ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1586 ユグルイ~幕間 ビギンズナイト れいむ~
最終更新:
ankoss
-
view
ユグルイ~幕間 ビギンズナイト れいむ~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
すべては、この時から始まった・・・。
ゆっくりにとって、飾りは命と同等の価値である。
飾りがないゆっくりは、命がないのと同じゆん生を送ることになる。
生まれてくる新しい命、この世に生を受けることによる祝福をされるべき命であっても、
ゆっくりたちが根深く信仰する通例、いや、本能は容赦なく、その命が生まれてくることを否定した・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
森の奥深く・・・。
大規模な野生ゆっくりの群れがあった。
彼らが住んでいる「ゆっくりぷれいす」と名づけられた集落は、
山菜や木の実、キノコなど、野生ゆっくりが主に主食にしている自然の植物が豊富にあり、
蝶々やバッタなど野生ゆっくりがよく食す昆虫たちもたくさんいた。
そこは、ゆっくりのゆっくりによるゆっくりのための「ゆっくりぷれいす」であった。
その群れの中のとある巣の中にて・・・。
れいむとまりさの番がいた。
れいむは胎生にんっしんしており、
今にも生まれそうであった。
「う゛・・・う゛・・・う゛ばれ゛る゛っ!!!!」
「でいぶぅうぅう!!!ゆっぐりぃいい!!
ゆっぐりぃいい!!!あがじゃんうんでぇねえええ!!!」
苦痛のあまり、歯茎を剥き出しにして産気づいているれいむと、
嬉しさのあまり、涙を垂れ流しながら必死に応援するまりさ。
れいむのまむまむは、ゆっくりと開いていき、
ポン!!!
という音と同時に、
「ゆふぅ~!!!」
と顔を赤らめて、気持ちよさそうに出産するれいむ。
ゆっくりの胎生にんっしんの場合、出産にすっきりの絶頂時と同等の
快感を得られると言われている。
地面に投げ出されたれいむの子供は、
ピンボールくらいの大きさをしたれいむだった。
れいむは地面をコロコロと転がっていき、
自然に回転が止まると、親のれいむとまりさの方を向き、
ニッコリと笑って、
「ゆっくちちていっちぇにぇ!!!」
と、舌足らずな挨拶を行なった。
「「ゆっくりしていってねぇええええ!!!!!」」
れいむとまりさは感動のあまり、笑顔で泣きながら、
赤れいむに挨拶した。
「う゛・・・う゛・・・う゛ばれ゛る゛っ!!!!
ま゛だま゛だう゛ばれ゛る゛っ!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次々に、赤ゆっくりを出産するれいむ。
赤れいむと赤まりさが2匹ずつ、生まれて、
最後の1匹を出産しようとしていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「う゛・・・う゛・・・う゛ばれ゛る゛っ!!!!
づ・・・づぎでざい゛ご・・・だよ゛!!!!」
唇を大きく開き、これ以上にないくらい歯茎を露出し、
下手すればそのまま皮がツルンと取れそうなくらい、
産気づくれいむ。
「でいぶぅうう!!!がんばっでぇえええ!!!!」
れいむの体を心配し、舌を振り回すほどの応援をするまりさ。
その時であった。
ポムっ!!!
何か鈍い音がした。
「ゆぶっ!!!いだいっ!!!!」
出産する度に悦を味わっていたが、
この時ばかりは違った。
鈍い痛みがれいむのまむまむに走った。
れいむのまむまむから餡子が流れていた。
ブチブチと音を立てながら、徐々に餡子が漏れて行くれいむ。
「いだいっ!!!いだいっ!!!いだいよっ!!!」
出産前に見せた歯茎を剥き出しにして苦しんだ姿を再び見せたれいむ。
体中から汗を出し、必死でその痛みに耐えている。
れいむの苦しむ表情を見て、狼狽するまりさ。
どうして、こんなにれいむは苦しんでいるんだ!?
赤ちゃんを産むときはすごく気持ちよさそうだったのに!?
れいむのまむまむから餡子さんが漏れてる!!!
どうすればいいんだ!?まりさは分からない!!
どうすればいいかわからない!!!
そんなことをよそに、
れいむのまむまむから飛び出た赤ゆっくりがコロコロと
回っていき、次第に速度が遅くなっていった。
赤ゆっくりはれいむであった。
赤れいむは、先に生まれてきたゆっくりと同様、
愛らしい微笑を浮かべて、
「ゆっくちちていっちぇにぇ!!!」
と、れいむとまりさ、そして、他の赤ゆっくりたちに挨拶をした。
れいむとまりさ、他の赤ゆっくりたちは、顔が固まっていた。
何か見てはいけない何かを見てしまったかのようなその表情。
みな、目が点になり、口を半開きにして、ただただ、このれいむを見つめていた。
先に生まれた赤まりさの1匹が、この赤れいむに向けて、
物凄い表情で睨み付けながら、ギリギリを歯軋りをして、
「ゆっくちできにゃいゆっくちはゆっくちし」
何か口走った矢先、
「ゆっくり・・・して・・・い・・・て・・ね・・・」
と、まりさがたどたどしく、そして、よそよそしく、挨拶をした。
何か社交辞令が苦手な人が、
額に汗をかきながら見せるバツが悪そうな愛想笑いをしながら、
まりさは、
「ゆふ・・・ゆふふふ・・・」
と、生まれてきた赤れいむの視線を横に逸らしていた。
先ほど口走った赤まりさはずっと睨んでいる。
それだけでなく、次第に赤ゆっくり全員がれいむを睨み出した。
れいむは不思議がった。
どうして、れいむの姉たちは、れいむのことを睨んでくるのか。
どうして、お父さんのまりさは、れいむのことをちゃんと見てくれないのか。
どうして、お母さんのれいむは、あんなに苦しそうに痛がっていて、
生まれたばかりのれいむに挨拶をしてくれないのか。
このれいむの頭にはあるべきものがなかった。
そう。れいむ種特有のリボン。
これがなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そう、すべてはここから始まった。
呪われしゆん生を歩む、飾りのないれいむの悲劇は・・・。
飾りがないだけで、姉たちからいじめられる日々。
父まりさは、そのいじめを見てみぬフリ。
母れいむは、いじめられるれいむを無表情で無視する。
周りのゆっくりたちも、良くないことと知りつつ、
飾りがないからゆっくりできないという理由で、
いじめを注意しつつ、それ以上のことは一切しない。
唯一の救いは、飾りがなくても、れいむをれいむと認識する、
長のドスまりさと参謀のぱちゅりーだけだった・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「れいむ!こんど、みんなにいじめられたら、どすにすぐいってきてね!!!
どすがゆっくりできないれいむとおちびちゃんたちをおこってあげるから!!!」
「ゆぅ・・・どしゅ・・・おきゃあしゃんを・・・いじみぇないで・・・」
飾りのないれいむは目をウルウルさせながら、ドスを見上げた。
「おきゃあしゃんは・・・れいみゅの・・・
だいしゅきな・・・おきゃあしゃんだよ・・・
れいみゅ・・・いじわりゅすりゅ・・・
まりしゃたちは・・・きょわいけど・・・
おきゃあしゃんは・・・だいしゅきだよ・・・
だっちぇ・・・きょう・・・
おきゃあしゃん・・・はじみぇちぇ・・・
れいみゅをみちぇ・・・わりゃってくりぇちゃんだ・・・」
ドスはこのれいむを哀れだと思った。
飾りがないばかりに、母親から疎まれ、
姉たちからいじめられて、
それでもなお、母親を愛しているれいむを。
そして、母れいむはドスに怒られたくないから、
れいむに向けた作り笑いの笑顔が愛情と感じるれいむを。
「どしゅ・・・れいみゅ・・・みんにゃが・・・
だいしゅきだよ・・・」
と、言い残し、巣へ戻っていく。
ドスは、その後ろ姿を見て、
れいむに幸せなゆん生を歩めるように、
ゆっくりの神に心の中で祈っていた・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
だが、その祈りは、叶うことのない祈りであった。
そして、飾りのないれいむは、今後のゆん生を決定づける絶望を知ることになる。
父まりさに連れられて、あまあまさんを取りに行こうと誘われた飾りのないれいむ。
れいむは、父まりさの誘いを心から喜んだが・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
父まりさと飾りのないれいむは、
人気のない森の奥深くへドンドン進んでいった。
出発した時には日は高く上っていたが、
今は、日が山に半分くらい沈み、綺麗な夕焼けが見えていた。
れいむはその光景を綺麗だと思い、眺めてながら、
ゆっくりと父まりさの後へついていった。
「ここだよ・・・おちびちゃん・・・」
れいむは、ある洞窟の前に連れて来られた。
「ここに・・・あまあまさんがあるよ・・・」
父まりさは、なぜか辺りをキョロキョロして、ビクビクと震えていた。
「やった!!!あまあまさんだよ!!!ゆっくりできるよ!!!」
そんな父まりさとは裏腹に、れいむはピョンピョンとその場で飛び跳ねた。
「おちびちゃん・・・よく・・・きいてね・・・
おとうさんは・・・あまあまさんのほかに・・・
きょうの・・・ごはんをとってくるから・・・
れいむは・・・ちょっと・・・ここでまっててね・・・
どうくつのなかは・・・あぶないから・・・
ひとりではいったら・・・だめだよ・・・」
と、この場にいるのがとても怖いとでも言った様な様子で、
今にも泣きそうな表情で、体を後ろに後ずさりしながら、
徐々にれいむから離れていく父まりさ。
「ゆっくりりかいしたよ!!!おとうさん!!!
ごはんさんいっぱいあつめるのがんばってね!!!」
と、割れんばかりの声で叫ぶれいむ。
「じゃ、じゃ、ゆっくり、ま、まっててねぇええええええ!!!!
ゆ、ゆ、ゆんやぁああああ!!!!
こわいよぉおおおおぉお!!!!!ぉうちかえるぅうぅううっぅ!!!!!」
まりさはしーしを漏らしながら、全力疾走で森の中へ走っていき、消えていった。
「ゆっくりいってらしゃい!!!!」
れいむは笑顔でおさげをピコピコと上に振って、父まりさを見送っていた。
れいむは、笑顔で待ち続けた。
父まりさが戻ってくるのを。
お父さんと一緒に、あまあまさんを持って帰り、
おうちにいるお母さんと姉たちの笑顔を思い浮かべながら、
ずっと待っていた。
「♪ゆ~ゆ~ゆ~ゆっくりしていってね~」
そんなことを思い浮かべていると、嬉しくなり、
いつも母れいむと姉たちが歌っている歌を口ずさんでいた。
「むきゅぅうぅ!!!!なにやってるのぉお!!!れいむぅ!!!!!」
れいむが声が聞こえた方へ振り向くと、
参謀のぱちゅりーが息を切らしながら、
そこにいた。
ぱちゅりーは薬草を取りに、森の奥深くまで来ていた。
時間を忘れて薬草を取っていたら、もう夕方なので、
そろそろ巣に帰ろうとした時、なんだかゆっくりの歌声が聞こえたので、
誰かいるのだろうかと思い、やって来たら、
飾りのないれいむが、たった一人で呑気に歌を歌っていた。
そして、この洞窟を見た瞬間、ぱちゅりーは絶叫していた。
「こんなあぶないところにいちゃだめでしょぉおぉお!!!!!」
れいむは不思議に思った。
「ぱちゅりー、ここにはあまあまさんがあるんだよ!!!
おとうさんがいってたんだよ!!!」
ニコニコと笑っているれいむ。
「そんなところにあまあまさんなんかあるわけないでしょぉおぉ!!!
そこはどうくつはれみりゃのすのまえなのよぉおぉお!!!
