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WILD CHALLENGER(後編) ◆dKv6nbYMB.
☆
(やり辛い相手ですね)
追ってきたヒースクリフの相手をする魏は純粋にそう思う。
水流を操り攻撃をしかけても、その手に持つ盾により全て捌かれてしまう。
かといって右手を流れる血を当てようにも、その身体能力の高さからそう易々とは当たってくれない。
更に言えば、幾らかは当たっているにも関わらず、まるで痛みなど感じさせない動きをし続けているのだ。
そして、なによりやり辛いと思うのは、彼の戦い方だ。
盾で防ぎ、致命的なものは避けて躱す。
ただそれだけしか彼は行わない。
防戦一方、と書けば魏が有利に立ち回れているように思えるが、断じて違う。
彼には余裕が見てとれるし、なにより反撃する気配すらない。
その証拠に、魏が戦いの最中にわざと隙を作っても、そこを突こうとすらしない。
慎重を通り越して臆病にも見えるほど、ヒースクリフは反撃に移ろうとしないのだ。
(私の体力切れを狙っているのか...?)
魏の戦闘は、帝具だけでなく血を流す対価もあるために、他の参加者よりも体力の消耗が早い。
ヒースクリフがそれを知っているのなら、ここまで徹底的に防御に周っている理由も頷ける。
ならば、帝具と能力の使用を控え、いまの持ち物で戦うとしよう。
魏がブラックマリンの使用をやめ、ナイフを構えたその時だ。
「ようやくか。そろそろ頃合いだと思っていたよ」
ヒースクリフが嗤う。
魏は、彼の言葉に殊更に警戒する。
ようやく。頃合い。
その二つのワードが示す答えはひとつ。
ここから、ヒースクリフの反撃が始まるに違いない。
手遅れかもしれないが、ブラックマリンを発動させようとする魏。
そんな彼に、ヒースクリフは。
「降参だ。私に戦う意思はない」
両手を挙げた。
「な...」
「聞こえなかったかい?私はきみと戦うつもりはないんだよ」
魏は思わず驚きで固まってしまった。
この男、ヒースクリフは自らに余裕があるにも関わらず、降参するというのだ。
合理的に考えずとも、その行為は明らかに不自然であり、なにか罠を張っているにしても露骨すぎる。
なにか目的があるのかと勘繰るのがごく普通の反応だ。
「降参、ということはつまり、あなたについている首輪をよこす、ということで構いませんね?」
「それは困る。私もまだ死にたくはないんでね」
「ならば、命乞いでもするつもりですか」
「それも違う。それは、きみもよくわかっているはずだ」
ヒースクリフの言動に、ますます魏は困惑の色を浮かべる。
自殺願望があるわけではなく、かといって追い詰められての命乞いに走るわけでもない。
ならばなにが言いたいのだ。
それを魏が口にする前に、ヒースクリフは回答を提示した。
「私はきみの追い求めるものを知っている―――どうかな、私と取引をしてみないか?」
☆
キング・ブラッドレイの強さはその鍛え上げられた身体能力と経験にある。
如何に『最強の眼』を持ってしても、それだけでは弾丸飛び交う戦場を生き残ることはできない。
銃弾を認識してから避けられる反射神経と認識の理解力が必要だ。
一度に複数の敵に切りかかられても捌ききれる剣術が必要だ。
如何なる攻撃においても決して致命傷を受けない結果が必要だ。
例え最強の眼が無くとも、その強さは圧倒的と言っても過言ではないだろう。
さて、そんなキング・ブラッドレイの相手は帝国最強の肩書きを持つ
エスデスだが、その戦況は。
「素晴らしいぞ、キング・ブラッドレイ!この私と斬り結べる奴など数えるほどしかいないぞ!」
「......」
拮抗していた。
剣は暴風のように振るわれ、留まることを知らない。他の侵入を許さない。
ただ、剣同士が打ちあう無機質な音が響き渡るだけだ。
片や、それなりに戦闘の痕は残しつつも未だに致命傷を負っていないキング・ブラッドレイ。
片や、マスタングの命がけの錬成により重傷を負っているエスデス。
どちらが有利かは火を見るより明らかだ。
だが、現実にはこうして互角に剣を打ち合わせている。
理由の一つとして、エスデス自身の精神がある。
エスデスの強さは、帝具の強さではなく彼女自身の強さである。
例え、帝具を持っていなくとも、帝国最強の座は揺るがず、反乱軍やナイトレイドにとってはやはり最大の壁として立ち塞がっていただろう。
そんな彼女が、死にかけであるにも関わらずブラッドレイと互角に戦えているのは、これ以上ない高揚感故にだろう。
エスデスは生まれついての狩人であり強者だ。
こと戦においては、軍での集団戦はもちろん、個人の戦いでも未だ無敗。
敗北していればこうして生きてはいない。
そんな自分と、小細工も無しにまともに斬りあえる存在と初めて出会えたのだ。
足立透が憎しみによりその身に刻まれた痛みを忘れていたように、エスデスもまた高揚感により分泌されたアドレナリンで、肉体に刻まれた痛みを忘れていた。
