1 勢力
「ノアの箱舟」
2072年、ニューロフォビアとのファーストコンタクトを経て誕生したテロメア・ドライブ開発組織、およびその開発計画の通称。
表向きは「ニューロフォビア撃滅のための戦闘用テロメア・ドライブ開発」を目的とした組織だったが、多数の勢力による思惑が絡み、その在り方は二転三転していくことになる。
だが、その本当の目的は設立当初から一貫して変わっていなかった。第一部終盤でそれが明かされ、「ノアの箱舟」が打倒された後の世界を舞台にして第二部が開始される。
表向きは「ニューロフォビア撃滅のための戦闘用テロメア・ドライブ開発」を目的とした組織だったが、多数の勢力による思惑が絡み、その在り方は二転三転していくことになる。
だが、その本当の目的は設立当初から一貫して変わっていなかった。第一部終盤でそれが明かされ、「ノアの箱舟」が打倒された後の世界を舞台にして第二部が開始される。
新世界連合
2032年、世界永世平和宣言(DWP)の締結と共に誕生した世界平和機構。後に銀河連邦へと併合される。
第三次世界大戦の爪痕が残る地球においてその影響力はとてつもなく大きく、また人類全体が平和を渇望していたこともあり、発足からしばらくは平穏な時が訪れた。
第三次世界大戦の爪痕が残る地球においてその影響力はとてつもなく大きく、また人類全体が平和を渇望していたこともあり、発足からしばらくは平穏な時が訪れた。
銀河連邦
2096年に結成。新世界連合、およびアルマリオン共和国が共同で作り上げた、人類史上最大規模の同盟。結成時、新世界連合は銀河連邦の一部として吸収されることとなった
アルマリオン帝国
2085年建国。かつて東側諸国と呼ばれた国々が新世界連合を脱退して作り上げた新国家(便宜上国家と記述するが、新世界連合からは国として承認されていなかった)。アステリアンの権利拡大、および月を中心としたアルマリオンの自治権を要求し、それを容認しなかった地球・新世界連合との間に第二次月蝕戦争が勃発した。
極秘に開発を進めていた戦闘用テロメア・ドライブ部隊によって連合側を圧倒したが、最終的にエーデルヴァイスを中心とした月面殴りこみ艦隊「ストライカー」によって首脳部が壊滅。三年に渡る戦争は終結し、双方合意の上で新国家・アルマリオン共和国が誕生した。
極秘に開発を進めていた戦闘用テロメア・ドライブ部隊によって連合側を圧倒したが、最終的にエーデルヴァイスを中心とした月面殴りこみ艦隊「ストライカー」によって首脳部が壊滅。三年に渡る戦争は終結し、双方合意の上で新国家・アルマリオン共和国が誕生した。
アルマリオン共和国
2090年建国。第二次月蝕戦争に敗れたアルマリオン帝国がそのまま共和制に移行する形で誕生した新国家。月を拠点とする。
穏健派として知られるディエゴ・アルマリオンが父親から指導者としての立場を譲り受けたことなど様々な変化はあったが、これまで誰もが無意識に「宇宙人」と大なり小なり蔑んでいたアステリアンへの認識を完全に否定し、テラノイドとアステリアンが対等な立場にあると歴史上初めて公式に認められたことが最も重要であったとされる。
穏健派として知られるディエゴ・アルマリオンが父親から指導者としての立場を譲り受けたことなど様々な変化はあったが、これまで誰もが無意識に「宇宙人」と大なり小なり蔑んでいたアステリアンへの認識を完全に否定し、テラノイドとアステリアンが対等な立場にあると歴史上初めて公式に認められたことが最も重要であったとされる。
正十字隊
アルマリオン帝国残党軍。2101年にNX-10を、翌年にNX-6をそれぞれ火星衛星・火星基地から強奪し、ウェルギリウス社に「ノアの箱舟」の機密情報を流した。
宇宙軍
ニューロフォビアとのファーストコンタクトを契機にして、連邦軍人を中心にして結成された辺境宙域防衛組織。結成当初は足りない戦力を補う為、民間人にも一部職務委託を行なっていた(のちに、その時の人員は全て正式に佐官待遇で迎え入れられた)。
ほとんど捨石とも言えるような状況にあって勇敢に戦い、ニューロフォビアの侵攻を大いに抑えた。また、彼らの活躍があってこそ戦闘用テロメア・ドライブ開発も順調に進んだと言える。