はやくにげるのよぉぉおぉおおお!!!」
ぱちゅりーは、冷や汗を垂らしながら、叫んでいた。
「ぷくぅー!!!
なにをいってるの?ここにはれみりゃなんかいないよ!!!
ぱちゅりーはけんじゃなんでしょ!!!ゆっくりりかいしてね!!!」
頬を膨らませて、ぱちゅりーを睨みつけるれいむ。
「ああ、も、も、もうしかたがないわぁ!!!!」
れいむのところを駆け寄り、れいむのおさげを口にはくわえたぱちゅりー。
嫌がるれいむをよそに走り出した。
「はなしてぇえええ!!!れいむはおとうさんとあまあまさんをとるのぉお!!!
はなしてぇえええ!!!れいむはおかあさんとみんなでゆっくりするのぉお!!!」
下腹部をブルンブルンと震わせて、ジタバタするれいむ。
辺りはすっかり暗くなり、もう夜になっていた。
それでも、ぱちゅりーたちは、まだ群れのところへ戻っていなかった。
「はなしてぇええ!!!れいむはおとうさんといっしょに」
「う~う~あまあまだど!!!!」
空かられみりゃの姿が見えた。
「れ、れ、れみりゃだぁああああ!!!!」
れいむの悲鳴を聞いたぱちゅりーは、顔が真っ青になり、
とにかく逃げようと、一心不乱に走り出した。
しかし、れみりゃの方が早くて、ドンドン間合いを詰めて行く。
「う~あまあま☆」
れみりゃは右手を伸ばし、ぱちゅりーたちを掴もうとした。
「ゆんやぁぁあああああ!!!!!!!」
れいむが叫んだ次の瞬間、
「どすすぱぁっぁああく!!!!」
チュドゴォォオオォン
轟音と共に、眩しい光の塊がれみりゃを直撃した。
そこにはドスまりさが立っていた。
「むきゅぅ。どすぅ・・・」
ドスの姿を見て、
ぱちゅりーは疲れ果てたのだろうが、その場で倒れこんだ。
「ぱちゅりーがおそくてしんぱいしたから、むかえにきてよかったよ!!!
でも、どうしてれいむまでいるの!!!こんなところへこどもがきちゃだめだよ!!!」
ドスは安堵の表情を浮かべた。
「どす!!!ぱちゅりーはひどいんだよ!!!
おとうさんといっしょにあまあまさんをとるはずだったのに!!!」
れいむは再びドスに向かって、ぷくーと頬を膨らませた。
「えっ!?まりさ?
たしか、ここにくるとちゅうさけびながら、すにもどっていたけど・・・」
れいむはドスに言った。
「おとうさんがどうくつのまえでまってて、いったから、
れいむはずっとまってたんだよ!!!
それをぱちゅりーが、
おとうさんがあまあまさんがあるっていっていたところが、
れみりゃのおうちとかいいだして!!!れいむはおこったよ!!!ぷんぷん!!!」
ドスは信じられないという表情で、口をポカーンと空けていた。
「れいむ・・・もっとゆっくりおしえてくれるかなぁ・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
母れいむと父まりさが、飾りがないれいむをれみりゃに捕まえさせて、
事故死に見せかけて、殺そうとしたのだ・・・。
ただ、飾りがないというだけで・・・。
ドスまりさとぱちぇりーは、母れいむと父まりさを処刑することにした。
飾りのないれいむは、裏切られても、なお、母れいむと父まりさを、助けようと、
命乞いをしたが、その願いは、叶えられることはなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
父まりさと母れいむは、串刺し刑に決まった。
柱に括り付けられた2匹の周りに、口に木の枝をくわえたゆっくりたちが囲み始めた。
「やべでぇえぇえええ!!!!
ばでぃざばわるぐないよぉおぉぉおぉお!!!!
わるいのばぁああ!!!!
かざりのないゆっぐりだよぉおぉおぉ!!!
あいつがうまれでごなげればぁああ!!!!
みんなだっでぇえええ!!!
あんなゆっぐりでぎないゆっぐりがうまれだらっぁああ!!!
おなごどずるでじょぉぉおぉお!!!」
「ぞうだよぉぉぉおおお!!!
でいぶだぢだががっぁぁああ!!!
わるいんじゃないよぉぉお!!!
みんなだっでぇええええ!!!
おちびじゃんだぢがぁぁああ!!!
あのかざりのないゆっぐりをいじめでるのぉおぉ!!!
みでみぬぶりじでだじゃないぃいぃい!!!!」
周りのゆっくりたちは、
父まりさと母れいむの言うことに反論できないから、
気まずい空気が流れ、彼らと目を合わせようとしない。
みな木の枝をくわえているが、彼らを刺すことに躊躇いがあった。
「もうやめてね!!!
おとうさんもおかあさんもじゅうぶんこりたはずだよ!!!
れいむはみんなにいじめられたことなんかきにしていないから、
はやくたすけてね!!!」
ドスとぱちゅりーに懇願するれいむ。
こんな状況でも両親を助けようとする。
「みんなだっでぇええ!!!!
あのゆっぐりにぃぃいい!!!
ごんあいじめがいいどがっぁあああ!!!
あんないじめがいいどがっぁあああ!!!
でいぶだぢにぃいぃ!!!
いろいろどぉぉおいっでだのにぃい!!!!」
と、母れいむが叫んだ。
次の瞬間、周りのゆっくりたちは、
物凄い形相で、母れいむを睨み、
木の枝を力強くくわえて、一直線に走り出した。
これ以上、何か喋られると、今度は自分たちが危ない。
そう感じたのであろう。
しかも、そのゆっくりの中には、れいむの姉たちも混ざっていた。
ザグッ!!!
ザグッザグッザグッザグッザグッザグッザグッ!!!!
「ちねぇぇえええ!!!ゆっくちできにゃいゆっくちはちねぇえええ!!!!
」
先頭切って、いじめていたまりさは、母れいむの右目に木の枝を突き刺した。
「ゆげぇぇええ!!!いじゃいいいぃいっぃいぃいい!!!!」
れいむの体に数え切れないくらいの木の枝が刺さっていた。
「おかあざんんん!!!!ゆっぐりぃいい!!!」
飾りのないれいむは体を弾ませながら、母れいむのところへ駆け寄った。
体中が裂け、餡子が物凄い勢いで漏れている母れいむ。
「おがあざんんんん!!!れいむがなおしてあげるねぇえ!!!
ぺ~ろぺ~ろ」
れいむは泣きながら、母れいむの傷口を舐めた。
「やべろっぉぉおぉおおおお!!!
ゆっぐりでぎないぃい!!!!
おかざりのないゆっぐりばゆっぐりでぎないいぃい!!!
でいぶのがらだがぁああああげがれるぅうぅううう!!!!」
が、そんなれいむに返ってきた言葉は無情だった。
ここまで献身的に接しても、母れいむはれいむのことを嫌っていた。
「じねぇえぇえええ!!!おまえばじねぇえええ!!!
おまえのぜいでぇえええ!!!!
おまえのぜいでぇえええええええ!!!
ずべでおまえのぜいだぁぁぁあああああ!!!!
じねぇええええええ!!!!!
じねぇえええええ!!!!!!!
じねぇえええええええええ!!!!!」
母れいむは睨み続けた。
その顔はゆっくりとはかけ離れていた。
まさに鬼。地獄を見てきたかのような修羅の形相。
そんな視線で飾りのないれいむを見てきた。
今まで、飾りのないれいむには、
無表情か作り笑いしかしてこなかった母れいむが初めて見せた感情。
それを見て、れいむは、初めて分かった。
自分は嫌われていたのだ。
生まれていた時から嫌われていたのだと。
飾りがないということだけで。
それが分かった瞬間、れいむは呆然とした。
自分が信じてきたものは・・・。
すべて妄想だった。適わぬ夢物語だった。
「おまえばぁぁぁぁあああ!!!!
ゆっぐりじねぇぇっぇえぇぇえkぇrkfhkjrvんkmfcbsyhねrtvm」
バビュン!!!!
母れいむの頭が、怒りのあまり、
頭に餡子が溜まりすぎたため、爆発した。
辺り一面に黒い餡子が飛び散る。
体に刺さった無数の木の枝より、
飾りのないれいむに体を舐められたことの方が、
母れいむにとって、耐え難い苦痛だったのだ。
「で、で、で、でぃぶうぶぅうぅううぅ!!!!
ゆんやぁぁあああああ!!!
ゆっぐりでぎないぃいいぃ!!!!
もうやだぁあああ!!!おうちがえるよぉお!!!」
最愛の妻の憤死を目の当たりにし、
体中から、いろんな液体を分泌させて、
体をジタバタともがく父まりさ。
母れいむの残骸から、餡子が止め処なく流れていくと、
小さい赤いリボンが出てきた。
れいむが生まれる前に母れいむのまむまむに残してきたものである。
呆然としているれいむだったが、何気なく、リボンをすくい上げ、
頭にリボンを置いた。
「え!?で、で、でいぶなの・・・おまえ・・・でいぶだっだの・・・」
父まりさからそんな言葉が出てきた。
父まりさだけでなかった。
「あれはまりしゃのいもうちょなのじぇ!!!」
「どぼぢでれいみゅがあんにゃちょこりょにいりゅのぉおぉお!!!」
「ゆんやぁああああ!!!!おきゃじゃりのにゃいゆっくちはれいみゅぢゃったにゃんちぇ!!!」
「しょんにゃ!!!まりしゃたちはいもうちょをいじめちぇいちゃの!!!!」
れいむの姉たちも、信じられないと言った顔をしていた。
彼らだけではない。
ドスとぱちゅりーを除く、すべてのゆっくりが唖然としていた。
群れのゆっくりたちは、飾りのないれいむのことを、
ゆっくりできないゆっくりとしか思ってなかった。
決して、飾りのないれいむであると認識していなかったのだ。
そして、れいむもまた、気づいてしまった。
今までドスとぱちゅりー以外から、れいむの名前を呼んで話をしていないことに。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
れいむは、この時初めて知った。
自分に、飾りがないから、誰もれいむのことをれいむだと認識できていなかったことに・・・。
飾りがなくても、れいむはれいむだ。
そう思っていたのは、れいむだけであった。
大好きだった家族は、自分のことをゆっくりできない何かとしか思っていなかった・・・。
れいむは、群れを去った。
裏切りと絶望しかないこのゆっくりできない、ゆっくりぷれいすから・・・。
だが、飾りのないれいむにも、ゆっくりできる時が訪れた。
長い旅路の果て、傷つきながらもたどり着いた、真のゆっくりぷれいす。
そして、友でもあり、親でもあり、飼い主でもある、おじいさんとの出会い。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ゆっくりおはよう!!!おじいさん!!!
