッド】が来るまで一定の評価がされていたカードであり、特に遊戯王マスターデュエルでは安く組めたこともあって稼働当初にお世話になったデュエリストも多いだろう。
ちなみに「ビルドパックの新カテゴリは後のパックで強化される」と言ったが、彼の場合はこのパックだけで主要カードが揃っている。
それどころか新カードで大して強くない融合体が追加されてしまい超融合》の対象になってしまうという弱体化を食らうこととなった。

【アダマシア】は岩石族のシンクロをテーマとしたデッキ。鉱石生物と、それらと心を通わせる探窟家のテーマ。
2008年に「チューナー」という概念が出てきてから12年間登場しなかった「岩石族チューナー」を軸に据えたことで話題となった。
その実態は、圧倒的な展開力から制圧布陣を敷く、今までの【岩石族】にはなかった系統の現代遊戯王カテゴリ。
彼らの登場により、今まで岩石族の中でも使いづらかったカードが再評価されることとなり、特に「書いてあることはおかしいが種族が……」枠だった《ブロックドラゴン》を絡めた展開は案の定ぶっ壊れ。
切り札である《魔救の奇跡-ドラガイト》も水属性が墓地にいるだけで相手の魔法を封じられる汎用性の高さから、他のシンクロテーマに顔を出すことも多い。

【六花】はおなじみ百合枠美少女カテゴリ。花の名を持つ少女達の集い。
「リリース」をテーマとした植物族カテゴリで、「相手モンスターをリリースする」という現代遊戯王においても最強格の除去手段を持つ。
……のだが、その効果を含め基本的に「自分のモンスターをリリースする」が発動条件で、その割に手札・デッキからの展開力に乏しかった。
テーマ内では、通常召喚または《六花精スノードロップ》以外で頭数が増えず、「いろいろ展開はしてるんだけどモンスターが増えない」ジレンマを抱えていた。
一応他の植物族をサポートする効果もあるにはあるが、上2つが強すぎることと弱点が明確なことから評価は低かった。
《六花聖ストレナエ》が出て多少マシになったが、彼女達が活躍できるのはもう少し後の事となる。
しかし追加カードが来たのが《斬機サーキュラー》と同じ「POWER OF THE ELEMENTS」だったりする。

ジェネシス・インパクターズ


星霜は彼方へ。憧憬は鮮烈な光彩を放つ―。

2020年9月12日発売。ジェネクス】ではない。
収録カテゴリは【イビルツイン】【マギストス】【ドライトロン】。
「インパクター」……衝撃を与えるもの、というパック名の通り、OCGの世界観に様々な方向から新しい局面を見せた、フレーバー的にも面白い3テーマである。
記念すべき11期最初のデッキビルドパック。


【イビルツイン】は、キスキル・リィラの二人を現実・電脳世界の両面から描いたテーマ。
メインデッキに入るVTuberめいたデフォルメ美少女アバターコンビと、EXデッキから出てくるミステリアスな美人怪盗コンビの二面性を併せ持つ、ロリコンも巨乳好きも大満足のビジュアルに優れたテーマ。
特に「Live☆Twin」のこれまでの遊戯王にあまり見られなかったカートゥーンアニメチックなイラストは大きな話題となった。
横に広がる能力は非常に高く、ドローや破壊効果を駆使して相手に圧を掛けていくが、このデッキが出た当初は切り札が少し使いにくかった。
それでも《Live☆Twin トラブルサン》の登場で地力はそこそこあり愛用者も多かったが、その真価は約一年後に突如現れた《Evil★Twin's トラブル・サニー》が出てくるまで秘められる事となった。

【マギストス】はレベル4の魔法使い族モンスターと、様々な種族のEXモンスターで構成された種族。
レベル4を並べてEXから召喚するという単純明快さと、モンスターを装備する複雑さが兼ね合ったテーマとなっている。
魔法使い族サポートとしても優れているのだが、特に注目されたのがその世界観。
なんとかつての魔法使い族を主体としたカテゴリのキャラクターが登場しているのだ。
おそらくは過去の姿であるが、突如明かされたその繋がりにストーリー考察は大いに盛り上がった。