故に、いまに限ってはブラッドレイに追いすがれる動きが出来ている。
―――だが、それでも拮抗は長く続かない。
打ち合う数が百を超えたあたりだろうか。
エスデスの氷の剣は折れ、ブラッドレイの右手のデスガンの刺剣が彼女自身を貫かんと突き出される。
エスデスはそれをしゃがみ込み回避。氷で固めた拳をお見舞いしようとブラッドレイの腹部へと放つ。
が、しかし。
ブラッドレイは左腕のカゲミツの柄でそれを受け止める。
次いで再び振るわれるデスガンの刺剣は、後方への跳躍によって躱される。
エスデスの頬に一筋の線が入り、髪が数本抜けるだけに留まった。
(チッ、やはり即席の剣では耐久力がないな)
いくらエスデスの氷でできたものとはいえ、やはり普通の刀剣に比べれば心もとない。
普段から使用している剣、せめて普通の刀剣があればよかったのだが。
「どうした。先程の彼に使っていた力は私には見せてくれんのかね」
だが、無い物をねだったところで仕方ない。
肝心な時に欲しいものが無いことなど、戦ではザラにある。
いまあるもので愉しむまでだ。
「いいだろう。望み通りとくと味わえ。この私の、エスデスの全ての力をな!」
エスデスが地面に手をつけ、吼える。
殺意を持って繰り出される氷のつぶてが、氷柱が、絶え間なくブラッドレイに襲い掛かる。
ブラッドレイは、襲いくる氷を払い、躱しながら思う。
そもそもここに足を運ぶ原因となった爆発は誰のものか。
エスデスはこの通り氷を操り、彼女と交戦していた男は水流を操っていた。
どちらも爆発など起こせるはずもない。
自分が知る中で、あれほどの爆発が起こせる心当たりは三人。
身体中に武器を仕込んでいる
セリュー・ユビキタス。
紅蓮の錬金術師、爆弾狂
ゾルフ・J・キンブリー。
そして、高い火力を持つ焔の錬金術師、
ロイ・マスタング。
だが、前者二人は既にこの世を去っており、下手人にはなりえない。
そうなると答えはひとつ。
そのことが彼の心に引っかかり、剣に『揺れ』が生じていた。
それもまた、重傷のエスデスと互角だった所以だろう。
「ひとつ聞かせてくれんかね」
だが、それはまだあくまでも可能性。
支給品による爆発の可能性も充分ありえる。
可能性が事実へと変わるまで、彼の戦いは【お父様】のためにある。
彼の剣の『揺れ』を収めるには―――真実を知るしかない。
「きみにそれほどの深手を負わせただろう爆発―――誰の仕業かね?」
「ロイ・マスタングだ。貴様も戦っただろう?」
ブラッドレイの世界が止まる。
ロイ・マスタング。
人柱候補の一人であり、【お父様】の計画には欠かせない存在だった。
故に、ブラッドレイは、幾度も戦闘を繰り広げつつも、彼を保護するスタンスは決して変えなかった。
彼と
エドワード・エルリック、そして己の兄であるプライドや
エンヴィーと共に帰還するつもりだった。
だが、それももはや水泡に帰した。
長兄であるプライドは滅び、ロイ・マスタングも消えた。
エドワードはともかく、エンヴィーもどうなっているかはわからない。
【お父様】の計画は―――おそらく、自分が生きている内に完遂することはなくなっただろう。
そのことを理解した彼の剣は―――
「...?」
ブラッドレイの剣の衰えに疑問を抱くエスデス。
マスタングが死んだことを告げた途端、明らかに彼の剣に変化が起きたのだ。
速さも、力強さも、しなやかさも。
全てが、彼の剣からは損なっていた。
「どうした。奴はお前の親しい仲だったのか?」
声をかけてみても、それは戻らず。
彼は、最低限の動きで迫りくる氷に対処するだけだ。
(まさかマスタングの死がそこまで影響するとはな)
セリューやマスタングのように怒りや恨みを力に変えるのならよかったが、ブラッドレイは違う。
マスタングの死により、戦意を喪失してしまっている―――少なくとも、エスデスにはそう見える。
「呆気ない幕切れだが、まあそれも仕方ない。だが、私と互角に戦えたんだ―――敬意をもってその命、刈らせてもらおう」
片腕を掲げ、冷気を集めて巨大な氷塊をつくる。
ウェイブと
サリアに放ったものと同じ技だ。
これを作っている最中に攻撃を仕掛けてくると思ったが、その気配も無し。
あっという間に氷塊は模られ、巨大な氷の隕石と化す。
「精々、華々しく散ってくれよ、キング・ブラッドレイ――――!!」
エスデスの腕が振り下ろされ、巨大な氷の隕石が、ブラッドレイに襲い掛かる。
その質、生身で受ければ如何なる生物の生存も許さないだろう。
そして、それは彼も例外ではない。
迫りくる絶対の死を目前にして、キング・ブラッドレイは。
―――まるで赤子のように微笑んだ。
☆
キング・ブラッドレイ。
元の親の名は知らず、己の本当の名すら知らず。
物心ついた時には白衣を身に纏う者たちに監視されて生きてきた。
『大総統候補』。それが彼の名の代わりであり、他の大勢いた『大総統候補』たちの内の一人に過ぎなかった。
彼は、そんな『大総統候補』たちと共に様々な教育を受けさせられた。
剣術・銃術・軍隊格闘。あるいは帝王学・人間学...
