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  • 「救いのヒーロー」(前編)

アニメキャラ・バトルロワイアル @ Wiki

「救いのヒーロー」(前編)

最終更新:2021年09月30日 09:55

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「救いのヒーロー」(前編) ◆LXe12sNRSs


 予防策、とでも言えば聞こえはいいかもしれない。

 勝者は一人――それが、この殺人劇に課せられた絶対的なルール。
 覆す方法があるとすれば、それはルールを取り決めた張本人を倒すしかない。
 セイバーは考える。君島邦彦には、それが可能だったのだろうかと。
 主催者を打倒し、複数人で帰還。望みが叶うかもしれないという欲を捨て、何よりも仲間同士の命を重んじた選択。
 セイバーには、守りたいという存在がいない。だからこそ、主催者を倒すという意欲も湧いてこなかったのだろうか。

 託された君島邦彦の遺品――これは、セイバーが持つには相応しくない。
 もし、セイバーがどこかで朽ちるような運命にあったとしたら。
 この荷物は、そして君島邦彦の意思は、こんなところで燻っていることを許されない。
 だから、この時ばかりは君島邦彦の意思を継ぎ――彼の意思を託すに値する参加者を捜した。
 それにはきっと、罪から逃れるための弔い代わり、という意味も含まれていたのだろう。
 たとえセイバーが優勝できなかったとしても、勝利者達が栄光を逃さないために。

 そして、病院内で出会ったのは眼鏡の少年。
 この少年の顔には見覚えがある。たしか、ゲームの開幕時に主催者に食って掛かった少年だ。
 彼はセイバーと顔を合わせると大層驚いた表情を見せ、おどおどした態度で足を止める――が、その瞳には何かをやろうという強い意思が感じられた。
 この少年なら、問題ない。
 セイバーは決断し、少年に声をかけた。

「何も言わず、これを受け取ってください」

 差し出したデイパックは少年の胸の中に納まり、彼は戸惑いを見せる。
 これで、君島邦彦への弔いは終わった。
 ほぼ自己満足のようなものであったが、それでも構わない。あとは元通り、自身の目的のために優勝を目指すのみだ。

「……待って、ねぇ待ってお姉さん!」

 立ち去ろうと背を向けたセイバーに、少年が声を掛けた。
 だがセイバーに耳を貸す気はない。次に会えば、彼とて斬り伏せるべき敵となる。
 馴れ合いなどもってのほか。この度の行動は、ただ志半ばで散っていった君島邦彦への償いにすぎない。

「友達が……仲間がピンチなんだ! お願い、助けてよぉ!!」

 少年が泣きそうな声でそう言わなければ、きっと足を止めることもなかったのだろう。


 ◇ ◇ ◇


 ――刻は遡り――

 一階に位置する小さな病室。
 その室内には、男が二人と女が三人いた。
 順に名を挙げると、トグサ、石田ヤマト、涼宮ハルヒ、長門有希、アルルゥ。

 入り口のドアに取り付けられた小窓からその光景を覗く彼女は、そんな詳細な情報までは知らないのだが。

(ふふふ……来客があったからみたいだから覗いてみれば、思ったより団体さんみたいねぇ)

 重傷人を担いで病院に駆け込んだトグサたちは、院内の様子確認を後回しにし、真っ先にハルヒたちの治療に専念した。
 そのため、この院内に複数名の先客がいることは知らない。
 ギガゾンビに復讐心を燃やす少年がいることも、変わったコスチュームの魔術師がいることも、アルルゥの実の姉がいるということも。
 もちろん部屋の外から、密かに優勝を狙う暗黒人形――水銀燈が見ているということも、知らない。

 室内の様子を窺いながら、水銀燈は来客たちへの処遇を考える。
 程度は分からないが、怪我人と思しき人間が三人……その内の一人は、先ほど拾ったジャンク紛いの女に似ていた。
 それを心配そうな目で看病するのは、大人の男が一人と子供の男が一人。
 人数は多いが、戦力的には大したことがないようだ。相手の武器にもよるが、隙を突けば水銀燈一人でも十分に壊滅させられる。

(カレイドルビーにこれ以上お荷物を背負われるのも考え物だしぃ……気づかれない内に、一人か二人減らしておくのも手ねぇ)

 もし彼等がカレイドルビーと合流を果たせば、怪我人込みの大集団が生まれてしまう。
 自身の行動が制限されることを恐れる水銀燈は、これ以上の仲間が増えることを良しとしない。
 ならば、絆が生まれる前に手を打つ必要がある。
 数時間院内を駆け回って手に入れた毒物を利用するべきか。それとも物陰から奇襲を仕掛けるべきか。
 偵察に出てから経過した時間を考えると、そろそろカレイドルビーが心配して様子を見に来る可能性がある。
 水銀燈に策を練る時間はあまり残されていない。どれがベストの判断か……早急に決定しなければ。

