アンジュ
「ねえ、シアン。
 ケルベロスはどうして創世力の番人に?」
シアン
「世界を簡単に変えてしまうような
 あんな力を野放しに出来ないだろ?
 だから番人として生み出されたのさ」
アンジュ
「生み出された?」
シアン
「神々が気を凝らして作り上げたんだよ。
 創世力を守護する役目を未来永劫
 果たしていく為だけに」
シアン
「寿命が来て死んでも、
 すぐに生まれ変わるのさ、
 ケルベロスとしてね」
シアン
「創世力のある所に、何度も何度も…」
アンジュ
「あなたがマティウスに
 引き寄せられたのも、
 そういう因縁からかも知れないね」
シアン
「フンだ!結局、創世力で天上が
 崩壊しちゃうんだもん。
 渡す相手を間違ったと思ったよ!」
リカルド
「お前に見るケルベロスの姿は小さいな。
 大きく恐ろしげな姿だと
 言い伝えられているが」
シアン
「それは先代のことで、ちょうど
 生まれ変わったばかりだったのさ。
 成長すればきっと怖くなったはずだよ」
リカルド
「前世でもガキだった、という事か」
シアン
「ああ! またボクをバカにしたな!
 フンだ!
 もうお前なんかと話をするもんか!」
アンジュ
「もう…リカルドさんたら、
 もっと大人の態度取って下さい」
リカルド
「面目無い…」


シアン
「思い出したぞ。
 お前は一度、創世力をくれと
 言いに来ただろっ!」
アンジュ
「あ、そ、そうだった…かな!?」
シアン
「創世力を求めてきた奴は
 みんな、ケルベロスに戦いを挑んできた。
 そして、そいつ等は全部死んだ」
シアン
「刃を向けなかったのは。アスラと
 オリフィエルだけだった」
アンジュ
「そう。
 そうだったの…」
シアン
「だがお前は試練を与えるまでもなく、
 泣きながら帰った」
アンジュ
「あらあら、昔の事よ?」
アンジュ
「それにあまりその話を、他人に
 して欲しくないかも。
 オリフィエルさんの名誉のために」
アンジュ
「じゃないと、もう抱っこして
 あげないから」
シアン
「一度も
 ソレしてくれてないじゃないか!」
アンジュ
「そうだっけ?
 じゃ、今してあげようか?」
シアン
「え…?
 あ…その………、
 い、いいよ…」
シアン
「………」
シアン
「あ、でも…
 頭は撫でて欲しい…かな?」
アンジュ
「ん、いいよ。
 それじゃ、おいでー」
シアン
「………」
シアン
「ボクの友達にも頼む」
アンジュ
「え、あ、うん…」
アンジュ
「えーっと、ケルとベロ…だっけ?
 か、かわいいワンコさんね。
 さあ、おいで~」
(犬の鳴き声)
アンジュ
「ぎゃひゃああ!!」
シアン
「何だよ、現世でまで
 犬嫌いなのか?」


シアン
「そ、それでさあ…」
エルマーナ
「ん? どないしたん?」
シアン
「以前言ってただろ?
あの、ホラ、ガルポスの遺跡の所でさ」
エルマーナ
「ああ、ひょっとして抱っこの事?」
シアン
「さ、さあ? そんな話だったっけ?
憶えてないけど…、
まあ、その話でもいいや」
エルマーナ
「何やねんな、自分。
素直にお願いでけへんねやったら
無かった事にすんで?」
シアン
「あ、ちょ…ソレは…」
「な、何だよ!
お前が提案したんじゃないか!」
エルマーナ
「…ホンマ、しゃあないコやなぁ。
わかった。
ほな、目ぇつむって待っときぃ」
シアン
「………」
「………」
「……………」
(アレ? 意外と硬い…??
ヘンだな…想像と全然…)
「って、何だお前!」
リカルド
「フン…、ガキの面倒を押し付けられて
こっちも迷惑してるというのに、
なぜ罵声を浴びなきゃならんのだ」
エルマーナ
「アンジュ姉ちゃん、今ちょっと
忙しい言うとってなぁ。
さっきのんで我慢しとき?」
シアン
「な、何だとっ!
そんなの話が…違うじゃないか…」
エルマーナ
「………」
「もう…、しゃあないなぁ」
「ほな、これで我慢しとき」
「………」
「ハイ、おしまい!」
シアン
「………」
「さっきの男と変わらないぐらい
硬い感触だったぞ。
まったく、こんなの詐欺だ…」

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最終更新:2009年12月06日 21:49