自分が国を動かす人物になる。そう信じこまされ、どんな辛い訓練だろうと耐えてみせた。
生身の人間が注入されれば、身体も精神も破壊してしまう賢者の石。
それにすら打ち勝ち生き残ってみせた。
だが、その果てに掴んだものはひとつだけ。
『大総統の座』も『部下』も『力』も『息子』も、そして『己の名前』すらも。
ただひとつ、『妻』以外は全て与えられたものだ。
来たる『約束の日』のために。【お父様】の計画のために。
彼の人生は、彼のものではなかった。
そんな彼でも、最後の最後に、己のための戦いを満喫し、妻に遺す言葉も無く朽ち果てる。
それが正史における彼の人生だった。
だが、この殺し合いにおいて彼は転機を迎える。
正史において繰り広げた、グリードの回収やリン・ヤオたちとの戦い。
それらは全て任務の範疇だったが故に、彼の本能を抑えることができた。
だが、このバトルロワイアルにおいての戦闘は違う。
美遊・エーデルフェルト、渋谷凛、御坂美琴、セリュー・ユビキタス、ウェイブ、アカメ、泉新一、
雪ノ下雪乃、イリヤ・スフィール・フォン・アインツベルン...
正史では有り得なかった強敵たちとの戦いは、容赦なく彼の本能を刺激し、昂らせていった。
そして極め付けが、目的の損失。
長兄プライドは死んだ。人柱候補のマスタングは死んだ。
もはや、彼のこれまでの人生は無意味になったと言えるだろう。
そして、仮にエドワード・エルリックとエンヴィーを連れて帰還できたとしても。
マスタングに代わる人柱候補など易々と見つかるわけがない。
そして、兄弟たちや【お父様】のような不老の肉体を持つわけでもない彼の人生は、余生も用意された椅子に腰を落ち着け、一時もレールから外れることを許さずに終えるだろう。
ならば、彼がここで生き残ることは無意味か?
―――否。
剣を構え、迫りくる死へと直面する。
嗚呼、なんということだろうか。
使命から解放されるとは、こうも心地よいものなのか。
用意された人生が終焉を告げたのなら、それは新たな人生への第一歩だ。
もはや【お父様】や白服の科学者たちは見向きもしないだろう。
結構だ。ここから先は誰の干渉も不要。
これまでの人生が水泡に帰したのなら。果たすべき役割が失われたなら。
ここから先は、誰にも縛られず、誰の干渉も受けず。全て己のために戦い、己で考え、己で決めた道を歩もう。
迫りくる死への脅威へと向かう足は、不思議と軽かった。
さあ、行こう。私の新たな人生よ。
☆
男は走る。
放たれた氷の隕石を正面から切り裂き、両断していく。
その勢いを殺さず、ただただ、一筋の光となって。
エスデスはその様を、己の全力を込めた一撃を両断されていく様を見ていることしかできなかった。
その鋭さに。
力強さに。
しなやかさに。
美しさに。
―――神の如く洗練された剣術の頂点に、ただ見惚れていた。
そして。
サクリ、と。
そんな音すらも置き去りにして。
彼女が我に返った時には、既に己の腕が宙を舞っていた。
☆
エスデスの左腕が舞う。
無意識下の生存本能が、エスデスの身体を後退させ、その死を回避した。
その代償が、それでも間に合わなかった左腕。
肘から先は、血すら遅れて流れるほど鮮やかに肉も骨も切断された。
だが、ブラッドレイの攻撃はまだ終わらない。
両手の剣が、今度こそエスデスの命を刈り取るためにこれでもかというほどに振るわれる。
いまのエスデスにそれと打ち合うことはできない。
必死に避けつつ氷の壁を張ろうとするが間に合わない。
剣が振るわれる度にエスデスの皮膚は裂け、血が滲み出る。
このままでは刈り取られるのは時間の問題だ。
どう対処すべきかを考えているその隙を突き、ブラッドレイの膝蹴りがエスデスの鳩尾をとらえる。
よろめき後退するエスデスへと追撃の剣を振るうブラッドレイ。
彼女の背後には奈落があるが関係ない。
数瞬の後に、彼女が落ちる前にその首を刎ねる。
もはやキング・ブラッドレイの勝利は確実だ。
―――だが、イレギュラーというものはいつ如何なる時にも存在する。
戦場の武神すら魅了してしまうほどの一閃。
戦いに身をおくものであるほど心を奪われる一種の芸術ですらあるそれを見ても尚、最善の手を打てる男が一人。
戦いそのものには執着を抱かず、いついかなる状況でも合理的な判断を下すことができる『契約者』。
それこそが、
魏志軍。
いまのブラッドレイにとってのイレギュラー。
彼は息を潜めて待っていた。
エスデスとキング・ブラッドレイ。
二人の猛者を同時に葬れるこの機会を。
そして、ブラッドレイが氷塊を切裂いた時には既にブラックマリンを発動していた。
ブラッドレイがエスデスを崖際に追い詰め、魏の存在に気が付いた時にはもう遅い。
地面から噴出した小さな津波が二人をのみこんだ。
(やったか...?)
