暗闇に光る目 ◆lbhhgwAtQE
「――ったく! せっかくこっちまで来たのにまたホテルの方に向かうってのかい、アタシ達は」
「仕方ないでしょう。フェイトちゃんと約束していたんですから」
病院とその周囲で、嵐のような一悶着があったことなど露知らず。
レヴィとゲイナーは、病院をあっさり通過して、フェイトと約束していたイイロク駅へと向かっていた。
「時間は4時半……うん。これなら間に合うかな」
「なぁ、やっぱ6時に電話して、あのガキにこっちに来てもらえばいいんじゃねーのか? その方がアタシらも楽できるし――」
「却下です。年上の僕達が、年下のフェイトちゃんにばっかりそんな無理強いしてどうするんです」
「あー、はいはい、分かりました分かりました。流石、紳士のゲイナー少年は言う事が違いますねぇ」
ゲイナーに皮肉たっぷりにそう言ってやると、レヴィは彼よりも前へと出て、歩き出した。
そして、ゲイナーを置いてこうと早足で歩き出す。
「――って、ちょっと待ってくださいよ! まだ、時間はありますからそんなに急がなくても……」
「るせぇ! 歩き方くらいあたしの好きにさせろ!」
レヴィは、そう言うと更に足を進める速度を上げ、ゲイナーはそれを追うために仕方なく駆け足になる。
「あのですねぇ、こんなところで無駄に体力を使わないほうが後々の為にも……」
背後から聞こえてくるゲイナーの言葉。
それを聞いて、レヴィの頭は瞬間湯沸かし器の中の湯の様に即座に沸騰、彼の方を振り返るとその襟首を掴む。
そして、お約束の怒り心頭な目つきでゲイナーに啖呵を飛ばしだす。
「あのなぁ、何か勘違いしてるみたいだから言っておくぞ。いいか? アタシは別にテメェの小間使いになったわけじゃないんだ。
だから、そうやって一々アタシのすることに細かく口出しはすんな。いいな!?」
街にいる三下クラスのチンピラだったら、尻尾を巻いて逃げ出しそうな威圧感のある睨み。
それを見て、流石のゲイナーも全くたじろがないわけがなく、やや顔をひきつらせる。
「わ、分かりましたから! 分かりましたからこんなところで言い争いするのはやめましょう!」
「――チッ。張り合いのない奴だな。少しくらい言い返してみろっつーの」
「いや、確かにレヴィさんは別に僕の召使いでもなんでもないですから、今言ったことも別におかしい事ではなかったですし……」
ゲイナーは掴まれた胸元を整えると、彼女へと向き直る。
レヴィは、そんな彼の様子を見て、改めて舌打ちをして、自分のフラストレーションが一向に解消されていないことを自覚する。
「仕方ないでしょう。フェイトちゃんと約束していたんですから」
病院とその周囲で、嵐のような一悶着があったことなど露知らず。
レヴィとゲイナーは、病院をあっさり通過して、フェイトと約束していたイイロク駅へと向かっていた。
「時間は4時半……うん。これなら間に合うかな」
「なぁ、やっぱ6時に電話して、あのガキにこっちに来てもらえばいいんじゃねーのか? その方がアタシらも楽できるし――」
「却下です。年上の僕達が、年下のフェイトちゃんにばっかりそんな無理強いしてどうするんです」
「あー、はいはい、分かりました分かりました。流石、紳士のゲイナー少年は言う事が違いますねぇ」
ゲイナーに皮肉たっぷりにそう言ってやると、レヴィは彼よりも前へと出て、歩き出した。
そして、ゲイナーを置いてこうと早足で歩き出す。
「――って、ちょっと待ってくださいよ! まだ、時間はありますからそんなに急がなくても……」
「るせぇ! 歩き方くらいあたしの好きにさせろ!」
レヴィは、そう言うと更に足を進める速度を上げ、ゲイナーはそれを追うために仕方なく駆け足になる。
「あのですねぇ、こんなところで無駄に体力を使わないほうが後々の為にも……」
背後から聞こえてくるゲイナーの言葉。
それを聞いて、レヴィの頭は瞬間湯沸かし器の中の湯の様に即座に沸騰、彼の方を振り返るとその襟首を掴む。
そして、お約束の怒り心頭な目つきでゲイナーに啖呵を飛ばしだす。
「あのなぁ、何か勘違いしてるみたいだから言っておくぞ。いいか? アタシは別にテメェの小間使いになったわけじゃないんだ。
だから、そうやって一々アタシのすることに細かく口出しはすんな。いいな!?」
街にいる三下クラスのチンピラだったら、尻尾を巻いて逃げ出しそうな威圧感のある睨み。
それを見て、流石のゲイナーも全くたじろがないわけがなく、やや顔をひきつらせる。
「わ、分かりましたから! 分かりましたからこんなところで言い争いするのはやめましょう!」
「――チッ。張り合いのない奴だな。少しくらい言い返してみろっつーの」
「いや、確かにレヴィさんは別に僕の召使いでもなんでもないですから、今言ったことも別におかしい事ではなかったですし……」
ゲイナーは掴まれた胸元を整えると、彼女へと向き直る。
レヴィは、そんな彼の様子を見て、改めて舌打ちをして、自分のフラストレーションが一向に解消されていないことを自覚する。
いくら、空腹が解消されたからといっても。
グラーフアイゼンによる謎の魔法少女ルックを解除したとしても。
ゲイナーやトグサが脱出の為のブレーンとして機能してくれそうだとしても。
レヴィ本人の中に元からあった“暴れ足りない”という不満・欲求は満たされることはなかった。
グラーフアイゼンによる謎の魔法少女ルックを解除したとしても。
ゲイナーやトグサが脱出の為のブレーンとして機能してくれそうだとしても。
レヴィ本人の中に元からあった“暴れ足りない”という不満・欲求は満たされることはなかった。
今回もそれが一時的に爆発して、あのような突発的な怒りになったことにレヴィは気付いている。
(――ったく! 本当にどうにかしちまいそうだぜ……)
彼女としては、早いところ敵と認識できるような相手を見つけたかった。
そうすれば、自分の中でも納得した上で、心置きなく暴れられるのだから………………。
(――ったく! 本当にどうにかしちまいそうだぜ……)
彼女としては、早いところ敵と認識できるような相手を見つけたかった。
そうすれば、自分の中でも納得した上で、心置きなく暴れられるのだから………………。
◆
ゲイナーはそんなレヴィの苛立ちを肌で感じると、その大人げのなさに呆れつつも、もう一つの感情を抱き始めていた。
それは“焦り”。もしくは“恐怖”。
だが、それは決して、レヴィが自分を撃つのではという保身の為の恐怖ではない。
彼が恐れているのは、彼女がいざという時、どこまでも暴走してしまい、身の安全を考えなくなってしまうのではという事だった。
実際、彼女はカズマと最初に出会った時の一件では、まさに相打ち覚悟で暴れていた。
また何者かと戦闘になった際に、あの時のようになってしまうと今度こそレヴィはその身を滅ぼしかねない。
だからこそ、ゲイナーはそんな彼女の暴走を助長するような苛立ちの増大を恐れていたし、いざという時自分がどう対処するべきかを考えていた。
(あの時みたいに出来ればいいんだけど……)
ゲイナーはカズマとの戦闘の際にレヴィの暴走を止めた酒瓶での一撃を思い出す。
あの時は確かにあれで、彼女を止めることは出来た。
――だが、それと同時にそれを行ったことにより、ゲイナーは彼女に後々酷い目に遭わされるわけなのだが……。
(……思い出しただけでも情けない)
裸同然の格好でずっと放置されていたことを思い出した彼は、深い溜息をつく。
……彼女の暴走を止めることで、また半裸にされたら堪ったものではない。
ゲイナーは気分を憂鬱にしながら、出来れば暴走を起こす前に何かしらの形でストレスを発散して欲しいものだと願う。
それは“焦り”。もしくは“恐怖”。
だが、それは決して、レヴィが自分を撃つのではという保身の為の恐怖ではない。
彼が恐れているのは、彼女がいざという時、どこまでも暴走してしまい、身の安全を考えなくなってしまうのではという事だった。
実際、彼女はカズマと最初に出会った時の一件では、まさに相打ち覚悟で暴れていた。
また何者かと戦闘になった際に、あの時のようになってしまうと今度こそレヴィはその身を滅ぼしかねない。
だからこそ、ゲイナーはそんな彼女の暴走を助長するような苛立ちの増大を恐れていたし、いざという時自分がどう対処するべきかを考えていた。
(あの時みたいに出来ればいいんだけど……)
ゲイナーはカズマとの戦闘の際にレヴィの暴走を止めた酒瓶での一撃を思い出す。
あの時は確かにあれで、彼女を止めることは出来た。
――だが、それと同時にそれを行ったことにより、ゲイナーは彼女に後々酷い目に遭わされるわけなのだが……。
(……思い出しただけでも情けない)
裸同然の格好でずっと放置されていたことを思い出した彼は、深い溜息をつく。