ほとんど捨石とも言えるような状況にあって勇敢に戦い、ニューロフォビアの侵攻を大いに抑えた。また、彼らの活躍があってこそ戦闘用テロメア・ドライブ開発も順調に進んだと言える。
討伐府
2105年、増大した宇宙軍を中心に結成された自衛組織。辺境宙域を中心に独自の支配圏を作り上げ、地球外惑星系企業連と利権を巡って度々衝突している。
タイタンズ・ハンマー
外伝メタル・ジャッジメントに登場。未来の地球を支配する独裁政府。「過去に討伐府と呼ばれていたことがある」と説明されるが、メタル・ジャッジメントの世界観はパラレルワールド的側面の強い物であり、必ずしも正史というわけではない。
地球外惑星系企業連(ギャラクシアン・マーカンティラス)
テラフォーミングの完了した月、パラテラフォーミングの推進により移住の続く火星および木星、それぞれの惑星に根付いた市場ネットワークを取りまとめる上位組織。
地球とは別に独自の商業ネットワークを形成することでアステリアン社会の商業の促進・活性化を図るという目的のために誕生した組織だったが、次第に力を付け、増長。2123年に人類武装戦線が引き起こした大規模テロ・ヴァルクホルン戦役の際には更なる利権拡大のために東奔西走したが、結果としてこの行為が自らの首を絞めることとなった。
地球とは別に独自の商業ネットワークを形成することでアステリアン社会の商業の促進・活性化を図るという目的のために誕生した組織だったが、次第に力を付け、増長。2123年に人類武装戦線が引き起こした大規模テロ・ヴァルクホルン戦役の際には更なる利権拡大のために東奔西走したが、結果としてこの行為が自らの首を絞めることとなった。
火星系重商企業連(マーズ・マーカンティラス)
地球外惑星系企業連に所属する企業連合の一つ。
イクリプス
2082年、月面都市ルブラン・マージュを根城に第一次月蝕戦争を引き起こしたテロ組織。人間同士の戦闘を前提にして開発されたテロメア・ドライブを運用した初めての組織である。
同戦争では人類史上初のテロメア・ドライブ同士の実戦も行われた。
同戦争では人類史上初のテロメア・ドライブ同士の実戦も行われた。
グラナダ
地球を中心に活動したテロ組織。
人類武装戦線
2123年、ウェルギリウス社および関連軍事メーカー各社を中心にして結成された反政府組織。正十字隊の働きによって箱舟計画の真の目的を知り、それを阻止するために銀河連邦相手に戦争を仕掛けた。カロンシステムによる人類の安全を確約する彼らに対し、民衆の意見は真っ二つに分かれることとなり、戦争は予想以上に長期化することになる。
しかし結果として壊滅した彼らは、箱舟計画の真相について誰にも伝えることが出来ぬまま歴史の闇へと埋もれていった。最初からその秘密を公開しなかった理由としては、「ノアの箱舟」が今や人類の大きな希望として機能していたこと、計画の真相を公開することによって人類全体が再びバラバラになるのを防ぐためといった理由が挙げられる。
しかし結果として壊滅した彼らは、箱舟計画の真相について誰にも伝えることが出来ぬまま歴史の闇へと埋もれていった。最初からその秘密を公開しなかった理由としては、「ノアの箱舟」が今や人類の大きな希望として機能していたこと、計画の真相を公開することによって人類全体が再びバラバラになるのを防ぐためといった理由が挙げられる。
2 企業・団体
2-1 メーカー
- ウェルギリウス・インダストリアル(ウェルギリウス社)
NX-3PT開発から「ノアの箱舟」に参入した軍事企業。総資産は500億ギャラクティカ・ドルを超える大企業で、兵器メーカーとしてはイグニート・レッド社に次ぐ業界第二位にあたる。
その優れた手腕から「ノアの箱舟」内での地位を上げ、ついには一から機体の開発を任されることになる(あくまで連合側が主導で進めてきたこのプロジェクトにおいて、これは異例中の異例と言える決定だった)。
“人類の希望のために尽力する正義の企業”というイメージ……しかし、真の目的はテロメアドライブ開発のノウハウを完全に物にすることにあり、最終的には地球を裏切り新たなる内戦の火蓋を切ってしまうことになる(ヴァルクホルン戦役)。
