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  • ボクのセカイをまもるヒト(前編)

ボクのセカイをまもるヒト(前編)

最終更新:2022年11月28日 10:23

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ボクのセカイをまもるヒト(前編) ◆LXe12sNRSs



『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』

 上記のような命令を下されたとして、君は第一になにを成そうと考えるだろうか?
 命令というものは、指示する者の意図を正確に汲み、実行する者が同調する必要がある。
 しかしこの命令が、正式な命令としてではなく、催眠術のような暗示的なものだったとすればどうか。
 命令の本質は歪み、指示する者の意図は明確に伝わらない。
 命令を達成するための方法諸々は、実行する者の判断に委ねられる。
 なにを成して命令を遂行するか、遂行したと判断するか、それは受け手の解釈の仕方によって様々なのだ。

 たとえば、君は上記のような命令をどう解釈するだろうか?

 ・エリア中心部に行く
 ・他の参加者に接触する
 ・使えそうかそうでないか判断する
 ・使えそうならば仲間に誘う
 ・害を為すようなら排除する

 命令としては単体でも、それをバラしてみれば、実はやるべきことは上の五つ。
 命令を受ける側として最も考えなければいけないことは、この五つの中の、どれが本質――最優先事項――であるかだ。
 たとえば、エリア中心部へ行ったとして、他の参加者がいなかったらどうすればいいのか。
 たとえば、エリア中心部へ行く過程で、他の参加者に接触した場合はどうすればいいのか。
 たとえば、他の参加者を仲間に誘い、断られた場合はどうすればいいのか。
 本質がどれであるか、解釈の違いによって、命令の意味は大きく変質する。
 行く、接触する、見極める、誘う、排除する。
 これら五つ、どれを成せば任務遂行と言えるのか、どれを優先すべきなのか。
 それはやはり、指示する側が明確に本質を示していない以上、受け手の捉え方によって千差万別なのである。

 ある者は『到達』を第一に考え、その過程で出会う参加者は無視してしまうかもしれない。
 ある者は『接触』を第一に考え、中心部へ到達することなくその過程で命令を遂行し終えるかもしれない。
 ある者は『判断』を第一に考え、ろくな接触もせず視認しただけでその者の適正を計るかもしれない。
 ある者は『勧誘』を第一に考え、どんな者でも好意的に受け入れてしまうかもしれない。
 ある者は『排除』を第一に考え、どんな者でも害意だと見なしてしまうかもしれない。

 さて、では君ならばどうするか?

 たとえば君が、命令というものを軽んじるただの学生だったとして。
 たとえば君が、命令というもののシステムを知るようになった社会人だったとして。
 たとえば君が、命令というものを依頼と同列に解釈する請負人だったとして。

 暗示的なものであろうが、直接的なものであろうが、命令であろうが、お願いであろうが、要点は変わらない。
 受け手が、指示内容の本質をどう解釈するか――やはり、千差万別なのである。

『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』

 このような抽象的かつ曖昧模糊な例では、なおのこと。


 ◇ ◇ ◇


 エリアD-8 古墳近辺

 ビクトリームは、歓喜に震えていた。
 しばらくぶりとなる我が体との合身。心地よいVの体勢。
 彼という魔物を語る上で最も重要なポージングが、また万全の状態で取れることが嬉しかった。
 そんな幸福の時間を、質問攻めで邪魔したのがニアだった。

「グラサン・ジャックさんってなんですか? ガンメンモドキってなんですか?」

 キラキラと光る珊瑚礁のような髪に、純粋無垢な表情を携えた少女。彼女はニアと名乗った。
 ビクトリームの体に数々の虐待を加え、それでいてこのふてぶてしい態度。
 ビクトリームは彼女をいま流行のヤンデレ少女ではないかと推察したが、それも「ヤンデレってなんですか?」と一蹴された。
 その他、華麗なるVから飛び出る数々のジョークは、「~ってなんですか?」のフレーズによって蹴散らされる。
 なんだこの娘なーんも知らねぇのかこの困ったちゃんがー! と叱り飛ばしたところで、ニアは不思議そうに首を捻るだけだった。
 とにもかくにも、ビクトリームはニアについての知識のなさを鑑み、彼女を『バカ』であると認識した。