「はぁー、すっきりした……」

 カレイドルビーに嘘の情報を伝え、彼等との接触を遠ざけるという方法もアリだ。
 五人もの大集団、ゲームに乗っている者はいないだろうとは思うが、水銀燈と同じタイプの策略家が潜んでいるとも限らない。

「まったくヤマトたちめ。散々わたしを無視した挙句、病院に着いたら薬を渡しただけでトイレに放置とは。どこまで薄情者なのだ」

 騙し討ちの方法を考えるのは得意ではあったが、水銀燈は多種多様な状況を経験してきたわけではない。
 このような場合、どういった選択がベストなのか……考えを纏めるには時間を要す。意識を集中させてもすぐには決断できないものだ。

「おい、そこの人形。悪代官みたいな薄気味悪い笑顔浮かべてるお前だ。お前もそう思わんか? まったく、あいつらときたらどこまでも自分たちのことばかり……」

 ひょっとしたら、彼等五人以外にもまだメンバーが潜んでいるかもしれない。
 水銀燈と擦れ違いになり、今は院内を探索中――しかもその間にカレイドルビーらと接触していたりしたら。
 そのケースを考えると、下手に手を出すのは危険だろうか……


「って、貴様までわたしを無視するなバカモノが!」


 ――怒鳴られて、さすがに気づいた。
 彼女の名誉のために説明させてもらうが、決して思案に夢中だったため注意力を欠いていたわけではない。
 相手が人間ではなかったというのもあるかもしれないが、一番の理由は警戒する必要がない、というオーラが全身に纏わりついていたからだろうか。
 とにかく水銀燈は、意図せずその存在と目を合わせることになる。

 病室の向かいに位置するトイレから出てきた、ブタと。

「……」
「おいコラ。なんとか言ったらどうだ」

 ブタだ。贔屓目なしで見てもブタだ。どう見てもブタだ。ブタ以外の何者でもない。
 はっきり言って、自我を持った人形よりもあり得ない。ブタが二足歩行で、しかも偉ぶった態度で話しかけてくるなど。
 水銀燈は考える……このブタも病室内にいる奴等の仲間、いや家畜だろうか。そもそも参加者なのか否か……夜に出会った青い蜘蛛のような例もあるが……。

「あなた、お名前は?」
「わたしを知らんのか? ふん、いいだろう教えてやる。わたしの名前はぶりぶりざえもん。人呼んで救いのヒーローだ」
「……ぷ」

 思わず、笑みが零れてしまった。
 画策した謀略が成功した光景をイメージするような、悪っぽい笑いではない。純粋に可笑しさからくる笑いだ。
 だってブタが……ぷぷっ……おっと失礼。でも…………ぷぷぷっ。

「おいコラ貴様。今笑っただろう? このわたしを馬鹿にしただろう? おい!」
「……ぷっ……そ、そんなことは……ないわよぉ……ぷくくっ…………こぶたさぁん」
「ブヒィーッ!!」

 水銀燈の小馬鹿にしたような笑みが気に障ったのか、ぶりぶりざえもんと名乗ったブタは顔から湯気を出して怒り出した。
 どうやら典型的なお馬鹿さん――自己を高く見定め、その割には誇りがなく、挑発にも乗りやすい性格をしているようだ。
 利用するには逸材と言えるタイプ。水銀燈は一瞬で閃き、翼を広げた。

「うふふ。こっちにいらっしゃい、こぶたさぁん。遊んであげるわぁ」
「人をブタブタと……わたしを愚弄するのもいいかげんにしろよ貴様!」

 カンカンに怒ったぶりぶりざえもんは我を忘れ、そのまま水銀燈の飛び去った方へ走り出す。


 ◇ ◇ ◇


(ふん、相手は所詮人形。いくらなんでも、このわたしが人形などに負けるはずなかろう。
 どうやら奴はヤマトたちの様子を覗き見して何か企んでいたようだし、ここらであいつらに恩を売っておくのも悪くはない。
 何より、あの人形はわたしを笑いやがった。……許さん。ギタギタのメタメタにしてやらねば)

 ――以上が、数分前までのぶりぶりざえもんの思考である。
 何よりも自分を大切にし、強い者には絶対に逆らわない彼だが、自分よりも弱い者には容赦しない。
 常識的に考えて、人形とブタ、どっちが戦闘能力的に優位と言えようか。
 ふざけた比較だという意見は至極もっとも。だがこのゲームには喋る人形や喋るブタが参加しているのだから仕方がない。
 真面目に考察して、意思を持たない人形が動物であるブタに敵うはずはないが……