そしてこのパック一番の問題児とも言えるのが【ドライトロン】。
モンスターは宇宙を駆け巡るドラゴン型の戦闘兵器であり、かつ「りゅう座」を構成する星々と流星群をモチーフとする。
レベルではなく攻撃力を参照する儀式カードで、通常の儀式召喚ではまず出せないような超大型の切り札を降臨させる。
……のが本来の使い方だった筈だが、その儀式カードで呼び出すモンスターに制限はない。
その為、今までイマイチ使いづらかった《崇高なる宣告者》が出しやすくなったと話題に。
更に《サイバー・エンジェル-弁天-》や《イーバ》で天使族を手札に構えれば、後は相手にもう何もさせずに勝利できる。
というわけで本来の切り札である《竜儀巧-メテオニス=QUA》と《竜儀巧-メテオニス=DRA》の優先度が下がることとなったが、この2体も出す苦労に見合った強さがある。見た目もモヤッとボールの固まりである《崇高なる宣告者》よりかっこいいし。
代行者を絡めてもそうじゃなくても油断ならないデッキである。

ドライトロンの化け物じみた強さが話題になったがイビルツインやマギストスもポテンシャルを秘めており、これもまた人気のパックと言える。


エンシェント・ガーディアンズ


(ふる)きに放たれし光、新たなる世界へ。

2021年3月6日発売。
収録カテゴリは【溟界】【ドレミコード】【ベアルクティ】。
「ガーディアンズ」という名の通り守備的なテーマが多い。


溟界(めいかい)】は見るからに怪しい雰囲気を感じさせるが、その実態は爬虫類族全体の汎用サポート。
また墓地肥やしにも長け、自己再生も絡めて相手をじわじわ追い詰める。
《スネーク・レイン》というぶっ壊れ墓地肥やしカードを持ちながら、墓地に落ちたときに効果を発動するモンスターがほぼいないという残念すぎる理由で規制に無縁だった【爬虫類族】に、とうとう現代的な墓地活用の風を吹き込んだテーマと言える。
古代エジプトのヘルモポリス神話に登場する8体の神「オグドアド」がモチーフであり、その良い意味での怪しさ、不気味さを愛するデュエリストは多い。

【ドレミコード】は今回の美少女枠。ドレミファソラシドの音階に因んだ名を持つ音楽隊。
ペンデュラム主体のデッキである。
またOCGにおいて「偶数」「奇数」という語句がテキストに記載された初のカードカテゴリ。ちなみに0は偶数として扱う。
目まぐるしく入れ替わるレベルやスケール。『「ドレミコード」Pモンスター』という表記と『「ドレミコード」Pモンスターカード』は厳密には違うというコンマイ語。
そもそもペンデュラムの扱いの難しさ等もあってか使用者はそれほど多くはなく、デッキビルドパック出身のカードとしては苦戦を強いられている。
しかし逆に言うと使用者は彼女達への愛が半端ない証拠である。

【ベアルクティ】はクマ型ロボットとそれらの母艦たる大戦艦のテーマ。
「メインデッキモンスターが高レベルばかり」「シンクロ召喚を引き算で行う」等、新たな試みがされている。
レベル1のシンクロモンスターという本来出せないカードで話題となった。
他にも大型モンスター簡単に出せたり、シンクロモンスターがレベルを持たないモンスターを咎める効果を持っていたりするのも特徴的。
しかし手札消費の荒さ、レベルを持つモンスターしか出せなくなる誓約、通常のシンクロ召喚とは異なる動きを挟みながらシンクロ等々のクセの強さからデッキ構築、プレイング共に難易度が高い。
ちなみに世界観的には前のパックで登場したドライトロンとは協力関係にあるらしく、双方をサポートする《天極輝艦-熊斗竜巧》というカードも登場している。なのだがドライトロン側には大したメリットのないカードになっておりネタになった。

総じて使う難易度が非常に高いテーマが揃ったパックとなっており、環境へ顔を出すことは余りない。
だがそれでもどのテーマも爆発力を秘めており、今後のカード次第では非常に面白いことになりそうなパックと言えよう。


グランド・クリエイターズ


煌めく世界を創り出せ!