その優れた手腕から「ノアの箱舟」内での地位を上げ、ついには一から機体の開発を任されることになる(あくまで連合側が主導で進めてきたこのプロジェクトにおいて、これは異例中の異例と言える決定だった)。
“人類の希望のために尽力する正義の企業”というイメージ……しかし、真の目的はテロメアドライブ開発のノウハウを完全に物にすることにあり、最終的には地球を裏切り新たなる内戦の火蓋を切ってしまうことになる(ヴァルクホルン戦役)。
※なお、謀反を決心したのはCROSSWARS一作目、鵡幻白装エーデルヴァイス外伝 白き幻影、黒き死神においてNX-6から回収された機密データを回収してからのことだった(それまでも「ノアの箱舟」の裏に潜む大きな秘密を勘ぐってはいたが、その詳細は知り得なかったため)。
※※彼らは「ノアの箱舟」の最終計画の完遂を阻止するために銀河連邦に反旗を翻した。人類の多くがそのことに気付くのはもう少し後のことだが。
※※彼らは「ノアの箱舟」の最終計画の完遂を阻止するために銀河連邦に反旗を翻した。人類の多くがそのことに気付くのはもう少し後のことだが。
- アスタリスク(アスタリスク社)
- ベルトロガー9(ベルトロガー社)
- ヘファイストス・グランジール・コーポレーション(グランジール社)
火星系重商企業連(マーズ・マーカンティラス)所属の航空機メーカー。NX-11シリーズの設計開発を担当。
2-2 その他の団体
- NASA2研
- メルクリウス一家
- 第七世代戦闘機開発チーム
アメリカのボーイング・センチネル社とロシアのスホーイ社らがプロジェクトの主軸となって結成された、新世代戦闘機開発チーム。
開発受託という形で軍用機体の開発・製造を行なっていたが、軍上層部が「ノアの箱舟」と強く結びついていたこともあり、その歴史の影には多くの陰謀が存在した。
開発受託という形で軍用機体の開発・製造を行なっていたが、軍上層部が「ノアの箱舟」と強く結びついていたこともあり、その歴史の影には多くの陰謀が存在した。
3 用語解説
3-1 本作独自の用語
- テロメア・ドライブ
宇宙開発用に開発されたロボット。元々はパワードスーツのようなものだったが、開発が進んでいくうちにサイズが巨大化、結果14mほどのサイズに落ち着いた。「テロメアドライブ」と中黒なしの表記が多くなされる。
「ニューロンリンカー」と呼ばれるシステムによりパイロットの五感とマシンを直結し、これを操縦する。複雑な手順を踏まずに直感的な操縦を行える分、パイロットへの負担は非常に大きく、マシン側のプログラムやAIでこれをある程度軽減する工夫がなされている。
テロメアドライブが単純な作業機械やポッドの類ではなくロボットの形になった経緯には様々な説が存在するが、中でも最も有力なのは「未知の世界である宇宙空間で作業を行うにあたり、生身の手足をそのまま巨大かつ強大に延長したものを持つことで“そこにあるという感覚”、安心感・安定感を得ることが出来る」というものだ。真偽のほどは定かではないが、パイロットたちの間にもこの風説が強く根付いている以上、それでいいのかもしれない。
「ニューロンリンカー」と呼ばれるシステムによりパイロットの五感とマシンを直結し、これを操縦する。複雑な手順を踏まずに直感的な操縦を行える分、パイロットへの負担は非常に大きく、マシン側のプログラムやAIでこれをある程度軽減する工夫がなされている。
テロメアドライブが単純な作業機械やポッドの類ではなくロボットの形になった経緯には様々な説が存在するが、中でも最も有力なのは「未知の世界である宇宙空間で作業を行うにあたり、生身の手足をそのまま巨大かつ強大に延長したものを持つことで“そこにあるという感覚”、安心感・安定感を得ることが出来る」というものだ。真偽のほどは定かではないが、パイロットたちの間にもこの風説が強く根付いている以上、それでいいのかもしれない。
- ニューロフォビア
