【あの野郎、許さねェ!】
スパーダ
「クソッ…、クソ、クソ~…」
エルマーナ
「どないしたん?
連呼してるやんか。
ウンk…モガモガッ」
アンジュ
「ほ~ら、エル!
品の無い言葉は謹んでちょうだいね。
スパーダ君も」
スパーダ
「うっせェな!」
「………」
「すまねェ」
イリア
「ちょっと、落ち着きなさいよ!
ルカが死ぬワケないじゃん」
スパーダ
「ったりめーだろ!
死なせるもんかよっ!」
「オレは絶対ルカを守るんだ…。
今度こそ…」
アンジュ
「今度こそ?」
イリア
「どういう意味?」
スパーダ
「………?
オレ、そんな事言ったっけ?」
アンジュ
「混乱してるようね。
大丈夫?」
スパーダ
「…ちょっと
水でも飲んで来る」
コーダ
「しかし、ルカ、大丈夫かー?」
アンジュ
「ルカ君のガーゼ、交換してくるね」
コーダ
「ルカ…。
このまま起きないのか~?
少し寂しいな、しかし」
イリア
「縁起でもない!」
リカルド
「そうだ、希望を持て」
「だが…、最悪の事態も
想定しておくべきだろう」
イリア
「最悪って?
まさか…ルカが…?」
リカルド
「遺体をどうするのか。
両親の元に送り届けるのか。
それとも遺髪や遺品のみを送るのか」
イリア
「そ、そんな事、
今考えても仕方ないじゃん!」
「リカルドの馬鹿!
あたし、知らないっ!」
エルマーナ
「イリア、泣いとったで?
自分、いらん事言うたんちゃう?」
コーダ
「ルカ、死んだ場合の事、
話してたんだなー」
リカルド
「………」
エルマーナ
「そんなん考えんでエエって。
だって、死なへんもん」
「ウチのアスラやった子が、
そんな簡単に死ぬわけないやん」
リカルド
「だといいがな。
では、ぼちぼち行くぞ」
コーダ
「リカルド、顔色悪いなー。
いつも悪いけど、今は殊更に
悪いなー、しかし」
スパーダ
「おい、エル!
行くぞ! クソネズミも、
とっとと準備しろ!」
エルマーナ・コーダ
「はーい」
スパーダ
「…ルカ、お前は死なせねェ。
絶対だ!」


【おこりんぼイリア】
イリア
「もうっ、ルカのヤツ…!
あ~もう! ルカったらっ!
ええい、ルカめっ! ルカッ」
アンジュ
「どうしたの?
ルカルカって何回も…」
イリア
「な、何回も言ってないってば!」
アンジュ
「本当は嬉しいんでしょ?
ルカ君が目を覚ましてくれて。
エルみたいに抱きついてくれば?」
イリア
「嬉しくなんかな…」
アンジュ
「………」
イリア
「そりゃ…まあ…、嬉しいけどさ…」
アンジュ
「じゃあ、そう言えばいいんじゃないの?」
イリア
「…そんなの、出来ないよ。
どんな顔して、どんな言葉を
掛ければいいか…わかんないもん…」
アンジュ
「もう、困った子ね。
ルカ君も大変な子だけど、
もう一人困ったちゃんがいたみたい」
イリア
「…フンだ。放っといてよね…」
アンジュ
「………。
もう、照れちゃって。
カワイイんだから♪」


【誕生する神】
エルマーナ
「ん~~~…」
ルカ
「どうしたの?」
エルマーナ
「ウチ、子供らを置いて
棲家を出てきてもうてんけど・・・」
「あの子ら、
元気しとんかなーって」
ルカ
「大丈夫だよ、あの用心棒だった人、
ちゃんと見てくれているよ」
エルマーナ
「けど子供て大変やでぇ?
手ぇつけられへん時もあるからなぁ」
「アスラもそうやったわぁ。
ヴリトラはホンマ苦労してん」
ルカ
「えっ!?
そうだったの?」
エルマーナ
「ヴリトラはアスラが
生まれた時からずーっと
面倒見とってん」
「産湯入れたったり、
メシ食べさしたったりな」
ルカ
「そう聞くと、頭が上がらないや」
エルマーナ
「アスラは土の中から生まれてん。
産声が聞こえたから、ヴリトラが
掘り起こして見つけよったんや」
ルカ
「そうなの!?
お母さんから生まれたりしないの?」
エルマーナ
「そら、もちろん、
そっちのんが普通やけどな」
「天上に新しい命が生まれる時は、
お産の神が託宣して、
赤んぼ拾いに行く場合もあんねん」
ルカ
「へえ~」
エルマーナ
「赤んぼがな、空から降ったり、
木の実の中におったり、河から
流れてきたりすんねんで」
ルカ
「じゃあ、ヴリトラが見つけて
くれなかったら・・・アスラは」
エルマーナ
「まあ、人間と違ぉてヤワやないから
死にはせぇへんけどな。
けど、どない育ったかわからへんで?」