……彼女の暴走を止めることで、また半裸にされたら堪ったものではない。
ゲイナーは気分を憂鬱にしながら、出来れば暴走を起こす前に何かしらの形でストレスを発散して欲しいものだと願う。
――が、そんな彼のささやかな願いは、橋を渡り終えた瞬間に聞こえた一発の銃声によりあっけなく打ち砕かれるのであった。
「がぁっ!!」
「レヴィさん!?」
いきなり聞こえた銃声。
それは、当然の事ながら銃弾の飛来を伴ったものであり、銃弾はレヴィの右上腕を抉っていた。
「何だ、一体誰がこんな……」
ゲイナーは辺りを見渡し、レヴィを撃った犯人を捜す。
するとレヴィはそんなゲイナーにいきなり足払いを食らわせ、彼を転倒させる。
「――うわっ! ちょっと、何するんですk――」
ゲイナーは起き上がろうとした瞬間、頭上を通過する銃弾が空気を切っていったのを感じる。
「このウスノロ! 今こんなところで立ち止まってたら格好の的だろ!」
そして尻餅をついたままのゲイナーにレヴィは背を向けたまま怒鳴る。
どうやら、レヴィはゲイナーを狙う銃撃を危惧して、彼の姿勢を低くさせるべく、足払いをしたらしい。
そして彼女はそんな事を言いつつ、持っていたイングラムを暗闇の方向目掛けて撃つ。
「――ったく! 闇討ちとは粋なことをしてくれるヤローもいるんだなぁ、おい……」
「レヴィ……さん?」
起き上がりながらゲイナーは、そんなレヴィの底冷えするような……それでいてどこか嬉しそうな声に嫌な予感を感じる。
「……だが、そいつにゃ少し感謝しないとな。………………あたしも暴れたりなかった所だからよぉ!!!」
そう言うとレヴィは唐突にデイパックをゲイナーに向けて投げ渡すと闇の方目掛けて走ってゆく。
「ゲイナー! そいつは動くのに邪魔だからテメェに預けておく! だからとっととテメェは逃げな!!」
「レヴィさんはどうするんです!?」
「決まってるだろ。あの闇討ちヤローに腕の傷の借りを返しにいくのさ。ついでにあたしに暴れる口実作ってくれたお礼もたっぷりとプレゼントしてやる!」
――マズい。
遂にゲイナーが予期していた悪い事態が起こってしまった。
こうなってしまっては、彼女はどこまでも突き進む。
事実、既にレヴィの姿は闇の向こう。
既にその闇の方向から何発も銃声が聞こえてきている。
残されたのは、デイパックを持ったまま呆然とするゲイナー少年ただ一人。
「――これだから大人は勝手なんだ!! そんなこと言われても置いていけるわけないでしょう!! 」
そんな彼がレヴィをそのままにしておくわけにもいかず、彼もまた銃声が鳴り響く闇の中へと飛び込むのであった。
「レヴィさん!?」
いきなり聞こえた銃声。
それは、当然の事ながら銃弾の飛来を伴ったものであり、銃弾はレヴィの右上腕を抉っていた。
「何だ、一体誰がこんな……」
ゲイナーは辺りを見渡し、レヴィを撃った犯人を捜す。
するとレヴィはそんなゲイナーにいきなり足払いを食らわせ、彼を転倒させる。
「――うわっ! ちょっと、何するんですk――」
ゲイナーは起き上がろうとした瞬間、頭上を通過する銃弾が空気を切っていったのを感じる。
「このウスノロ! 今こんなところで立ち止まってたら格好の的だろ!」
そして尻餅をついたままのゲイナーにレヴィは背を向けたまま怒鳴る。
どうやら、レヴィはゲイナーを狙う銃撃を危惧して、彼の姿勢を低くさせるべく、足払いをしたらしい。
そして彼女はそんな事を言いつつ、持っていたイングラムを暗闇の方向目掛けて撃つ。
「――ったく! 闇討ちとは粋なことをしてくれるヤローもいるんだなぁ、おい……」
「レヴィ……さん?」
起き上がりながらゲイナーは、そんなレヴィの底冷えするような……それでいてどこか嬉しそうな声に嫌な予感を感じる。
「……だが、そいつにゃ少し感謝しないとな。………………あたしも暴れたりなかった所だからよぉ!!!」
そう言うとレヴィは唐突にデイパックをゲイナーに向けて投げ渡すと闇の方目掛けて走ってゆく。
「ゲイナー! そいつは動くのに邪魔だからテメェに預けておく! だからとっととテメェは逃げな!!」
「レヴィさんはどうするんです!?」
「決まってるだろ。あの闇討ちヤローに腕の傷の借りを返しにいくのさ。ついでにあたしに暴れる口実作ってくれたお礼もたっぷりとプレゼントしてやる!」
――マズい。
遂にゲイナーが予期していた悪い事態が起こってしまった。
こうなってしまっては、彼女はどこまでも突き進む。
事実、既にレヴィの姿は闇の向こう。
既にその闇の方向から何発も銃声が聞こえてきている。
残されたのは、デイパックを持ったまま呆然とするゲイナー少年ただ一人。
「――これだから大人は勝手なんだ!! そんなこと言われても置いていけるわけないでしょう!! 」
そんな彼がレヴィをそのままにしておくわけにもいかず、彼もまた銃声が鳴り響く闇の中へと飛び込むのであった。
◆
橋で待ち伏せをしていた不二子の下に近づいてきたのは、ゲームが得意で引きこもっていそうな眼鏡で色白の少年と、口が悪くチンピラ風情な刺青の女性だった。
彼女が見る限りでは、2人の武装は女性の方が持つ銃器らしきもののみ。
しかも、2人(特に女性の方)は大声で話しており、あまりに無防備・無警戒であった。
あの様子では、待ち伏せをしている相手がいるなどとは露にも思っていないだろう。
故に、彼女は2人を自分の銃の餌食になってもらおうと決めた。
「……恨むなら自分達の不運さを恨んで頂戴ね」
彼女が最初に狙うのは、女性の方。
彼女を不意打ちで仕留めさえすれば、見た目からして戦闘慣れしていなさそうな眼鏡の少年が慌てるのは確実であろうことだし、料理してしまうのは容易い。
もし仮に、一撃で仕留められないとしても、動揺を誘えることは必至で、その隙をついて両者を改めて撃つ事くらいは不二子にとっては朝飯前だ。
彼女が見る限りでは、2人の武装は女性の方が持つ銃器らしきもののみ。
しかも、2人(特に女性の方)は大声で話しており、あまりに無防備・無警戒であった。
あの様子では、待ち伏せをしている相手がいるなどとは露にも思っていないだろう。
故に、彼女は2人を自分の銃の餌食になってもらおうと決めた。
「……恨むなら自分達の不運さを恨んで頂戴ね」
彼女が最初に狙うのは、女性の方。
彼女を不意打ちで仕留めさえすれば、見た目からして戦闘慣れしていなさそうな眼鏡の少年が慌てるのは確実であろうことだし、料理してしまうのは容易い。
もし仮に、一撃で仕留められないとしても、動揺を誘えることは必至で、その隙をついて両者を改めて撃つ事くらいは不二子にとっては朝飯前だ。
……そう、自分はこのような修羅場に慣れているプロであり、相手は引きこもり風の少年とチンピラ風の女。
間違いなど起こるわけがない。
そう確信を持って、あの時の彼女は建物の陰から引き金を引いていたのだ。
そう確信を持って、あの時の彼女は建物の陰から引き金を引いていたのだ。
――だが、その読みが大きな間違いであった。
「オラァッ、待ちやがれ、この糞野郎! 逃げてんじゃねーよ!!」
そんな口汚い言葉とともに、背後から発砲音が聞こえる。
「……な、何なのよ、あれは!」
橋の袂から北へ進み、林の中に逃げ込んだ不二子を待っていたのは、腕を撃ち抜いた筈の女の追撃だった。
「なんで腕撃たれてるのにあんなに撃てるの? ……というよりも普通、仲間を置いてこんな遠くまで追いかけてくる!?」
思えば、第一射目で腕を撃ち抜かれた女性に案の定驚いて動きが止まっていた少年を撃とうとした時から彼女の様子はおかしかった。
その女性は、少年に向けて放った銃弾の存在に気付いたかのように少年の姿勢を強制的に低くさせた。
そしてそのまま彼女は、銃弾の放たれた方向を特定したかのようにこちらへと向かってくると、その左手に持ち替えたその銃を撃ちながら自分を追いかけてきて、今に至るのである。
まさに、その一連の動作は銃に並に慣れているだけでは到底出来ないもので、故に彼女は常日頃から銃や銃撃戦に慣れ親しんでいた女性であることが推測できた。
しかも、雑木林という障害物が多い場所で走っているにも関わらず、彼女窺えるの追撃の手は衰えない。
その様からは、相手は相当身軽で、かつ反射神経がいいということが窺える。
更に付け加えるならば……
「おいおいおいおい! いつまで逃げて回る気だぁ? このあたしに火をつけたのはアンタなんだぜ?」
声から察するに、彼女はその今の状況からは想像できないくらい、実に楽しそうだった。
まさか彼女は自分が撃たれているという事実よりも、今起こっている銃撃戦を楽しもうとしているのだろうか。
だとすれば、彼女はとんでもなくクレイジーな人間に喧嘩を売ってしまったことになる。
(この私が人選を間違えるなんてね……!!)
