あにまん民のオリキャラ同士をAIの力を借りて戦わせるスレ @ ウィキ
第3回トーナメント 準決勝 第1試合
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aioricharabattle
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第3回トーナメント 準決勝 第1試合
《悪魔の猫 VS クエイド》
あにまんオリキャラ最強トーナメント特設リング。再び観客席が熱気に包まれる。二回戦第一試合、戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
リングに足を踏み入れたのは、漆黒とも純白ともつかない猫と、冷静沈着なクエイドだった。
「——試合開始ッ!!」
クエイドの四つの目が浮遊し、空間を監視する。並行世界を覗き込み、敵の可能性を把握するために。
だが、どの並行世界を見たところで、視界に映る猫の姿は不確かだった。
「……なるほどね。ゴミの私とは比較にならないぐらいに強そう。」
クエイドは警戒心を高めながらも冷静に分析する。しかし、その思考の一瞬にすら猫は忍び寄る。
猫がゆっくりと尾を揺らす。それだけで世界が揺れた。
リングの景色がぐにゃりと歪む。目の前にいた猫がいつの間にか背後へ、足元に感じていた床が遥か上へと錯乱する。
「…完全に理解したわ。…つまりあなたは”シュレディンガーの猫”の具現化ね。」
クエイドは冷静に摩訶不思議な空間を読み解く。
悪魔の猫がこの世界に存在する以上、それは確定した現実である。
しかし、それがどのような確定した現実であるかは、全て猫の気まぐれ次第。
それこそが真の「シュレディンガーの猫」なのだ。
「なら、あなたの存在を完全に証明するまでよ。」
彼女の目が鋭く光る。四つの目が展開し、空間を解析する。
「【存在証明】!」
発動と共に無数の並行世界に存在している猫の姿が固定される。
もし猫が幻であれば、今この瞬間に崩れ去る。もし虚構であれば、確かな形を持たないはず。
しかし——
猫はそこにいた。
変わらず気まぐれに、無邪気に尻尾を揺らしながら。
次の瞬間、クエイドの視界が闇に染まる。
「——ッ!?」
気づけば、空は真紅に染まっており、世界が変わっていた。
クエイドの能力は敵の逃げ場を潰す。並行世界すらも見通し、そこに逃げ込んだ相手へ干渉できる。
しかし——
この猫はそもそも逃げてなどはなかった。
最初から全ての可能性の中心に猫がいたのだ。
「……やっぱり化け物じゃない。」
驚愕と共にクエイドの瞳が黒く染まり、全身に黒紫の鎧が広がる。
「【地の力】、展開——!」
抑え込まれた可能性に抗うため、クエイドは最強の切り札を解放する。
彼女の黒い力は全てを相殺することができる。
ならば、この猫が持つあらゆる可能性も例外ではないはずだ。
彼女がそう考えた刹那。
——何かが崩れた。
クエイドの足元が揺れ、視界が反転する。
反転の反転、すなわち世界が通常に戻ったということである。
「…予想通りね。」
彼女が考えていた通り、全てを相殺する黒い力によって、悪魔の猫によって引き起こされる超常現象を突破することに成功した。
しかし、依然として状況は好転しておらず、むしろ生半可に猫と同じ頂まで登ってきているため余計な危険が増えたとも言える。
事実、クエイドには自身のアイデンティティが徐々に崩壊していっている感覚が絶え間なく走っており、並行干渉のできる彼女でなければとっくのとうに消滅しているところだろう。
事実、クエイドには自身のアイデンティティが徐々に崩壊していっている感覚が絶え間なく走っており、並行干渉のできる彼女でなければとっくのとうに消滅しているところだろう。
「ゴミが何をやってもゴミかもしれない。でも、行動しないと何も変わらないものね。」
いついかなる時であっても万変である猫を前にして言う言葉では無いかもしれないが、今の彼女にはその言葉が必要だ。
「さて、次はこれよ。」
『猫→かわいいからぬいぐるみだ。』
『ぬいぐるみ→布だから雑巾だ。』
『雑巾→臭いから納豆だ。』
……
クエイドは猫が会話をできないのをいいことに、次々と「疑似証明」を繰り返していく。
「猫の原型を留めないほどに変化させ続ければいつかは止まるかしらね?」
そう、彼女が狙っていたのはそもそもの前提の変更である。
彼女の立てた攻略の仮説は「悪魔の猫は"猫"だからこそ超常的な力を扱うことができる。」というものだ。
もっと細かく解説するならば、「"猫"という存在そのものが、このシュレディンガーの猫のパラドックスを成立させている一部分であり、その前提さえ崩せれば倒せるかもしれない。」とでも言ったところだろうか。
そうこう言っているうちに、いくつもの疑似証明が繰り返されたことで、悪魔の猫は伊達メガネへと変化していた。
「「ハァ…ハァ…もうむり…限界…。」
地の力は消耗が激しく、物理的な戦闘を行っていないとはいえクエイドの体力はもうガス欠寸前だ。
彼女は全てを出し切った。後はどのような結果が追い付いてくるかだ。
まだ超常が宿っていれば悪魔の猫の勝利、完全にパラドックスが破綻していればクエイドの勝利となるであろう。
緊張の一瞬。最後の最後に勝利したのは……
緊張の一瞬。最後の最後に勝利したのは……
クエイドであった。
伊達メガネとなってしまった悪魔の猫は、クエイドの目論見通り"シュレディンガーの猫"としての前提が破綻しているため、その能力の全てを失ってしまったのである。
全ての決着がついたこの瞬間、審判が勝者を宣言する。
「勝者――クエイド!!」
観客たちは何が何だかわかっていない様子だが、勝者の誕生に対して歓声をあげている。
彼女は伊達メガネをそっと拾い上げ、僅かに喜びの笑みを浮かべる。
「……私ってもしかしたらゴミクソ女じゃないのかな…。」
圧倒的な超常異能に勝利した経験は、彼女にとって何よりの自信となったのだ。
クエイドは勝利の証である伊達メガネをかけ、最後の決勝戦へと挑む決意を固めたのであった。