→疑問に思う
ルカ
「ヴリトラがアスラを
育てなかったら、一体
どうなってたんだろうね?」
エルマーナ
「そんなん、決まっとーやん?
札付きのワルや。
親に背いて、ろくに家も帰らん」
ルカ
「スパーダみたいになってたのか…」
エルマーナ
「せや。
せやから、アスラはヴリトラに
もっと孝行せなアカンわぁ」
ルカ
「そうだね、そういう事、
ろくに出来なかったんだろうし…」
エルマーナ
「ほな、兄ちゃんが代わりに
したったらエエねん。
ヴリトラの代わりはウチするから
「具体的には、兄ちゃんがウチに
何か、お金的なもんとかを、な?」
ルカ
「な? じゃないよ!
何でそうなるのさ?」
エルマーナ
「そうなってまうねん。
不思議な事に、な?」
ルカ
「だから、な? じゃないってば…」

→感謝する
ルカ
「じゃあ、僕、
感謝しないといけないね。
ありがとう、本当に」
エルマーナ
「そんなんウチに言うても
しゃーないやろ?」
「・・・あ、待て待て、ほなこうしよ。
アスラが出来んかった親孝行を
させたる機会を与えるんが筋やな」
ルカ
「えーっと、どうすればいいの?」
エルマーナ
「何の事はあらへん。
前世の借りは、兄ちゃんの出世払い」
「ヴリトラの恩も返せるし、
兄ちゃんの気ィも済むやろ?
みんな大喜びや」
ルカ
「エルが一番大喜びしそうだね」
エルマーナ
「そんなウチを見て、
兄ちゃんも幸せな気持ちに
なったらエエねんて」
ルカ
「ハァ…」


【バルカンについて】
アンジュ
「確かデュランダルは
バルカンの最後の作品だったのよね」
スパーダ
「作品ねェ」
アンジュ
「あ、ごめんなさい。
息子・・・かな?」
スパーダ
「いいさ、別に。
気にすんな。
親子と言うにゃあ、微妙な関係だったし」
イリア
「何よ、微妙な関係って」
スパーダ
「さっさと納品されたから
長い期間一緒だったわけでもないし。
実際、親といっても知らない事ばかりさ」
イリア
「へぇ、そうなんだ」
アンジュ
「鍛冶の神バルカンさんはね、
風変わりで頑固な人だったみたいよ」
イリア
「職人気質ってヤツね」
アンジュ
「オリフィエルさんもね、
バルカンに武器を作ってって
頼んで断られたのよ」
「自分で気の向いた時にだけ作って
使い手に嫁がせたいんだって」
イリア
「ふええ、それで商売になるの?」
アンジュ
「バルカンさんの生み出す武器は
武人達の憧れだったのよ、ホント。
その武器を巡って、争いが起きる程に」
「そしてデュランダルを最後に
もう武器を作らなくなったんだって」
スパーダ
「何でだ?」
アンジュ
「作品達が争いあったり、
作品達を巡って争いが起きたりするのが
イヤになったのよ」
スパーダ
「ああ、そう・・・かもな。
確かにバルカンは
戦争を苦々しく思っていた」
イリア
「戦争嫌いで武器職人だなんて。
何かヘンなのっ」
アンジュ
「かもね。
ただ、自分の子供達を愛する
情の深い人には違いないと思う」
イリア
「だってさ♪
あんた、愛されてんじゃん!」
スパーダ
「へっ、うっせェよ・・・」


【アスラ育ての親】
エルマーナ
「ルカ兄ちゃん、寝癖ついとぉで」
ルカ
「あ、うん」
エルマーナ
「ホンマ、こういうトコは
アスラと同じやな」
ルカ
「アスラって、だらしなかったの?」
エルマーナ
「ちゅうかヴリトラが世話焼きやってん。
「ばあや」て呼ばせとったし」
ルカ
「ばあや!?」
エルマーナ
「ヴリトラが、アスラに武術とか
紳士のマナーも教えててん」
「まあ、構い過ぎて
アスラもちょくちょく迷惑そうに
しよったけどな」
ルカ
「僕のお母さんも、世話焼きでね。
少し鬱陶しいとは思ってたけど、
今思うと大事にされていたんだなぁ」
「あ、でも、そういうエルマーナだって
寝癖あるじゃないか。
ホラ、目ヤニだって拭かなきゃ」
「動かないで、そのまま・・・」
エルマーナ
「あー・・・・・・・・・」
ルカ
「どうしたの?」
エルマーナ
「考えたら、親と別れて以来、
こういう世話をしてもらう事
なかったなぁ思て・・・」
ルカ
「・・・そっか」
「君はこんなに小さいのに、
年下の子を世話したり、
僕の面倒を見たり・・・」
「本当は僕が面倒を見てあげなくちゃ
いけないのに、ごめんね」
エルマーナ
「ええねんて。
好きやし、世話するの」
「あのフニャフニャやったアスラを
一人前のダンディに育て上げた
実績がウチにはあんねんで?」