魏が水流で直接殺そうとせず、押し流す形にしたのは、キング・ブラッドレイの眼を考えてのことだ。
点で攻撃すれば、おそらく見切られてしまうだろう。
ならば、面で攻撃すれば避けることはできまい。
こちらに背を向けているのだから、エスデスの氷塊を斬ったようなバカげた真似もできないはず。
念のために用心しつつ近づき、血をかけられる準備をする、
ただ、誤算があるとすれば。
「ッ!?」
魏はブラッドレイの力を全て見ていた訳ではない。
そのため、彼の反応速度を甘く見積もってしまった魏に、あの数瞬で、不意打ちに反応し振り返り津波を切裂くなどという在りえない事態を予測できるはずもない。
エスデスの氷塊に比べれば、魏の起こした津波などまさしく紙細工。
それでブラッドレイの足を止めようなど片腹痛い。
突き出されたデスガンの剣は魏の脇腹を裂き、そして。
―――例え神のごとき目を持っていようとも、見えないところからの攻撃は防ぎようがあるまい
ふと、先刻のアカメたちとの戦闘が思い浮かぶ。
経験則といえば聞こえはいいが、これはただの直感だ。
このまま踏み込むのは危険だと。
そして、その予感は的中していて。
ブラッドレイの眼前から、突如にして魏の姿が消える。
同時に。
突き出される剣が一振り。
それは、ブラッドレイの左目へと正確に突き出され―――
「悪いがそれは二度目だ。同じ手はくわんよ」
神聖十字剣、ヒースクリフの剣の腹を左手で弾く。
驚くヒースクリフを余所に、ブラッドレイの剣は彼の脳天を貫いた。
はずなのだが、妙だ。
手応えがまるでない。
「残念。私の身体は少々特殊でね」
たったいま、脳天を貫かれて絶命したはずのヒースクリフが薄ら笑いを浮かべる。
思えば、頭を貫いたというのに、血の一滴すら出ていない。
ホムンクルスですらそんなことはありえないこの現象に、さしものブラッドレイも驚きほんの一瞬だけ動きを止める。
そして、その一瞬の隙に、ブラッドレイの脇腹に赤いなにかが付着する。
血だ。
背後に潜んでいたヒースクリフがシャンバラを使い、今度はヒースクリフ自身の背後に移動させていた魏が、血を放ったのだ。
パチン。
指が鳴らされるのと同時、ミギーに斬りつけられた箇所と同じ場所が削り取られる。
ブラッドレイは苦痛に顔を歪め、僅かながらに身を捩る。
その隙を付き、神聖剣十字盾がブラッドレイの腹部を強打し、魏はその背後からナイフを投擲し、追撃。
ブラッドレイは吹きとばされながらも、ナイフを弾きダメージを減らす。
「おっと。これもお忘れなく」
弾いたナイフに括り付けれていたのは、ビリヤードの球。
球が割れ、飛び出す小さな水流をブラッドレイが躱す術はない。
水流は針となってブラッドレイの左目を傷付ける。
そして、吹きとばされ抵抗できなくなったブラッドレイは―――今度こそ、奈落へと落ちた。
ようやく戦場は静寂に包まれた。
やったのか、という視線を送る魏に対して、ヒースクリフは首を横に振る。
「アカメたちも一度は落としたらしいが、ご覧の通りだ。なにかしら奴特有の復帰方法があると見て間違いないだろう」
「...なるほど。生死の確認をしようと顔を覗かせれば」
「あっという間に殺される危険性が高い。ここは素直に退散するとしよう」
☆
「ふむ」
数分後、誰もいなくなった戦場に一人佇むのは、キング・ブラッドレイただ一人。
彼は、前回落とされたのと同じ方法で奈落より復帰した。
「覗きに来るほど迂闊ではなかったか」
もしも、魏たちが生死の確認のために顔を覗かせていようものなら、彼は躊躇わずその顔面を貫いていただろう。
「身体はまだ動く。武器もまだ使える。左目は...しばらく使い物にはならなさそうだ」
先程の攻防にて。
魏の奇襲によって、ブラッドレイの左目は潰された。
完全に使用不可能という訳ではなさそうだが、回復するまでには時間がかかりそうだ。
目が回復するのが先か。自分が全てを討ち取るのが先か。それとも、この身が滅びるのが先か。
もうどのような結果になろうと構わない。
己の欲望のままに力を振るうエスデスとの戦いで奮起されたあの感覚は。
魏たちやアカメたちとの戦いで受けた痛みと共に思い出したあの感覚は。
どうやっても忘れることはできそうにない。
『お前まで生きているとなると広川の存在に疑問を抱くな。まるでお父様とやらも生きているように感じてしまう』
『お前もセリムもお父様もエンヴィーも……グリードも全員死んだ。 記憶を操作されているのかもしれんがお前程の男が広川に洗脳されるとは思わん。 私を騙すつもりかもしれないが、その程度で欺けると思われているとは元部下として心外だ』
ふと、マスタングの言葉を思い出す。
あの時は確証が持てなかったが、今は違う。
図書館の書物に、あのヒースクリフの身体...間違いなく、自分が生きた時代の技術とは別のものだ。
彼の言葉が真実であるならば、正しい未来において自分はもちろん、他のホムンクルスや【お父様】も敗北したということだ。
(だが、この殺し合いにおいては正しい未来など関係ない。ただ、己の道を切り開けた者だけが残っていく)
ただ己のためだけに戦い、勝利した者だけが生き残っていく。