きょうもゆっくりしていってね!!!」
『はいはい、ゆっくりゆっくり。』
れいむは、老人の看病のおかげで、
すっかり元気になっていた。
最初は、老人に対して敵対心を持っていた飾りのないれいむだが、
次第に老人がれいむに対して殺意がないことを知ると、心を開いていったのであった。
れいむは、この老人に対して、命の恩人だと感謝し、
老人から片時も離れようとしなかった。
老人からすれば、気まぐれで、
今まで害虫扱いしていたゆっくりを助けたのだ。
まあ、邪魔になれば、いつでも殺そうと思えば、殺せる。
老人は一人暮らしをしており、
話し相手のいない老人にとって、暇つぶしにはなるだろうと思い、
今まで生かしていたのだ。
「ゆっくり!!!ゆっくり!!!」
飾りのないれいむは、その場でピョンピョンと飛び跳ねる。
れいむは群れを出て行ってから、しばらくの間、
れいむから見て、他者との友好的な交流は全くなかった。
そのためか、自然に笑みが漏れていた。
恐らく、れいむのゆん生の中で、心の底からゆっくりしている日々なのだろう。
『ほら、遊んでないで、さっさと畑に行くぞ。』
「ゆ~☆」
老人はれいむを連れて、畑に連れて行く。
「♪ゆ~ゆ~ゆ~ゆっくりしていってね~」
かつて、れいむの母親が姉たちに聞かせていた歌を、
上機嫌で歌いながら、歩くれいむ。
『お前、相変わらず、音痴じゃの~。』
「どぼぢでぞんなごどいうのぉおぉぉぉぉ!!!!」
れいむはさっきまでの笑顔と違って、
ゆんゆんと大泣きするれいむ。
人間からすれば、ゆっくりの歌など、
音程はずれっぱなしの雑音にしか聞こえない。
しかし、老人は、その耳障りな歌声をさほど気にしていない。
犬がキャンキャンとやかましく吼えている程度にしか思っていなかった。
やがて、畑に着いた老人とれいむは、それぞれ畑を耕し出した。
なんと、れいむは老人の仕事を手伝っているのである。
最初、やはり、れいむも、
野菜は勝手に生えてくるというゆっくり独自の考えを主張していたが、
老人に無理矢理、畑に連れてこられて、嫌々、仕事を手伝わされる内に、
少しずつであったが、老人の言っていることを理解し始めた。
最初は、こんな意味のないことをする意味がわからないと、不満ばかり言っていたが、
今では、自発的に畑を耕したいとまで言うくらい積極的な態度を取り出した。
「ゆ~!!!おやさいさん!!!ゆっくりおおきくそだってね!!!」
『こら!口を動かす暇があったら、手を動かせ!!!!』
「ゆっ!?おやさいさんにはなしかけるとゆっくりおおきくそだってくれるんだよ!!!」
が、所詮はゆっくり。
たまに、おかしいことを言ってくるが、
れいむが今言ったことは、ごく稀に人間でも本気で言う者もいるので、
軽く注意するだけの老人。
『れいむ、これから芋焼くぞ。危ないから下がっておれ。』
「ゆゆん!!!やきいもさんはほ~くほ~くしてゆっくりできるよ~!!!」
空き地で、焚き火を起こし、火の中に芋を入れていく老人。
「ゆ~!!!ひさんがめらめらもえてきれいだねぇ~!!!
ゆ~!!!ひさんのちかくはあったたかくてゆっくりできるねぇ~!!!」
老人の注意を無視して、火の近くに寄ろうとするれいむ。
バチッ!!!
焚き火の中の枝が弾けて、火の粉がれいむのおさげに降りかかった。
「あじゅぃぃいぃいいぃぃい!!!!!」
見る見るうちに火がおさげを覆っていく。
「あじゅぃぃいぃいいぃい!!!!
ひさんあっちにいってぇえええええ!!!!
ひさんあっちにいってぇえええええ!!!!
ゆんやぁあああ!!!!!!
あじゅぃいぃいいょぉおおおぉおおお!!!!!」
れいむはピコピコとおさげを振り回し、火を振り払おうとする。
『コラ!!!だから言わんこっちゃない!!!』
「おじいざんんん!!!!みじゅっぅぅうう!!!
おみじゅざんんん!!!おみじゅざんんがげでぇえええ!!!」
れいむは、老人に水をかけるように求めた。
が、老人は手につけていた軍手で、れいむの火がついたおさげを、
パンパンと叩き出した。
「いじゃい!!!いじゃいぃ!!!いじゃいよぉぉ!!!
どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉお!!!
おじいじゃんんん!!!!だだがないでぇええええ!!!
だだがないでびざんをげじでぇえええ!!!!」
『落ち着け、れいむ。ホラ、火は消えてるぞ。』
「ゆっ!?」
れいむはジリジリになったおさげを見つめた。
「どぼぢでびざんがおみじゅじゃんをがげでないのぎえでるのぉぉぉおおおぉ!!!」
まるで魔術でも見たかのように、目を大きく見開いて、驚くれいむ。
『これくらいの火だったら、水をかけるより、
叩いて、振り払ったりすれば、簡単に消えるぞ』
「すごいよぉぉぉ!!!おじいさんん!!!!
おじいさんはけんじゃなんだねぇ!!!」
れいむは老人を尊敬の眼差しで見つめる。
老人はれいむを見て、思わず、笑みが漏れた。
バカな子ほど可愛いというけどホントなんだなぁ
老人はそう思っていた。
畑の帰り道、老人とれいむは、神社により、
お参りをするのが日課になっていた。
おさげをパンパンと叩いて、合唱するれいむ。
「かみさま!!!おじいさんとれいむはずっとゆっくりさせてください!!!」
『いつも思うけど、ゆっくりって何のことを言っているのじゃ?』
「ゆっ!?ゆっくりはゆっくりだよ!!!ゆっくりりかいしてね!!!」
『余計分からんぞ。れいむ、ゆっくりって何じゃ?』
「おじいさん!!!けんじゃなんでしょ!!!ゆっくりはゆっくりだよ!!!」
頬を膨らませて、プクーと老人を睨み付けるれいむ。
『そんなに怒るな。ホラ、帰るぞ。今日は久しぶりにご馳走でも食べるかのぉ~』
「ごちそう!!!あまあまさん!?」
『いや、いかの塩辛じゃ!』
「いやぁぁぁぁああ!!!!しおからさんはゆっくりできないぃいぃいい!!!!」
老人は、いつもこんな感じで、れいむをからかっていた。
最初は、飽きたら、潰そうとでも思っていたが、
今ではよき話し相手として、れいむを扱っていた。
他のゆっくりに対しては、以前と変わらぬ害虫扱いであったが、
れいむに対しては、特別な感情を抱いていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
だが、幸せは長く続かなかった。
おじいさんから、飾りがないれいむに、プレゼントと称して、
リボンをつけてあげたのだが、ほんの不注意で、リボンはヒラヒラと、
車道に落ちてしまった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おりぼんさん!!!ゆっくりしていってね!!!」
れいむがリボンを取ろうした矢先、れいむの横には大きなトラックが差し迫っていた。
『危ないっ!!!れいむっ!!!!』
老人は叫ぶと同時に、れいむに目掛けて、車道へ飛び込んでいった。
キキィイイイイイイイイイイイ!!!!!!
大きな音と共に、れいむは前方へ投げ出された。
「いじゃいいぃぃいいぃいい!!!」
フェンスにぶつかったれいむは、体をクネクネさせて痛がる。
痛みもだいぶ収まり、辺りを見回すれいむ。
リボンはどこ?れいむのリボンはどこ?
キョロキョロと見回すと、リボンがあった。
「れいむのおりぼ!!!!・・・んさん!?・・・・」
リボンの向こう側には真っ赤な血に塗れた老人が横たわっていた。
「おじ・・・い・・・さ・・・」
れいむは、その時、やっと状況を把握した。
リボンを追いかけて、車に轢かれそうにれいむを、
老人が庇って、れいむの代わりに轢かれてしまったことを。
「おじいさんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
れいむは、命よりも、飾りよりも大切なモノをなくしてしまった・・・。
その後、れいむは、おじいさんの息子夫婦に飼われる事になったのだが・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ドゴッ!!!
「ゆぶっ!!」
れいむは、壁に叩きつけられた。
顔には拳で殴られた後がくっきりと浮かんでいた。
れいむをまるで汚物を見るかのような視線で見つめる一人の青年が、
そこにはいた。
彼は、老人の息子の息子、つまり、老人の孫である。
彼は、老人の息子とは違い、このれいむを許せなかったのだ。
昔から、老人を慕っており、家族で、老人の家に里帰りした時、
もう高校生というのに、ずっと老人のそばから離れないほどの、
生粋のおじいちゃん子であった。
『よう・・・。糞饅頭。挨拶は?』
今まで数々のいじめを受けてきて、
さらに何度も生死の境に立たされたれいむであったが、
彼の拳が、今までのゆん生で一番だと思われるダメージを受けていた。
彼は、老人が死ぬまでは、明るい人物であった。
友達も多く、人当たりのいい性格であり、
困った人を見たら、思わず助けてしまうほどの、
優しい心の持ち主であった。
しかし、れいむを庇って、老人が死んだと聞いた時、
彼の心の中にある何かが壊れてしまったのだろう。
老人の葬式以降、ずっと部屋に閉じこもり、
両親の呼びかけにも応じようとしない。
彼の両親も、時が経てば、立ち直ってくれるだろうと思い、
しばらくの間は、そっとしておこうと何も口に出さなかった。
だが、いつの頃からか、
家に彼しかいない時に、部屋から出てきて、
れいむをこのように殴り出す日々が始まったのである。
「ゆ・・くり・・・して・・・」
れいむが痛みに耐えて、老人の孫の方へ体を向ける。
ドボッ!!!
れいむの顔面に老人の孫のつま先が突き刺さるかのような、
蹴りが飛んできた。
「ゆべぇ!!」
再び、壁にぶつかり、口から餡子を出すれいむ。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・
でいぶ・・・ば・・・でいぶだよ・・・
ぐぞ・・まんじゅうじゃない・・・よ」
『オイ、挨拶がゆっくりしていってねっておかしくねぇか?糞饅頭。』
れいむの言うことを無視して、
彼はしゃがむこみ、れいむに顔を近づける。
『普通は挨拶っていうのは、おはようとかこんにちはとかだろ?
そういうこともわからないんだな。糞饅頭は。』
「ゆ゛っ・・・」
苦しそうにうめき声を上げる
『それに、ゆっくりしていってねっていう言葉自体、使い方おかしくねぇか?
ここは俺の家だぞ、お前にゆっくりしろって言われる筋合いはない。
むしろ、お前がゆっくり出来るか出来ないかは俺の心一つなんだぞ?
そんなこともわからない程バカなんだだな。糞饅頭は。』
れいむは、痙攣を起こしながら、彼を虚ろな瞳で見つめていた。
『オイ、返事は?』
老人の孫は、れいむの左目にデコピンをした。
バチィ!!!
「ゆびっぃいぃいいい!!!!!
いじゃいいいぃいぃいいい!!!!」
れいむはつい、痛みに耐え切れず、叫んでしまう。
『へぇ~。痛いんだぁ~。ふぅ~ん。』
「お、おにいざん、や、や、やべで・・・」
デコピンをされたれいむの左目は赤黒く濁っていた。
衝撃で眼球表面が赤く染まり、餡子が眼球に染みこんだのであろう。
おさげで左目を抑えながら、小刻みに震えるれいむ。
『お前にも痛みってものがあるだなぁ~。知らなかった。』
「ゆっぐり・・・やべでね・・・ゆぐり・・やべ・・・」
『でも、おじいちゃんは、もっと痛かっただろうなぁ』
れいむは、言葉を詰まらせてしまった。
老人を死なせてしまった罪の意識からか、
彼の言葉に何一つ反論が出来なかった。
れいむは、瞼に涙を溜めて、今にも泣き出しそうな顔をする。
が、れいむはひたすら泣くのを我慢する。
『泣いたら、おじいちゃんが蘇ると思ってるの?』
「ご・・・べ・・ん・・・なじゃ・・・」
『謝ったら、おじいさんが蘇ると思ってるの?』
「ご・・・べ・・・ん・・・な・・・」
『2回も謝ったけど、謝ってもおじいさんは蘇らないよ?』
「ご・・・べん・・・」
『何度謝っても、おじいさんは蘇らないよ?』
「ご・・べ」
『ねぇ?糞饅頭?人の話をちゃんと聞いてる、の!!!!』
老人の孫は、今度はれいむの右目にデコピンをする。
「ゆぴぃいぃいいいいいぃい!!!」
あまりの痛みに耐え切れず、辺りを転げまわるれいむ。
ついには、しーしーを漏らし出した。
『汚いなぁ~。小便交じりの糞饅頭は。』
赤黒く濁った双方の瞳から、涙を流すれいむ。
「で・・ぃぶ・・をごろ・・じで・・・
ぞれ・・・で・・・ゆる・・・じで・・・」
れいむは、老人の息子に対しても、
同じ事を言ったことがある。
れいむにとっての精一杯の謝罪は、
自らの命を差し出すことだった。
だから、殺されることに対しての覚悟は出来ていた。
しかし、殺すことなく嬲られるということは、
思いもよらなかったことなのであった。
『お前を殺したら、おじいちゃんが蘇るの?』
「ゆ゛っ!?」
『だったら、殺してあげる。』
「ぞんなごどっ!」
『じゃあ、ダメ。っていうか、早く蘇らせろよ。糞饅頭。』
老人の孫は、れいむの体に足を乗せて、ゆっくりと押し潰して行く。
「ゆぐぐぐぐっ」
痛みのあまり、呻き声を上げるれいむ。
ブリュ!ブリュ!ブババババ!