「ぶ、ぶぶぶぶぶぶぶブヒィー!?」

 ――彼、ぶりぶりざえもんが現在陥っている状況を簡単に説明しよう。
 まず、さっきまで追い回していたはずの人形に逆に追われている。
 立場が逆転した一番の理由は、人形を助けるため加勢に現れた可笑しな格好の女性。
 その女性も水銀燈同様、ぶりぶりざえもんの姿を見てブタブタうるさかったので、
「貴様、鏡で自分の姿を見たことがあるのかこのヘンタイ」
 と言ってやったら向こうが一言、
「殺ス」
 と言って杖からビームみたいなのをぶっ放してきた。
 力の差を見せ付けられたのである。相手を怒らせてしまった以上、今さら尾を振ってみても安全は保障されない。
 だから冷静にこう判断した。
 逃げなきゃ焼ブタにされる。いやん。


 ◇ ◇ ◇


 短足のクセに妙に逃げ足が早いのは、天性のセンスなのだろうか。
 逃げるブタを追いながら、遠坂凛ことカレイドルビー――もはや『カレイドルビーこと遠坂凛』とは言いがたい――は複雑な表情を作っていた。
 帰りの遅い水銀燈を心配していたら、何故かブタに追われながら舞い戻ってきた。
 事情を聞いてみると、どうやらあのブタはゲームに乗っているらしく、しかも複数名の参加者と同盟関係を結んでいるらしい。
 こんなブタが殺し合いを……? そもそもブタと同盟結ぶってそれどんな人間よ……。
 と疑問にも思ったが、相手が挑発――お察しの通り、コスチュームに関することである――してきたので、試しに程度の低い攻撃魔法を放ってみた。
 そうしたら、わき目も振らずに逃げ出したというわけだ。

 自分のレベルも考えずに殺し合いに乗ったただの馬鹿ならば、放っておいたところで問題はない。
 しかし水銀燈の言うことを信じるならば、あのブタには同盟を結んだ仲間があと五人いる。
 レイジングハートにも確認を取ってみたところ、確かにこの建物内にあと五人、参加者の反応があるそうだ。
 ブタはともかく、その五人が実力者であるならばマズイ。仲間が出てくる前にどうにかブタを捕獲したいところだが……

「ねぇちょっと水銀燈。そういえば、例の魔力反応は確認できたの?」
「ああ、あれ? 確認してみたけど、女の子の死体が転がってたわよぉ」

 水銀燈から得た情報を加え、さらに考えてみる。
 のび太の話では、数時間前この病院は虐殺劇の舞台となり、それなりの死者も出たらしい。
 あのブタはその時の殺戮者と関係があるのだろうか……もしのび太の知り合いを殺した輩がまだ近辺にいるのだとしたら、なおさら放っては置けない。

『…………』

 カレイドルビーはせかせかとした動きで逃げるブタを追い、その手中では物言わぬ杖が人形に対してさらなる疑心を抱き始めていた。


 ◇ ◇ ◇


 一匹のブタを欠いた病院の一室。その中のベッドに寝かされた一人の少女が今、ゆっくりと覚醒の時を迎えようとしていた。

「…………」

 憂鬱そうな顔を浮かべ、涼宮ハルヒは消失させていた意識を退屈とは縁遠い現世へと帰還させた。
 まず視界に映ったのは、正面。確認できたのは二人の男性だった。
 小学生くらいと思しき金髪の少年は、たしかSOS団の運転手として、特別団員に任命した人物のはずである。
 初見のもう一人は、ルパンよりも若干若い大人の男性。外見を注視してみるが、ルパンやアルルゥの知り合いとは無関係そうだ。
 次に、右隣のベッドを見る。そこでは、ハルヒ自身がデザインしたメイド服を着たままの犬耳少女……アルルゥがすやすや眠っていた。
 そして左隣を向く。確認できたのは、逸早く覚醒を済ませハルヒの回復を待っていた、SOS団正規団員、長門有希の姿だった。

「……おはよう有希」
「おはよう」

 目覚めたハルヒは、溜息を吐くでも動揺するでもなく、惚けた声で傍らの長門にそう囁いた。

「どうやら、峠は無事に越えたみたいだな」
「……頭がガンガンするわ。脳がグラグラ揺れてるっていうか……なんだか気持ち悪い」
「意識は回復した。でも、無理は禁物」

 風にかけられた治癒魔法がうまく機能してくれたようだ。
 全快とまではいかなくても、意識があるのとないのとでは大きく違う。
 トグサにヤマト、そして長門も、皆ハルヒの目覚めに安堵の笑みを見せていた。