改めて考えれば、なんとも自分に相応しい催しではないか。
効率よく、などとまどろっこしいことはもう止めだ。
己の気が向くままに、ただ己の為に戦いたい。
それを邪魔するのならば、例え誰であろうと斬って捨てる。
プライドとマスタングを失い、ほとんどの枷が外れたブラッドレイの本能を止めることは誰にもできない。
強いて言うならば、最後の枷となっているのは、人柱となる予定であったあの少年。エドワード・エルリックの存在だ。
「果たして、きみと私が直接戦ったのかどうかは知らんが、本来ならば私は死に、きみが生き残るはずだったのだろう」
ならば、これはひとつのケジメだ。
自分を縛り付けてきた過去への、与えられ続けただけの人生への別れの儀式だ。
彼に引導を渡し、過去の自分と、在りえたはずの正しい未来の自分とケリを着ける。
『大総統』の座から降り、ただ一匹の獣となるために、彼はその歩みを進めた。
(私が敗北し、エドワード君が生き残るのが運命というならば...運命―――これほど戦い甲斐のある相手もおるまい)
【D-6/一日目/夜中】
【キング・ブラッドレイ@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】
[状態]:疲労(大)、出血(中)、腕に刺傷(処置済)、両腕に火傷(処置済)、腹部より出血(中)、左目にダメージ(中)
[装備]:デスガンの刺剣(先端数センチ欠損)、カゲミツG4@ソードアート・オンライン
[道具]:新聞、ニュージェネレーションズ写真集、茅場明彦著『バーチャルリアリティシステム理論』(全て図書館で調達)
[思考]
基本:とにかく楽しめる戦いをしたい。
0:何者にも縛られず、己のためだけに戦い続ける。なんとも心地よいものか。
1:北に向かい、最後の枷(エドワード)に決着を着ける。
2:御坂との休戦を破棄する。一刻も早く強者と戦いたい。
3:弱者に興味はない。
[備考]
※未央、
タスク、黒子、狡噛、穂乃果と情報を交換しました。
※超能力に興味をいだきました。
※マスタングが人体錬成を行っていることを知りました。
※これまでの戦いを経て、「純粋に戦いたい」「強い者と戦いたい」という感情がむき出しています。
※糸(クローステール)が賢者の石で出来ていることを確認しました。
★
茅場晶彦のチャット内容(一部抜粋)
KoB:あなたは私以外の参加者についても事情を把握している。そうですね?
UB001:もちろん。でも、それをあなたに教えるつもりはないよ。
KoB:それくらいのことは弁えていますよ。ただ、あなたと少し世間話がしたくて。
UB001:ふーん。なんでまた?
KoB:せっかくの機会ですからね。色々と聞いてみたいんですよ。
UB001:構わないよ。ただ、あなた自身が既に知っている範囲でしか答えないからね。例えば、『キリトくん自身や、キリトくんが死んだことに対する感想』とかは答えるけど『キリトくんの死因』とかは答えないから、そのつもりで。
KoB:ありがとうございます。では早速。キリトくんについては私がよく知っているので...アヴドゥルさんについてお話しましょう。
UB001:アヴドゥル。あなたとしばらく行動してた人ね。
KoB:彼は、自分が傷つくのは我慢できるが、他者が傷つくのは見ていられないタイプと見た。おそらく、あのエスデスでさえも味方でいる限りは見捨てることはないでしょう
UB001:ああいう根本から善い人、嫌いじゃないよ。普通、会ったばかりの子にあんなことを聞かされて、避けるどころか気を遣おうとするなんて中々できないことだと思うよ
KoB:同感です。私もまどかの話を聞いた時は耳を疑いましたからね。
UB001:へえ、意外。科学者ってこともあるし興味深々なんじゃないかと思ったけど。
KoB:それは否定はしませんね。アバターならいざ知らず、生身であるのに、頭を吹き飛ばされたり、首を吹き飛ばされたりしたにも関わらず生きているなんて人間を越えているとしか思えない。非常に興味深くはありますよ。...おっと、言っておきますが私はグロテスクな趣味があるわけではありませんからね。
UB001:さて、どうだか。
KoB:そういえば、まどかの死因にはあの魏という男も関わっているのでしょうか。承太郎と足立が生き残り、彼女と花京院が死んでいるとなれば研究所での私の推測も
UB001:そういうのは答えられないって言ったでしょ。
KoB:おっと、失敬。...しかし、もしまどかの死因に関わっているとしたら彼とはなるべく遭遇したくはありませんね
UB001:彼、契約者にしては執念深いからね。もしコンサートホールで姿を見られてたら危ないかも。
KoB:それは怖い。なるべく会いたくはないものですね。
(以下略)
☆
ヒースクリフが魏志軍に持ちかけた取引は、黒の居場所を教える代わりに銀を探すのを手伝ってほしいということ。
偶然にも、互いに探し人と遭遇しており、魏は合理的判断により、交渉に応じることにした。
とは言っても、手を組んで周るわけではなく、あくまでも情報交換で留めるだけのつもりだったが...