れいむのあにゃるから、大量のうんうんが漏れてきた。
『汚いよ。ホント、お前、糞饅頭なんだな。』
「ゆ゛っ・・・」
『人前で糞漏らすなんて、ホント恥ずかしい晒しモンだな。糞饅頭。』
「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」
れいむは、声を殺して、静かに泣いていた。
『殺してくれだって?こんなにつらい目に遭うくらいなら、
死んでゆっくりしたいなんて・・・飛んだゲスだな。
おじいちゃんを殺しておいて、ひどい目にあったら、
こんな痛い思いをするこの世とおさらばして、
ゆっくり出来るあの世に行きたいなんて、卑怯者だよ。
なあ、糞饅頭。』
れいむは、返す言葉が見つからなかった。
れいむは心から死んでお詫びをするということだったが、
彼の言うとおり、それはただの現実逃避じゃないのかと、
れいむ自身も疑い出したため・・・。
しばらくすると、老人の孫は、
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、
床に倒れこんでいるれいむにかけた。
『まだまだ許さないからね。まだ死ぬなよ。
俺が許可するまで死ぬなよ。
まあ、一生許可しないけどな。
狂うことも許さないからね。
罪を償いたいって思うんなら、逃げるなよ。
痛いことを毎日味わえな。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
息子夫婦の息子、つまり、おじいさんの孫から、虐待される日々。
孫の虐待は、飾りのないれいむに科せられた業と罪。
虐待されるたびに、体よりも心が苦しかった。
しかし・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『なあ、糞饅頭。これ、おじいちゃんからもらったんだってな。』
老人の孫は、れいむのリボンを取り、れいむに見せる。
その瞬間、静かに今まで謝っているだけのれいむだったが・・・
「やべ、やべでぇえぇっぇえええぇ!!!」
強い口調で老人の孫に食って掛かってきたのだ。
『なあ、れいむ。これとおじいちゃんの命、どっちが大切だ?』
「おじいざんのいのぢだよぉぉぉ!!!!でもぉぉぉおお!!」
『でも?なんだ?これの方が大切なのか糞饅頭?』
「ぞのおりぼんざんばぁぁあああ!!!おじいざんがらもらっだぁぁああ
でいぶのぉぉおぉ!!!だいぜづなものなんだよぉぉぉおお!!!!」
ゆっくりにとって、飾りとは、個を認識するための必須アイテムであり、
これがなかったためにれいむは、ゆっくりできないゆっくりとしか、
ゆっくりには認識されず、冷遇されたゆん生を歩んできた。
だから、れいむは、老人からリボンをもらった時、
これから、他のゆっくりにあってもゆっくりできないゆっくりと言われないからということで、
喜んだのではない。
正直、れいむにとって、リボンがあってもなくても、もうどっちでもよかったのだ。
ただ、老人からもらったというだけで嬉しかったのだ。
れいむはすでに、飾りがないからというだけで、
いじめてくるゆっくりなど、見限っていたのだ。
確かに、未だに死にかけた時に母の名を口にしたり、
機嫌がいい時には、母や姉たちが歌っていた歌を歌ったりするので、
家族に対しての未練はあった。
しかし、そんな未練なんかより、
今までゆん生で一番ゆっくり出来る日々を過ごした老人が何よりも大切に思い、
老人からリボンをもらった時には、何も考えず、ただ嬉しかったのである。
不幸にも、その嬉しさのあまり、はしゃいだ結果、
このような結果になってしまったが、このリボンはれいむからすれば、
大切な老人の形見であった。
『大切なもの?僕にはそう見えないね。汚らしいただの布じゃないか?』
「おにいざんがらばぁああ!!!ぞうみえるがもじれないげどぉぉおお!!!
でいぶにどっでばぁっぁああ!!!!おじいざんがらもらっだぁあぁあ!!!
だいじなぁっぁああ!!!だいじなぁあああ!!!!!!」
ビリッ!!!
ビリッ!!!ビリッ!!!ビリッ!!!
老人の孫は、リボンを破いていった。
『こんなもののためにおじいさんは死んだんだ。
これくらいのことはしても当然だろ?』
れいむは呆然とした。
れいむの頭の中にあるのは、老人と過ごした思い出。
初めてあった時、一緒に畑を耕した時、焼き芋を一緒に食べた時、
畑の帰り道で神社に寄った時・・・・
「あ・・あ・ああ・・・あ・あ・ああ・・あああ」
口を半開きにし、言葉を途切れ途切れで発するれいむ。
それを見て、イライラしてきた老人の孫。
どうして、お前が怒るんだ?
怒っているのは俺のほうなんだぞ?
糞饅頭のくせにおじいちゃんを殺しやがって!!!
『おい、どうした?糞饅頭?
まさか、リボンを破いたことを怒っているのか?
バカなお前にも分かるように教えてやるよ。
おじいさんを殺したおりぼんさんはゆっくり出来ないね!!
だからゆっくりビリビリに破いて制裁してやったよ!!
ゆっくり出来ないおりぼんさんはゆっくり死ね!!!!』
「ゆああぁああ・・ゆあぁああ・・・・ゆぁあああ」
「ゆ゛っーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
孫に襲い掛かり、怪我を負わせた飾りのないれいむ。
おじいさんの息子も、れいむの心の痛みが分かる人であったため、
れいむにこれといった報復をすることもなく、別々に暮らすことになり、
れいむは、再び森で暮らすことになったれいむ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ゆんあぁっぁぁぁああああああああなあああああああああ!!!!
ゆんんあああああああああああああああああ!!!
ゆんやぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁっぁぁぁっぁっぁぁっぁああああ!!
どぼぢでっぇええええええええ!!!!
どぼぢでぇえええええええええええええ!!!!!!
ゆんやぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁああっぁぁっぁぁぁああ!!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
れいむは泣いた。心の底から泣いた。
自身の呪われたゆん命を。
飾りがないというだけで、ゆっくりできないゆん命を。
そして、そのゆん命に抗うことを決めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ゆぅ・・・。ゆぅ・・・。
やっと・・・。ついたよ・・・。」
誰も知らない山奥で、
満身創痍のれいむが、一匹、そこにいた。
ゆっくり道という看板が建っている、その建物の玄関の前に。
すると、玄関から、一匹のありすが出てきた。
「こんにちわ。どちら様でしょうか?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゆっくり道は死狂ひなり。一匹の殺害を数十人して仕かぬるもの。
(ゆっくり道は死に狂いである。一匹を殺すのに数十人がかりでかなわないこともある。)
ゆっくり道という武術の存在。
天地を自由自在に駆け、
ありとあらゆる自然の現象を操り、
動物たち以上の膂力を持ち合わせ、
捕食種はもちろんのこと、人間すら簡単に殺めるという、
ゆっくりの武術。
飾りのないれいむは、ゆっくり道に、そのすべてをかけた。
呪われたゆん命と戦うため・・・。
しかし、その修行は、想像を絶する、超絶ゆ虐の数々であった。
ドススパークをまともに食らっても、ビクともしないどころか、
人間なのに、ドススパークを撃てる師範代から逃げ惑う。
さらに、ぺにぺにから、高圧の精子餡を発射する高弟のありす。
ゆっくり道の修行から逃げ出そうとするゆっくりを、容赦なく打ち抜く。
ハゲ饅頭と化した、ゆっくり道の始祖、ゆがん。
目にも止まらぬ早業で、ゆっくりたちを瞬殺するどころか、その視線で、
ゆっくりは、生きることを諦めるほどの恐怖の塊。
何匹、いや、何万匹、何十万匹のゆっくりが、虐殺されただろうか。
飾りのないれいむは、半狂乱になりながらも、生き延びた。
その結果、れいむは生き延びた。
そして・・・。
ゆっくり殺シアム。
それは、人間とゆっくりの一対一の闘いを繰り広げる闘技場。
どこにあるのかは、ゆっくりとそれに携わる虐待鬼意山たちにしかわからない、
夢のステージである。
飾りのないれいむは、虐待鬼意山と戦えるだけの力を身につけた。
ゆっくり殺シアムで、飾りのないれいむは、虐待鬼意山と戦うことになった。
「れいむは・・・まけないよっ!!!!!」
れいむの目は、痛みに怯えるゆっくりの目ではなかった。
無知ゆえに、人間や動物を威嚇するぷくーの目でもなかった。
一匹の武餡(もののゆ)がそこにいた。
瞳の奥には、真っ赤に燃える炎が見えた。
戦う相手は・・・空道鬼意山。
伝説の暗殺術、空道を用いた虐待鬼意山であった。
両方のお下げにカッターナイフを持ち、まるで二刀流のように構えたれいむは、
虐待鬼意山と向かい合った。
ドバァァァン!!!
闘いの開始を教える銅鑼の音が聞こえた。
人間は構えなかった。
ただ、棒立ちだった。
それに比べて、れいむは、お下げに2本のカッターナイフを持ち、
左のお下げを真横一文字、右のお下げを上段の構えを取った。
しばらくの間、両者、ともに動かなかった。
否っ!!!れいむは動けなかった。
何も構えない人間に不安を覚えていた。
そもそも、このれいむ。
ゆっくり道に来て、師範代やありすから、技を教えてもらうだけで、
一度も組み手らしい組み手をしたことがなかった。
ゆん生最初の闘いといっても過言ではなかった。
そんな緊張からか、自分から仕掛ける勇気が、れいむにはなかった。
しばらくすると、人間は、右手の手袋を取った。
不思議なことに人間の手は真っ赤に染まっていた。
れいむは、本能で感じた。
あの手は絶対にゆっくり出来ないっ!!!
ゆらぁ~
人間はゆっくりと、れいむに近づいていく。
れいむに電流が走る!!!
来るっ!!!
