不安に思うこと


不安について語る上で、「何に対して不安に思うのか?」と、「不安とは何か」いう、大きく二つの観点に分かれる。
前者はさらに、個人的不安と社会的不安に、後者は、より狭義の不安とは何かという探究や、不安をもたらす背景についての考察がみられた。

Ⅰ.何に対して不安に思うのか?

◆個人的不安

  「孤独死するんじゃないか?」「お金が貯まるのか?」「就職できるのか?」という具合に、現代は様々な将来への不安が語られている。
  これだけ将来に向けての不安が多いと、子供の将来など、自分が世を去った後のことまで不安に駆られてしまうケースも見受けられる。
  また、生活上の不安のみならず、自我の揺らぎという意味での不安まで生まれてくる傾向にある。

◆社会的不安

  安全保障問題や経済大国としてのプレゼンスの後退など、日本という国家の存亡という次元での不安が、近年大きくなりつつある。
  その背景として、技術流出による製造業の衰退、意思決定が遅い日本企業のシステム、労働条件の悪化、日本人の国民性など、
  様々な不安要素が浮上し、モノづくりの伝統のように、かつての日本の強みがいまや弱みになっていることなどが、
  日本及び日本人のアイデンティティが失われるのではないかという、さらなる不安を招いている。
  さらに、3.11により地震大国としての日本の現実を思い知らされ、原発事故によって出口の見えない状況に陥ったこともあり、
  様々な不安要素が複雑に絡み合い、個別に解決することが困難となり、何が不安かすらもわからない状況も垣間見られる。

Ⅱ.不安とは何か?

◆不安の意味づけ・認識

  不安は生存本能の表れで、人を動かす動機づけ・目的となったり、変化に対する想像力や、変化をを察知するセンサーという側面もある。
  常に不安を抱くことは、呼吸しているのと同じで、人が生きている証といっても過言ではないかもしれない。
  一方で、不安の高まりが不満に変化し、やがて不信をもたらすという危険性もある。 

◆似て異なるもの

  不安とは読んで字の如く、安心できない状態のことかといえば、必ずしもそうではない。
  また、リスクという言葉は、不安と似た意味で使われる概念だが、何がどう問題なのかがよくわからないところに不安を感じるのに対し、
  リスクはそれが見えているという意味で、不安とは異なる。

◆不安に相当する英単語

  anxiety
   (危険や不幸を気づかって起こる)苦悩、不安、心配、懸念
   精神医学不安、苦悶
   (…についての)心配事、心配の種

  insecurity
   不安定、頼りなさ、危険、不安(感)、確信(自信)のなさ
   危険(不安定)なもの、危なっかしいもの

  uneasiness
   不安、心配、不快、窮屈

  unrest
   不安、心配
   (社会的・政治的)動揺

   いずれも不安という日本語が意味として含まれるが、それぞれ背景が異なっている。
   それだけ不安という日本語の名詞は、雲のようにもやっとしてつかみどころがなく、人智でコントロールができない概念で、
   だからこそ人を不安にさせると考えられる。
   (英単語の意味はe-プログレッシブ英和辞典を参照)











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最終更新:2012年07月16日 20:06