「しかしあの二人、邪魔だと思わないか?」
「奇遇ですね。私もそう思っていたところですよ」
キング・ブラッドレイもエスデスも、殺し合いを優勝するにしろ脱出するにしろ、その強さが厄介だ。
特にエスデスはあの重傷の身体を見れば先は長くないことがわかるし、多くの参加者を敵に回し過ぎた。切り捨てるメリットの方が大きいだろう。
ならば、排除できる内には排除しておきたい。
その意見が合致した二人は、一時的に手を組みエスデスたちの排除を試みた。
尤も、エスデスはともかく、ブラッドレイは生きているだろうが...
「どこまで運べばいいかな?」
「この辺りで結構ですよ」
負傷した魏を背負い、闇夜を駆けていたヒースクリフは、魏の要求通りここ、E-5で足を止めた。
「もう一度確認しようか。私は黒くんと出会ったら、きみの伝言を伝える」
「私が銀を見つけたら地獄門まで連れて行く、ですね」
ヒースクリフが小さく頷き、借りたシャンバラを返すと、魏は一足先に闇夜に消える。
「そこまでして彼を追う執念、どこから来るのか聞かせて貰いたいものだ」
ヒースクリフの言葉が聞こえていたのかどうかはわからないが、魏からの返答はなかった。
「大きな収穫があった」
茅場晶彦はポツリと呟く。
協力者に魏を選んだのは、黒から得た情報と、UB001とのチャットの内容を照らし合わせての判断だった。
黒に敗北した。執念深い性格。
この二つの事実が合わされば、自然と彼の狙いも絞れてくる。
そこで、カマをかけたところ見事にかかり、一時的な協力者とすることができた。
チャットの件に関しては気になる部分も多かったが、いまは置いておく。
魏と一時的に戦闘を繰り広げたのは、エスデスたちの戦場から離れると共に自分の身体について確認するためだ。
キリトの身体は死亡と共に消滅した。つまり、生身ではないということだ。
ならば、自分は?いつもの通り、彼と同じアバターなのか。この表示されているHPバーや保持スキルの通り、やはり自分だけはアバターの身体なのか。
また、HPはどの程度の攻撃を受ければどれほど減るのか。
それを確認するための戦闘だった。
そのため、魏の血にわざと当たったりもした。
結果は予想通り。
魏の血がいくらか身体を削ろうとも、大したダメージにはならない。
つまりは、首輪さえ守っていれば即死に至ることはほとんどない。
そのことがわかっていたからこそ、ブラッドレイの剣を頭で受けるなどという無茶な作戦もこなせたのだ。
(流石に一撃で50%近く削られたのは予想外だったがね。この手は二度は使えまい)
だが、あのブラッドレイに傷を負わせ、左目にもダメージを遺せたのは大きい。
運が良ければエスデスも処分できたというのだから十分すぎる対価だ。...彼女なら生きていても不思議ではないが、それでも片腕の切断とあの重傷では先は長くないと信じたい。
そしてもうひとつ。
エスデスより承ったこの死体。
まどかと、おそらく
暁美ほむらの死体だ。
これを手に入れた理由として、万が一エスデスが生きていた時のために、この死体を使ってエスデスの悪評をばら撒く目的もある。
だが、それはあくまでもおまけだ。
本当の目的はその死体に未だ嵌められているモノにある。
(魔法少女はソウルジェムを破壊されなければ死ぬことはない―――だが、まどかはともかく暁美ほむらのソウルジェムはまだ破壊されていない)
ここから先は趣味の領域、銀に出会うことがメインクエストならば、これはサブクエストにしかすぎないものだ。
優先するつもりはないが、できれば手持ちのグリーフシードの有効期限が切れる前に調べておきたい。
なぜソウルジェムが濁り切ると死ぬのか。
それを調べるためにはこの死体はちょうどいい。
誰か知っている者、
佐倉杏子か
美樹さやかに尋ねるのもよし。
実際にこの死体を調べてみるのもよし。
(サブクエストにもそれなりに報酬があるのは付き物だ。悪いが、もう少し付き合って貰うよふたりとも)
とにもかくにも、落ち着ける場所が必要だ。
南西側を先に周るつもりだったが、銀が南東にいるのなら話は別。
南西の調査は彼女を保護してからでも遅くは無いはずだ。
音ノ木坂学院...黒のやアカメたちの情報が正しければ、味方になる人間がいるはずだ。
まずはそこへと向かおう。
少々距離があるが、この身体ならば大した問題ではない。
己の欲望を満たすため、茅場晶彦の歩みは止まることを知らない。
【E-5/一日目/夜中】
【魏志軍@DAKER THAN BLACK‐黒の契約者-】
[状態]:強い決意、疲労(絶大)、黒への屈辱、背中・腹部に一箇所の打撃(処置済み)、右肩に裂傷(処置済み)、右腕に傷(止血済み)、顔に火傷の痕、左肩に裂傷、脇腹に裂傷、銀に対する危機感
[装備]:
DIOのナイフ×8@ジョジョの奇妙な冒険SC(魏志軍の支給品)、スタングレネード×1@現実(魏志軍の支給品)、水龍憑依ブラックマリン@アカメが斬る(魏志軍の支給品)、次元方陣シャンバラ@アカメが斬る(
セリム・ブラッドレイの支給品)、黒妻綿流の拳銃@とある科学の超電磁砲(
星空凛の支給品)
[道具]:基本支給品×3(魏志軍・
比企谷八幡・
プロデューサー・一部欠損)、テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカード@とある科学の超電磁砲(比企谷八幡の支給品)、 暗視双眼鏡@現実(比企谷八幡の支給品)、アーミーナイフ×1@現実(武器庫の武器)、 流星核のペンダント@DAKER THAN BLACK(