人類が遭遇した、外宇宙の脅威。有機生命体的な外見をしてはいるが、一切の意思の疎通は図れず、ただ無言で太陽系を侵攻し続けている。調査の結果、外宇宙でも他の天体を滅ぼしてきたらしいことが判明した。
「神経細胞恐怖症(ニューロン・フォビア)」の名が示すとおり、彼らは生命体ではあるが人間らのような動物とは根本的に異なる存在である。彼らの身体構造は他の生命の何物とも合致せず、また不自然に空虚であった。どう生きているのか、どう生まれたのか、どう思考しているのか……何もかもが不明。ブラックボックスだらけのその様相から「虚無構造生命体」との別名でも呼ばれる。
弾丸やビーム兵器といった既存の兵器は効果が薄く、物量面でも圧倒的なニューロフォビアに対してはあまりに非効率的であった。そこで、人類は万物理論の発展により存在を解明したばかりの超物質「エーテル」を武器として転用、彼らへの対抗策とした(それまではテロメアドライブの動力源としてのみ用いられていた)。
時や空間の流れを司る媒質であるエーテルを虚無構造生命体であるニューロフォビアへ過剰な量を照射することで、その理解不能な身体構造にも深刻な影響をもたらし、大きなダメージを与えることが出来るとの実験結果が出たからだ。
エーテル砲の誕生である。
「神経細胞恐怖症(ニューロン・フォビア)」の名が示すとおり、彼らは生命体ではあるが人間らのような動物とは根本的に異なる存在である。彼らの身体構造は他の生命の何物とも合致せず、また不自然に空虚であった。どう生きているのか、どう生まれたのか、どう思考しているのか……何もかもが不明。ブラックボックスだらけのその様相から「虚無構造生命体」との別名でも呼ばれる。
弾丸やビーム兵器といった既存の兵器は効果が薄く、物量面でも圧倒的なニューロフォビアに対してはあまりに非効率的であった。そこで、人類は万物理論の発展により存在を解明したばかりの超物質「エーテル」を武器として転用、彼らへの対抗策とした(それまではテロメアドライブの動力源としてのみ用いられていた)。
時や空間の流れを司る媒質であるエーテルを虚無構造生命体であるニューロフォビアへ過剰な量を照射することで、その理解不能な身体構造にも深刻な影響をもたらし、大きなダメージを与えることが出来るとの実験結果が出たからだ。
エーテル砲の誕生である。
- 月蝕戦争
エーデルヴァイスシリーズにおいて、月は度々人類同士の戦いの舞台となっており、それらの戦争を総称して月蝕戦争と呼ぶ。第三次まで存在。
それらを簡単にまとめると、
●第一次月蝕戦争(2082)…テロ組織「イクリプス」による月面都市ルブラン・マージュ制圧に端を発する戦い。人類初のテロメアドライブ同士の戦闘が行われた。(OPERATION PHOENIX)
●第二次月蝕戦争(2085-2090)…テラノイドに対して不満を持つアステリアンたちを中心としたアルマリオン帝国が引き起こした戦争。(鵡幻白装エーデルヴァイス)
●第三次月蝕戦争…まだかんがえてません
それらを簡単にまとめると、
●第一次月蝕戦争(2082)…テロ組織「イクリプス」による月面都市ルブラン・マージュ制圧に端を発する戦い。人類初のテロメアドライブ同士の戦闘が行われた。(OPERATION PHOENIX)
●第二次月蝕戦争(2085-2090)…テラノイドに対して不満を持つアステリアンたちを中心としたアルマリオン帝国が引き起こした戦争。(鵡幻白装エーデルヴァイス)
●第三次月蝕戦争…まだかんがえてません
- カロンシステム
ギリシア神話の冥府の川・アケローンの渡し守カロンをその名に持つ、対ニューロフォビア用無人防衛システムの総称。外宇宙に最も近い人類の拠点・冥王星、その衛星カロンが由来であるとも言われる。軍事企業のウェルギリウス社が中心となって開発された。
カロンシステムは全体で三つの要素を持つ。エーテルの正常な拡散を妨害するための亜空乱流域(エーテル・カタストロフィールド)、乱れたエーテル場で真価を発揮する「零確率エーテル砲」を搭載した無人テロメアドライブ・CT-2Wジュナイア、および拠点衛星の三つである。