次の瞬間、人間はれいむの頭上に飛んでいた。
そして、真っ赤な右手でれいむの頭を触った。
「ゆあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁああああ!!!!」
れいむは叫んだ。
そして、れいむの髪の毛は抜け落ち、剥げた部分は真っ赤に染まっていた。
「かりゃいいいぃいいぃいいぃいいい!!!!!」
滝のような涙を流すれいむ。
辛手・・・
ハバロネやわさびなど、香辛料を混ぜた液体の中に一晩、手を漬ける。
その後、特殊な洗液で、また一晩漬ける。
それを交互に繰り返し、1ヶ月間懸けてできる、最凶のゆ虐法。
触るものすべてを香辛料に変化させるその真っ赤な手は、
触るだけでゆっくりたちを死の寸前まで追いやることが出来る。
何が一番すごいかと言うと・・・用法を間違えなければ、
死の寸前まであり、決して殺すことはない最高のゆ虐法。
そもそも、ゆっくりとは、
中枢餡の破壊、餡子の大量流出しか死亡する要因がない。
それ以外に死亡理由があるかのように思われるが、本当にそれ以外の死因はない。
レイパーありすにすっきりされて、黒ずんで死んでしまうのは、
体内の餡子を消費しすぎたり、ストレスにより中枢餡が破壊されてしまうからである。
冬篭りに失敗して、飢え死にするのは、
生命維持に必要な餡子を消費したり、上によるストレスで中枢餡が破壊される。
寿命により死んでしまう場合、
中枢餡が壊れてしまうからである。
つまり、どんな死因も直接的ではないにしろ、
このどちらかなのである。
では、辛手で体の餡子が、香辛料に変化した場合、
辛いものを摂取した時の拒絶反応で、ストレスで中枢餡が破壊されるのでは?
と思われるのであろう。
口から香辛料を摂取した場合、味覚を通じて、辛いという信号が中枢餡に届き、
ストレスを感じるが、辛手のようの口以外の場所から摂取した場合、
痛みのみが通じてしまうのである。
口以外の場所の場合、塩キャラメルと同じ原理で、
甘いもの=餡子に、辛いもの=辛手を塗すことで、余計甘さを感じてしまうのである。
そのため、中枢餡にはストレスは一切感じない。
しかし、辛いものを摂取したという事実だけが残る。
れいむの体の中には、今、耐えられない程の辛さがのた打ち回っている。
そんなれいむであったが、まだ心は折れていなかった。
まだだ・・・
チャンスはまだある・・・
れいむは諦めていなかった。
しかし、髪の毛が抜けるほどのダメージを受け、
全身真っ赤でヒリヒリと痛みを感じているれいむは、
その場から、一歩も動くことができなかったのだ。
人間はそんなれいむを見ると、だらしのない顔になった。
体の力を抜き、ボォーした表情で、どこかを空の方を眺めていた。
れいむは、今がチャンスと思った。
しかし、れいむのあんよは全く動かなかった。
それもそのはずである。
れいむのあんよはもう、餡子ではなく、香辛料であった。
痛いっ!!!
どうして動かないっ!!!
れいむのあんよさんんん!!!
動いてっ!!!動いてっ!!!動いてよぉおぉおお!!!!
ヒュン!!!
れんむの右頬に風を切るような音が聞こえた。
バジィイイィイィイイン!!!!!
空気を裂く音が鳴り響く。
れいむの頬が真っ赤に染め上がる。
「ゆっ・・・・ゆひいぃいいいいぃいい!!!!!」
れいむは体中から体液をバラ撒いていた。
汗、涙、涎、うんうん、しーしー、そして、得体も知れない赤い液体。
お下げで持っていたカッターナイフを投げ捨て、
痛みのあまり、転げまわるれいむ。
「やべぇ・・やべぇ・・・やべでっぇっぇええええ!!!!」
れいむは、ピコピコとお下げを振り、拒絶を示している。
そんなことはお構いなしの人間。
再び、だらしない表情になる。
ヒュン!!!!!
バジィイイインン!!!!
「ゆぴいいぃいいいぃいいいぃいいい!!!!」
苦悶の表情を浮かべるれいむ。
もう、そこには武餡(もののゆ)はいなかった。
ただの虐待されるクソ袋がそこにいた。
「ぱぴぷぺぽぉぉおぉおぉおぉ!!!ぱぴぷぺぽぉぉぉおっぉぉぉ!!!!」
れいむは目玉をグルグルと回し、辺りにしーしーを撒き散らしていた。
今のれいむは、しーしー拡散機以外のなんでもなかった。
『コォォォホォオォオオオ!!!!』
人間は腹の底から出すような声を出し・・・
ヒュン!!!
ベジンンンンン!!!!
れいむの両頬に、両手で叩いた。
「ぷぺぱぷぺぷぴぱぷぺぷぴぱぴぱぁぁぁぁっぁあぁああ!!!!」
『ヒャァハァァッァア!!!!虐待だぁぁぁぁ!!!!』
『死ねぇぇっぇえええ!!!!苦しんで死ねぇぇっぇええ!!!』
『すげぇぜぇぇ!!!空道鬼意山!!!そこに痺れるぅうぅ!!!憧れるぅうぅ!!!』
観客の人間たちは、空道鬼意山を称える。
「ゆんやぁぁぁっぁぁぁああ!!!ゆっぐりでないぃいい!!!」
「もういやだぁぁぁぁあ!!!おうちかえるぅううぅ!!!」
「どぼぢでごんなごどずるのぉおぉおぉおぉおおおお!!!」
れいむ同様、汚らしく何かをブチ撒きながら、ケツをブルンブルンと振りながら、
泣き暴れる観客のゆっくりたち。
『もう・・・終わりにするか・・・』
空道鬼意山は、れいむに向けて、渾身の右ストレートを放つ。
辛手付きの正拳突き。食らってしまえば・・・。
「ぴぴぺぺぽぽぱぱぷぺぷぽぱぴぺぽぉぉぉぉぉおおお!!!」
その時であった。
れいむは、左のお下げで、右のお下げを抑えるような構えを取っていた。
ぱちぃ
空道鬼意山の拳が当たる前に、れいむの右のお下げが空道鬼意山の顎に軽く当たった。
が、何も起きなかった・・・。
ドブッ!!!!!
鈍い音がれいむの顔から発せられた。
「ぱひふへぱぽうえぽあぺぱえぽぺぇっぇぇぇぇっぇぇぇぇええっぇええ!!!!」
体中から真っ赤に染まり上がった餡子を撒き散らしながら、宙を舞うれいむ。
その光景は、時間がゆっくり進むかのように、緩やかであった。
れいむの体はゆっくりと、餡子をバラ撒きながら、空を飛ぶ。
れいむの顔は虐待鬼意山たちからすれば、
その顔だけで、一生分の飯と引き換えにしてもいいくらいの非常にゆっくりした表情であった。
もちろん、観客のゆっくりたちからすれば・・・
今まで見たこともないようなゆっくり出来ない表情。
今まで人間に顔を殴られたゆっくりの表情をたくさん見てきた人間とゆっくりたちであったが、
その表情はまさに、双方ともに、未体験であった。
醜く歪んだ哀れなれいむ・・・いや、れいむであったっぽいボロ雑巾は、
宙を舞いながら、涙を流した・・・
おしょら・・・を・・・とんじぇ・・・る・・・みちゃ・・・
能天気な声とは裏腹に、
悲壮感漂う汚物が、生まれてきたことを悔いているかのようだった。
地面に叩きつけられたと同時に、れいむの体に白いタオルが覆い被さった。
ドバァァァン!!!
『勝者!!!空道鬼意山!!!!!』
アナウンサーの絶叫とともに、人間の観客たちから、
一斉に叫び声がざわめき出した。
師範代が、れいむの体に白いタオルを投げ入れて、リタイアをしたのだ。
れいむは完全に負けた。
ボロ負けであった。
無惨にも戦士として臨んだ戦いは、いつも通りのゆ虐で終わってしまった。
空道鬼意山はれいむの体を持ち上げて、師範代に預けた。
『試合には勝ちましたが・・・・』
空道鬼意山は、師範代にそう告げると・・・
静かに去っていった。
暗い部屋の一角・・・
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」
れいむは意識を取り戻した。
そこには、オレンジジュースをれいむの頭からかけている師範代がいた。
『れいむ・・・』
師範代はれいむの名を静かに呼んだ。
無様に負けた飾りのないれいむ。
だが、飾りのないれいむの、ゆっくりできない呪われたゆん命は、
さらに加速していくのであった・・・・
飾りのないれいむは、これからどうなっていくだろうか・・・
あとがき
お久しぶりです。ユグルイあきです。
もう、覚えてる人とかいませんよね?
エターナッたなぁ~って、自分でも、思ってましたしwwwww
昔、引退宣言(笑)した時、会社を辞めるか、辞めないか、
すごく迷っていた時期で、ゆ虐どころじゃなかったんです。
その結果、この4月に会社を辞めて、実家を継ぐことになりました。
そして、ある程度、生活も安定してきたので、ゆ虐再っ開!です!!!
あれから、フツフツと、ゆ虐SSのネタもいっぱいあったんですけど、
なかなか筆が進まなくて・・・。
とりあえず、ユグルイを進ませようと思います!!!
で、まず、「ユグルイ?どんな話だっけ?」「ユグルイ?何それ?」っていう
人のために、ビギンズナイト れいむと称して、今までのダイジェストを、
簡単にしました。
ゆっくり道の壮絶な修行の数々を、ここで紹介したかったのですが、
そこは、過去の作品を読み返して頂けたらなぁ~って思います。
ユグルイ、人気がないし、面白いって言う人が少ないのも知ってます。
でも、私は、ユグルイを完結させたいと思います。
かなり長くなるし、また、仕事の関係で、うpスピードが遅いかもしれませんが、
それでも、最後まで書くつもりです。
ということで、今後ともよろしくお願いします。
過去の参考作品
anko263 飾りの価値は 起
anko265 飾りの価値は 承
anko283 飾りの価値は 転
anko286 飾りの価値は 始
anko159 ユグルイ その1
anko162 ユグルイ その2
anko168 ユグルイ その3
anko173 ユグルイ その4
anko188 ユグルイ その5
anko236 ユグルイ その6
anko450 ユグルイ その7
anko456 ユグルイ その8
anko470 ユグルイ その9
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
すべては、この時から始まった・・・。
ゆっくりにとって、飾りは命と同等の価値である。
飾りがないゆっくりは、命がないのと同じゆん生を送ることになる。
生まれてくる新しい命、この世に生を受けることによる祝福をされるべき命であっても、
ゆっくりたちが根深く信仰する通例、いや、本能は容赦なく、その命が生まれてくることを否定した・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
森の奥深く・・・。
大規模な野生ゆっくりの群れがあった。
彼らが住んでいる「ゆっくりぷれいす」と名づけられた集落は、
山菜や木の実、キノコなど、野生ゆっくりが主に主食にしている自然の植物が豊富にあり、
蝶々やバッタなど野生ゆっくりがよく食す昆虫たちもたくさんいた。
そこは、ゆっくりのゆっくりによるゆっくりのための「ゆっくりぷれいす」であった。
その群れの中のとある巣の中にて・・・。
れいむとまりさの番がいた。
れいむは胎生にんっしんしており、
今にも生まれそうであった。
「う゛・・・う゛・・・う゛ばれ゛る゛っ!!!!」
「でいぶぅうぅう!!!ゆっぐりぃいい!!
ゆっぐりぃいい!!!あがじゃんうんでぇねえええ!!!」
苦痛のあまり、歯茎を剥き出しにして産気づいているれいむと、
嬉しさのあまり、涙を垂れ流しながら必死に応援するまりさ。
れいむのまむまむは、ゆっくりと開いていき、
ポン!!!
という音と同時に、
「ゆふぅ~!!!」
と顔を赤らめて、気持ちよさそうに出産するれいむ。
ゆっくりの胎生にんっしんの場合、出産にすっきりの絶頂時と同等の
快感を得られると言われている。
地面に投げ出されたれいむの子供は、
ピンボールくらいの大きさをしたれいむだった。
れいむは地面をコロコロと転がっていき、
自然に回転が止まると、親のれいむとまりさの方を向き、
ニッコリと笑って、
「ゆっくちちていっちぇにぇ!!!」
と、舌足らずな挨拶を行なった。
「「ゆっくりしていってねぇええええ!!!!!」」
れいむとまりさは感動のあまり、笑顔で泣きながら、
赤れいむに挨拶した。
「う゛・・・う゛・・・う゛ばれ゛る゛っ!!!!