→照れ隠しをする
ルカ
「アスラだったらきっと、
鼻で笑っちゃうよ、そんな話」
エルマーナ
「お、何ちょっとムクレてんの。
兄ちゃんはいじられてナンボやねんから
これぐらいで怒ったらアカンねんで?」
ルカ
「怒ってはいないけどさ…」
エルマーナ
「そうそう、兄ちゃんは
素直が一番や。
照れ隠しなんかしたらアカン」
ルカ
「………」

→照れる
ルカ
「もう~、前世をダシにからかうのは
止めようよ~」
エルマーナ
「そ~はいかんな」
「ウチはイリア姉ちゃんみたいに
意地悪ちゃうから、他に兄ちゃんを
いじりようがないもん」
ルカ
「いじらなくたっていいじゃないか・・・」
エルマーナ
「いじられん兄ちゃんなんか、
兄ちゃんとちゃうで?」
ルカ
「・・・・・・」


【ヴリトラ誕生】
ルカ
「ねえ、ヴリトラはどうやって
生まれたの?」
エルマーナ
「火や。
ヴリトラは火の中から
生まれたらしいわ」
ルカ
「それは熱そうだね。
親代わりになってくれた人は?」
エルマーナ
「おらんかったよ」
ルカ
「ずっと大きくなるまで、
一人だったの・・・?」
エルマーナ
「そういうワケでもないけどな」
「一応同族はおったよ。
個体数少ないから滅多に
会われへんかってんけどな」
「せやけど、赤ん坊のアスラを見つけた
時は、思わず抱き上げてもうたな」
ルカ
「寂しかったから?」
エルマーナ
「この子には家族が必要やって、
ヴリトラはそう思ったんやな」

→ねぎらう
ルカ
「アスラが無事育ったのは、
ヴリトラのおかげだよ。
本当にご苦労さん」
エルマーナ
「でも、親不孝やで?
だって、親より先に死んでんから」
ルカ
「でも、それは天上そのものが…」
エルマーナ
「せや、天上そのものが
ヴリトラにヒドい仕打ちをしたんや。
ホンマ、誰恨んでエエんやら…」

→後悔は無かったか、聞く
ルカ
「現代人の感覚だけど、
子供を育てるって、
すっごい覚悟の要る事じゃないかな?」
エルマーナ
「まぁ、せやなぁ」
ルカ
「ヴリトラはアスラを養子にして、
後悔する事はなかったのかな?」
エルマーナ
「アホやなぁ。
そらツラい思いもしたやろうけど。
アレやで?子供ってエエもんやで?」
ルカ
「僕にはわかんないな・・・」
エルマーナ
「その内、わかるんちゃう?
ま、楽しみにしとったらエエわ」


【ゆっくり旅情】
→すねる
→平気なフリをする


【冷淡リカルド】
スパーダ
「しかし、リカルドって
やっぱ冷てェな。
ルカが目を覚ますまで待ちゃあいいのに」
イリア
「確かにそうねー。
仕方ないかもしんないけど、
ちょっと冷たいかも」
エルマーナ
「ああー、それな…?」
スパーダ
「ルカが起きたからいいけどよ!
ちょっとでもルカを雑に扱ったら
ぶっ飛ばすところだったぜ」
イリア
「あんた、ホント、
たまにぶっそうね」
エルマーナ
「あー、イリア姉ちゃん、
リカルドの事やけど…」
イリア
「あー、あたしは別に怒ってないって。
確かにちょっとは冷たいところも
あるけど、あれは仕方ないもんねぇ」
エルマーナ
「あ、リカルドのおっちゃん。
話聞いてた?」
リカルド
「何がだ?」
エルマーナ
「さっきゴミ捨てに行ってたやろ?」
リカルド
「…無駄になったからな」
エルマーナ
「あの背負子(しょいこ)、
エエ出来やったなぁ」
リカルド
「負傷兵が出た時に重宝するからな、
ありあわせで作るのは
お手の物だ」
エルマーナ
「せやけど、捨てんでええやん」
リカルド
「無駄な物は持ち歩かない主義でな」
エルマーナ
「…あのおっちゃん。
誤解されたままでエエんかなぁ?」

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最終更新:2009年12月16日 21:23