2021年8月28日発売。
収録カテゴリは【P.U.N.K.】【エクソシスター】【勇者トークン】。
女性テーマ枠は【エクソシスター】が務めているが、他のカテゴリにも《No-P.U.N.K.セアミン》や《聖殿の水遣い》と言った可愛い子は多く、華のあるパックである。
ちなみにパッケージには【勇者】関係のカードが3体も映っている
3カテゴリとも「自らの得意な状況を生み出す、もしくは誘い込む」事に長けている。


P.U.N.K.(パンク)】は自分のライフを削りながら展開するシンクロテーマ。
パンクミュージックと日本の伝統芸能を組み合わせたカラフルなイラストが目につくが、中身はかなりの展開力を誇る集団である。
この時点でもかなり強かったが、後に《No-P.U.N.K.ディア・ノート》という展開の主軸に出来るカード、そしてカテゴリとは関係ないが《サイコ・エンド・パニッシャー》という明確な切り札を獲得してからは環境をひた走るようになる。
《No-P.U.N.K.セアミン》1枚から様々な展開に繋げられることもあり出張テーマとしての評価も高い、完成度の高いテーマである。
マスターデュエルではこのテーマを気に入ったとあるプレイヤーが【P.U.N.K】で世界一位を達成している。
一応は彼女達も美少女カード……と言いたいが、その《No-P.U.N.K.セアミン》の性別で一悶着あり、デュエル関係ないところで都度物議を醸し出す。

【エクソシスター】はエクシーズ主体のテーマだが、その本質は墓地メタ
「墓地から離れた時」という、現代遊戯王ではほぼ誰もが通る道に反応しエクシーズをする敏感な対応力の高いデッキである。
とはいえ当時は「相手のカードによる墓地弄り」にしか反応できず能動性に欠けていたが、失踪していた《エクソシスター・マルファ》が登場してから一転。
「自分の墓地弄り」にも対応しており、更に強力な特殊召喚効果を持つため、一気にデッキパワーが上がることとなった。
メタ効果を自作自演で回し始めるシスター、どこかで聞いたような……。
世界観も魅力的であり、荒廃した世界の人々の救済のために戦う少女達が描かれている。
力強く生きている彼女達に、失踪していた《エクソシスター・マルファ》の怪しい影がつきまとう。
デュエリストからはシスターたちの切り札のロボ百合の間に入ってたがマルファに追い出されたおっさん、ペットだったカバ等と外部モンスターいじりが目立っている。

しかしこのパックで一番注目されたのが、通称【勇者】と呼ばれる、「勇者トークン」を主体としたカード群だろう。
明確なカテゴリ名を持っていないが、「勇者トークン」を指定する共通効果を持つ、装備カード主体のテーマ。
……のはずなのだが《聖殿の水遣い》《アラメシアの儀》《流離のグリフォンライダー》《騎竜ドラコバック》《運命の旅路》の5枚だけでサーチ、展開、手札バウンス、相手の効果を無効化が安易に揃ってしまう事で、出張カードとして様々なデッキの隙間に入り込んでいるむしろ「その5枚以外知らない」という意見も出ている。
遺跡の魔鉱戦士「俺たちも!」外法の騎士「いるぞ!」
世界観としてはファンタジー世界に召喚された「勇者」が仲間と共に戦うという王道なもの。
……に見えるがどうにもキナ臭い部分が見え隠れしており、ブラックな世界観の多い遊戯王テーマに漏れずロクでもないことをしているのでは?と考察が盛り上がりを見せている。

全てのテーマが時期、影響度の違いがあれど環境に関わったという意味では優良パックと言えるが、勇者にトラウマを持つデュエリストもまた多い。
そして2023年6月現在、勇者出張セットの汎用性の高さ故にOCGにおいて、ビルドパックから登場したカード群の中で唯一《流離のグリフォンライダー》が禁止カードになってしまった*1

タクティカル・マスターズ


智略を尽くし、攻略せよ!

