概要
七巫女とは、
シャクティアナ帝国領土の辺境の地に伝わる伝承から生まれた言葉である。
なお、実際には七巫女という言葉は存在せず、あくまでも「七つの封印」が正式名称であるが、当事者達は「七巫女」と呼んでいた。
伝承内容
ルーイガルド8000年頃、
シャクティアナ帝国領土の辺境の地にて、一匹の魔物、
ゲルガインが暴れていた。
突然変異的に生まれたその魔物の力は強大で、討伐部隊を幾度も撃退した。
力で倒せないと悟った討伐部隊は、
ゲルガインに偽りの降伏をして酒宴を開くが、その席で高名な三姉妹の魔道師の力でもって
ゲルガインを封印した。
しかし
ゲルガインの生命力はあまりにも強く、復活しようとしていた為、封印は七つに別けられ、魔道師の弟子七人がそれぞれの水晶に封じ込めた。
そして、彼らはその宝玉を「形のあるもの」では奪われる懸念があると、自らの体内に組み込み、物理的に奪われない様にした。
そこまでの処置を施したにも関わらず、
ゲルガインは封印されながらも強力な魔力を放ち続け、その封印は胎児へと受け継がれ、自分達一代で終わると思っていた魔道師達の思惑を裏切り、次の世代へと受け継がれることとなったことである。
最初のうちは英雄として祭られていた七人だが、代を重ねると、時の流れによりかつての地位も失われ名も変わり、封印のことも知らされず、七人の子孫たちは何も知らないまま自らの体内に封印を受け継いだ状態となっている。
七巫女の特徴
封印された
ゲルガインは、完全に眠りの状態となっているが、そのあふれる魔力は常に香水をかけた貴婦人の様に周囲に漏れ続けている。
その力は一種の催眠作用を持ち、「力を欲する者」をひきつけることとなる。
人間は誰しも向上心を持つが、一般的・常識的範囲内の向上心には反応せず、限度を超えた病的なまでの向上心、あるいは周囲も見えなくなるほど嫉妬や執着心、野心や野望に捕らわれた状態となっている者は、この催眠作用にかかりやすい。
これは、
ゲルガインが本能的にそういう人物が「自分の力のことを知って、封印を解いてくれる者」に相応しいと考え、それらに値する者をひき付けている為と思われるが、あくまでも推測の域である。
進化する封印
ゲルガインは、最初は力づくで封印を解除しようとしたが、それが無理と悟ると、まるでキリンの首が伸びる様に、象の鼻が伸びる様に、何代もかけてゆっくりと自分に有利な風に封印を進化させていった。
その結果、七つの封印は、常に先述の「香水」を発するのではなく、普段は微量に制限させる様になる。
これにはいわゆる惚れ薬の様な効果があり、集落においては誰からも好かれ、守られる存在となり、更に自身にとって理想の異性を惹きつける力を持つことで子孫を絶やさない様に防衛本能が働いた。
実際、
アルティナが自死を選ぶという予想外の行動をとるまでは、七巫女の直系が絶えることはなく、結果的に七巫女を守る為の進化を成し遂げていた。
そして、チャンスがくるまでは潜み、条件が揃った瞬間に堰を切ったかの様に強烈に「香水」を周囲に発する様になった。
ゲルガインにとってのチャンスとは、七つの封印の持ち主が全員若き女性になる時代がくることだった。
「野心家たちが封印を解くために積極的に七人を探し出し奪い合いながらも、封印そのものの命は守られる」それこそが、
ゲルガインが待ち望んでいた時代であった。
そして、15429年に待ちわびた時代が来たことから、
バルニアと
システィの物語が幕を開けることとなるが、この戦いで七巫女の一人である
アルティナが子を残さず落命したとき、その近くにいた最も封印に近い存在の
システィが
アルティナの後を継いで七巫女になる、という突然変異的な進化を遂げた。
封印の解除
封印は、物的に砕いても解く事はできない。
7つの封印(=七巫女)を一箇所に集めなければならないが、特別な解呪の儀式は必要ではない。ただ、封印の持ち主が肉体的または精神的に反抗する意思を持っている間は解放されない為、たとえ一箇所に七人を集めても誰か一人でも「抵抗の意思」が残っている間は封印は解かれない。
逆に言えば、七人を集め、全員を絶望させた瞬間に封印は解かれることとなる。
バルニアと
システィの戦いにおいて封印は解除されたが、その後七巫女の行方を含めて、封印がどうなったのか全く不明となっている。
何らかの理由や原因があって七巫女と共に消滅したのか、あるいはしっかりと次の世代に受け継がれ、「次に条件が揃うとき」まで、再び眠りについているのか、いくつかの仮説は存在するものの、実際はどうなっているのか全くの謎である。
ルーイガルド15429年頃に七巫女となっていた者
関連項目
最終更新:2024年07月13日 02:22