蘇芳・パブリチェンコの支給品)、参加者の何れかの携帯電話(蘇芳・パブリチェンコの支給品・改良型)、 医療品@現実(カジノの備品)、鎮痛剤の錠剤@現実(カジノの備品)×4、 ビタミン剤の錠剤@現実×11(カジノの備品)、ビリヤードのキュー@現実×6(カジノの備品)、ダーツの矢@現実×15(カジノの備品)、懐中電灯×1@現実(カジノの備品) ビリヤードの球(細工済み)×7
[思考・行動]
基本方針:全ての参加者を殺害し、ゲームに優勝する
0:地獄門に向かい、黒を待つ。道中、銀を発見したらなるべく刺激しないように地獄門まで連れて行く
1:BK201(黒)の捜索。見つけ次第殺害する。
2:強力な武器の確保。最悪、他のゲーム賛同者と協力する事も視野に入れる。
3:合理的な判断を怠らず、可能な限り消耗の激しい戦闘は避ける。
4:あのドールは……。
5:あの男(ブラッドレイ)は危険。もっと準備をしなければ。
[備考]
※テレスティーナ=木原=ライフラインのIDカードには回数制限があり、最大で使用できる回数は3回です(残り1回)。
※上記のIDカードがキーロックとして効力を発揮するのは、
ヘミソフィアの劇中に登場した“物質転送装置”のような「殺傷能力の無い機器」・「過度な防御性能を持たない機器」の2つに当てはまる機器に限られます。
※暗視双眼鏡は、PSYCO-PASS1期10話で
槙島聖護が使用したものです(魏はこれを暗視機能の無いごく一般的な双眼鏡と勘違いしている)。
※スタンドの存在を参加者だと思っています
※シャンバラの説明書が紛失している為、人を転移させる謎の物体という認識です。
※シャンバラは長距離転移が一日に一度で尚且つランダム。短距離だとエネルギー消耗が激しいですが、通常通りに使用できます。
※ブラックマリン・シャンバラ共に適正を持ち合わせており、特に後者については出典元であるアカメが斬る!での所持者・シュラと同等の高い適正を誇っています。
※シャンバラの大まかな使用用途を理解しました(長距離制限には気付いてない)。
※あらかじめ水源付近(H7北部の河川)にシャンバラでマーキングを行っています。
※ペルソナとスタンドの区別がついていません。
※銀の変貌に勘付いていますが、黒との決着を優先しています。
【
ヒースクリフ(茅場晶彦)@ソードアートオンライン】
[状態]:HP45%、異能に対する高揚感と興味
[装備]:神聖剣十字盾@ソードアートオンライン、ヒースクリフの鎧@ソードアートオンライン、神聖十字剣@ソードアートオンライン
[道具]:基本支給品一式、まどかとほむらの縫い合わされた死体、グリーフシード(有効期限あり)×2@魔法少女まどか☆マギカ、指輪@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞、クマお手製眼鏡@PERSONA4 the Animation、キリトの首輪
[思考]
基本:主催への接触(優勝も視野に入れる)
0:もっと異能を知りたい。見てみたい。
1:銀と言う少女を探す 。
2:黒とできれば合流したい。また、魏からの伝言『地獄門にて貴様を待つ』を伝える。
3:チャットの件を他の参加者に伝えるかどうか様子を見る。
4:主催者との接触。
5:ロックを解除した可能性のある
田村玲子、初春と接触したい。
6:北西の探索を新一達に任せ、自分は南の方から探索を始める。
7:南の花陽や
ヒルダの方も余裕があれば探す。
8:キリトの首輪も後で調べる。
9:余裕ができ次第ほむらのソウルジェムについて調べる。
[備考]
※参戦時期は1期におけるアインクラッド編終盤のキリトと相討った直後。
※ステータスは死亡直前の物が使用出来るが、不死スキルは失われている。
※キリト同様に生身の肉体は主催の管理下に置かれており、HPが0になると本体も死亡する。
※電脳化(自身の脳への高出力マイクロ波スキャニング)を行う以前に本体が確保されていた為、電脳化はしていない(茅場本人はこの事実に気付いていない)。
※ダメージの回復速度は回復アイテムを使用しない場合は実際の人間と大差変わりない。
※この世界を現実だと認識しました。
※DIOがスタンド使い及び吸血鬼だと知りました。
※平行世界の存在を認識しました。
※アインクラッド周辺には深い霧が立ち込めています。
※チャットの詳細な内容は後続の書き手にお任せします。
※デバイスに追加された機能は現在凍結されています。
パキリ、パキリと氷を踏みしめる音が奈落に響く。
片腕を斬りおとされ、全身をなます切りにされ、水流にのまれ。
それでも彼女は生きていた。
水流にのまれた彼女は、どうにか一部の水を凍らせることにより、ひとまずは脱出。
その後の落下は免れないが、氷を身に纏い浮かせることにより、エスデス自身の落下を防ぐ。
自在に動くことはできないが、壁に手が届くまで移動するだけならば問題はない。
壁に触れて足場を作り、徐々に階段を作り地上まで昇っていく。
「......」
キング・ブラッドレイというこれ以上ない強者と戦えたというのに、彼女の顔は晴れない。
例え、腕を斬られて奈落に落ちようとも、だ。
こうして生きている以上、彼女はまだ敗北していないのではないか?