「……ねぇ、有希」
「?」
「……みくるちゃんの名前、呼ばれた?」

 目覚めた直後、ハルヒが一番に訪ねたのは、それだった。
 夢の中で起こった一件を信用するわけではない。あのカラシニコフの精とかいうのも胡散臭かった。
 しかし、本能は告げ、理解していたのだ。あの夢が予知夢とか正夢とか、そういう類のものであることを。

「……呼ばれた」
「そう」

 重苦しいムードが漂うも、ハルヒは決して俯こうとはしなかった。
 色々と機転の利く彼女である。この場にルパンがいない理由も、心の底では気づいているのだろう。

「……さて、一番の重傷人も目覚めてくれたようだし、ヤマト、長門。この場を預けていいか?」
「別に構いませんけど、トグサさんはどこへ?」
「電話だ。そろそろ、ホテルで待機しているはずのセラスに連絡してやらないといけないからな」

 立ち上がり、トグサは入り口のドアに迫った。
 第二放送時点において、屋上から落下し死亡したかと思われたセラスの生存が確認できた。
 本当はすぐにでも帰還したかったところだが、怪我人をヤマト一人に任せ放っていくこともできまい。
 病院に着いてからも、内部に関してはまだ調査が済んでいなかった。
 ひょっとしたら何か有益な情報が転がっているかもしれないし、何者かが潜んでいないとも限らない。
 ヤマト一人に任せて内部探索に向かうのは気が引けたが、長門とハルヒが目覚めれば大丈夫だろう。
 そう判断し、トグサが退室しようとした正にその時。

「――おい貴様ら! 和やかに談笑しとらんで早くわたしを助けんか!!」

 姿を消していたぶりぶりざえもんが、何やら汗だくになって戻ってきた。
 見ると、病院中をフルマラソンでもしてきたかのように息を切らし、身体と釣り合わないデカさの頭部を上下させている。
 いったい何があったのかとトグサが尋ねようとするが、

「――! 危ないっ!」
「ぶひー!?」

 ――前の廊下を黒羽の散弾が通り過ぎ、咄嗟にぶりぶりざえもんを室内に引っ込めた。
 言及を後回しにし、まずは部屋の外の様子を確認する。
 ひょっこりと出した顔から覗けたのは、堕天使のような漆黒の翼を広げた人形サイズの少女。
 そしてその隣で杖を構えているのは、アニメキャラクターか何かのコスチュームを着込んだ少女。
 一見して、あり得ない組み合わせにも見えた。
 訝しげに観察の視線を送るトグサだったが、冷静な考察を練る時間は与えられず、黒翼の人形が容赦なく羽の雨を送り込んでくる。
 羽、といってもその鋭さは投擲ナイフに迫るものがあり、命中すれば皮膚が裂けることは間違いないだろう。

「おい、ぶりぶりざえもん! あいつらいったい何者なんだ!?」
「知らん! トイレから出てきたらいきなり襲われたのだ!」

 ヤマトに問い詰められ、被害者ぶった弁解をするぶりぶりざえもんだったが、もちろん大嘘である。
 騒動の種を撒いたのは他でもないぶりぶりざえもんであり、彼を追っていた二人組――少なくとも、カレイドルビーの方に交戦の意思はない。
 しかし、その意思も自己中心主義のブタと画策する人形の二人に妨害されている現状。トグサたちに伝わる術はなかった。


 ◇ ◇ ◇


「――ちょっと水銀燈! なんでいきなり攻撃を仕掛けるのよ!?」
「あまいわねぇ。相手はゲームに乗っている可能性があるのよ、それも五人。
 先手をうってこちらの力を見せ付ければ、不利と感じて逃げ出してくれるかもしれないじゃなぁい」

 トグサたちの姿を確認する暇もなく、水銀燈は五人+一匹が潜んでいる病室の前を攻撃した。
 カレイドルビーは軽率な行動と見るかもしれないが、彼女もある程度は現実主義者である。
 徹底したリアリストを貫けば、今の関係が崩れることはない……あとは、向こうがどう出るか。