ま゛だま゛だう゛ばれ゛る゛っ!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次々に、赤ゆっくりを出産するれいむ。
赤れいむと赤まりさが2匹ずつ、生まれて、
最後の1匹を出産しようとしていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「う゛・・・う゛・・・う゛ばれ゛る゛っ!!!!
づ・・・づぎでざい゛ご・・・だよ゛!!!!」
唇を大きく開き、これ以上にないくらい歯茎を露出し、
下手すればそのまま皮がツルンと取れそうなくらい、
産気づくれいむ。
「でいぶぅうう!!!がんばっでぇえええ!!!!」
れいむの体を心配し、舌を振り回すほどの応援をするまりさ。
その時であった。
ポムっ!!!
何か鈍い音がした。
「ゆぶっ!!!いだいっ!!!!」
出産する度に悦を味わっていたが、
この時ばかりは違った。
鈍い痛みがれいむのまむまむに走った。
れいむのまむまむから餡子が流れていた。
ブチブチと音を立てながら、徐々に餡子が漏れて行くれいむ。
「いだいっ!!!いだいっ!!!いだいよっ!!!」
出産前に見せた歯茎を剥き出しにして苦しんだ姿を再び見せたれいむ。
体中から汗を出し、必死でその痛みに耐えている。
れいむの苦しむ表情を見て、狼狽するまりさ。
どうして、こんなにれいむは苦しんでいるんだ!?
赤ちゃんを産むときはすごく気持ちよさそうだったのに!?
れいむのまむまむから餡子さんが漏れてる!!!
どうすればいいんだ!?まりさは分からない!!
どうすればいいかわからない!!!
そんなことをよそに、
れいむのまむまむから飛び出た赤ゆっくりがコロコロと
回っていき、次第に速度が遅くなっていった。
赤ゆっくりはれいむであった。
赤れいむは、先に生まれてきたゆっくりと同様、
愛らしい微笑を浮かべて、
「ゆっくちちていっちぇにぇ!!!」
と、れいむとまりさ、そして、他の赤ゆっくりたちに挨拶をした。
れいむとまりさ、他の赤ゆっくりたちは、顔が固まっていた。
何か見てはいけない何かを見てしまったかのようなその表情。
みな、目が点になり、口を半開きにして、ただただ、このれいむを見つめていた。
先に生まれた赤まりさの1匹が、この赤れいむに向けて、
物凄い表情で睨み付けながら、ギリギリを歯軋りをして、
「ゆっくちできにゃいゆっくちはゆっくちし」
何か口走った矢先、
「ゆっくり・・・して・・・い・・・て・・ね・・・」
と、まりさがたどたどしく、そして、よそよそしく、挨拶をした。
何か社交辞令が苦手な人が、
額に汗をかきながら見せるバツが悪そうな愛想笑いをしながら、
まりさは、
「ゆふ・・・ゆふふふ・・・」
と、生まれてきた赤れいむの視線を横に逸らしていた。
先ほど口走った赤まりさはずっと睨んでいる。
それだけでなく、次第に赤ゆっくり全員がれいむを睨み出した。
れいむは不思議がった。
どうして、れいむの姉たちは、れいむのことを睨んでくるのか。
どうして、お父さんのまりさは、れいむのことをちゃんと見てくれないのか。
どうして、お母さんのれいむは、あんなに苦しそうに痛がっていて、
生まれたばかりのれいむに挨拶をしてくれないのか。
このれいむの頭にはあるべきものがなかった。
そう。れいむ種特有のリボン。
これがなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そう、すべてはここから始まった。
呪われしゆん生を歩む、飾りのないれいむの悲劇は・・・。
飾りがないだけで、姉たちからいじめられる日々。
父まりさは、そのいじめを見てみぬフリ。
母れいむは、いじめられるれいむを無表情で無視する。
周りのゆっくりたちも、良くないことと知りつつ、
飾りがないからゆっくりできないという理由で、
いじめを注意しつつ、それ以上のことは一切しない。
唯一の救いは、飾りがなくても、れいむをれいむと認識する、
長のドスまりさと参謀のぱちゅりーだけだった・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「れいむ!こんど、みんなにいじめられたら、どすにすぐいってきてね!!!
どすがゆっくりできないれいむとおちびちゃんたちをおこってあげるから!!!」
「ゆぅ・・・どしゅ・・・おきゃあしゃんを・・・いじみぇないで・・・」
飾りのないれいむは目をウルウルさせながら、ドスを見上げた。
「おきゃあしゃんは・・・れいみゅの・・・
だいしゅきな・・・おきゃあしゃんだよ・・・
れいみゅ・・・いじわりゅすりゅ・・・
まりしゃたちは・・・きょわいけど・・・
おきゃあしゃんは・・・だいしゅきだよ・・・
だっちぇ・・・きょう・・・
おきゃあしゃん・・・はじみぇちぇ・・・
れいみゅをみちぇ・・・わりゃってくりぇちゃんだ・・・」
ドスはこのれいむを哀れだと思った。
飾りがないばかりに、母親から疎まれ、
姉たちからいじめられて、
それでもなお、母親を愛しているれいむを。
そして、母れいむはドスに怒られたくないから、
れいむに向けた作り笑いの笑顔が愛情と感じるれいむを。
「どしゅ・・・れいみゅ・・・みんにゃが・・・
だいしゅきだよ・・・」
と、言い残し、巣へ戻っていく。
ドスは、その後ろ姿を見て、
れいむに幸せなゆん生を歩めるように、
ゆっくりの神に心の中で祈っていた・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
だが、その祈りは、叶うことのない祈りであった。
そして、飾りのないれいむは、今後のゆん生を決定づける絶望を知ることになる。
父まりさに連れられて、あまあまさんを取りに行こうと誘われた飾りのないれいむ。
れいむは、父まりさの誘いを心から喜んだが・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
父まりさと飾りのないれいむは、
人気のない森の奥深くへドンドン進んでいった。
出発した時には日は高く上っていたが、
今は、日が山に半分くらい沈み、綺麗な夕焼けが見えていた。
れいむはその光景を綺麗だと思い、眺めてながら、
ゆっくりと父まりさの後へついていった。
「ここだよ・・・おちびちゃん・・・」
れいむは、ある洞窟の前に連れて来られた。
「ここに・・・あまあまさんがあるよ・・・」
父まりさは、なぜか辺りをキョロキョロして、ビクビクと震えていた。
「やった!!!あまあまさんだよ!!!ゆっくりできるよ!!!」
そんな父まりさとは裏腹に、れいむはピョンピョンとその場で飛び跳ねた。
「おちびちゃん・・・よく・・・きいてね・・・
おとうさんは・・・あまあまさんのほかに・・・
きょうの・・・ごはんをとってくるから・・・
れいむは・・・ちょっと・・・ここでまっててね・・・
どうくつのなかは・・・あぶないから・・・
ひとりではいったら・・・だめだよ・・・」
と、この場にいるのがとても怖いとでも言った様な様子で、
今にも泣きそうな表情で、体を後ろに後ずさりしながら、
徐々にれいむから離れていく父まりさ。
「ゆっくりりかいしたよ!!!おとうさん!!!
ごはんさんいっぱいあつめるのがんばってね!!!」
と、割れんばかりの声で叫ぶれいむ。
「じゃ、じゃ、ゆっくり、ま、まっててねぇええええええ!!!!
ゆ、ゆ、ゆんやぁああああ!!!!
こわいよぉおおおおぉお!!!!!ぉうちかえるぅうぅううっぅ!!!!!」
まりさはしーしを漏らしながら、全力疾走で森の中へ走っていき、消えていった。
「ゆっくりいってらしゃい!!!!」
れいむは笑顔でおさげをピコピコと上に振って、父まりさを見送っていた。
れいむは、笑顔で待ち続けた。
父まりさが戻ってくるのを。
お父さんと一緒に、あまあまさんを持って帰り、
おうちにいるお母さんと姉たちの笑顔を思い浮かべながら、
ずっと待っていた。
「♪ゆ~ゆ~ゆ~ゆっくりしていってね~」
そんなことを思い浮かべていると、嬉しくなり、
いつも母れいむと姉たちが歌っている歌を口ずさんでいた。
「むきゅぅうぅ!!!!なにやってるのぉお!!!れいむぅ!!!!!」
れいむが声が聞こえた方へ振り向くと、
参謀のぱちゅりーが息を切らしながら、
そこにいた。
ぱちゅりーは薬草を取りに、森の奥深くまで来ていた。
時間を忘れて薬草を取っていたら、もう夕方なので、
そろそろ巣に帰ろうとした時、なんだかゆっくりの歌声が聞こえたので、
誰かいるのだろうかと思い、やって来たら、
飾りのないれいむが、たった一人で呑気に歌を歌っていた。
そして、この洞窟を見た瞬間、ぱちゅりーは絶叫していた。
「こんなあぶないところにいちゃだめでしょぉおぉお!!!!!」
れいむは不思議に思った。
「ぱちゅりー、ここにはあまあまさんがあるんだよ!!!
おとうさんがいってたんだよ!!!」
ニコニコと笑っているれいむ。
「そんなところにあまあまさんなんかあるわけないでしょぉおぉ!!!
そこはどうくつはれみりゃのすのまえなのよぉおぉお!!!
はやくにげるのよぉぉおぉおおお!!!」
ぱちゅりーは、冷や汗を垂らしながら、叫んでいた。
「ぷくぅー!!!
なにをいってるの?ここにはれみりゃなんかいないよ!!!
ぱちゅりーはけんじゃなんでしょ!!!ゆっくりりかいしてね!!!」
頬を膨らませて、ぱちゅりーを睨みつけるれいむ。
「ああ、も、も、もうしかたがないわぁ!!!!」
れいむのところを駆け寄り、れいむのおさげを口にはくわえたぱちゅりー。
嫌がるれいむをよそに走り出した。
「はなしてぇえええ!!!れいむはおとうさんとあまあまさんをとるのぉお!!!
はなしてぇえええ!!!れいむはおかあさんとみんなでゆっくりするのぉお!!!」
下腹部をブルンブルンと震わせて、ジタバタするれいむ。
辺りはすっかり暗くなり、もう夜になっていた。
それでも、ぱちゅりーたちは、まだ群れのところへ戻っていなかった。
「はなしてぇええ!!!れいむはおとうさんといっしょに」
「う~う~あまあまだど!!!!」
空かられみりゃの姿が見えた。
「れ、れ、れみりゃだぁああああ!!!!」
れいむの悲鳴を聞いたぱちゅりーは、顔が真っ青になり、
とにかく逃げようと、一心不乱に走り出した。
しかし、れみりゃの方が早くて、ドンドン間合いを詰めて行く。
「う~あまあま☆」
れみりゃは右手を伸ばし、ぱちゅりーたちを掴もうとした。
「ゆんやぁぁあああああ!!!!!!!」
れいむが叫んだ次の瞬間、
「どすすぱぁっぁああく!!!!」
チュドゴォォオオォン
轟音と共に、眩しい光の塊がれみりゃを直撃した。
そこにはドスまりさが立っていた。
「むきゅぅ。どすぅ・・・」
ドスの姿を見て、
ぱちゅりーは疲れ果てたのだろうが、その場で倒れこんだ。
「ぱちゅりーがおそくてしんぱいしたから、むかえにきてよかったよ!!!
でも、どうしてれいむまでいるの!!!こんなところへこどもがきちゃだめだよ!!!」
ドスは安堵の表情を浮かべた。
「どす!!!ぱちゅりーはひどいんだよ!!!