2022年3月19日発売。
収録カテゴリは【ヴァリアンツ】【ラビュリンス】【神碑【デーモン】
このパックは全てのテーマが「ゲーム」をモチーフとしている様子があり、それを反映したりしなかったりで特殊な動きをするデッキが多い。
「戦略の主」というパック名もそれを意識してのことだろうか。
ちなみにこれ以降のパックにもゲームモチーフのテーマは入り続けている。
また、パッケージには始めてモンスターカード以外のカードが描かれている。


【ヴァリアンツ】は和風テーマ、と当初は思われていたが蓋を開けてみれば和風陣営、SF陣営等がぶつかり合う「戦略型ボードゲーム」をモチーフとしたテーマであった。
ペンデュラム主体のデッキなのだが、他のペンデュラムテーマと比べて特に複雑であり、
「こっちに変なフィールド魔法貼られた」「なんか相手が回りだしたらヴァリアンツが盤面から消滅した」「モンスターが突然魔法罠ゾーンに押し込まれた」
「ヴァリアンツやろうぜー!」「ヴァリアンツ飽きたー!」「お前まだヴァリアンツなんてやってんの?
と使われる側からしたら何をやってるのかわからない事必至。
他にも発売当時16年前のカードである《ポジションチェンジ》指定カードが登場した点も話題になった。
ちなみに遊戯王の原作ではマジック&ウィザーズはカードを使ったボードゲームのような一面もあった為、ある意味では先祖返りと言うべきだろうか。

【ラビュリンス】は「タワーディフェンス(およびアクションRPG)」をモチーフとしたカテゴリ。ミノタウロスの迷宮のイメージも含まれている。
中身は通常罠をトリガーとしてとにかく相手の動きを阻害し続ける罠コントロールデッキである。
今回の美少女デッキ枠。ただし女性モンスターカードは3枚だけで他は家具のカードとなっており、今までのカテゴリよりかは少なめ(ただし他2つのカテゴリにも女性カードが混じっている)。
悪魔族なので悪魔嬢とも相性が良く、元々罠カード自体が「即効性がない為に強力」である事が多いので、登場時から一定の評価を受けている。
なおメインカードの《白銀の城のラビュリンス》は「騎士」の女性に執着する余り可愛い言動を見せており、設定資料集では騎士がいないだけでスンッと落ち込んだりジャージを着込んだりしている姿や新カードで大口開けてバカ笑いしてる姿が受けて、フレーバー的な人気も高いぽんこつ姫
後には強力な追加カード《迷宮城の白銀姫》《ビッグウェルカム・ラビュリンス》の登場により戦闘能力、展開力も大幅に上がり、今日も罠を仕掛けて「騎士」を待ち続けている。

神碑(ルーン)】は「一人称視点のファンタジー系RPG」がモチーフ。北欧神話も含まれる。
その為かカテゴリ内の殆どが魔法カードばかりであり、言わば原作の「マジック&ウィザーズ」の「プレイヤーは魔法使い」*2という設定が再現されたとも言える。
更にその魔法もほぼ全て速攻魔法であり、これらとフィールド魔法《神碑の泉》による大量ドローを行い、相手の動きを阻害しつつデッキの上から除外を行う神碑魔法カードに動き自体を縛る永続罠を使いまくる。
これらを駆使して相手のリソース……つまりデッキを尽くさせて勝利をさせるという、まさかのデッキキルテーマである。
速攻魔法の強力さに加えて全ての神碑カードが融合召喚を狙え、その融合モンスターも強力だが、特殊性からメタを受けやすい弱点もあるため主にシングル戦主体のマスターデュエルで大暴れした。
なおストーリー上では「神碑ゲーム」の敵キャラはなんと同じ北欧神話モチーフの【ジェネレイド】である。
ストーリーもある程度判明しており、王達を倒すために《王の影 ロプトル》が協力を申し出るが、実は彼は裏ボスで……と、普通に話としても面白そうである。