(そんなわけがあるか。私は、あの男に完膚なきまでに敗北した)
キング・ブラッドレイの得物が名刀の類だった。
エスデスのコンディションはとても万全と言えるものではなかったため、技の威力がウェイブたちの時と比べて格段に落ちていた。
確かにそれらもあるかもしれない。
自分が万全の状態であれば、また違っていたかもしれない。
(そんなものは言い訳だ。奴の太刀筋に惚れた時点で、私の負けなのだ)
実際は、閃光よりは遅かっただろう。反応しようと思えばできる程度の速さだっただろう。
もう一度戦えば、腕を切りとられることなどないだろう。
だが、それでも。それでもだ。
エスデスがその太刀筋に見惚れ、不様に腕を斬られたという事実は決して消えはしない。
彼女の帝具を含めた全ての力を、一刀のもとに伏せられたという敗北の事実は。
(これが敗北、か。あまり味わいたくはないものだ)
最高の敵との戦闘による充足感よりも、いまの彼女を占めているのは悔しさだ。
エスデスは生まれついての狩人であり強者だ。
こと戦においては、軍での集団戦はもちろん、個人の戦いでも未だ無敗だった。
その強さ故に、エスデスは常に追われる者であり、決して誰かの強さを追うことはなかった。
だが、ここで初めて彼女に壁が出来た。
キング・ブラッドレイという最大にして最高の壁が。
同時に、新たな高揚感が湧きあがってくる。
DIOのように自分と同じ『世界』に踏み込んでいるわけでもなく、ただただ純粋に強いあの男を越えたい。勝ちたいという衝動が。
(初めてだぞ、こんな気持ちは。これが挑戦...なんと甘美な響きだろう)
『最強』の座より引きずりおろされた彼女は、今まで以上に強さに飢えるだろう。
ウェイブやマスタングは格上である自分に立ち向かった。
ならば、今度は自分の番だ。あの男を相手に勝利を掴むため―――強くなってみせる。
例え、直に身体に限界が訪れようと、それが戦いを、強さを求めるのを止める理由にはならない。
あの男を超える。
新たな決意を胸に抱き、彼女の顔はようやく笑みを浮かべることができた。
【D-6/崖/一日目/夜中】
【エスデス@アカメが斬る!】
[状態]:疲労(絶大)、ダメージ(極大)、全身に打撃、高揚感、狂気、左半身焼却(処置済)全身に斬傷(氷で止血済み)、左爪先消滅(止血済み)、左腕切断(氷で止血済み)
[装備]:なし
[道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品1~3、マスタングの首輪
[思考]
基本:殺し合いを愉しんだ後に広川を殺す。
0:キング・ブラッドレイを超える。そのためにより多くの強者との戦闘を行う。
1:強くなりたい。
2:殺し合いを愉しむために積極的に交戦を行う。殺してしまったら仕方無い。
3:
タツミに逢いたい。
4:ウェイブを獲物として認め、次は狩る。
5:拷問玩具として足立は飼いたい。
6:アカメ(ナイトレイド)と係わり合いのある連中は拷問して情報を吐かせる。
7:後藤、魏志軍とも機会があれば戦いたい。
8:もう一つ奥の手を開発してみたい。
9:
島村卯月には此方から干渉するつもりはない。
[備考]
※参戦時期はセリュー死亡以前のどこかから。
※奥の手『摩訶鉢特摩』は本人曰く「一日に一度が限界」です。
※アヴドゥルの知り合い(ジョースター一行)の名前を把握しました。
※DIOに興味を抱いています。
※暁美ほむらが時を止められる事を知りました。
※自分にかけられている制限に気付きました。
※DIOがスタンド使い及び吸血鬼であることを知りました。 また、DIOが時間停止を使えることを知りました。
※平行世界の存在を認識しました。
※奥の手を発動しました。(夜中)
最終更新:2016年06月10日 09:47