人を見る目はある――そう勝手に自覚していた不二子は、そんな自惚れに苦笑する。
だが、峰不二子という女はこんな失敗如きで倒れるような女ではない。
自分をどこまでも追いかけてくるというのならば、迎え撃つまで。
確かに彼女はただのチンピラではないようだが、かといってカズマや劉鳳のようなアルター能力があるわけでもないようであるし、流れる血を見る限りでは真っ当な人間のはず。
ならば、まだ勝算はある。
こちらには、自分を優位に立たせるだけの道具が揃っているのだから。
(さてと。どうしてあげましょうかね……)
林の中という街灯どころか月の明かりすらも殆どが遮られる闇の中へと更に進みつつ、彼女は次なる謀略を張り巡らせ始めていた。
「オラァッ、待ちやがれ、この糞野郎! 逃げてんじゃねーよ!!」
そんな口汚い言葉とともに、背後から発砲音が聞こえる。
「……な、何なのよ、あれは!」
橋の袂から北へ進み、林の中に逃げ込んだ不二子を待っていたのは、腕を撃ち抜いた筈の女の追撃だった。
「なんで腕撃たれてるのにあんなに撃てるの? ……というよりも普通、仲間を置いてこんな遠くまで追いかけてくる!?」
思えば、第一射目で腕を撃ち抜かれた女性に案の定驚いて動きが止まっていた少年を撃とうとした時から彼女の様子はおかしかった。
その女性は、少年に向けて放った銃弾の存在に気付いたかのように少年の姿勢を強制的に低くさせた。
そしてそのまま彼女は、銃弾の放たれた方向を特定したかのようにこちらへと向かってくると、その左手に持ち替えたその銃を撃ちながら自分を追いかけてきて、今に至るのである。
まさに、その一連の動作は銃に並に慣れているだけでは到底出来ないもので、故に彼女は常日頃から銃や銃撃戦に慣れ親しんでいた女性であることが推測できた。
しかも、雑木林という障害物が多い場所で走っているにも関わらず、彼女窺えるの追撃の手は衰えない。
その様からは、相手は相当身軽で、かつ反射神経がいいということが窺える。
更に付け加えるならば……
「おいおいおいおい! いつまで逃げて回る気だぁ? このあたしに火をつけたのはアンタなんだぜ?」
声から察するに、彼女はその今の状況からは想像できないくらい、実に楽しそうだった。
まさか彼女は自分が撃たれているという事実よりも、今起こっている銃撃戦を楽しもうとしているのだろうか。
だとすれば、彼女はとんでもなくクレイジーな人間に喧嘩を売ってしまったことになる。
(この私が人選を間違えるなんてね……!!)
人を見る目はある――そう勝手に自覚していた不二子は、そんな自惚れに苦笑する。
だが、峰不二子という女はこんな失敗如きで倒れるような女ではない。
自分をどこまでも追いかけてくるというのならば、迎え撃つまで。
確かに彼女はただのチンピラではないようだが、かといってカズマや劉鳳のようなアルター能力があるわけでもないようであるし、流れる血を見る限りでは真っ当な人間のはず。
ならば、まだ勝算はある。
こちらには、自分を優位に立たせるだけの道具が揃っているのだから。
(さてと。どうしてあげましょうかね……)
林の中という街灯どころか月の明かりすらも殆どが遮られる闇の中へと更に進みつつ、彼女は次なる謀略を張り巡らせ始めていた。
◆
――ズギュンッ!
銃声と共に彼女の寄りかかっていた木の幹に銃弾がめり込む。
「――クソッ! またかよ!!」
舌打ちをすると、レヴィはその木から離れ、別の木の陰へと隠れる。
――追撃が終わったかと思えば、掌を返したような襲撃者による銃撃の連続。
先程からこの調子であった。
普段の彼女ならば、そのような状況になれば、嬉々として前へと飛び出て、アクロバティックな銃撃を見せているだろう。
だが、今回は状況が悪い。
暗闇という視界が殆どない状況で不用意に飛び出て銃撃を行えば、その音とマズルフラッシュにより自分の居場所を教えてしまうことになる。
故に彼女は木の陰に隠れ、相手の動向をうかがい、確実に仕留められる機会を狙っていた。
「らしくないよなぁ、こんな戦い方はよ……」
レヴィは文句を垂れながら、イングラムとベレッタの弾倉を交換する。
常に前へ前へと出ながら銃を撃ち続ける戦法を得意とする彼女からすれば、今回のような相手の動きを待つ戦い方は性には合わない。
「……だが、しかし何だ? 何で向こうはこんな暗い中であんなにあたしの居場所を特定できるっていうんだ?」
背後でまたも銃弾が木の幹を抉る音を聞きながら、彼女は疑問を抱く。
レヴィを狙う相手は、人物どころか障害物の存在すら殆ど把握できない中で、確実に彼女の隠れている木を狙ってきている。
しかも、正確な間合いと射撃精度を保ったままで。
「向こうの目は猫かなんかか? それとも…………」
このような暗がりでこそ活躍する道具をレヴィは知っている。
そして、相手がそれを持っていて、自分にはそれがない場合、相手がどれだけ優位に立つのかも。
だが、彼女は諦めない。
――喧嘩を売ってきた以上、決して逃げはしない。その場を去るのは相手を再起不能にした時のみ。
彼女は、そう心に決めていた。
その考えが、いつかケリをつけようとしている少年と似たり寄ったりであることなど、彼女は露にも思っていないであろうが。
「――ハッ! 弱い考えなんて持っても何の役にも立ちゃしない。……そうさ、あたしは“二挺拳銃(トゥーハンド)”。相手が何を持っていようと潰すまでさ」
今の彼女は、撃たれた痛みを殆ど感じないほど、この状況に気分が高揚していた。
「……さぁ、楽しいパーティの再開だ」
怪我をしているにも関わらず。
銃撃戦という命のやり取りをしているにも関わらず。
彼女のその声は、ますます楽しげになっていた。
それは、まさしく“水を得た魚”の如く。
「――クソッ! またかよ!!」
舌打ちをすると、レヴィはその木から離れ、別の木の陰へと隠れる。
――追撃が終わったかと思えば、掌を返したような襲撃者による銃撃の連続。
先程からこの調子であった。
普段の彼女ならば、そのような状況になれば、嬉々として前へと飛び出て、アクロバティックな銃撃を見せているだろう。
だが、今回は状況が悪い。
暗闇という視界が殆どない状況で不用意に飛び出て銃撃を行えば、その音とマズルフラッシュにより自分の居場所を教えてしまうことになる。
故に彼女は木の陰に隠れ、相手の動向をうかがい、確実に仕留められる機会を狙っていた。
「らしくないよなぁ、こんな戦い方はよ……」
レヴィは文句を垂れながら、イングラムとベレッタの弾倉を交換する。
常に前へ前へと出ながら銃を撃ち続ける戦法を得意とする彼女からすれば、今回のような相手の動きを待つ戦い方は性には合わない。
「……だが、しかし何だ? 何で向こうはこんな暗い中であんなにあたしの居場所を特定できるっていうんだ?」
背後でまたも銃弾が木の幹を抉る音を聞きながら、彼女は疑問を抱く。
レヴィを狙う相手は、人物どころか障害物の存在すら殆ど把握できない中で、確実に彼女の隠れている木を狙ってきている。
しかも、正確な間合いと射撃精度を保ったままで。
「向こうの目は猫かなんかか? それとも…………」
このような暗がりでこそ活躍する道具をレヴィは知っている。
そして、相手がそれを持っていて、自分にはそれがない場合、相手がどれだけ優位に立つのかも。
だが、彼女は諦めない。
――喧嘩を売ってきた以上、決して逃げはしない。その場を去るのは相手を再起不能にした時のみ。
彼女は、そう心に決めていた。
その考えが、いつかケリをつけようとしている少年と似たり寄ったりであることなど、彼女は露にも思っていないであろうが。
「――ハッ! 弱い考えなんて持っても何の役にも立ちゃしない。……そうさ、あたしは“二挺拳銃(トゥーハンド)”。相手が何を持っていようと潰すまでさ」
今の彼女は、撃たれた痛みを殆ど感じないほど、この状況に気分が高揚していた。
「……さぁ、楽しいパーティの再開だ」
怪我をしているにも関わらず。
銃撃戦という命のやり取りをしているにも関わらず。
彼女のその声は、ますます楽しげになっていた。