「攻撃を続けるわよ」

 水銀燈は、相手側が反撃してこれないよう、黒羽による弾幕を張る。
 部屋から一歩でも出れば蜂の巣となる状況。逆上して反撃してくれば、カレイドルビーと共にそれを撃退するまで。
 戦況を不利と見て窓から脱出を図ろうものなら、カレイドルビーの敵がさらに世に広まるだけだ。
 どちらに転んでもおいしい。最悪は集団の中に水銀燈、カレイドルビーの二人がかりでも敵わないような手練れが混じっていることだが、それはまずないだろう。
 群れとは、基本的に弱者同士が形成する組織だ。サバンナの草食動物しかり、戦う意思のないもの同士で馴れ合う真紅たちしかり。
 自分が発案した計画の素晴らしさにほくそ笑んで見せるが、集団の方に注意がいっているカレイドルビーは、その表情を見ることがない。


 ◇ ◇ ◇


 人形の企みなど露知らず、トグサたちはカレイドルビーと水銀燈の二人をゲームに乗った参加者として捉え始めていた。
 何しろ、会話や警告もなしにいきなり襲ってきたのだ。ぶりぶりざえもんの証言と合わせても、他に捉えようがない。
 おそらく、初めから病院内に潜伏し、機会を窺っていたに違いない。ハルヒと長門が目覚める前に襲撃をかけられなかったのは、幸いだったと言えようか。

「どうしますかトグサさん? 武器はそこそこあるし、相手が二人ならなんとか……」
「応戦はなしだ。幸運にも脱出経路と逃げる足は揃ってるしな。長門、ハルヒの方は動かせそうか?」
「問題ない。激しい運動は困難。だけど私が運べば」
「そうか。なら長門はハルヒを頼む。ヤマトはぶりぶりざえもん、俺はアルルゥを担いで窓から脱出。外に出たら一目散にトラックへ向かうぞ」

 脱出作戦の旨を伝え、トグサは長門の荷物から拝借した銃を構える。
 銃口の向かう先は、黒羽がマシンガンに迫る勢いで降り注いでいる室外。
 反撃し、その隙に逃走するのかと思われたが、トグサの狙いは他にあった。

 銃弾が放たれる。黒羽の嵐をくぐり抜け、屈折のない直線的な軌道で向かった先は――廊下の隅に置かれた、赤い器具。
 カン、という軽い音がした後、芯を打ち抜かれたそれは弾け、内部に溜まっていたものを盛大に吐き出した。
 即ち――白煙。

「――! 非常用の消火器を撃ち抜いて煙幕を!?」
「考えたわねぇ」

 トグサの銃が撃ち抜いたのは、廊下に設置されていた非常用の消火器。
 舞い散った白煙を目くらましに使い、その隙に窓から脱出する作戦だった。

 病室の窓を開き、トグサたち全員が外に出る。
 トグサは未だ熟睡中のアルルゥを、長門は繊細かつ慎重な動作でハルヒを、ヤマトは乱暴にぶりぶりざえもんのパンツを掴み、それぞれを確認し合う。

「よし、全員外に出たな! 急ぐぞ!」
「おいコラ、ヤマト! パンツを掴むな、おケツが見えてしまうではないか!」 

 パンツが半脱げ状態になっているぶりぶりざえもんの文句は雑音として処理し、トグサたちはトラックを目指した。
 トラックが停めてあるのは病院の正面玄関。ここからでは病院をぐるりと半周する必要があり、つまらないことに時間を割いている暇はなかった。
 善は急げと走り出す各々だったが、その歩みはすぐに止められざるをえなくなる。

 病室から数メートルばかり距離を稼いだあたり。
 気品溢れる物腰と荘厳な面持ちで、その女性はトグサたちの行く手を遮った。
 誰もが足を止め、その姿を確認する。
 視覚が捉えたイメージを簡潔に述べるなら――『騎士』。
 西洋風の鎧を身に纏い、両刃剣を右手に携えたその姿は、正しく女騎士と呼ぶに相応しい品格だった。

「あなた方に恨みはありませんが……我が悲願のため、ここで潰えてもらいます」

 突如として現れたその女騎士は、逃走経路を塞ぐ障害であり敵。
 トグサたちは全員その窮地を理解し、心中で舌打ちをした。


 ◇ ◇ ◇


 何も慈善事業をしにきたわけではない。
 あの眼鏡の少年にそこまでの義理はないし、恩を売る価値もなかった。
 だからセイバーは彼の、のび太の願いを単なる情報と捉え、戦地に赴いたのだ。

 カレイドルビーなるおかしな格好の女性が、人形と一緒に敵の下へ向かっていった。
 二人をどうか助けてやって欲しい。それが、のび太がセイバーに託した願い。

 情報どおり、目の前には逃走途中の参加者が五人と一匹。しかもその内一人は怪我人、一人は気絶中。
 セイバーはこれを好機と捉え、彼等とめぐり合わせてくれたのび太に感謝した。
 優勝し、王の選定をやり直す――この殺戮は、その野望への大きな躍進に繋がるだろう。
 迷いや戸惑いは、もうない。
 情けや良心は、君島邦彦の意思と共にのび太へ託した。
 あとはただ、目の前の敵を斬り伏せるのみ――