アメイジング・ディフェンダーズ


想いの力、それは護る力―。

2022年8月20日発売。
その名の通り「護る」事がテーマとなっている。
収録カテゴリは【R-ACE】【ピュアリィ】【御巫】。


R-ACE(レスキューエース)】はレスキューロボットと消防隊員をモチーフとしたカテゴリであり、全てのモンスターが攻守の同じ炎属性である。
相手モンスターの効果に呼応し特殊召喚できる効果を持ち、後攻からでも展開が出来るのが特徴的。
それらを駆使して展開し、相手という「災害」に立ち向かうのが彼らである。
フレーバーを反映し、消火栓である《R-ACEハイドラント》の存在を条件にする強力な効果が多く、それらを一気に4枚セットできる《R-ACEタービュランス》の効果は迅速にアドを取っていく。
守るべき物は災害や災いに巻き込まれた人々の命であろう。

【ピュアリィ】は可愛い動物系のカテゴリ。もしくは育成ゲームがテーマか。
OCGにおいて可愛い系の動物というだけで嫌な予感しかしないが案の定彼らも強力で、登場してからずっとトーナメントクラスに顔を出している。
エクシーズのピュアリィに愛情(という名の速攻魔法(という名のエクシーズ素材))を注いで強くしていくというコンセプト。
イラスト的にも人気がありピュアリィは可愛らしく、また「メモリー」と名の付くカードはイラストが写真立てのフレームっぽくなっており、デュエリスト、特にペットを飼っていた経験のある者の胸を打った。
守るべき物はまさしくピュアリィそのもの、もしくは成長したピュアリィが飼い主を守護するのかもしれない。

御巫(みかんこ)】は今回の美少女デッキ。
ビートでありながら相手に自爆特攻逆にダメージを与えるというコントロール寄りのデッキである。
ストーリー性の高いテーマであり、2人……その後1人増えて3人の少女達が「舞」を通じて成長していく。
しかしその3人共が多かれ少なかれ心の闇を抱えており……という、絵柄や設定等から90年代の少女アニメを想定させる。
このテーマの守るべき物は「友達」だと思われるが、現状本当に守れるか不安視されている。

わかりやすい「ピュアリィ」はこのパックの発売当初から環境に顔出ししていたが、「R-ACE」も追加カードが来てからそこそこ見かけるようになった。
「御巫」も決して弱いテーマではなく、強力テーマを複数擁した優良パックと言えよう。

ワイルド・サバイバーズ


滾る血潮で我が道を行く!

2023年3月18日発売。
第12期となってもデッキビルドパックは健在である。
収録カテゴリは【超越竜】【VS】【ヌーベルズ】。
そのうち【超越竜】はダイナソー竜崎のリメイクカードもあり、ビルドパックとしては初めて遊戯王原作に関連した新規カードの追加となった。
また「実質このカテゴリだが『カテゴリ名』を持たない新カード」「そのカテゴリ名を指定するカードがない」という珍しいカードも所属している。
ちなみに「ヒドゥン・サモナーズ」以来久しぶりにパッケージに人型の女性が映っておらず、女性モンスター自体は何枚か存在しているが美少女カテゴリも今回は欠席している。
「野性的に生き続ける」という意味のパック名が示す通り、3カテゴリとも「生きるための本能」「豪快なステータスや効果」を持ったカードが多い。


【超越竜】は新たな恐竜族デッキであり、通常モンスターを活用して動き大型恐竜を繰り出す動きが特徴。
「氷河期」「干ばつ」「異常気象」「隕石」といった様々な滅びを超越し、新たな境地へと至った恐竜達。
元々恐竜族は高いレベル、ステータスのモンスターを如何にして効率よく出すかが問われるテーマなので、【超越竜】にこだわらなくても恐竜族サポートとしても使うことが可能である。
また【通常モンスター】を主体としたデッキにもエッセンスとして盛り込むことが出来る。
豪快に見えてその実「縁の下の力持ち」が得意なモンスターたちである。
再録カードにも恐竜族には必需のカードが何枚か入っているため、特に組みやすいデッキと言えよう。