「おお、かわいそうなニアちゃんよぉ……あんまりにも惨めったらしいから、この華麗なるビクトリーム様がテメェに学をつけてやろうじゃねぇか」

 そうしてビクトリームは、己の主観と願望に若干の誇張を加え、ニアが最も知りたがっていた『グラサン・ジャック』について語った。

「……よくわかりました。やはりグラサン・ジャックさんというのは、シモンのアニキであるカミナさんのことだったのですね」
「そういうことだ。だが……それも昔の話よ。今のあの男はグラサン・ジャック。このビクトリーム様の忠実なしもべにして唯一無二のパートナーよぉ」
「パートナー……では、ビクトリームさんはカミナさんのアニキというわけですね?」
「ん……ん、んんん……? ま、まあそう解釈しちゃってもよろしかったりしちゃったりするんじゃないかぁ?」
「アニキさんのアニキさん……シモンがいれば、今頃……」

 物憂げな視線を空に投げて、ニアは森林の中を佇む。
 その様子は、Vカットとメロンの曲線くらいにしか美を感じないビクトリームの意識を奪わせるほどのものだった。

 しかし、この反応はいったいどうしたことだろうか。
 グラサン・ジャック――カミナの名を知る少女。
 最初は仲間かなにかと思ったが、彼女自身はカミナとは面識がなく、どんな人物かとビクトリームに問うような無知。
 とりあえずビクトリームは「気のいい弟分よぉ」とだいぶ曲解した知識を与えておいたが、どうにもリアクションが薄い。
 まさか本当に名前しか知らないのか、ならなぜそんなにも興味を抱いているのか、ビクトリームにとってはまったくの謎だった。

「って、な~んでこの私が奴のことでこんなに悩まなくちゃいけないんだっつーの。おい小娘、おまえいったいどこで我がパ」
「お願いですビクトリームさん! 私を、そのグラサン・ジャックさんに会わせていただけませんか!?」
「な、ぬぅわぁにぃぃぃ!?」

 真摯な瞳、Vに急接近。ツッコミもなにもないまま放たれた懇願に、ビクトリームはペースを狂わされた。
 そもそも、この少女はグラサン・ジャックとどういう関係にあるのか。
 ヤンデレでもストーカーでもないならば、いったいなんだというのか。
 その答えをまだ知り得ていないビクトリームは、素直にニアの申し出を受け入れるはずもなく、

「バーロー! さんざん我が体を痛めつけてくれた小娘がな~に抜かしとんじゃあ!
 そもそもだな、この私が今さらどの面さげてグラサン・ジャックと会えばいいっちゅうんじゃい!
 それができりゃあこんなドキドキムネムネした微妙な乙女心のような気持ちになんてなら――」

 断りの怒号を放ったが、しかしその罵声は、西方から届いた轟音によって掻き消される。
 同時に西風が周囲の木の葉を舞い上げ、ビクトリームとニアの二人を襲った。

「きゃあ!?」
「ブルアアアァァァァァ!?」

 両名とも吹っ飛ばされまいとどうにかその場に堪え、しばらくして風はやんだ。
 舞い上がった木の葉がすべて地面に降りる頃、二人の視線は西の方角を向いた。

「な、なんだぁ……?」
「……なんでしょう?」

 そして、時は少し遡る――


 ◇ ◇ ◇


 エリアE-7 T字路近辺

 八神はやては、目を白黒させながらその惨状を眺めていた。
 一条の川を隔てた向こう側、エリア中心部へ向かうためのルートに鎮座する、元々の目的地、

「なんか燃えてるぅぅぅぅぅ!?」

 デパートが――下着売り場ごと――燃えている。
 日中お構いなしに濛々と立ち上る煙は、はやてにミッド臨海空港で起こった大規模火災事故を思い出させた。
 同時に、あれほどの火災ならば要救助者がいるのではないかと思いもしたが、

「……あ、エリア中心部へ行かな」

 足は、いつの間にか北へ向いていた。
 そのまま燃え上がるデパートには一瞥もくれず、無理せずエリア中心部へと到達するためのルート、北路を選択する。
 時空管理局に勤める彼女が、人命救助を差し置いて他を優先するなど、普通ならば考えられないことだった。
 それはこの殺し合いという環境下においても同じで、一時期心のぶれはあったものの、はやての強固な意志は揺るいでなどいなかった。

 それを歪め、変質させてしまったのが、<ギアス>という『絶対遵守の力』なのである。


 ◇ ◇ ◇


 エリアD-7 路上

 小早川ゆたかは、息を切らしながらも懸命に歩いていた。
 元来、病弱なゆたかの体力は、常人のそれよりも遥かに劣る。
 かつての同行者、Dボゥイはそんな彼女を気遣い歩調を合わせて並行してくれたが、弟のほうはそんな気心は持ち合わせていなかった。