それは、まさしく“水を得た魚”の如く。
時たま撃たれる銃の発砲音により、レヴィは徐々に相手のいる位置や距離を把握しだしていた。
「さぁさぁさぁ、チェックメイトまで後もう少しだぜぇ……」
木の陰を移動しつつ、レヴィは笑顔を見せる。
ここにたどり着くまでに大分音が大きくなってきたはずだ。
あと、もう少し。
もう少しで、自分の中のスイッチを入れた張本人の顔を拝める……。
そんな走る気持ちがあったからだろうか、彼女は敵が暗闇を覗ける道具を持っているにも関わらず、こちらが接近していることを知りつつ移動をしないのかという疑問を抱くことはなかった。
そうだからこそ、銃声ではない、何かが飛び出る音を耳にした瞬間、彼女は木の陰から飛び出てその音の方向に立つ人影を確認、そこへと反射的に銃弾を撃ちこんだ。
銃弾は正確に音の方向へと命中する。
……だが、その感触はどこか人を撃った時とは違うようにレヴィは感じる。
「……まさか」
撃った方向を目を凝らして見ながら近づくと、そこに倒れていたのは人のような形をしていたが人でもなんでもなかった。
あえて言うなら、水田にポツンと置かれているような不恰好な案山子。
「チクショウ!! 囮のつもりってか!? ――ってことは、まだどっかに……」
案山子を蹴っ飛ばすとレヴィは周囲を見渡そうとする。
……だが、その刹那、破裂音と共に彼女の脇腹に刺すような痛みが走り――――
「さぁさぁさぁ、チェックメイトまで後もう少しだぜぇ……」
木の陰を移動しつつ、レヴィは笑顔を見せる。
ここにたどり着くまでに大分音が大きくなってきたはずだ。
あと、もう少し。
もう少しで、自分の中のスイッチを入れた張本人の顔を拝める……。
そんな走る気持ちがあったからだろうか、彼女は敵が暗闇を覗ける道具を持っているにも関わらず、こちらが接近していることを知りつつ移動をしないのかという疑問を抱くことはなかった。
そうだからこそ、銃声ではない、何かが飛び出る音を耳にした瞬間、彼女は木の陰から飛び出てその音の方向に立つ人影を確認、そこへと反射的に銃弾を撃ちこんだ。
銃弾は正確に音の方向へと命中する。
……だが、その感触はどこか人を撃った時とは違うようにレヴィは感じる。
「……まさか」
撃った方向を目を凝らして見ながら近づくと、そこに倒れていたのは人のような形をしていたが人でもなんでもなかった。
あえて言うなら、水田にポツンと置かれているような不恰好な案山子。
「チクショウ!! 囮のつもりってか!? ――ってことは、まだどっかに……」
案山子を蹴っ飛ばすとレヴィは周囲を見渡そうとする。
……だが、その刹那、破裂音と共に彼女の脇腹に刺すような痛みが走り――――
◆
「――あぐぁっ!!!!」
脇腹に銃弾が命中したレヴィが転がる様を、不二子は暗視ゴーグル越しに覗く。
「……上手くいったみたいね」
彼女が今いるのは、案山子が置かれた場所からそう離れていない場所。
案山子を囮に、その位置まで彼女は移動していた。
ちなみに、案山子は所持していたボディーブレードや森の中で事前に拾っていた太い枝を包帯やらリボンで固定し、そこに銭形警部変装セットの服装を着せ、顔の部分にはロボのオモチャに変装セットのマスクを被せたものをくっつけたもの。
ルパンがよく逃走する際に、警察や敵を欺くのに使っていたおとり人形をアイディアに事前に作っていたのだ。
(ルパンとはもう決別したはずなのに皮肉ね……)
死して、そして決別して尚、あの男の世話になるとは夢にも思わなかったが、生き残る為、勝つ為なら何でも利用すると決めたのだ。
そして、それが実際に役に立っているのだから、何も問題はない。
あとは、蹲り隙だらけの目の前の女性に止めを刺すのみ。
「それじゃ、さようなら。……恨むなら自分の運の無さと単純な脳みそを恨んで頂戴ね」
遺言を遺させる時間も、お祈りをする時間も与えない。
不二子は、離れた位置から照準を定め、まるで練習用の的を撃つようにその女性目掛けて引き金を――――
脇腹に銃弾が命中したレヴィが転がる様を、不二子は暗視ゴーグル越しに覗く。
「……上手くいったみたいね」
彼女が今いるのは、案山子が置かれた場所からそう離れていない場所。
案山子を囮に、その位置まで彼女は移動していた。
ちなみに、案山子は所持していたボディーブレードや森の中で事前に拾っていた太い枝を包帯やらリボンで固定し、そこに銭形警部変装セットの服装を着せ、顔の部分にはロボのオモチャに変装セットのマスクを被せたものをくっつけたもの。
ルパンがよく逃走する際に、警察や敵を欺くのに使っていたおとり人形をアイディアに事前に作っていたのだ。
(ルパンとはもう決別したはずなのに皮肉ね……)
死して、そして決別して尚、あの男の世話になるとは夢にも思わなかったが、生き残る為、勝つ為なら何でも利用すると決めたのだ。
そして、それが実際に役に立っているのだから、何も問題はない。
あとは、蹲り隙だらけの目の前の女性に止めを刺すのみ。
「それじゃ、さようなら。……恨むなら自分の運の無さと単純な脳みそを恨んで頂戴ね」
遺言を遺させる時間も、お祈りをする時間も与えない。
不二子は、離れた位置から照準を定め、まるで練習用の的を撃つようにその女性目掛けて引き金を――――
「レヴィさん!!! こんなところにいたんで――――って、うわっ!!」
――と、その時だった。
いきなり、あの女性と行動を共にしていた眼鏡の少年が現れた。
「……? まさかあのボウヤなの?」
目に映るのは武器を持たない、いかにも戦闘慣れしていないインドア派な少年。
……そんな彼がここに近づいてきているのだとすれば、それは不二子にとってもチャンスだ。
先程までの女性のような銃を持った危険人物ならともかく、あの大人しそうな少年ならば出てきた瞬間に仕留めることもできる。
「――飛んで火にいる夏の虫ってことわざを知らないのかしらね」
そうと決めたら、負傷して動けないでいるレヴィを後に回しても構わないだろう。
彼女は、少年に銃口を向けると今度こそ引き金を引こうとするのだが…………
「この馬鹿っ!! 何やってんだ!!」
今度は倒れていた女性が起き上がり、いきなり少年に飛び掛ると彼を強引に引っ張り、木の陰へと連れてゆく。
「――チィッ!!」
不二子はそんな彼女を止めようと発砲するが、焦りの為かそれらは外れてしまう。
「……まさかまだあんなに動けたなんてね……」
不二子は悔しげに彼女らのいる方向を見る。
……これで、再び状況は膠着状態に戻ってしまった。
違うところいえば、向こうに一人非戦闘員が加わったことと、女性の方に無視できないダメージがあるという事。
相変わらずアドバンテージはこちらにある。
彼女は虎視眈々と彼らを狙っていた。
「さぁて、次はどう出てくれるのかしら?」
いきなり、あの女性と行動を共にしていた眼鏡の少年が現れた。
「……? まさかあのボウヤなの?」
目に映るのは武器を持たない、いかにも戦闘慣れしていないインドア派な少年。
……そんな彼がここに近づいてきているのだとすれば、それは不二子にとってもチャンスだ。
先程までの女性のような銃を持った危険人物ならともかく、あの大人しそうな少年ならば出てきた瞬間に仕留めることもできる。
「――飛んで火にいる夏の虫ってことわざを知らないのかしらね」
そうと決めたら、負傷して動けないでいるレヴィを後に回しても構わないだろう。
彼女は、少年に銃口を向けると今度こそ引き金を引こうとするのだが…………
「この馬鹿っ!! 何やってんだ!!」
今度は倒れていた女性が起き上がり、いきなり少年に飛び掛ると彼を強引に引っ張り、木の陰へと連れてゆく。
「――チィッ!!」
不二子はそんな彼女を止めようと発砲するが、焦りの為かそれらは外れてしまう。
「……まさかまだあんなに動けたなんてね……」
不二子は悔しげに彼女らのいる方向を見る。
……これで、再び状況は膠着状態に戻ってしまった。
違うところいえば、向こうに一人非戦闘員が加わったことと、女性の方に無視できないダメージがあるという事。
相変わらずアドバンテージはこちらにある。