おとうさんといっしょにあまあまさんをとるはずだったのに!!!」
れいむは再びドスに向かって、ぷくーと頬を膨らませた。
「えっ!?まりさ?
たしか、ここにくるとちゅうさけびながら、すにもどっていたけど・・・」
れいむはドスに言った。
「おとうさんがどうくつのまえでまってて、いったから、
れいむはずっとまってたんだよ!!!
それをぱちゅりーが、
おとうさんがあまあまさんがあるっていっていたところが、
れみりゃのおうちとかいいだして!!!れいむはおこったよ!!!ぷんぷん!!!」
ドスは信じられないという表情で、口をポカーンと空けていた。
「れいむ・・・もっとゆっくりおしえてくれるかなぁ・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
母れいむと父まりさが、飾りがないれいむをれみりゃに捕まえさせて、
事故死に見せかけて、殺そうとしたのだ・・・。
ただ、飾りがないというだけで・・・。
ドスまりさとぱちぇりーは、母れいむと父まりさを処刑することにした。
飾りのないれいむは、裏切られても、なお、母れいむと父まりさを、助けようと、
命乞いをしたが、その願いは、叶えられることはなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
父まりさと母れいむは、串刺し刑に決まった。
柱に括り付けられた2匹の周りに、口に木の枝をくわえたゆっくりたちが囲み始めた。
「やべでぇえぇえええ!!!!
ばでぃざばわるぐないよぉおぉぉおぉお!!!!
わるいのばぁああ!!!!
かざりのないゆっぐりだよぉおぉおぉ!!!
あいつがうまれでごなげればぁああ!!!!
みんなだっでぇえええ!!!
あんなゆっぐりでぎないゆっぐりがうまれだらっぁああ!!!
おなごどずるでじょぉぉおぉお!!!」
「ぞうだよぉぉぉおおお!!!
でいぶだぢだががっぁぁああ!!!
わるいんじゃないよぉぉお!!!
みんなだっでぇええええ!!!
おちびじゃんだぢがぁぁああ!!!
あのかざりのないゆっぐりをいじめでるのぉおぉ!!!
みでみぬぶりじでだじゃないぃいぃい!!!!」
周りのゆっくりたちは、
父まりさと母れいむの言うことに反論できないから、
気まずい空気が流れ、彼らと目を合わせようとしない。
みな木の枝をくわえているが、彼らを刺すことに躊躇いがあった。
「もうやめてね!!!
おとうさんもおかあさんもじゅうぶんこりたはずだよ!!!
れいむはみんなにいじめられたことなんかきにしていないから、
はやくたすけてね!!!」
ドスとぱちゅりーに懇願するれいむ。
こんな状況でも両親を助けようとする。
「みんなだっでぇええ!!!!
あのゆっぐりにぃぃいい!!!
ごんあいじめがいいどがっぁあああ!!!
あんないじめがいいどがっぁあああ!!!
でいぶだぢにぃいぃ!!!
いろいろどぉぉおいっでだのにぃい!!!!」
と、母れいむが叫んだ。
次の瞬間、周りのゆっくりたちは、
物凄い形相で、母れいむを睨み、
木の枝を力強くくわえて、一直線に走り出した。
これ以上、何か喋られると、今度は自分たちが危ない。
そう感じたのであろう。
しかも、そのゆっくりの中には、れいむの姉たちも混ざっていた。
ザグッ!!!
ザグッザグッザグッザグッザグッザグッザグッ!!!!
「ちねぇぇえええ!!!ゆっくちできにゃいゆっくちはちねぇえええ!!!!
」
先頭切って、いじめていたまりさは、母れいむの右目に木の枝を突き刺した。
「ゆげぇぇええ!!!いじゃいいいぃいっぃいぃいい!!!!」
れいむの体に数え切れないくらいの木の枝が刺さっていた。
「おかあざんんん!!!!ゆっぐりぃいい!!!」
飾りのないれいむは体を弾ませながら、母れいむのところへ駆け寄った。
体中が裂け、餡子が物凄い勢いで漏れている母れいむ。
「おがあざんんんん!!!れいむがなおしてあげるねぇえ!!!
ぺ~ろぺ~ろ」
れいむは泣きながら、母れいむの傷口を舐めた。
「やべろっぉぉおぉおおおお!!!
ゆっぐりでぎないぃい!!!!
おかざりのないゆっぐりばゆっぐりでぎないいぃい!!!
でいぶのがらだがぁああああげがれるぅうぅううう!!!!」
が、そんなれいむに返ってきた言葉は無情だった。
ここまで献身的に接しても、母れいむはれいむのことを嫌っていた。
「じねぇえぇえええ!!!おまえばじねぇえええ!!!
おまえのぜいでぇえええ!!!!
おまえのぜいでぇえええええええ!!!
ずべでおまえのぜいだぁぁぁあああああ!!!!
じねぇええええええ!!!!!
じねぇえええええ!!!!!!!
じねぇえええええええええ!!!!!」
母れいむは睨み続けた。
その顔はゆっくりとはかけ離れていた。
まさに鬼。地獄を見てきたかのような修羅の形相。
そんな視線で飾りのないれいむを見てきた。
今まで、飾りのないれいむには、
無表情か作り笑いしかしてこなかった母れいむが初めて見せた感情。
それを見て、れいむは、初めて分かった。
自分は嫌われていたのだ。
生まれていた時から嫌われていたのだと。
飾りがないということだけで。
それが分かった瞬間、れいむは呆然とした。
自分が信じてきたものは・・・。
すべて妄想だった。適わぬ夢物語だった。
「おまえばぁぁぁぁあああ!!!!
ゆっぐりじねぇぇっぇえぇぇえkぇrkfhkjrvんkmfcbsyhねrtvm」
バビュン!!!!
母れいむの頭が、怒りのあまり、
頭に餡子が溜まりすぎたため、爆発した。
辺り一面に黒い餡子が飛び散る。
体に刺さった無数の木の枝より、
飾りのないれいむに体を舐められたことの方が、
母れいむにとって、耐え難い苦痛だったのだ。
「で、で、で、でぃぶうぶぅうぅううぅ!!!!
ゆんやぁぁあああああ!!!
ゆっぐりでぎないぃいいぃ!!!!
もうやだぁあああ!!!おうちがえるよぉお!!!」
最愛の妻の憤死を目の当たりにし、
体中から、いろんな液体を分泌させて、
体をジタバタともがく父まりさ。
母れいむの残骸から、餡子が止め処なく流れていくと、
小さい赤いリボンが出てきた。
れいむが生まれる前に母れいむのまむまむに残してきたものである。
呆然としているれいむだったが、何気なく、リボンをすくい上げ、
頭にリボンを置いた。
「え!?で、で、でいぶなの・・・おまえ・・・でいぶだっだの・・・」
父まりさからそんな言葉が出てきた。
父まりさだけでなかった。
「あれはまりしゃのいもうちょなのじぇ!!!」
「どぼぢでれいみゅがあんにゃちょこりょにいりゅのぉおぉお!!!」
「ゆんやぁああああ!!!!おきゃじゃりのにゃいゆっくちはれいみゅぢゃったにゃんちぇ!!!」
「しょんにゃ!!!まりしゃたちはいもうちょをいじめちぇいちゃの!!!!」
れいむの姉たちも、信じられないと言った顔をしていた。
彼らだけではない。
ドスとぱちゅりーを除く、すべてのゆっくりが唖然としていた。
群れのゆっくりたちは、飾りのないれいむのことを、
ゆっくりできないゆっくりとしか思ってなかった。
決して、飾りのないれいむであると認識していなかったのだ。
そして、れいむもまた、気づいてしまった。
今までドスとぱちゅりー以外から、れいむの名前を呼んで話をしていないことに。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
れいむは、この時初めて知った。
自分に、飾りがないから、誰もれいむのことをれいむだと認識できていなかったことに・・・。
飾りがなくても、れいむはれいむだ。
そう思っていたのは、れいむだけであった。
大好きだった家族は、自分のことをゆっくりできない何かとしか思っていなかった・・・。
れいむは、群れを去った。
裏切りと絶望しかないこのゆっくりできない、ゆっくりぷれいすから・・・。
だが、飾りのないれいむにも、ゆっくりできる時が訪れた。
長い旅路の果て、傷つきながらもたどり着いた、真のゆっくりぷれいす。
そして、友でもあり、親でもあり、飼い主でもある、おじいさんとの出会い。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ゆっくりおはよう!!!おじいさん!!!
きょうもゆっくりしていってね!!!」
『はいはい、ゆっくりゆっくり。』
れいむは、老人の看病のおかげで、
すっかり元気になっていた。
最初は、老人に対して敵対心を持っていた飾りのないれいむだが、
次第に老人がれいむに対して殺意がないことを知ると、心を開いていったのであった。
れいむは、この老人に対して、命の恩人だと感謝し、
老人から片時も離れようとしなかった。
老人からすれば、気まぐれで、
今まで害虫扱いしていたゆっくりを助けたのだ。
まあ、邪魔になれば、いつでも殺そうと思えば、殺せる。
老人は一人暮らしをしており、
話し相手のいない老人にとって、暇つぶしにはなるだろうと思い、
今まで生かしていたのだ。
「ゆっくり!!!ゆっくり!!!」
飾りのないれいむは、その場でピョンピョンと飛び跳ねる。
れいむは群れを出て行ってから、しばらくの間、
れいむから見て、他者との友好的な交流は全くなかった。
そのためか、自然に笑みが漏れていた。
恐らく、れいむのゆん生の中で、心の底からゆっくりしている日々なのだろう。
『ほら、遊んでないで、さっさと畑に行くぞ。』
「ゆ~☆」
老人はれいむを連れて、畑に連れて行く。
「♪ゆ~ゆ~ゆ~ゆっくりしていってね~」
かつて、れいむの母親が姉たちに聞かせていた歌を、
上機嫌で歌いながら、歩くれいむ。
『お前、相変わらず、音痴じゃの~。』
「どぼぢでぞんなごどいうのぉおぉぉぉぉ!!!!」
れいむはさっきまでの笑顔と違って、
ゆんゆんと大泣きするれいむ。
人間からすれば、ゆっくりの歌など、
音程はずれっぱなしの雑音にしか聞こえない。
しかし、老人は、その耳障りな歌声をさほど気にしていない。
犬がキャンキャンとやかましく吼えている程度にしか思っていなかった。
やがて、畑に着いた老人とれいむは、それぞれ畑を耕し出した。
なんと、れいむは老人の仕事を手伝っているのである。
最初、やはり、れいむも、
野菜は勝手に生えてくるというゆっくり独自の考えを主張していたが、
老人に無理矢理、畑に連れてこられて、嫌々、仕事を手伝わされる内に、
少しずつであったが、老人の言っていることを理解し始めた。
最初は、こんな意味のないことをする意味がわからないと、不満ばかり言っていたが、
今では、自発的に畑を耕したいとまで言うくらい積極的な態度を取り出した。
「ゆ~!!!おやさいさん!!!ゆっくりおおきくそだってね!!!」
『こら!口を動かす暇があったら、手を動かせ!!!!』
「ゆっ!?おやさいさんにはなしかけるとゆっくりおおきくそだってくれるんだよ!!!」
が、所詮はゆっくり。
たまに、おかしいことを言ってくるが、
れいむが今言ったことは、ごく稀に人間でも本気で言う者もいるので、
軽く注意するだけの老人。
『れいむ、これから芋焼くぞ。危ないから下がっておれ。』
「ゆゆん!!!やきいもさんはほ~くほ~くしてゆっくりできるよ~!!!」
空き地で、焚き火を起こし、火の中に芋を入れていく老人。
「ゆ~!!!ひさんがめらめらもえてきれいだねぇ~!!!