VS(ヴァンキッシュ・ソウル)】は格闘ゲームをモチーフとしたテーマ。
目の前にいるモンスター……即ち同じ列にいる相手に対し、リアルタイム……即ちフリーチェーンで技をぶち込む事を主体としている。
その技に対しては必殺技コマンドorサポートキャラクター……要するに手札のモンスターカードを見せることで行える。
フリーチェーンということで対応力は高いが、手札はほぼ相手にバレている為向こうも対応しやすいという、なんだか正々堂々としたデッキと言える。
またあらゆる所に様々な格闘ゲームのパロディをこれでもかとぶち込んでいる為、元ネタを探して遊ぶデュエリストも多い。
なお今回は美少女テーマはないが、このカテゴリに女の子モンスターが2枚存在している。

【ヌーベルズ】は高級レストランのコース料理とソロモンの72柱がモチーフの儀式テーマ。
このパックのテーマと比べて上品な雰囲気すら感じさせるが「食べる」ということは「生きる」事に直結している。
そして何よりやはりこのカテゴリも野性味溢れる荒々しさを持っている。
あのネタカードだった《ハングリーバーガー》を指定しているカードもあり、使っていてお腹が空いてくる。
しかしその正体は、個性豊かな料理人が繰り出すは悪魔的な……というか悪魔の名を冠した戦士族・獣戦士族な料理の数々で、最後はハンバーガーで相手フィールドが更地になって〆。
料理は残さず食べましょう……そんなマナーの通りに相手カードは残さずリリースされるという、いつの間にか食べる側と食べられる側が入れ替わっている恐ろしいテーマであると言えよう。
誰が呼んだか注文の多いヌーベルズ。
このテーマにも女性モンスターが描かれた魔法カードが存在しており、のちのパックにて実装された。


ヴァリアント・スマッシャーズ


勇気を示し、運命を打ち砕け!

2023年8月26日発売予定。
収録カテゴリは【メメント】【センチュリオン】【ヴァルモニカ】【ゴブリン】の3つ。
前回と違ってなんとパッケージに女性モンスターが3体も映っている他、全カテゴリに女性型モンスターが所属している華やかなパックとなっている。
このパックから色々と仕様が変わっており、まず表紙に登場しているモンスターのほとんどのレアリティはノーマルという個性的な構成をしている。*3
また今まではシークレットレアはウルトラレアの派生だったが、今回からはその対象がノンレアにまで広がっている。表紙のカードもシークレット仕様が存在している。
加えて今弾には特別な25thシークレットレア仕様のカードが各テーマに1枚ずつ計3枚収録されているが、その全てが女の子が描かれたカードだったりする。
地味に再録カードも豪華であり、妖怪少女の一員である《儚無みずき》や、高いロック力を持つエクシーズモンスター《No.41 泥睡魔獣バグースカ》なんかがノーマルで収録されている。
レギュラーパック「LEGACY OF DESTRUCTION」にて3テーマとも大幅に強化され、その次のパック「INFINITE FORBIDDEN」でも更にカードが追加されている。2024年前半のデッキビルドパックがない代わりとか言われている。


【メメント】は今まで通りビルドパック初出のカテゴリであるが、その正体はなんと懐かしのバニラモンスターが変化した姿である一部で話題となった《シーホース》君も転生している。
フレーバーテキストをなんとか効果に落とし込もうとしているのも特徴か。一部無茶なのもあるが。
またメメントの名前の由来である「メメント・モリ」はラテン語で「死を想え」などを意味し、現在では「人はいつか死ぬがそれまで精一杯生きよう」という戒めの言葉として使われる。
その為かモンスター達は髑髏のような意匠を纏っており、不気味さを感じさせるデザインとなっているが、アンデット族ではないのが特徴。
「死と生」をイメージしている為か破壊と墓地利用テーマとなっており、下級モンスターを次々破壊して最終的に切り札の《冥骸合竜-メメントラル・テクトリカ》を出すのがメインのテーマである。
「LEGACY OF DESTRUCTION」ではまさかの融合モンスターと専用融合カードも登場した。
ちなみにかつてのバニラモンスター達のリメイクということと名前の響きから《モリンフェン》の登場も期待されているが、裏コンセプトが「過去のモンスター達が忘れられないようにメメントとなった」というものなので記憶に残りやすい彼の登場は難しいだろうか。
このテーマの勇気は「死を恐れず、生も恐れず」といった所だろう。