 ◇ ◇ ◇


 突如として立ち塞がった女騎士に、トグサたちは戸惑いを見せた。
 相手が一言の警告と、牽制となる初撃の一閃を放たなければ、次の二撃目で長門の身体は真っ二つになっていたことだろう。
 大集団の中、セイバーが一人目の標的として捉えたのは、ハルヒを背負った長門有希。
 ハルヒの容態が未だ予断を許さない現状、刺激を与えぬよう長門は人間離れした精密かつ慎重な動作で回避行動を取るが、その配慮が足枷となり本来の機動力が発揮できない。

(――攻撃力、機動力、技術力、共に高水準。現状での交戦は不利。
 ――加えて、涼宮ハルヒの意識が健在なままでは私自身の力が発揮できない。
 ――彼女に私の正体を知られるわけにはいかない。別の対応策を考えるべき。
 ――彼女に一時的に眠ってもらう策を考案。
 ――だが涼宮ハルヒの容態は回復したばかり。下手に手を加えるのは危険と判断。
 ――ならば、あの幻覚作用を引き起こす精神誘導装置を使い、相手の足止めを考案。
 ――そのためには涼宮ハルヒをどこかに降ろし、そして尚且つデイパックからタヌ機を取り出し、起動させるまでの時間が必要。
 ――必要時間の計算を……)

「長門、避けろォ――!」

(――!)

 思考を続ける中、棒立ち状態にあった長門の正面を、袈裟斬りの一閃が飛ぶ。
 トグサの警告を耳にし咄嗟の回避を取るが、無理な体勢での動きはハルヒの身体を揺さぶった。

(――緊急回避に成功。だが、涼宮ハルヒに若干の負荷が掛かった。
 ――思考速度に誤差が見られる。
 ――どうやら先の戦闘の影響により、情報処理能力に狂いが生じた模様。
 ――これ以上の戦闘は危険と判断。早急に撤退すべき)

 長門とて、アーカードとの戦闘で相当な力を消費した。
 ハルヒほどではないとはいえ、情報統合思念体とのコンタクトが取れない現状では、ちょっとした消耗でも窮地に繋がる。
 つまり、まだ本調子ではないのだ。

(――この場は涼宮ハルヒの命を最優先。
 ――最悪、誰かを囮にしてでも彼女の命を守りとお……)

「……ッ!」

 一瞬、脳内に走った不穏なノイズを振り払い、長門は逃走に全力を注いだ。
 この場の保護対象はトグサ、石田ヤマト、アルルゥ、ぶりぶりざえもんの四名。涼宮ハルヒはその中の最優先すべき存在にすぎない。
 一を守るために全をかなぐり捨てるのは、このゲームに肯定したことと同義。
 長門はノイズが鬩ぎ合う脳内状況を的確に処理しつつ、最善策を模索する。
 その一瞬に、隙が生じた。

「はあぁぁっ!」

 咆哮一声、セイバーの剣が長門を襲撃する。
 今度の一撃は、セイバーにとっても渾身の一撃。回避に徹していた長門だったが、それでも避けきることは困難だと判断した。
 最悪、片腕あたりを犠牲にしてでもハルヒの命を守る覚悟で臨んだ。現状の長門では、セイバーほどの相手に満足に対応することはできない。

 カリバーンの剣筋が長門の身体を裂こうとしたその時だった。
 不意の衝撃が長門の右半身に伝わり、ハルヒごと左方向へ大きく揺さぶられる。
 結果としてその衝撃が幸を呼び、長門はセイバーの剣から完璧な回避を取ることに成功した。
 直後に分析する。長門の身体に衝撃を与えたのは、ヤマトの体当たりによるもの。
 そして、彼は長門の身体を突き飛ばし剣から遠ざけた代わりに、自身を身代わりにしたのだということを理解した。

「……グッ!」
「ヤマト!」

 剣はヤマトの肩口を斬り裂き、鮮血を溢れさせるほどの傷を与えていた。

「自ら割って入るとは……その勇敢な行いには敬意を表しますが、些か無謀ではありませんか?」
「そんなことはないさ。それどころか、たった今アンタを倒すいい作戦を思いついたばかりだ」

