第六回放送 ◆lbhhgwAtQE
太陽が蒼天の頂に昇る頃。
ギガゾンビは、そんな陽の明るい光の届かぬ薄暗い大広間の中央にある玉座に一人座っていた。
護衛のために傍においていたツチダマすらも今はいない。
今、彼の目の前にいるのは画面の向こうに映る運転士ダマのみ。
グリフィスの情報伝達の遅れをギガゾンビに最初に報告した、目下のところ彼が一番信用できるツチダマ。
それが、運転士ダマだった。
「――ふむ。では、今のところ奴にはおかしな兆候は見られないのだな?」
『はいギガ……。何も異常はありませんギガ……』
「ふん、ならいい。今後も奴の動きから目を離さないようにしておけよ」
『了解ギガ……』
運転士ダマは、淡々と首肯すると即座に通信を切る。
主であるギガゾンビが通信をきるよりも先に。
「……チッ。何だ、あいつは……。私より先に通信を遮断するとは……」
苛立たしげに、ギガゾンビはグラスに注がれたブランデーを一気に飲み干す。
「それにあの喋り方……。何か感じが違ったような……」
思えば、今までのツチダマは妙に軽い口調だったはずなのに、今の運転士ダマの報告の口調はやけにトーンダウンしていた。
そして更に、気のせいか画面の向こうから突き刺さる視線を感じており……
「……ふん! あんな作り物のことなど、この私が気にかけるまでもないか」
どうせ言語回路か何かの故障なのだろう。
視線もただ画像の映りが悪かっただけに決まっている。
「さて、それよりも放送といくか。私の登場を心待ちにしている贄どもに声を聞かせてやらないとな」
ギガゾンビは、一人心地にそう言うと放送設備の前へと座り、時計の針が天を指すのを見計らってホログラムのスイッチを押す。
そして――
ギガゾンビは、そんな陽の明るい光の届かぬ薄暗い大広間の中央にある玉座に一人座っていた。
護衛のために傍においていたツチダマすらも今はいない。
今、彼の目の前にいるのは画面の向こうに映る運転士ダマのみ。
グリフィスの情報伝達の遅れをギガゾンビに最初に報告した、目下のところ彼が一番信用できるツチダマ。
それが、運転士ダマだった。
「――ふむ。では、今のところ奴にはおかしな兆候は見られないのだな?」
『はいギガ……。何も異常はありませんギガ……』
「ふん、ならいい。今後も奴の動きから目を離さないようにしておけよ」
『了解ギガ……』
運転士ダマは、淡々と首肯すると即座に通信を切る。
主であるギガゾンビが通信をきるよりも先に。
「……チッ。何だ、あいつは……。私より先に通信を遮断するとは……」
苛立たしげに、ギガゾンビはグラスに注がれたブランデーを一気に飲み干す。
「それにあの喋り方……。何か感じが違ったような……」
思えば、今までのツチダマは妙に軽い口調だったはずなのに、今の運転士ダマの報告の口調はやけにトーンダウンしていた。
そして更に、気のせいか画面の向こうから突き刺さる視線を感じており……
「……ふん! あんな作り物のことなど、この私が気にかけるまでもないか」
どうせ言語回路か何かの故障なのだろう。
視線もただ画像の映りが悪かっただけに決まっている。
「さて、それよりも放送といくか。私の登場を心待ちにしている贄どもに声を聞かせてやらないとな」
ギガゾンビは、一人心地にそう言うと放送設備の前へと座り、時計の針が天を指すのを見計らってホログラムのスイッチを押す。
そして――
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
さぁ、注目注目注目だ!
この私、ギガゾンビ様が正午を知らせてやるから感謝するがいい!!
……いや、違うな。
これから話す全ての言葉が、貴様らにとって有益なのだ。
私が放送している間、常に感謝し、崇めるがいい!!
この私、ギガゾンビ様が正午を知らせてやるから感謝するがいい!!
……いや、違うな。
これから話す全ての言葉が、貴様らにとって有益なのだ。
私が放送している間、常に感謝し、崇めるがいい!!
――さて。
では早速、禁止エリアから発表するとしようか。
今回もエリアに立ち入って自爆した馬鹿がいるみたいだからな、二の舞にならない為にもその耳をかっぽじって良く聞くがいい!
特別にメモを取ることも許してやる! どうだ、嬉しいだろう?
では早速、禁止エリアから発表するとしようか。
今回もエリアに立ち入って自爆した馬鹿がいるみたいだからな、二の舞にならない為にもその耳をかっぽじって良く聞くがいい!
特別にメモを取ることも許してやる! どうだ、嬉しいだろう?
では、発表する。
13時から A-6
15時から E-1
17時から C-6
15時から E-1
17時から C-6
――だ!
そして、続けてお待ちかねの死亡者の発表だ。
一度しか言わないからな。聞き漏らしの内容にしておけよ!
この6時間の間に新たに生まれた死亡者は――
一度しか言わないからな。聞き漏らしの内容にしておけよ!
この6時間の間に新たに生まれた死亡者は――
野比のび太
劉鳳
園崎魅音
北条沙都子
水銀燈
峰不二子
エルルゥ
セラス・ヴィクトリア
劉鳳
園崎魅音
北条沙都子
水銀燈
峰不二子
エルルゥ
セラス・ヴィクトリア
――以上、8名!!
8名、8名か!
しかし、貴様らときたら実に素晴らしい!
この期に及んで尚、獣のように戦い、仲間同士で殺し合い、挙句の果てに自爆する。
滑稽この上ないではないか! ククッ、ハハハハハ!!!
これで残りは14名。
これからも私を楽しませるような死に方をしていってくれよ。
無意味に希望などを持とうとすること自体が間違いなのだからな!
貴様らに残されているのは、私を楽しませる為に死ぬか、私を楽しませる為に殺し続けるか、なのだよ!
しかし、貴様らときたら実に素晴らしい!
この期に及んで尚、獣のように戦い、仲間同士で殺し合い、挙句の果てに自爆する。
滑稽この上ないではないか! ククッ、ハハハハハ!!!
これで残りは14名。
これからも私を楽しませるような死に方をしていってくれよ。
無意味に希望などを持とうとすること自体が間違いなのだからな!
貴様らに残されているのは、私を楽しませる為に死ぬか、私を楽しませる為に殺し続けるか、なのだよ!
それでは、精々舞台を盛り上げるように励んでくれたまえよ。
それでは以上で、ありがたい訓示は終わりとする。
それでは以上で、ありがたい訓示は終わりとする。
フフッ、ハハハハハハ、ヒャーハハハッハハハッ!!!
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ギガゾンビはスイッチを落とすと、ふぅと溜息をつく。
「はは……そうだ。これでいいのだ。所詮、奴らは私の作った檻の中……。私の絶対的有利に傷が付くわけなどない……」
放送を終えても尚、笑い続けるギガゾンビ。
「はは……そうだ。これでいいのだ。所詮、奴らは私の作った檻の中……。私の絶対的有利に傷が付くわけなどない……」
放送を終えても尚、笑い続けるギガゾンビ。
だが、その笑いはどこか乾いているようだった……。
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