何らかの理由(エーテル砲の多用など)により正常にエーテルが拡散していない領域においてニューロフォビアの生命維持機能および特性が阻害される、ということはこれまでのデータから推測されていた。そこで開発された亜空乱流域は「特定宙域におけるエーテル場を意図的に乱れさせることで有利な戦闘空間を作り上げる」ことを可能にしたが、実験の中でそのような空間では人体は勿論のこと、彼らと戦うためのテロメアドライブにまで深刻な影響を及ぼしてしまうことが判明してしまった。
そこで、フィールド内での戦闘を目的に無人のテロメアドライブが開発されたが、今度はエーテル砲が暴発し使い物にならない。開発部はそこから更に研究を重ね、これまでとはまったく違う原理でエーテルを撃ち出す「零確率エーテル砲」を完成させ、人類史上初の無人テロメアドライブ・ジュナイアが誕生したのだった。
しかし、一機あたりのコストが非常に高い割にAI駆動の弊害として被弾率も高く、とかく戦闘不能に陥りやすいジュナイアを圧倒的な物量差の防衛作戦に投入しても費用対効果が釣り合わない。また、操縦自体は完全無人でも、メンテナンスの手間は通常のテロメアドライブのそれよりも遥かに大きくかかってしまうという難点もあり、防衛圏には拠点衛星の設置が余儀なくされた(あまり重要でない防衛地点には設置されない場合が多かったが)。
このような苦労を経て、結果として小規模なニューロフォビアの侵攻をことごとく防ぐ戦果を上げたカロンシステムだったが、最終的にはウェルギリウス社の謀反に合わせて人類の敵となってしまう。
カロンシステムは全体で三つの要素を持つ。エーテルの正常な拡散を妨害するための亜空乱流域(エーテル・カタストロフィールド)、乱れたエーテル場で真価を発揮する「零確率エーテル砲」を搭載した無人テロメアドライブ・CT-2Wジュナイア、および拠点衛星の三つである。
何らかの理由(エーテル砲の多用など)により正常にエーテルが拡散していない領域においてニューロフォビアの生命維持機能および特性が阻害される、ということはこれまでのデータから推測されていた。そこで開発された亜空乱流域は「特定宙域におけるエーテル場を意図的に乱れさせることで有利な戦闘空間を作り上げる」ことを可能にしたが、実験の中でそのような空間では人体は勿論のこと、彼らと戦うためのテロメアドライブにまで深刻な影響を及ぼしてしまうことが判明してしまった。
そこで、フィールド内での戦闘を目的に無人のテロメアドライブが開発されたが、今度はエーテル砲が暴発し使い物にならない。開発部はそこから更に研究を重ね、これまでとはまったく違う原理でエーテルを撃ち出す「零確率エーテル砲」を完成させ、人類史上初の無人テロメアドライブ・ジュナイアが誕生したのだった。
しかし、一機あたりのコストが非常に高い割にAI駆動の弊害として被弾率も高く、とかく戦闘不能に陥りやすいジュナイアを圧倒的な物量差の防衛作戦に投入しても費用対効果が釣り合わない。また、操縦自体は完全無人でも、メンテナンスの手間は通常のテロメアドライブのそれよりも遥かに大きくかかってしまうという難点もあり、防衛圏には拠点衛星の設置が余儀なくされた(あまり重要でない防衛地点には設置されない場合が多かったが)。
このような苦労を経て、結果として小規模なニューロフォビアの侵攻をことごとく防ぐ戦果を上げたカロンシステムだったが、最終的にはウェルギリウス社の謀反に合わせて人類の敵となってしまう。
- タクティカル・エーテルインクリーズ(TEI)
エーテル炉を最大限効率的に稼動させるための技術体系の総称。正式名称はエーテル稼動効率調整。後にマシンスペックを表す指針の一つとして正式に採用され、TEI係数との表記がされるようになった。
戦闘機動中のテロメア・ドライブは動力源であるエーテル炉を中心として常に膨大な量のエーテルを循環させることで爆発的な出力を発生させているが、エーテル炉が一定時間内に生み出すことのできるエーテル総量は無限ではない。そこで考案されたのが、エーテル系統操作技術の体系化であった。