彼女は虎視眈々と彼らを狙っていた。
「さぁて、次はどう出てくれるのかしら?」
◆
銃声を頼りにレヴィを追ってきたゲイナーを待っていたのは、彼女からの熱い歓迎であった。
「……なんで、ここまで来たんだ? アァ?」
先程まで脇腹に銃創を作り地に伏せていたというのに、今の彼女はゲイナーの胸倉を掴み物凄い形相で睨んでいた。
「何で……って、そりゃ当たり前ですよ。レヴィさんは僕やフェイトちゃんの仲間なんですし……」
「ハッ、仲間だから助ける、か。そりゃ大層なことだ。……だがな、あたしは一度も助けなんざ呼んだ覚えないぜ?」
「そんな頼まれなくたって、いきなり僕達を襲ってきた犯人を追ってどこかに消えちゃったら、心配になって追いかけますよ」
これまでに様々な人が死んでいった。
フェイトの親友だというなのは、短い付き合いだったものの明るく人懐っこかったタチコマ、カズマの知人だったかなみという少女やストレイト・クーガーという男……。
もう、誰かが死ぬのは嫌だった。
バトルロワイアルというシステムに人が殺されてゆくなどという事は、あってはならないことなのだ。
だが、そんな悲痛な思いのゲイナーにレヴィはあくまで冷たく声を掛ける。
「……で? そんで、そんな正義感たっぷりのゲイナー坊やは、この後一体どうするつもりだい? テメェが来たら、この場は一発逆転――なんてアメリカの安っぽいカートゥーンみたなことになるのか?」
「それは…………」
「ほれ見たことか。いいか? テメェがここに来ても何も変わらないんだよ。むしろ足手まといが増えちまった」
足手まとい、という言葉を聞いてゲイナーは顔を暗くする。
……確かに自分はオーバーマン無しでは、格闘戦も銃撃戦も並かそれ以下しかこなせない。
生身で出来る人より優れたことといえば、ゲームくらいだろうか。
ゲイナーが無言になると、レヴィは呆れたような表情になって掴んだ胸倉を下ろし、その場に腰掛ける。
「……ったく。こちとら脇腹やられて、っつつ――あたし一人でも結構しんどい状況だってのに、テメェまで加わって一体どうすりゃいいんだ? 下手に動きゃ、向こうは暗視ゴーグルと銃であたし達を狙い撃ちだしよぉ」
脇腹を押さえながら、悔しそうに呟くレヴィの言葉をゲイナーは聞き逃さなかった。
「……暗視ゴーグル、ですか?」
「ん? あぁ、そうさ。あっちはこんな暗がりだってのにあたしの隠れた位置をどんどん当ててきやがったんだ。あんなこと出来るのは猫や梟、もしくは暗視できる道具を持ったヤローくらいだよ」
向こうが暗視できる装置を持っているということは、レヴィの言葉からも大体想像がつく。
それに、それを持っていることによるアドバンテージも。
……だが、もし相手が暗視を道具に頼っているのだとすれば、そこには何かしら隙があるはずである。
そして暗視装置に出来る隙といえば――――――
「レヴィさん。……ちょっといいですか?」
「どーした、ゲイナー坊や? 命乞いの相談か? あいにくあたしはそんなことをする気は毛頭無いかr――――」
「違いますよ。僕に一つ案があるんですけど…………いいですか?」
小声でレヴィに話しかけるゲイナー。
その彼の手には、彼女から預かっていたデイパックが握られていた……。
「……なんで、ここまで来たんだ? アァ?」
先程まで脇腹に銃創を作り地に伏せていたというのに、今の彼女はゲイナーの胸倉を掴み物凄い形相で睨んでいた。
「何で……って、そりゃ当たり前ですよ。レヴィさんは僕やフェイトちゃんの仲間なんですし……」
「ハッ、仲間だから助ける、か。そりゃ大層なことだ。……だがな、あたしは一度も助けなんざ呼んだ覚えないぜ?」
「そんな頼まれなくたって、いきなり僕達を襲ってきた犯人を追ってどこかに消えちゃったら、心配になって追いかけますよ」
これまでに様々な人が死んでいった。
フェイトの親友だというなのは、短い付き合いだったものの明るく人懐っこかったタチコマ、カズマの知人だったかなみという少女やストレイト・クーガーという男……。
もう、誰かが死ぬのは嫌だった。
バトルロワイアルというシステムに人が殺されてゆくなどという事は、あってはならないことなのだ。
だが、そんな悲痛な思いのゲイナーにレヴィはあくまで冷たく声を掛ける。
「……で? そんで、そんな正義感たっぷりのゲイナー坊やは、この後一体どうするつもりだい? テメェが来たら、この場は一発逆転――なんてアメリカの安っぽいカートゥーンみたなことになるのか?」
「それは…………」
「ほれ見たことか。いいか? テメェがここに来ても何も変わらないんだよ。むしろ足手まといが増えちまった」
足手まとい、という言葉を聞いてゲイナーは顔を暗くする。
……確かに自分はオーバーマン無しでは、格闘戦も銃撃戦も並かそれ以下しかこなせない。
生身で出来る人より優れたことといえば、ゲームくらいだろうか。
ゲイナーが無言になると、レヴィは呆れたような表情になって掴んだ胸倉を下ろし、その場に腰掛ける。
「……ったく。こちとら脇腹やられて、っつつ――あたし一人でも結構しんどい状況だってのに、テメェまで加わって一体どうすりゃいいんだ? 下手に動きゃ、向こうは暗視ゴーグルと銃であたし達を狙い撃ちだしよぉ」
脇腹を押さえながら、悔しそうに呟くレヴィの言葉をゲイナーは聞き逃さなかった。
「……暗視ゴーグル、ですか?」
「ん? あぁ、そうさ。あっちはこんな暗がりだってのにあたしの隠れた位置をどんどん当ててきやがったんだ。あんなこと出来るのは猫や梟、もしくは暗視できる道具を持ったヤローくらいだよ」
向こうが暗視できる装置を持っているということは、レヴィの言葉からも大体想像がつく。
それに、それを持っていることによるアドバンテージも。
……だが、もし相手が暗視を道具に頼っているのだとすれば、そこには何かしら隙があるはずである。
そして暗視装置に出来る隙といえば――――――
「レヴィさん。……ちょっといいですか?」
「どーした、ゲイナー坊や? 命乞いの相談か? あいにくあたしはそんなことをする気は毛頭無いかr――――」
「違いますよ。僕に一つ案があるんですけど…………いいですか?」
小声でレヴィに話しかけるゲイナー。
その彼の手には、彼女から預かっていたデイパックが握られていた……。
◆
「……長いわね」
レヴィとゲイナーが隠れてからというものの、暗視ゴーグルで覗くその木の裏側では何も変化が起こってない。
ゴーグルでずっと監視していて変化が無い以上、こっそり逃げ出したという事は無いだろう。
ならば、2人は一体何をしているのだろうか。
暗い場所で男女がするありがちな行為? ――当然却下だ。
命乞いの準備? ――少年がそれを考えていたとしても、女性の方が承諾しそうに無いから却下だ。
……ということは、何か作戦を練っていると考えるのが濃厚か?
だが、負傷した女と鈍そうな少年が2人集まって、一体どんな策を練るのだろうか?
見たところ武器は女性の銃二つしかないようだったが…………
「何か他に武器でもあるのかしら?」
自分の奪ったデイパックに実に多様な道具が入っていたことを考えると、その可能性も否めない。
先程のような油断は、もうしてはならないのだ。
ならば、と不二子は気を引き締めて、監視を続ける。
……すると。
「うおおおぉぉおおおお!!!!」
何といきなり、木の陰から少年が叫びながら飛び出してきた。
「……!? な、何なの!?」
こちらに向かってくるわけでもなく我武者羅に走る少年を見て不二子はその意図がつかめず戸惑う。
だが、これが何かの作戦の一部なのだとしたら、いち早く彼を撃って動けなくするべきだ。
不二子は躊躇いなく引き金を引く。
「――うわっ!!!」
だが、その弾は全力で走る少年には命中せずに、闇の中へと消える。
そして、次の瞬間――――
「そっちかぁっ!!!!」
突如聞こえてきた女性の声。
それに振り返ると同時に、彼女の視界は白一色に染まってしまう。
「……!!?」
視界がゼロになる感覚に不二子は慌てるが、その原因にすぐに気付く。
(――光っ!)