(歩くの、速いんだ)

 小早川ゆたかと相羽シンヤ。
 テッククリスタルを求め会場をさ迷い歩く二人は、南へと歩を進めていた。
 ただし、仲良く肩を並べてというわけではない。
 シンヤにとって、ゆたかの存在はいわば人質。Dボゥイとの再戦を果たすための、切符的役割しか担っていない。
 それはゆたか自身も認識していたことで、無碍に扱われることに関して不快感を覚えたりはしない。
 ただ、ついていくことすら困難なのかと思うと、自分の脆弱な体に僅かな憤りを感じた。

「……」
「……あ、ありがとうござい……」

 歩の遅いゆたかとの距離が10メートルは離れたところで、先行くシンヤは足を止めた。
 そのまま無言で後続が追いつくのを待ち、ゆたかが気遣いに感謝しようと口を開いても、意には介さなかった。
 隣合わせではなく、前後の位置関係のまま、ゆたかとシンヤは歩き続ける。

(うう……なにを話せばいいのかわからないよぉ)

 ゆたかは、どちらかといえば人見知りなほうである。
 出会って間もない年上の男性相手、それも自分の命を握っている者ともなれば、なにを話の種にすればいいのか皆目見当もつかなかった。
 ただ、このまま無言で行動を共にするのはどうにも気まずい。Dボゥイといたときはこんな些事には悩まなかったのだが。

(わからないよ……わたし、男の人とあんまりお喋りしたことないし……)

 Dボゥイによく似た後姿を見つめながら、ゆたかは顔中に疲労からくる汗を作っていた。
 それに緊張も加味され、顔色は体調を崩したときのように青ざめていたが、そのことには本人もシンヤも気づいていない。

「止まれ」
「え?」

 萎縮したまま歩いていると、ふとシンヤから制止の声がかかった。
 ゆたかは顔を前方に向け、その理由に気づくと、すぐに視界をシンヤの身に塞がれる。

「あ、あの、前のほうに人が」
「わかっているさ。だからこうしている。奴がいきなり銃を抜いて、おまえが射殺でもされたらことだからね」

 結果的に、ゆたかの小柄な体はシンヤに覆い隠されるような状態になっていた。
 それが前方からやって来る――敵かもしれない――人間から庇うための行為なのだと悟って、ゆたかは少し嬉しくなった。
 が、同時に不安も込み上げてくる。シンヤがあの人と殺し合いを始めたりしないだろうか、と。

(もしそうなったら、わたしが止めなきゃ)

 明確な手段など検討もつかないし、いざそうなったらなにもできないということを予感してもいるが、ゆたかは願望として、シンヤに殺し合いをしてほしくなかった。
 歩を止め屹立するシンヤの裏で、ゆたかは視界奥からやって来る者の到来を待つ。
 横合いから様子を窺うと、どうやら女性であるらしい姿が近づいてきた。
 シンヤは牽制を放つでもなく、ただ黙って女性が声をかけてくるのを待つ。
 そして女性はゆたかとシンヤのすぐ側まで歩み寄り、こう言い放った。

「こんにちは。私は八神はやていいます。少しお話しませんか?」

 柔和な語り口の女性は、物腰から察してゆたかよりも年上。
 朱色に染まった双眸が、なぜか印象深かった。


 ◇ ◇ ◇


 相羽シンヤは、八神はやてなる女の話を聞き一考していた。

「私たちの仲間になってほしい、ね。いきなりなにを言い出すかと思えば、理解に苦しむ提案だ」
「そんなことないですよ! あの……八神さんは、ここから脱出するために仲間を集めてるんですよね?
 わたしたちに声をかけたのも、そのための仲間になってほしいって意味ですよね?」
「それは……あれ? えーと……どうやったっけなぁ」

 はやての曖昧な返事に、ゆたかは不安を募らせ、シンヤはイライラを増長させていた。
 そもそもこのはやてなる女、一見してどこかおかしい。
 殺し合いの会場で歩いていた男女二人に声をかけ、いきなり仲間になってくれと要求してくる。
 心身ともに脆弱な人間ならば、普通は第一に「敵か味方か」という疑問が生まれ、おいそれと声をかけられるはずなどない。
 そして、彼女の話を聞いた上で「なにをするための仲間になるのか?」と尋ねたら、返答はこの曖昧さだ。
 疑ってかかるなら、なんらかの罠と解釈すべき勧誘。
 しかしラダムのテッカマンであり、人間を虫ケラと見下すシンヤは、あえてその渦中に身を投じることを選んだ。
 彼の第一の目的、首輪の解除。第二の目的、テッククリスタルの入手。
 どちらを成すためにも、他参加者との接触は積極的に取り組むべきだと考えたからだ。