当初はただでさえ人類の手に余るテクノロジーたるエーテルを自在にコントロールする可能性に対して否定的(勝手に限界を見定めてしまう、という意味で)な見解を持つ技術者が大多数を占めていたが、ウェルギリウス社が手がけたNX-5の搭載武装・エーテルバルカンが発揮したパフォーマンスを見せつけられ、TEI闘争は一気に白熱することになる。
戦闘機動中のテロメア・ドライブは動力源であるエーテル炉を中心として常に膨大な量のエーテルを循環させることで爆発的な出力を発生させているが、エーテル炉が一定時間内に生み出すことのできるエーテル総量は無限ではない。そこで考案されたのが、エーテル系統操作技術の体系化であった。
当初はただでさえ人類の手に余るテクノロジーたるエーテルを自在にコントロールする可能性に対して否定的(勝手に限界を見定めてしまう、という意味で)な見解を持つ技術者が大多数を占めていたが、ウェルギリウス社が手がけたNX-5の搭載武装・エーテルバルカンが発揮したパフォーマンスを見せつけられ、TEI闘争は一気に白熱することになる。
- ハイ・チューブ
テロメア・ドライブを用いたハイスピード・レース競技。月や火星を中心に爆発的な人気を誇り、月面都市ルブラン・マージュでは半年毎に宇宙規模の大会が開催されるほどに熱狂的なファンを多く生み出した。
当然、操縦者には高度な操縦技術が要求され、ここで軍部に見出された人間がヘッドハンティングされることも日常的にあったという。
当然、操縦者には高度な操縦技術が要求され、ここで軍部に見出された人間がヘッドハンティングされることも日常的にあったという。
3-2 その他の作中用語
- 万物理論
万物の理論(ばんぶつのりろん、TOE;Theory of Everything)とは、自然界に存在する4つの力、すなわち電磁気力(電磁力とも言う)・弱い力・強い力・重力を統一的に記述する理論(統一場理論)の試みである。
現実に存在する(であろう)万物理論は決して万能のものではないと考えられているが、『エーデルヴァイス』ではこの理論が(恐らくはまったくの第三者的理論から)完全に確立され、まさに万能の理論として扱われている。
作中でこれを確立したG.イーガン博士は1995年にTOEを扱ったSF小説『万物理論』(原題:Distress)を発表したSF作家グレッグ・イーガンがそのまま元ネタとなっており、万物理論ジェネレータ(DiG/ディストレス・ジェネレータ)もここから名前を取られている。
現実に存在する(であろう)万物理論は決して万能のものではないと考えられているが、『エーデルヴァイス』ではこの理論が(恐らくはまったくの第三者的理論から)完全に確立され、まさに万能の理論として扱われている。
作中でこれを確立したG.イーガン博士は1995年にTOEを扱ったSF小説『万物理論』(原題:Distress)を発表したSF作家グレッグ・イーガンがそのまま元ネタとなっており、万物理論ジェネレータ(DiG/ディストレス・ジェネレータ)もここから名前を取られている。
- エッジワース・カイパーベルト
エッジワース・カイパーベルト(Edgeworth-Kuiper Belt、EKB)、または単にカイパーベルト(Kuiper Belt)、エッジワースベルト(Edgeworth Belt)は、太陽系の海王星軌道(太陽から約30 AU)より外側の黄道面付近にある、天体が密集した、穴の空いた円盤状の領域である。外側の境界はあいまいだが、連続的にオールトの雲につながっていると考えられる。要は「海王星より遠くの銀河系」ぐらいの意味合いで使っている。
またエッジワース・カイパーベルトにある天体をエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)と呼び、冥王星もEKBOの一つ。作中では西暦2072年時点でカイパーベルト内の資源惑星を調査する段階に入っていたが、同年に冥王星にて人類とニューロフォビアとのファーストコンタクトが発生し、そこから「ノアの箱舟」計画が始動することになる。