何かしら強い光を受けると暗視機能を持った装置は一時的に故障する。
それに気付いた不二子は、咄嗟にゴーグルを外し、目の前で光を発する道具を持つ刺青の女性を見る。
すると、彼女は既に銃を構えていて――――
「何だ、女だったのか、テメェ」
「……女で悪かったわねっ!!」
不二子はそう言うや否や、女性がその引き金を引く前に一気に間合いを詰め、その傷ついた脇腹に横から蹴りを入れる。
「――ってぇー!!!」
女性は傷口をモロに蹴られ、吹っ飛ぶ。
(今度こそ――)
今度こそ仕留める。
そう心に決めると彼女は銃を取り出す…………
「そんなことさせるかぁぁぁ!!!!!」
が、気付けばすぐ傍まで少年が近づいていた。
そして、その少年は手に持つ何かの瓶のようなものを不二子目掛けて投擲する。
「……こんなものでどうしようっていうの?」
瓶は不二子によって、あっけなく銃で撃ち砕かれてしまう。
すると、その瓶の中に入っていたであろう液体が飛び散り、慣性の法則に従い不二子の体にもそれは降りかかる。
降りかかった箇所には当然、ゴーグルを外した顔も含まれているわけで、その液体を被った瞬間、彼女の視界は――――
レヴィとゲイナーが隠れてからというものの、暗視ゴーグルで覗くその木の裏側では何も変化が起こってない。
ゴーグルでずっと監視していて変化が無い以上、こっそり逃げ出したという事は無いだろう。
ならば、2人は一体何をしているのだろうか。
暗い場所で男女がするありがちな行為? ――当然却下だ。
命乞いの準備? ――少年がそれを考えていたとしても、女性の方が承諾しそうに無いから却下だ。
……ということは、何か作戦を練っていると考えるのが濃厚か?
だが、負傷した女と鈍そうな少年が2人集まって、一体どんな策を練るのだろうか?
見たところ武器は女性の銃二つしかないようだったが…………
「何か他に武器でもあるのかしら?」
自分の奪ったデイパックに実に多様な道具が入っていたことを考えると、その可能性も否めない。
先程のような油断は、もうしてはならないのだ。
ならば、と不二子は気を引き締めて、監視を続ける。
……すると。
「うおおおぉぉおおおお!!!!」
何といきなり、木の陰から少年が叫びながら飛び出してきた。
「……!? な、何なの!?」
こちらに向かってくるわけでもなく我武者羅に走る少年を見て不二子はその意図がつかめず戸惑う。
だが、これが何かの作戦の一部なのだとしたら、いち早く彼を撃って動けなくするべきだ。
不二子は躊躇いなく引き金を引く。
「――うわっ!!!」
だが、その弾は全力で走る少年には命中せずに、闇の中へと消える。
そして、次の瞬間――――
「そっちかぁっ!!!!」
突如聞こえてきた女性の声。
それに振り返ると同時に、彼女の視界は白一色に染まってしまう。
「……!!?」
視界がゼロになる感覚に不二子は慌てるが、その原因にすぐに気付く。
(――光っ!)
何かしら強い光を受けると暗視機能を持った装置は一時的に故障する。
それに気付いた不二子は、咄嗟にゴーグルを外し、目の前で光を発する道具を持つ刺青の女性を見る。
すると、彼女は既に銃を構えていて――――
「何だ、女だったのか、テメェ」
「……女で悪かったわねっ!!」
不二子はそう言うや否や、女性がその引き金を引く前に一気に間合いを詰め、その傷ついた脇腹に横から蹴りを入れる。
「――ってぇー!!!」
女性は傷口をモロに蹴られ、吹っ飛ぶ。
(今度こそ――)
今度こそ仕留める。
そう心に決めると彼女は銃を取り出す…………
「そんなことさせるかぁぁぁ!!!!!」
が、気付けばすぐ傍まで少年が近づいていた。
そして、その少年は手に持つ何かの瓶のようなものを不二子目掛けて投擲する。
「……こんなものでどうしようっていうの?」
瓶は不二子によって、あっけなく銃で撃ち砕かれてしまう。
すると、その瓶の中に入っていたであろう液体が飛び散り、慣性の法則に従い不二子の体にもそれは降りかかる。
降りかかった箇所には当然、ゴーグルを外した顔も含まれているわけで、その液体を被った瞬間、彼女の視界は――――
赤く染まった。
◆
「き、ぎゃぁぁぁああああ!!!!!!!」
瓶の中の液体を被った目の前の女性は、そんな悲鳴を上げながら闇の中へと消えてゆく。
レヴィはそんな彼女の様子を痛みを堪えつつ見るしか出来なかったわけだが。
すると、そんな彼女にゲイナーが手を差し伸べてきた。
「……ほら、今のうちに逃げますよ!」
「な、何言ってやがる!! その前にあいつをぶっ殺さないとあたしの気が…………――っあだだだっ!!」
レヴィは威勢のいい声を出そうとするも、その声によって腹部の痛みが蘇る。
「それだけ傷ついた体でよくそんなこと言えますね。褒めてあげます! ですが今はその怪我を治すほうが先です。それにフェイトちゃんを待たせてるんですよ?」
確かに今のこの体では、追跡するのも精一杯だろう。
今、また先程のような蹴りを食らえば、今度こそ立ちあがれなくなってしまうかも知れない。
……ゆえにゲイナーの言葉も正しい。
腹が立つくらい正しい。
「はい、変な意地張ってないで、さっさといきますよ。いいですね!?」
「――わーったよ。今回はテメェの案のお陰であの女に一泡吹かせることが出来たから、それでよしとしてやるよ」
レヴィの言葉を聞いて、ゲイナーは呆れるような表情をしながらも、どこか安堵したように見える。
「それじゃ、こんなところ早く出ましょう。……肩貸しましょうか?」
「んなお情けを坊やなんかにかけてもらう筋合いは――――っいつつ!! …………ま、まぁ、テメェがそんなに貸したいって言うなら別に断らねーけどよ」
「…………はぁ」
溜息をつきながらも、ゲイナーはレヴィの腕を掴み立ち上がると、歩き出す。
「……それにしても、坊やの案でこうも上手くいくとは思わなかったよ」
「悪かったですね。どうせ、そういう作戦立案とかがダメそうな見た目ですよ、僕は」
飛び出したゲイナーを囮にして銃を撃たせ、その銃声やマズルフラッシュで敵の位置をレヴィが大まかに特定。
それから、レヴィがその目星をつけた範囲をテキオー灯の強烈な閃光で照らし、敵の持つであろう暗視ゴーグルを故障させ、それに戸惑っている隙に仕留める…………それがゲイナーによる立案だった。
振り返ってみると、最後こそ敵の思わぬ格闘戦により失敗したが、大方は成功している。
ゲイナーも内心は、その事実に安堵していた。
「お、怒ったのか? へへ、やっぱ子供だな、テメーは」
「うるさいですね! 僕が子供なら、あなたは汚い大人ですよ!」
「あぁ、そうさ。あたしは汚い大人のお姉さんさ。文句あっか?」
「…………べ・つ・に・ありませんよ!」
ゲイナーはそう言うとそっぽを向いてしまう。
そんな彼の様子を見て、レヴィは面白がって笑うと、ふと思い出したように彼に今一度尋ねた。
「――そういや、思い出したんだがお前が投げたあの瓶、何なんだ? あんなのあたしのバックに入ってた覚えないんだけどよ」
「あぁ、あれですか? あれはですね、グルメテーブルかけっていう道具を使って出したんですよ」
「ふぅん。てことはあれ、飲み物だったのか。……んで、結局中身は何なんだ?」
瓶の中の液体を被った目の前の女性は、そんな悲鳴を上げながら闇の中へと消えてゆく。
レヴィはそんな彼女の様子を痛みを堪えつつ見るしか出来なかったわけだが。
すると、そんな彼女にゲイナーが手を差し伸べてきた。
「……ほら、今のうちに逃げますよ!」
「な、何言ってやがる!! その前にあいつをぶっ殺さないとあたしの気が…………――っあだだだっ!!」
レヴィは威勢のいい声を出そうとするも、その声によって腹部の痛みが蘇る。
「それだけ傷ついた体でよくそんなこと言えますね。褒めてあげます! ですが今はその怪我を治すほうが先です。それにフェイトちゃんを待たせてるんですよ?」
確かに今のこの体では、追跡するのも精一杯だろう。
今、また先程のような蹴りを食らえば、今度こそ立ちあがれなくなってしまうかも知れない。
……ゆえにゲイナーの言葉も正しい。
腹が立つくらい正しい。
「はい、変な意地張ってないで、さっさといきますよ。いいですね!?」
「――わーったよ。今回はテメェの案のお陰であの女に一泡吹かせることが出来たから、それでよしとしてやるよ」
レヴィの言葉を聞いて、ゲイナーは呆れるような表情をしながらも、どこか安堵したように見える。
「それじゃ、こんなところ早く出ましょう。……肩貸しましょうか?」
「んなお情けを坊やなんかにかけてもらう筋合いは――――っいつつ!! …………ま、まぁ、テメェがそんなに貸したいって言うなら別に断らねーけどよ」
「…………はぁ」
溜息をつきながらも、ゲイナーはレヴィの腕を掴み立ち上がると、歩き出す。
「……それにしても、坊やの案でこうも上手くいくとは思わなかったよ」
「悪かったですね。どうせ、そういう作戦立案とかがダメそうな見た目ですよ、僕は」
飛び出したゲイナーを囮にして銃を撃たせ、その銃声やマズルフラッシュで敵の位置をレヴィが大まかに特定。
それから、レヴィがその目星をつけた範囲をテキオー灯の強烈な閃光で照らし、敵の持つであろう暗視ゴーグルを故障させ、それに戸惑っている隙に仕留める…………それがゲイナーによる立案だった。
振り返ってみると、最後こそ敵の思わぬ格闘戦により失敗したが、大方は成功している。
ゲイナーも内心は、その事実に安堵していた。
「お、怒ったのか? へへ、やっぱ子供だな、テメーは」
「うるさいですね! 僕が子供なら、あなたは汚い大人ですよ!」