(もし罠ならば、殺すだけさ)

 己の実力を自負し、Dボゥイとの再戦の日まで死ぬつもりもないシンヤは、警戒はすれど恐れはしなかった。

「いいだろう。仲間になってあげるよ。ただし、条件つきでね」
「条件?」
「あるものを探している。テッククリスタルという水晶のような道具なんだが……心当たりはないかい?」
「テッククリスタル……水晶……あー」

 はやての言う仲間とやらが複数名いるとするならば、その中にテッククリスタルを支給された者が紛れているかもしれない。
 もともとシンヤとDボゥイ以外には無用の長物、仲間になるための交換材料としてなら、はやて側も快く譲り渡すだろう。
 仮に渋ったとしても、持っているか持っていないかさえわかれば、あとはどうとでもなる。
 いざというときは、殺して、奪えばいいだけだ。

「それなら、私が持っとるよ」

 腹の底に殺意を宿すシンヤだったが、はやての返答は思いもよらぬものだった。

「……なんだって?」
「たぶん、そのテッククリスタルっちゅう水晶なら私が持っとる」
「ほ、本当ですか!? あ、あの、でしたらそれ、シンヤさんに譲ってくれませんか……?」

 話の出来具合に驚きを隠せぬシンヤより先に、ゆたかが交渉に躍り出る。

「ええよ。仲間になってくれるんなら安い安い。ちょっと待っといてな、たしか……」

 話は交渉とまではいかず、返事一つで成立した。
 争いにならなかったことにホッとするゆたかと、テッククリスタルを取り出そうとするはやてに目を配るシンヤ。
 二人の見つめる中、はやては数時間前までは確かに所持していた交換材料を探し、そして気づいた。

「あ……そっか」

 あちゃー、と零しながら、両手を合わせて二人に平謝りの姿勢を取る。

「ごめんなぁ。さっきまで持ってたんやけど、それ、いま仲間が持っとるんよ」

 発覚した事実に、ゆたかが落胆する。同時に、横目でチラリとシンヤの顔を覗き込み、機嫌のほどを窺っているようだった。
 シンヤはそんなゆたかの所作を疎ましく思いつつも、癇癪を起こしたりはしなかった。
 ブレードのものかエビルのものかはわからないが、テッククリスタルははやての仲間が持っていると言う。
 ならば、焦る必要はない。物事は着実に進捗している。

「なら、その仲間のところまで案内してもらおうか。正式におまえたちの仲間になるのは、クリスタルが俺の手に渡ってからだ」
「心配せぇへんでも、ちゃんと渡すって。ほな行こか」

 はやて先導のもと、シンヤとゆたかは南へと進路を取った。
 そしてすぐに、

「はやて!」

 進路先から、第二の来訪者が訪れた。
 三人は現れた男の姿を見やり、それが何者かを知っているはやては特に変化なく、初見のシンヤとゆたかは、

「なっ……」
「え、ええ!?」

 予想外の奇観に、片や驚き、片や顔を真っ赤にして立ちくらみを起こす。
 はやての名を呼び、流麗なフォームでこちらに快走してくる男は、なぜか全裸だった。
 布で覆われているのは、股間の局部のみという一見して風呂上りのような男。まず殺し合いの場に相応しい格好とは思えない。
 察するにはやての知り合いだろうが、男のありえない風貌に、シンヤはますます持って疑心を募らせた。

「あれ、クレアさん。そんなに慌ててどうしたんですか?」
「ん? ……いや? どうもしないさ。ただおまえの姿が見えたんでな。ところで、そっちの二人は?」

 平然と会話するはやてに、やはり動揺した様子はない。おそらくは、この裸身の男も仲間の一人なのだろう。

「ああこの二人は――『エリア中心部へ向かう途中で接触して、使えそうだと判断したから仲間に誘った』人たちです。
 仲間になる条件として、私の持っとった荷物が必要なんやけど……私のデイパックは今どこに?」
「そうか。それならたぶん、マタタビが持ってるんじゃないか?
 じゃあ『俺は俺でエリア中心部へ向かい、また別の参加者と接触して、使えそうな奴を仲間に誘う』としよう」

 ただそれだけを言い交わし、クレアはシンヤとゆたかには一瞥もくれないまま北へと歩き出した。
 感じた印象としては、どこか気味の悪い会話だった。なにかに取り憑かれているような、人形同士の掛け合いにも思える。