 足を止め、セイバーはヤマトへ剣先を翳す。
 ヤマトは肩口を押さえ、苦悶の表情を作りながらも、正面からセイバーを見据えて立ち向かった。

「トグサさん! ここは俺とぶりぶりざえもんが引き受けます! みんなは先にトラックへ向かってください!」
「馬鹿を言うな! 死にに行くようなものだぞ!?」

 ヤマトの急な提案に、トグサはすぐさま異議を唱える。

「俺だって、ガブモンたちと一緒に修羅場は何度も潜ってきたんだ! これしきのことで……死んだりなんかするかよ!!」

 だがヤマトはそれをゴリ押しで通し、セイバーの前から一歩も退こうとはしなかった。
 トグサにもその強い意志は伝わったのか、自分の不甲斐なさを奥歯で噛み締め、その場はヤマトに託すことにした。
 もちろん、このまま彼を放置するつもりはない。彼が時間を稼いでくれることを信じ、自分はすぐさまトラックでヤマトを迎えにくればいい。そう割り切ったのだ。

「ヤマト、あまり無茶はするなよ!」
「はいっ!」

 ヤマトと半ば強制的に付き合うことになったぶりぶりざえもんを残し、他の面々は一目散にトラックへと駆け出していった。


 ◇ ◇ ◇


 改めて、ヤマトとセイバーが対峙する。セイバーもヤマトの強い意志を察したのか、無理にトグサたちを追おうとはせず、この勇敢な少年と一対一の対決に臨むつもりだった。

「おい! なんで貴様の作戦とやらにこのわたしが付き合わされなければならんのだ! イヤだ、わたしは逃げるぞ離せコラ!」
「騒ぐな! 救いのヒーローなんだろお前!」
「バカモノ! 今は無期限特別休暇中だ!」

 ヤマトの手に掴まれながらジタバタともがくぶりぶりざえもんだったが、時既に遅し。
 セイバーは臨戦態勢を整え、いつでも仕掛けられる状態で待機していた。
 今、無様に後姿を見せようものなら、即刻斬り捨てられることは間違いなし。
 その剣気を肌で感じたぶりぶりざえもんは、観念したのかぐぐぐ……と唸るだけで文句は垂れなくなった。

「ぶりぶりざえもん……お前の支給品、使わせてもらうぞ!」

 ぶりぶりざえもんを掴んでいた手を開き、ポケットにしまってあった小瓶を取り出す。
 中身は少量の液体。ヤマトはそれを自身の頭部に振り掛けると、髪の毛を抜いて何本か息で吹き飛ばす。
 すると摩訶不思議なことに、地上に散布した一本一本の毛が、それぞれヤマトとまったく同じ容姿を持つ個体を形成していった。
 その数オリジナルを合わせ計16体。16人の石田ヤマトが、セイバーを取り囲むかのように出現したのだ。
 ひみつ道具名『クローンリキッドごくう』。もしもの時のためにぶりぶりざえもんの荷物から拝借しておいた、ヤマトの切り札である。

「分身とは……なかなか面白い真似をしてくれますね」
「コラ! それはわたしが持っていた道具ではないか! 返せ! 今すぐ!」
「「「「「「「「「「「「「「「「どうせお前じゃ使えないだろ! それより来るぞ!」」」」」」」」」」」」」」」」

 セイバーは数攻めにも大した畏怖は示さず、正面から剣を振るっていく。
 その動きは神速と言っても決して過言でなく、あっという間にヤマトの分身が一体、一薙ぎで切り伏せられた。

 しかし、その程度では怯まない。
 もとより、ヤマトは時間稼ぎの目的でこの場に留まったのだ。セイバーを倒す術は考えていない。
 この圧倒的な数の分身を利用し、オリジナル本体はトラックへと向かう。シンプルかつ効果的な作戦だった。
 誤算があったとすれば、ヤマトのセイバーに対する見解だろうか。
 ガブモンらと共にデジタルワールドを駆け抜けてきた経験は、確かにこの戦闘においても生きている。
 驚異的な力を持つデジモンとは何度も対峙してきたし、それを何度も打ち破ってきた実績もある。
 だが、逆を言えば『デジモンでもない人間が猛威を振るう様』というのは、初めて見る光景でもあった。

「――!」

 驚愕の声も出せないまま、一人、二人、三人と、ヤマトの分身が次々と薙ぎ払われていく。
 セイバーの迷いのない高速の太刀筋はヤマトの常識を軽く凌駕し、実力の差をはっきりと見せ付けていた。
 加えて、クローンリキッドごくうにより生成した分身の耐久度は決して過信できるものではなく、逆に、もしオリジナルがあんな風に斬られたら……と不安を駆り立てさえまでした。
 自分と同じ姿をした分身が次々に斬られ、死んでいく。予想以上の光景を目の当たりにし焦りが生じたのか、ヤマトは逃走の足を速めた。