「あぁ、そうさ。あたしは汚い大人のお姉さんさ。文句あっか?」
「…………べ・つ・に・ありませんよ!」
ゲイナーはそう言うとそっぽを向いてしまう。
そんな彼の様子を見て、レヴィは面白がって笑うと、ふと思い出したように彼に今一度尋ねた。
「――そういや、思い出したんだがお前が投げたあの瓶、何なんだ? あんなのあたしのバックに入ってた覚えないんだけどよ」
「あぁ、あれですか? あれはですね、グルメテーブルかけっていう道具を使って出したんですよ」
「ふぅん。てことはあれ、飲み物だったのか。……んで、結局中身は何なんだ?」
「……チリソースですよ。しかもとびきり辛いのを出してみました」
【D-4・南東部/2日目・早朝】
【魔法少女ラジカルレヴィちゃんチーム】
【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:戦ってやや気分爽快。脇腹、及び右腕に銃創、頭にタンコブ(回復中)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
[装備]:イングラムM10サブマシンガン(残弾13/30 予備弾倉30発 残り2つ)、ベレッタM92F(残弾10/15、マガジン15発)
グラーフアイゼン(待機状態、残弾0/3)@魔法少女リリカルなのはA's
[道具]:テキオー灯@ドラえもん
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
1:不本意だが駅に向かいフェイトと合流。
2:フェイトと合流後、病院で再びトグサと合流する。
3:見敵必殺ゥでゲイナーの首輪解除に関するお悩みごとを「現実的に」解決する。
4:魔法戦闘の際はやむなくバリアジャケットを着用?
5:カズマとはいつかケジメをつける。
6:ロックに会えたらバリアジャケットの姿はできる限り見せない。
[備考]
※双子の名前は知りません。
※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
※トグサから聞き逃した第四放送の情報を得ました。
【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:戦ってやや気分爽快。脇腹、及び右腕に銃創、頭にタンコブ(回復中)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い。
[装備]:イングラムM10サブマシンガン(残弾13/30 予備弾倉30発 残り2つ)、ベレッタM92F(残弾10/15、マガジン15発)
グラーフアイゼン(待機状態、残弾0/3)@魔法少女リリカルなのはA's
[道具]:テキオー灯@ドラえもん
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
1:不本意だが駅に向かいフェイトと合流。
2:フェイトと合流後、病院で再びトグサと合流する。
3:見敵必殺ゥでゲイナーの首輪解除に関するお悩みごとを「現実的に」解決する。
4:魔法戦闘の際はやむなくバリアジャケットを着用?
5:カズマとはいつかケジメをつける。
6:ロックに会えたらバリアジャケットの姿はできる限り見せない。
[備考]
※双子の名前は知りません。
※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
※トグサから聞き逃した第四放送の情報を得ました。
【ゲイナー・サンガ@OVERMAN キングゲイナー】
[状態]:風邪の初期症状、頭にたんこぶ(回復中)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い
腹部と後頭部と顔面に相当なダメージ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料一日分消費)、ロープ、フェイトのメモ、画鋲数個、首輪の情報等が書かれたメモ1枚
レヴィのデイパック(※1)
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。
1:E6駅でフェイトと合流。できなければ電話をかける。
2:フェイトと合流後、病院で再びトグサと合流する。
3:機械に詳しい人物、首輪の機能を停止できる能力者及び道具(時間を止めるなど)の探索。
4:フェイトのことが心配。
[備考]
※名簿と地図を暗記しています。また、名簿から引き出せる限りの情報を引き出し、最大限活用するつもりです。
※なのはシリーズの世界、攻殻機動隊の世界に関する様々な情報を有しています。
※トグサから聞き逃した第四放送の情報を得ました。
※顔面の腫れは行動に支障がない程度には回復しました。
[状態]:風邪の初期症状、頭にたんこぶ(回復中)、頭からバカルディを被ったため少々酒臭い
腹部と後頭部と顔面に相当なダメージ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料一日分消費)、ロープ、フェイトのメモ、画鋲数個、首輪の情報等が書かれたメモ1枚
レヴィのデイパック(※1)
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。
1:E6駅でフェイトと合流。できなければ電話をかける。
2:フェイトと合流後、病院で再びトグサと合流する。
3:機械に詳しい人物、首輪の機能を停止できる能力者及び道具(時間を止めるなど)の探索。
4:フェイトのことが心配。
[備考]
※名簿と地図を暗記しています。また、名簿から引き出せる限りの情報を引き出し、最大限活用するつもりです。
※なのはシリーズの世界、攻殻機動隊の世界に関する様々な情報を有しています。
※トグサから聞き逃した第四放送の情報を得ました。
※顔面の腫れは行動に支障がない程度には回復しました。
※1:レヴィのデイパックの中身
デイバッグ×2、支給品一式×2、NTW20対物ライフル(弾数3/3)
グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)@ドラえもん、ぬけ穴ライト@ドラえもん
バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)
デイバッグ×2、支給品一式×2、NTW20対物ライフル(弾数3/3)
グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)@ドラえもん、ぬけ穴ライト@ドラえもん
バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)
◆
「はあっ、はぁっ、はぁっ………………」
そのチリソースを目や鼻、それに口にまで被った当の本人である不二子は、今川辺まで戻っていた。
理由は簡単。
顔に付いたソースを洗い流す為である。
「はぁっ、はぁっ……あの坊や、やってくれるじゃない……」
顔を何度も水で洗うものの、その刺すようなチリソースの刺激は中々消えない。
彼女はその刺激に堪えつつ、近くにあった岩に腰掛ける。
「やっぱり、どんな相手だろうと油断は禁物ってことね……」
例え、相手がチンピラ風情の女であろうと。
例え、相手がいかにも引きこもっていそうな少年であろうと。
このような場所に呼ばれているからには、何かしら他の普通の人間とは違うものを持っているのかもしれない。
ならば、弱者優先といえどその能力や本質をきちんと見極める必要がある。
そうしなければ、到底この地で生き残ることなど不可能であることが、今回の一件で改めて思い知らされた。
(……それで、と。これからはどうしようかしらね)
不二子は銃弾を補充しながら、今後の事を考える。
勿論、生き残る為に優勝を目指す方針は変わらない。
だが、暗視ゴーグルが故障し、これから夜が明け始めている今、闇討ちで参加者を殺害するという方針は変えざるを得ないだろう。
そして、奇襲のような相手の力量を図る前から手を出してしまう戦術では、今後生き残っていけない可能性が高い。
――ということは、残された道は、どこかしらの集団に潜入して、チャンスを待つ方法のみか。
幸いに、話術ならば人を騙せるだけのスキルを持っている。
上手くいけば、自分が直接手を下さなくても仲間同士で潰し合いをしてくれる可能性もある。
――弾薬に限りがある以上、そういった自滅の道を誘導するのも有効だ。
だが、その際は自分の顔を知っていてかつ自分が優勝狙いであると勘付かれないようにしなくてはならず、あのハルヒというセーラー服の女子高生やカズマと呼ばれた少年、先程の2人の男女にはなるべく顔を見せないほうがいいだろう。
――となると、女子高生のいた病院や、カズマが追ってきた映画館方面、更には先程の2人組が向かおうとしていたと思われるホテル方面には近づかないほうがいいことになる。
(……って、それってここから行ける大体の場所じゃない)
現在地であるD-4を中心に、各方面に会いたくない人物がいるであろう現状に、不二子は自分の運の無さを恨む。
(……だったら、ここで何もせずに待っていたほうが得かもしれないわね)
どうせ、自分以外にも優勝狙いの参加者はいて、彼らに任せておけば自分が何もしなくても勝手に人は死んでゆく。
そう、自分が何もしなくても、このゲームは勝手に進むのだ。
ならば、ここは一度、体を休める為にもこの辺りで身を潜めていて問題ないのではないのか。