「あの、はやてさん、今の人は……」
「え? ああ、私の仲間や。変な人やけど、悪い人やないよ」
「そ、そうですか」

 ゆたかは去り行くクレアの背中を見て、恥ずかしさのあまりすぐに目を反らした。
 シンヤにいたっては、端から眼中にない。興味は、テッククリスタルを持つというマタタビに向いていた。
 そしてそのマタタビも、はやてやクレアと同じ場所を目指している最中である。

「あ、マタタビもちょうど来たみたいやな。ほら、あのネコさんがそうや」

 言って指差した先、第三の来訪者たる一匹のトラネコが、“二足で歩いていた”。


 ◇ ◇ ◇


 マタタビは、脳の中枢に刻まれた使命を果たすため、はやてやクレアと同様に燃え盛るデパート方面を避け、北に迂回していた。
 ミー死亡の謎や、はやてやクレアに向けた疑念はどこかへ消え、今はただサイボーグのようにエリア中心部を目指す。
 そして前方にクレアを、さらにはやてと、はやてに付き従う見知らぬ人間二人を視界に捉えたところで、立ち止まる。
 きっかけは、はやての呼びかけによるものだった。

「マタタビ、ちょっとええか?」

 瞳は朱色に染まったまま、はやてがマタタビの進路上を遮るが、マタタビは止まらない。

「悪いな、エリア中心部へ行かなくちゃならん」

 小柄な猫の体ははやての足元を通り過ぎ、既にはやてが勧誘したのだろうと判断した他の参加者二人には、見向きもしない。

「ね、ネコが喋ってる……?」

 裸身の男との邂逅、続いて人語と二足歩行のスキルを持ち合わせたトラネコの登場で、ゆたかの神経は既にいっぱいいっぱいだった。
 しかし、マタタビが背負うデイパックに目的のものがあると知るシンヤは、このままトラネコが過ぎ去るの座視するはずもなく、

「待ちなよ。俺はこの女の仲間になる条件として、おまえの持っているクリスタルを要求したんだ。このまま黙って行かれるのは――」

 言って、シンヤはマタタビに手を伸ばす。
 欲望と、それを満たすための殺意が秘められた右手を。
 そのあからさまな気配が、マタタビの本能に触れ、嫌悪感を誘発した。
 反射的に、シンヤの右手の甲を爪でひっかく。

「拙者に触れるんじゃねぇ」

 短く言い捨てて、マタタビはシンヤを睨み返した。
 反応を待たぬまま、何事もなかったかのように進路を戻す。

「……フ」

 去り行くマタタビの背に浴びせられたのは、苦笑。

「まったく、この世界は本当におもしろいね」

 苦笑はやがて、失笑を経て、

「猫でさえ、この俺を怒らせる」

 嘲笑、もしくは不気味なまでの艶笑、そして、

「邪魔なんだよ……兄さんとの決着をつけるためにはねえッ!」

 哄笑へといたり、シンヤは歪んだ笑みをそのままに、マタタビに襲い掛かった。

「ッ!?」

 一瞬で振り向いたマタタビの頭部を一掴み、デイパックを剥ぎ取ると、本体は乱暴に放り捨てる。
 咄嗟の出来事に受け身を取ることもままならなかったマタタビは、三度地面を弾み、転がって土の味を覚えた。

(攻撃された? あの男が? 敵意を行動に移した? ならば我々に害を成す存在だと判断し、排除を――)

 マタタビの本能が、<ギアス>によって一時的に麻痺している脳が、決断を下そうとする、しかしそれ以前に。

 路上の乾いたアスファルトに沈み、マタタビは身を起こそうとする間、見た。
 ジャンパー姿の男が、マタタビから奪ったデイパックを漁る様が。
 デイパックから出てくる数々の物品を、選別するように投げ捨てていく様が。
 食料や水が宙を舞う中に、ホルマリン漬けにされた眼球入りの瓶も飛び、
 それが地面に吸い込まれるように落下し、音を立てて割れ、中身が飛び散り、
 衝撃で中の眼球が潰れ、原型を失っていく様を。

(――排除――)