またエッジワース・カイパーベルトにある天体をエッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)と呼び、冥王星もEKBOの一つ。作中では西暦2072年時点でカイパーベルト内の資源惑星を調査する段階に入っていたが、同年に冥王星にて人類とニューロフォビアとのファーストコンタクトが発生し、そこから「ノアの箱舟」計画が始動することになる。
- オールトの雲
オールトの雲(オールトのくも)あるいはオールト雲(オールトうん)とは、太陽系を球殻状に取り巻いていると考えられる仮想的な天体群をいう。
これが幾程の規模を持つものなのかという推算は作中でも出されていないが、これを抜け、外宇宙に駒を進めることが人類の大目標となっている。
実際には逆にこれを通り抜け、外宇宙からの使者として天敵ニューロフォビアが現れた。このとき既に、人類をひとつにまとめるうえで上記の目標は多少脚色しすぎなぐらいに誇大な「夢」として語られなければいけないものと祭り上げられており、そのことが人類にニューロフォビアの存在が隠されたことの一因ともなった。
これが幾程の規模を持つものなのかという推算は作中でも出されていないが、これを抜け、外宇宙に駒を進めることが人類の大目標となっている。
実際には逆にこれを通り抜け、外宇宙からの使者として天敵ニューロフォビアが現れた。このとき既に、人類をひとつにまとめるうえで上記の目標は多少脚色しすぎなぐらいに誇大な「夢」として語られなければいけないものと祭り上げられており、そのことが人類にニューロフォビアの存在が隠されたことの一因ともなった。
- 軌道エレベーター
軌道エレベータ(きどうエレベータ)は、惑星などの表面から静止軌道以上まで伸びた軌道を持つエレベーターのこと。または、その概念。
作中では月面都市ルブラン・マージュ近郊に資源輸送のために建造された一基の存在のみが明示されているが、実際には銀河系の他の惑星にも多く配備されていると思われる。
作中に登場した一基は第一次月蝕戦争において地球の命運を握る切り札キャリバーンとして登場するも、ガルーダの活躍により破壊。第二次月蝕戦争では破壊された同エレベーターがエクス・キャリバーと名前を変え密かに改修されており、再登場を果たした。
計算上、猛烈に小さな物体でも地球に向けて打ち出せばその環境を破壊するだけの威力を発揮するというが、現実にはまだ建造される気配すらない。
作中では月面都市ルブラン・マージュ近郊に資源輸送のために建造された一基の存在のみが明示されているが、実際には銀河系の他の惑星にも多く配備されていると思われる。
作中に登場した一基は第一次月蝕戦争において地球の命運を握る切り札キャリバーンとして登場するも、ガルーダの活躍により破壊。第二次月蝕戦争では破壊された同エレベーターがエクス・キャリバーと名前を変え密かに改修されており、再登場を果たした。
計算上、猛烈に小さな物体でも地球に向けて打ち出せばその環境を破壊するだけの威力を発揮するというが、現実にはまだ建造される気配すらない。
- テラフォーミング、パラテラフォーミング
テラフォーミング(Terraforming)とは、人為的に惑星の環境を変化させ、人類の住める星に改造すること。特に、人の住めない惑星を地球に似た環境に造り変えることを言う。「地球化」、「惑星改造」、「惑星地球化計画」とも言われる。
作中において、月面では既にほぼ完全なテラフォーミングが行われており、殖民作業が進行中の火星および木星は2102年時点でワールドハウス構想に基づいたパラテラフォーミングが推進されている。
それぞれの惑星には独自の市場が形成されており、地球外惑星系重商企業連(ギャラクシアン・マーカンティラス)という名の上位組織も存在する。
作中において、月面では既にほぼ完全なテラフォーミングが行われており、殖民作業が進行中の火星および木星は2102年時点でワールドハウス構想に基づいたパラテラフォーミングが推進されている。
それぞれの惑星には独自の市場が形成されており、地球外惑星系重商企業連(ギャラクシアン・マーカンティラス)という名の上位組織も存在する。
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