それが彼女の下した決断だった。
そのチリソースを目や鼻、それに口にまで被った当の本人である不二子は、今川辺まで戻っていた。
理由は簡単。
顔に付いたソースを洗い流す為である。
「はぁっ、はぁっ……あの坊や、やってくれるじゃない……」
顔を何度も水で洗うものの、その刺すようなチリソースの刺激は中々消えない。
彼女はその刺激に堪えつつ、近くにあった岩に腰掛ける。
「やっぱり、どんな相手だろうと油断は禁物ってことね……」
例え、相手がチンピラ風情の女であろうと。
例え、相手がいかにも引きこもっていそうな少年であろうと。
このような場所に呼ばれているからには、何かしら他の普通の人間とは違うものを持っているのかもしれない。
ならば、弱者優先といえどその能力や本質をきちんと見極める必要がある。
そうしなければ、到底この地で生き残ることなど不可能であることが、今回の一件で改めて思い知らされた。
(……それで、と。これからはどうしようかしらね)
不二子は銃弾を補充しながら、今後の事を考える。
勿論、生き残る為に優勝を目指す方針は変わらない。
だが、暗視ゴーグルが故障し、これから夜が明け始めている今、闇討ちで参加者を殺害するという方針は変えざるを得ないだろう。
そして、奇襲のような相手の力量を図る前から手を出してしまう戦術では、今後生き残っていけない可能性が高い。
――ということは、残された道は、どこかしらの集団に潜入して、チャンスを待つ方法のみか。
幸いに、話術ならば人を騙せるだけのスキルを持っている。
上手くいけば、自分が直接手を下さなくても仲間同士で潰し合いをしてくれる可能性もある。
――弾薬に限りがある以上、そういった自滅の道を誘導するのも有効だ。
だが、その際は自分の顔を知っていてかつ自分が優勝狙いであると勘付かれないようにしなくてはならず、あのハルヒというセーラー服の女子高生やカズマと呼ばれた少年、先程の2人の男女にはなるべく顔を見せないほうがいいだろう。
――となると、女子高生のいた病院や、カズマが追ってきた映画館方面、更には先程の2人組が向かおうとしていたと思われるホテル方面には近づかないほうがいいことになる。
(……って、それってここから行ける大体の場所じゃない)
現在地であるD-4を中心に、各方面に会いたくない人物がいるであろう現状に、不二子は自分の運の無さを恨む。
(……だったら、ここで何もせずに待っていたほうが得かもしれないわね)
どうせ、自分以外にも優勝狙いの参加者はいて、彼らに任せておけば自分が何もしなくても勝手に人は死んでゆく。
そう、自分が何もしなくても、このゲームは勝手に進むのだ。
ならば、ここは一度、体を休める為にもこの辺りで身を潜めていて問題ないのではないのか。
それが彼女の下した決断だった。
そして、そう今後の方針を決めると彼女は何気なく空を見上げた。
すると、真っ黒だった空には、次第に青が混ざり始めていた。
――また、夜が明けようとしているのだ。
すると、真っ黒だった空には、次第に青が混ざり始めていた。
――また、夜が明けようとしているのだ。
「……さてさて、残りは何人になっているのやら」
岩に腰掛ける不二子が見上げる空に、死者を告げる仮面が現れるまであと僅か……。
【D-4・北東部川沿い/2日目・早朝(放送直前)】
【峰不二子@ルパン三世】
[状態]:軽度の擦過傷、生き残ることへの執念、目鼻口等にチリソースによる刺激、体の各所にソースが付着
テキオー灯の効果持続中
[装備]:コルトSAA(弾数:6/6発/予備弾:6発) 、コルトM1917(残り6発/予備弾無し)、暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)
[道具]:デイバック×7、支給品一式×7(食料6食分消費、水1/5消費)、ダイヤの指輪、
高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)、のろいウサギ@魔法少女リリカルなのはA's
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ
USSR RPG7(残弾1)、RPG-7スモーク弾装填(弾頭:榴弾×2、スモーク弾×1、照明弾×1)
ハーモニカ、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、真紅のベヘリット@ベルセルク、ぶりぶりざえもんのデイパック(中身なし)
タヌ機(1回使用可能)@ドラえもん、クロスボウ、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)、トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
【薬局で入手した薬や用具】
鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
※種類別に小分けにしてあります。
[思考]
基本:優勝して生き残る。自己の安全を最優先。利用できるものはなんでも利用する。
1:顔の刺激が治まるまで、なるべく身を潜めておく。
2:参加者を殺害し人数を減らす。
※弱者優先。仲間割れなどの効率の良い手法を取りたい。ただし、明らかな弱者を見つけたとしても警戒は常に怠らない。
3:ハルヒやカズマ、2人組(レヴィ&ゲイナー)との接触は回避する。
4:カズマや劉鳳など、人間を超越したような輩には手出ししない。
5:F-1の瓦礫に埋もれたデイバッグはいつか回収したい。
[備考]
※E-4の爆発について、劉鳳の主観を元にした説明を聞きました。
※「なくても見つけ出す!」にて、ドラえもんたちがしていた会話の一部始終を盗聴していました。
※着せ替えカメラの効果が解除され、元の格好に戻っています。
[状態]:軽度の擦過傷、生き残ることへの執念、目鼻口等にチリソースによる刺激、体の各所にソースが付着
テキオー灯の効果持続中
[装備]:コルトSAA(弾数:6/6発/予備弾:6発) 、コルトM1917(残り6発/予備弾無し)、暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)
[道具]:デイバック×7、支給品一式×7(食料6食分消費、水1/5消費)、ダイヤの指輪、
高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)、のろいウサギ@魔法少女リリカルなのはA's
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ
USSR RPG7(残弾1)、RPG-7スモーク弾装填(弾頭:榴弾×2、スモーク弾×1、照明弾×1)
ハーモニカ、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、真紅のベヘリット@ベルセルク、ぶりぶりざえもんのデイパック(中身なし)
タヌ機(1回使用可能)@ドラえもん、クロスボウ、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)、トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
【薬局で入手した薬や用具】
鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
※種類別に小分けにしてあります。
[思考]
基本:優勝して生き残る。自己の安全を最優先。利用できるものはなんでも利用する。
1:顔の刺激が治まるまで、なるべく身を潜めておく。
2:参加者を殺害し人数を減らす。
※弱者優先。仲間割れなどの効率の良い手法を取りたい。ただし、明らかな弱者を見つけたとしても警戒は常に怠らない。
3:ハルヒやカズマ、2人組(レヴィ&ゲイナー)との接触は回避する。
4:カズマや劉鳳など、人間を超越したような輩には手出ししない。
5:F-1の瓦礫に埋もれたデイバッグはいつか回収したい。
[備考]
※E-4の爆発について、劉鳳の主観を元にした説明を聞きました。
※「なくても見つけ出す!」にて、ドラえもんたちがしていた会話の一部始終を盗聴していました。
※着せ替えカメラの効果が解除され、元の格好に戻っています。
[全体備考]
※不二子製作の囮案山子がD-4の林の中に放置されています。なお、案山子の材料として用いた道具は以下の通り。
~銭型変装セット@ルパン三世(衣服、変装マスク)、ボディブレード@クレヨンしんちゃん、かなみのリボン@スクライド
スーパーピンチクラッシャーのオモチャ@スクライド、包帯(半分程度)、スコップ、その他山で拾った枝等
※不二子製作の囮案山子がD-4の林の中に放置されています。なお、案山子の材料として用いた道具は以下の通り。
~銭型変装セット@ルパン三世(衣服、変装マスク)、ボディブレード@クレヨンしんちゃん、かなみのリボン@スクライド
スーパーピンチクラッシャーのオモチャ@スクライド、包帯(半分程度)、スコップ、その他山で拾った枝等
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248:「選んだら進め。進み続けろ」 | レヴィ | 261:「ゲインとゲイナー」(前編) |
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