 その焦りを、セイバーは見逃さなかった。群集の中で、一人不自然に戦地を離れようとする姿がある。

「あれが……本体!」

 セイバーは確信し、跳躍。分身たちを乗り越え、一目散にオリジナルのヤマトを狙った。

「クソッ、バレた!」

 正体のバレたヤマトは、形振り構わず全力で走った。
 追走してくるセイバーは残った分身たちで足止めさせるが、そのどれもが紙くずのように斬り払われる。
 だが、距離は十分に稼げた。このまま走り抜けば、セイバーが追いつくよりも先にトグサたちの乗るトラックと合流できる。
 そう信じてやまなかったヤマトだったが、ここにきて、あの不安要素がまたしてもやらかしてくれた。

「ふぎゃん!」

 妙な声がしたと思い一瞬だけ振り向いてみると――ヤマトの後ろを追走してきたはずのぶりぶりざえもんが、石に躓いて転んでいた。

(あの馬鹿……ッ!)

 舌打ちするよりも早く、ヤマトは踵を返して元来た道を引き返していた。
 ぶりぶりざえもんとの距離は七歩ほど。ぶりぶりざえもんとセイバーとの距離は十六歩ほど。
 余裕はある。ただし、それはヤマトとセイバーの脚力を同等と捉えた場合の計算だ。
 セイバーよりも早くぶりぶりざえもんを拾い、再び方向転換。そこから徐々に加速していき、トップスピードに乗るまでに縮まる距離は――ほぼ絶望的だった。
 それでも、ヤマトは止まらない。頭では警告が鳴り響くも、本能は停止命令を下さない。
 見捨てることが、できなかったのだ。あんなブタでも。

 現実は時に残酷で、少年の予想の遥か上をいく。
 ぶりぶりざえもんの下へ到着し、ヤマトはそれを拾い上げた。
 続けて方向転換、すぐさま逃走を再開しようとするが、ヤマトは見てしまった。

 ヤマトを遥かに凌ぐスピードを発揮し、あと数歩で剣が届きそうな間合いまでセイバーが接近してきている――そんな酷い現実を。

 このままでは、振り返って背中を見せた瞬間に斬られる。
 その瞬間、たったの零コンマ一秒が、永遠のように長く感じられた。
 死ぬ。脳が知らせた自身の未来は、覆しようのない確定事項であると認めざるを得ない。
 もう、諦めてしまおうか。ヤマトの本能の片隅で、そんな囁きが聞こえてきた。
 だが、心は。
 ガブモンとの戦いの記憶や、タケルとの兄弟の絆が刻まれたヤマトの心は。
 それを、拒否――

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 叫ぶと同時に、肩に下げていたデイパックを振り翳す。
 開かれた口から数多の荷物が飛び出し、セイバーを襲う。

(無駄な足掻きを……!)

 思い、セイバーは降り注がれる食料やペットボトルの弾幕を斬って払う。
 直進する意思に陰りは見えず、あと少しでヤマトとぶりぶりざえもんまで剣が届こうとした。
 寸前だった。

「なっ……」

 間抜けな声が漏れ、目を疑い、反射的に足を止める。
 急ブレーキをかけたセイバーの眼前に突っ込んできたのは、ヤマトのデイパックに収まっていたあるアイテム。
 それは、盾だった。盾と言っても、戦士が防御に用いることで知られる一般的なものではない。
 例えるならば、巨人が使うような……人間にとっては、盾というよりも壁と表した方が的確なサイズだった。
 武装名『ブレイブシールド』。デジモンの中でもずば抜けた戦闘力を誇る究極体――ウォーグレイモン専用の巨大盾である。
 その盾が、障壁となって立ち塞がった。それも勢いを増した状態で。
 衝突すればダメージを受けることは必至。セイバーは即座にカリバーンを構え直し、ブレイブシールド正面に捉えた。

「ハァッ!」

 一閃。
 一太刀で斬り伏せるつもりで放った一撃だったが、堅牢なブレイブシールドは僅かな傷を作っただけに留まり、勢いを相殺されその場に落ちた。
 ズシン、と重量感を漂わせる音が響き、一時の静寂を作る。
 その間にセイバーは息を繋ぎ、盾の陰に隠れた標的たちを確認しようとする。
 が、既に影はなし――そしてその直後に、トラックのエンジン音がすぐ身近まで迫っていたことに気づいた。


 ◇ ◇ ◇


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