 マタタビにかけられた<ギアス>は、あくまでもマタタビ個人を対象としたものである。
『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』
 マタタビがこれをどう解釈したにせよ、彼の行動原理はこの命令内容の中に限定される。
『はやてが既に勧誘したためこちらが誘う必要性はなし』、と判断はすれど、
『はやてが勧誘した人間だから我々に害を成さない、よって排除する必要性はない』という結論には至らず、
 また『はやてが命令を遂行したからこちらの命令も完了した』という風には捉えない。
 つまり、相羽シンヤがはやての果たした命令の成果だとしても、それはマタタビにとってなんら関係のないことなのだ。
 害を成すようなら排除する。この一点を重視したマタタビは、シンヤすらも外敵であると判断した。
 しかし、やはりそれ以前に。

(排除――いや、それよりも、だ)

 マタタビの胸中には、抗いようのない怒りが生まれていた。
 それは、自身の眼球が入った瓶が破壊されたことに対する怒り。
 幼少期、ライバルであるキッドに抉られ、復讐に至らせる起因となった眼球が、ゴミのように扱われ、いま潰れた。

(――おい、ちょっと待てコラ)

 離別中、サイボーグ化してしまったキッドとは違い、マタタビは生来猫としてあり続けた。
 動物らしく食欲などの欲求には溺れやすいが、それは裏を返せば、獣が本来持つ野生の表れでもある。
 獣は人間のように執着したりはしない。ここぞという場面では、本能に従って動く。
 それは、他の猫よりも遥かに器用な手先を持ち、人語を理解するほどの頭脳を持つマタタビにとっても言えたことだった。

(なにしてんだよ、テメェ)

 人間の性質と獣の性質、その二つを持ち合わせたマタタビは、世界でも有数の、特定されれば世界遺産ともなり得るイレギュラーケースだった。
 人間の常識が当てはまり、獣の常識が当てはまり、しかし人間の常識が通用せず、獣の常識も通用しない。
 ゆえに、<ギアス>をかけられた獣としては初となるマタタビの脳神経にも、そのような齟齬が発生したのかもしれない。

「なにしてんだてめえコラアアアアア!」

 この瞬間、マタタビという獣の怒り、野生が、絶対遵守の力を凌駕した。

 歪みは膨張し、マタタビを本能のままに動く獣へと変貌させた。
 キッドとの関係を示す上での、鍵とも思われた眼球。それを破壊された怒り。怒りから生じる敵意。殺意。
 研ぎ澄まされた爪は、未だクリスタルを探すシンヤの身に襲い掛かる。

「なにっ!?」

 獰猛な獣の気配を察知し、シンヤは僅かに振り返るが、影のようなマタタビの速度と小ささは、簡単に視認できるものではなかった。
 不意を突かれ、左頬に三つの切創を作る。噴き出した鮮血が、シンヤに苦渋の表情を強いた。

「テメェは!」

 シンヤへの第二撃を準備する刹那、マタタビは無意識の内に二回目の放送内容を反芻する。
 クロ……キッドの名が呼ばれた事実を。

 ――この目玉、返して欲しいか? ヘヘッ返して欲しけりゃ自分の手でオイラから奪ってみろよ――

 放送による事後報告など、信じる信じないはともかくとして、怒りを誘発させるほどのものでもない。
 あのキッドが簡単にくたばるはずがない、という強い先入観を持つマタタビにはむしろ、事実に疑念を抱かせるだけだ。
 しかし今、そのキッドが死んだという一応の情報を抱えたまま、眼球が破壊されたことによる怒りが生じた。
 それは、満タンのガソリンタンクにマッチの火を投じるようなもの。
 些細な感情は、火勢を強める。

「絶対に許さ――――ガッ!?」

 再び挑みかかったマタタビを、シンヤは片手で掌握した。

「……やってくれるね。猫風情が、この俺に、テッカマンエビルに傷をつけるとはね!」

 怒りに身を任せるのは、マタタビという獣だけではなかった。
 ラダムのテッカマン――実兄への歪んだ憎悪を動力源として動くシンヤもまた、障害に対して容赦する心は持ち合わせていない。


 ◇ ◇ ◇


 八神はやては、突然の事態に困惑していた。
 突如としてマタタビに襲い掛かったシンヤ、それに反撃したマタタビ、そしてまたやり返すシンヤ。
 眼前では、マタタビの小さな顔面がシンヤの手によって掌握され、握りつぶさん勢いで力が込められている。
 マタタビも負けじとシンヤの腕に爪を突きたてるが、見るにその効果のほどは薄い。

(あれ……なんでシンヤさんが、マタタビと喧嘩しとるん?)