【センチュリオン】は「古代ローマ時代の百人隊長」を意味するカテゴリ。
公式のキャッチコピーは「絆の力で起動する鋼鉄の騎士」。
第12期開始以降公式が推しているシンクロを主体としたテーマであり、永続罠カード扱いとして《灰流うらら》を回避しつつ設置できるモンスター達を駆使してレベル12の大型シンクロを狙う豪快なデッキ。
単にレベル8やレベル12シンクロのサポートとしても優秀であり、魔法罠もサーチの類が多い強力なものが揃っている、わかりやすい動きのテーマと言えよう。
召喚権を食わずに連続サーチをする都合上デッキ圧縮もしやすいという、出張力の高さも注目されている。
少女達が騎士型のロボットのようなものに戦う事から、どうやら戦車のセンチュリオンも意識したカテゴリ名と言えるだろう。
そしてこんな普遍的な単語なのに今まで遊戯王OCGで使われていなかった事に驚いたデュエリストは多い。天装騎兵ケントゥリオン》? 知らない子ですね……。
どうにも何かしらの競技に参加しているような描写がされており、「LEGACY OF DESTRUCTION」ではライバルらしき存在も登場。設定の解明が待たれている。
コナミつながりだからってボンバーバトルジョーカーチェイスではないと思いたい。
このテーマの勇気は「戦いないし試合に赴く勇気」と言えるだろう。

【ヴァルモニカ】は、どうやら漫画の表現でよくある「天使と悪魔の囁き」をイメージしたカテゴリである。
公式のキャッチコピーは「天使と悪魔の(こえ)が戦況を左右する!」。
回復、ダメージを繰り返すたびにペンデュラムモンスターである《天使の聲》《悪魔の聲》に「響鳴カウンター」が乗っていき、それが3つ溜まった時に効果モンスター1体でリンク召喚できる攻撃力2500の強力モンスター《ヴァルモニカの異神-ジュラルメ》《ヴァルモニカの神異-ゼブフェーラ》を召喚するというもの。
聲の2人は可愛いが、リンクモンスターは形容しがたいナニかとなっている。
ペンデュラムテーマであるがそのスケールは3と5なので実質的にレベル4に特化したテーマであり、様々なレベル4主体テーマへの出張能力も期待されている。
しかしカウンターを乗せるのに手間がかかる低速テーマということもありほぼ出張のような扱いだったが「LEGACY OF DESTRUCTION」にてその辺りをうまくサポートするカードが登場し、ようやく純構築でも動かしやすくなった。
なお《天使の聲》《悪魔の聲》の2人もレベル4である。
カテゴリ名は楽器の「アルモニカ」を捩った、他の2つと違い造語。
透き通った音色を持つが「精神を狂わせる」というデマが流れ「天使の声」から転じて「悪魔の声」と呼ばれた悲運の楽器である。
また魔法カード《ヴァルモニカ・シェルタ》に書かれた少女《天魔の聲選姫》は「世界の運命を託された」との事で、このテーマの勇気は彼女絡みだろう。少し不安げな表情であるが……。





デッキビルドパック アニメオタク・ライターズ
【追記】【修正】【オネガイシマス】の3つのカテゴリが収録されている。

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最終更新:2024年04月22日 21:47

*1 TCG及びMDではまだ禁止になっていない

*2 元を辿れば『マジック:ザ・ギャザリング』の「プレイヤーは次元旅行者」

*3 一応グランド・クリエイターズの表紙にもノーマルモンスターはいたが、そのカテゴリのウルトラレアが映ってないのは初めての事