 シンヤのことを、「仲間に相応しい人物」として認識していたはやては、現状に混乱する。
 そもそもはやては、シンヤがか弱そうな女の子を庇うように立つ様を見た時点で、彼は仲間にしてなんら問題ない人物だと判断していた。
 この場合の仲間とはつまり、はやての意志と同調する人間、殺し合いに乗っていない者のことを指す。
 だからこそ、件の命令に対して『仲間を得る』ことに重点を置いて解釈したはやては、エリア中心部へ到達するまでもなく、
 シンヤに交換条件となるクリスタルを渡し、正式に仲間としての契約を結ぶことで、命令を終えるはずだった。
 しかし、いまこの時点で、想定外の事態が起こったのである。
 一度は仲間に相応しい人物だと判断したシンヤ。その、まさかの裏切り。

(マタタビは仲間や。そのマタタビを襲ったんは、シンヤさんや。だから)

 この会場で初めて顔を合わせたクロの知り合いであり、ともに温泉修繕もしたマタタビ。
 ほんの数十分前に出会い、クリスタルを渡していない以上まだ正式に仲間とは言えないシンヤ。
 どちらも仲間という枠組みに入るとして、比重を置くべきはどちらか。
 決まっている。マタタビだ。

「なら、排除すべきはシンヤさんやな」

 言ってはやては、路上に散りばめられた物品の中から、一本ののこぎりを手に取った。
 マタタビが大工道具としていた刃物を、『我々に害を成す相羽シンヤを排除するため』の道具として。
 ゆったりと、幽鬼のような歩調でシンヤの元に向かう。

「ぐ……ああああああああああああああああああああああああ!!」

 歩み寄る間、マタタビの絶叫が響き、そのままシンヤに投げつけられ、電柱に激しくぶつかった。
 今度は、起き上がってこれない。死んだのか、マタタビの意識は闇に没していた。
 しかし、はやては意に介さない。ただ一点、『排除』という行為に没頭し、シンヤに凶気の矛先を向けている。
 その形ある殺気に、シンヤが気づかぬはずもない。

「仲間がやられた腹いせかい? まったく人間ってヤツは……さすが、虫ケラと呼ばれるだけのことはあるよ」
「やめてくださいシンヤさん! 約束したじゃないですか、もう人殺しはしないって!」
「ああ。だがこうも言っただろう? クリスタルを持った奴と、襲ってくる奴は、別だとね!」

 状況の把握に追いついたゆたかと数秒会話し、シンヤははやての襲撃に備えた。
 敵が構えようと構えまいと、はやての移す行動に変化はない。
 瞳を朱色に充血させ、脳神経に刻み込まれた命を遵守する。
 のこぎりを大きく振り上げ、走った。

「ごめんな、やっぱさっきのなし。排除させてもらうわ」

 木屑の残る刃が太陽に反射して、ギラリと光る。
 猟奇殺人者のような構えから、純粋な殺意が窺えた。
 それを見ただけで怖気を走らせるゆたかと、悠然と構えるシンヤ。
 襲うはやて。
 互いの距離はあっという間に詰まり、そして、

「ゲホッ!?」

 次の瞬間には、鳩尾に膝蹴りを喰らうはやての姿があった。

「遅いな。これなら、さっきのネコのほうがまだマシだったよ!」

 襲撃のタイミング、殺意の放ち方、距離の詰め方、どれをとっても一般人の域を出ないはやてに、シンヤの酷評が飛ぶ。
 はやてはそんな評を頭に入れることもできず、痛みに悶絶し、のこぎりを手から取りこぼし、その場に蹲った。
 魔導師としてはSSランクに格付けされているはやてだったが、直接的戦闘能力は低い。
 彼女の実力は守護騎士システムやデバイスの助力あってのものであり、ガチンコなら六課新人メンバーにも劣る、というのは本人の弁だ。
 魔法を用いない格闘戦ともなれば、なおさらはやての勝ち目は薄い。
 本領を発揮していないとはいえ、相手がラダムのテッカマンともなれば、その勝算はさらに薄れる。
 だからといって、<ギアス>により仕立て上げられた殺意は抑えられるものでもないのだが。

「大人しくクリスタルを渡しておけばよかったものを……俺に牙をむいたことを後悔するんだね」
「がはっ……」

 シンヤははやての首根っこを掴み、腕の力だけでその身を持ち上げる。
 人間を超越した握力が、はやての呼吸器官を圧迫する。

「やめてくださいシンヤさん!」
「聞けない相談だね。この女は未だに殺意を向けている。いま殺さなければ、また襲ってくるのは確実だ」

 右手に込める力を強め、蛙の鳴き声のような音が響いた。
 朦朧とする意識の奥で、はやてはシンヤの閻魔顔と、それに泣きながら縋るゆたかを見る。
 声を発すことはできない。どころか、呼吸もままならない状況だ。

(痛い。苦しい。なんで? なんで私、こんな目にあっとるん?)

 本能が、脳に問いかけた。
 脳は、本能に答えた。
 邪魔者を排除するためだ、と。

(いやいや……無理やろ、それ。力の差なんて、歴然やん)

 そこまで思って、はやての身は乱暴に投げ捨てられた。
 体を地面に強く打ち、薄れていた意識が覚醒される。
 全身を駆け巡る痛みが、はやての再動を容易としなかった。

「ふん。なら、おまえの手でケリをつけるかい?」
「え?」

 咳き込むはやてを尻目に、シンヤはゆたかに対し提案する。

「この女が二度と襲ってこないよう、始末をつける必要がある。だが俺がそれをやれば、この女は死んでしまうだろうね」
「そ、それは駄目です!」
「ならおまえがやるんだ。この女がもう俺たちに襲ってこないよう、死なない程度に対策すればいい」
「そんなの、どうやって……」
「武器ならそこら中にある。四肢をもぎ取るでも、目を潰すでも、好きにすればいいさ」

 路上に転がるのこぎりや釘、使い方によっては十分な凶器となる大工道具の数々を見て、ゆたかは狼狽する。
 自身に与えられた役割の重さを思い、途端に足が竦んだ。そのままへなへなと崩れ落ちてしまう。

「ふん……兄さんに守られていたような娘には、少し意地悪な提案だったね。まあいい、どのみちこの女は殺すさ」

 茫然自失するゆたかの横を通り過ぎ、シンヤは再びはやてに殺意を向けた。
 乾いたアスファルトを一歩、靴音が打ち鳴らす。散らばった釘を踏みつけて、金属的な音も鳴った。
 音量は一定感覚で上がっていき、はやてへの危険信号となって聴覚を駆け巡る。
 シンヤとの距離が近づくにつれ、はやての柔肌に震えが走った。
 同時に、今朝方味わったばかりの恐怖体験を思い出す。
 悪意と欲望に満ちた、男性の狂気というものを。

「いや……」

 訪れたのは、恐怖。
 レリック事件を追っていた際、もっぱらの敵となっていたガジェットドローンのような機械ではなく。
 魔導師としての鍛錬を積んでいた期間、厳しくも的確な指導を施してくれた身内のものでもない。
 あのとき、裸身の自分に襲い掛かった男のような……悪意ある人間の、狂気。
 突き刺さる感情は、ダイレクトにはやての脳髄を襲った。

「いやや……こな、こない、で……」

 ――ここで、<ギアス>対象者における一つのケースを挙げておく。
 ある博愛主義者の女性がいた。その女性は、<ギアス>によって『虐殺』を命じられた。
 <ギアス>とは絶対遵守の力である。当然その女性は虐殺を実行したが……当初は、それに抗ったのである。
 <ギアス>の拒絶。絶対遵守とされる力に、唯一人間の意志が抗った、一種の可能性だった。
 このケースから鑑みれるのは、強い意識は時に<ギアス>を凌駕するということである。
 さきほどのマタタビの例もそれに当てはまる。
 本来<ギアス>の対象にはならない非人間、獣であることを抜きに考えても、怒りという感情は<ギアス>看破の一因となった。
 もっとも彼の起こした行動は、理念こそ不明なれど『排除』という元々の命令に背いてはいない。
 マタタビに関して、真に<ギアス>の拒絶に成功したかどうかといえば、事実は知れない。
 ただ、八神はやての場合。

 シンヤの放つ殺気、過去のトラウマ、双方から発生する恐怖。
 もしくは、命令遂行に対する成功確率を悟ったか。
 それらの感情が、『排除』という思考を塗りつぶし、はやてに『戦意喪失』という結果を齎した。
 これが<ギアス>を看破したと言えるのかどうかは、定かでない。

「こないでぇぇぇぇぇ!!」

 涙ぐみながら叫ぶが、シンヤは足を止めはしなかった。
 無手のまま、しかしその手には鋭敏な殺意を宿し、はやての首元に手が伸ばされる。
 振り払う気力はなく、震えのせいで微動することすらままならなかった。

「――――」

 顔面を蒼白にして、はやては声にならない絶叫を上げた。


 と、


「ッッつ!?」

 シンヤの姿が、急に消えた。

 いや、“吹き飛ばされた”。

 クレア・スタンフィールドの飛び蹴りを受けて。


 ◇ ◇ ◇


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