ゆ~!!!ひさんのちかくはあったたかくてゆっくりできるねぇ~!!!」
老人の注意を無視して、火の近くに寄ろうとするれいむ。
バチッ!!!
焚き火の中の枝が弾けて、火の粉がれいむのおさげに降りかかった。
「あじゅぃぃいぃいいぃぃい!!!!!」
見る見るうちに火がおさげを覆っていく。
「あじゅぃぃいぃいいぃい!!!!
ひさんあっちにいってぇえええええ!!!!
ひさんあっちにいってぇえええええ!!!!
ゆんやぁあああ!!!!!!
あじゅぃいぃいいょぉおおおぉおおお!!!!!」
れいむはピコピコとおさげを振り回し、火を振り払おうとする。
『コラ!!!だから言わんこっちゃない!!!』
「おじいざんんん!!!!みじゅっぅぅうう!!!
おみじゅざんんん!!!おみじゅざんんがげでぇえええ!!!」
れいむは、老人に水をかけるように求めた。
が、老人は手につけていた軍手で、れいむの火がついたおさげを、
パンパンと叩き出した。
「いじゃい!!!いじゃいぃ!!!いじゃいよぉぉ!!!
どぼぢでごんなごどずるのぉぉぉお!!!
おじいじゃんんん!!!!だだがないでぇええええ!!!
だだがないでびざんをげじでぇえええ!!!!」
『落ち着け、れいむ。ホラ、火は消えてるぞ。』
「ゆっ!?」
れいむはジリジリになったおさげを見つめた。
「どぼぢでびざんがおみじゅじゃんをがげでないのぎえでるのぉぉぉおおおぉ!!!」
まるで魔術でも見たかのように、目を大きく見開いて、驚くれいむ。
『これくらいの火だったら、水をかけるより、
叩いて、振り払ったりすれば、簡単に消えるぞ』
「すごいよぉぉぉ!!!おじいさんん!!!!
おじいさんはけんじゃなんだねぇ!!!」
れいむは老人を尊敬の眼差しで見つめる。
老人はれいむを見て、思わず、笑みが漏れた。
バカな子ほど可愛いというけどホントなんだなぁ
老人はそう思っていた。
畑の帰り道、老人とれいむは、神社により、
お参りをするのが日課になっていた。
おさげをパンパンと叩いて、合唱するれいむ。
「かみさま!!!おじいさんとれいむはずっとゆっくりさせてください!!!」
『いつも思うけど、ゆっくりって何のことを言っているのじゃ?』
「ゆっ!?ゆっくりはゆっくりだよ!!!ゆっくりりかいしてね!!!」
『余計分からんぞ。れいむ、ゆっくりって何じゃ?』
「おじいさん!!!けんじゃなんでしょ!!!ゆっくりはゆっくりだよ!!!」
頬を膨らませて、プクーと老人を睨み付けるれいむ。
『そんなに怒るな。ホラ、帰るぞ。今日は久しぶりにご馳走でも食べるかのぉ~』
「ごちそう!!!あまあまさん!?」
『いや、いかの塩辛じゃ!』
「いやぁぁぁぁああ!!!!しおからさんはゆっくりできないぃいぃいい!!!!」
老人は、いつもこんな感じで、れいむをからかっていた。
最初は、飽きたら、潰そうとでも思っていたが、
今ではよき話し相手として、れいむを扱っていた。
他のゆっくりに対しては、以前と変わらぬ害虫扱いであったが、
れいむに対しては、特別な感情を抱いていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
だが、幸せは長く続かなかった。
おじいさんから、飾りがないれいむに、プレゼントと称して、
リボンをつけてあげたのだが、ほんの不注意で、リボンはヒラヒラと、
車道に落ちてしまった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おりぼんさん!!!ゆっくりしていってね!!!」
れいむがリボンを取ろうした矢先、れいむの横には大きなトラックが差し迫っていた。
『危ないっ!!!れいむっ!!!!』
老人は叫ぶと同時に、れいむに目掛けて、車道へ飛び込んでいった。
キキィイイイイイイイイイイイ!!!!!!
大きな音と共に、れいむは前方へ投げ出された。
「いじゃいいぃぃいいぃいい!!!」
フェンスにぶつかったれいむは、体をクネクネさせて痛がる。
痛みもだいぶ収まり、辺りを見回すれいむ。
リボンはどこ?れいむのリボンはどこ?
キョロキョロと見回すと、リボンがあった。
「れいむのおりぼ!!!!・・・んさん!?・・・・」
リボンの向こう側には真っ赤な血に塗れた老人が横たわっていた。
「おじ・・・い・・・さ・・・」
れいむは、その時、やっと状況を把握した。
リボンを追いかけて、車に轢かれそうにれいむを、
老人が庇って、れいむの代わりに轢かれてしまったことを。
「おじいさんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
れいむは、命よりも、飾りよりも大切なモノをなくしてしまった・・・。
その後、れいむは、おじいさんの息子夫婦に飼われる事になったのだが・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ドゴッ!!!
「ゆぶっ!!」
れいむは、壁に叩きつけられた。
顔には拳で殴られた後がくっきりと浮かんでいた。
れいむをまるで汚物を見るかのような視線で見つめる一人の青年が、
そこにはいた。
彼は、老人の息子の息子、つまり、老人の孫である。
彼は、老人の息子とは違い、このれいむを許せなかったのだ。
昔から、老人を慕っており、家族で、老人の家に里帰りした時、
もう高校生というのに、ずっと老人のそばから離れないほどの、
生粋のおじいちゃん子であった。
『よう・・・。糞饅頭。挨拶は?』
今まで数々のいじめを受けてきて、
さらに何度も生死の境に立たされたれいむであったが、
彼の拳が、今までのゆん生で一番だと思われるダメージを受けていた。
彼は、老人が死ぬまでは、明るい人物であった。
友達も多く、人当たりのいい性格であり、
困った人を見たら、思わず助けてしまうほどの、
優しい心の持ち主であった。
しかし、れいむを庇って、老人が死んだと聞いた時、
彼の心の中にある何かが壊れてしまったのだろう。
老人の葬式以降、ずっと部屋に閉じこもり、
両親の呼びかけにも応じようとしない。
彼の両親も、時が経てば、立ち直ってくれるだろうと思い、
しばらくの間は、そっとしておこうと何も口に出さなかった。
だが、いつの頃からか、
家に彼しかいない時に、部屋から出てきて、
れいむをこのように殴り出す日々が始まったのである。
「ゆ・・くり・・・して・・・」
れいむが痛みに耐えて、老人の孫の方へ体を向ける。
ドボッ!!!
れいむの顔面に老人の孫のつま先が突き刺さるかのような、
蹴りが飛んできた。
「ゆべぇ!!」
再び、壁にぶつかり、口から餡子を出すれいむ。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・
でいぶ・・・ば・・・でいぶだよ・・・
ぐぞ・・まんじゅうじゃない・・・よ」
『オイ、挨拶がゆっくりしていってねっておかしくねぇか?糞饅頭。』
れいむの言うことを無視して、
彼はしゃがむこみ、れいむに顔を近づける。
『普通は挨拶っていうのは、おはようとかこんにちはとかだろ?
そういうこともわからないんだな。糞饅頭は。』
「ゆ゛っ・・・」
苦しそうにうめき声を上げる
『それに、ゆっくりしていってねっていう言葉自体、使い方おかしくねぇか?
ここは俺の家だぞ、お前にゆっくりしろって言われる筋合いはない。
むしろ、お前がゆっくり出来るか出来ないかは俺の心一つなんだぞ?
そんなこともわからない程バカなんだだな。糞饅頭は。』
れいむは、痙攣を起こしながら、彼を虚ろな瞳で見つめていた。
『オイ、返事は?』
老人の孫は、れいむの左目にデコピンをした。
バチィ!!!
「ゆびっぃいぃいいい!!!!!
いじゃいいいぃいぃいいい!!!!」
れいむはつい、痛みに耐え切れず、叫んでしまう。
『へぇ~。痛いんだぁ~。ふぅ~ん。』
「お、おにいざん、や、や、やべで・・・」
デコピンをされたれいむの左目は赤黒く濁っていた。
衝撃で眼球表面が赤く染まり、餡子が眼球に染みこんだのであろう。
おさげで左目を抑えながら、小刻みに震えるれいむ。
『お前にも痛みってものがあるだなぁ~。知らなかった。』
「ゆっぐり・・・やべでね・・・ゆぐり・・やべ・・・」
『でも、おじいちゃんは、もっと痛かっただろうなぁ』
れいむは、言葉を詰まらせてしまった。
老人を死なせてしまった罪の意識からか、
彼の言葉に何一つ反論が出来なかった。
れいむは、瞼に涙を溜めて、今にも泣き出しそうな顔をする。
が、れいむはひたすら泣くのを我慢する。
『泣いたら、おじいちゃんが蘇ると思ってるの?』
「ご・・・べ・・ん・・・なじゃ・・・」
『謝ったら、おじいさんが蘇ると思ってるの?』
「ご・・・べ・・・ん・・・な・・・」
『2回も謝ったけど、謝ってもおじいさんは蘇らないよ?』
「ご・・・べん・・・」
『何度謝っても、おじいさんは蘇らないよ?』
「ご・・べ」
『ねぇ?糞饅頭?人の話をちゃんと聞いてる、の!!!!』
老人の孫は、今度はれいむの右目にデコピンをする。
「ゆぴぃいぃいいいいいぃい!!!」
あまりの痛みに耐え切れず、辺りを転げまわるれいむ。
ついには、しーしーを漏らし出した。
『汚いなぁ~。小便交じりの糞饅頭は。』
赤黒く濁った双方の瞳から、涙を流すれいむ。
「で・・ぃぶ・・をごろ・・じで・・・
ぞれ・・・で・・・ゆる・・・じで・・・」
れいむは、老人の息子に対しても、
同じ事を言ったことがある。
れいむにとっての精一杯の謝罪は、
自らの命を差し出すことだった。
だから、殺されることに対しての覚悟は出来ていた。
しかし、殺すことなく嬲られるということは、
思いもよらなかったことなのであった。
『お前を殺したら、おじいちゃんが蘇るの?』
「ゆ゛っ!?」
『だったら、殺してあげる。』
「ぞんなごどっ!」
『じゃあ、ダメ。っていうか、早く蘇らせろよ。糞饅頭。』
老人の孫は、れいむの体に足を乗せて、ゆっくりと押し潰して行く。
「ゆぐぐぐぐっ」
痛みのあまり、呻き声を上げるれいむ。
ブリュ!ブリュ!ブババババ!
れいむのあにゃるから、大量のうんうんが漏れてきた。
『汚いよ。ホント、お前、糞饅頭なんだな。』
「ゆ゛っ・・・」
『人前で糞漏らすなんて、ホント恥ずかしい晒しモンだな。糞饅頭。』
「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」
れいむは、声を殺して、静かに泣いていた。
『殺してくれだって?こんなにつらい目に遭うくらいなら、
死んでゆっくりしたいなんて・・・飛んだゲスだな。
おじいちゃんを殺しておいて、ひどい目にあったら、
こんな痛い思いをするこの世とおさらばして、
ゆっくり出来るあの世に行きたいなんて、卑怯者だよ。
なあ、糞饅頭。』
れいむは、返す言葉が見つからなかった。
れいむは心から死んでお詫びをするということだったが、
彼の言うとおり、それはただの現実逃避じゃないのかと、
れいむ自身も疑い出したため・・・。
しばらくすると、老人の孫は、
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、
床に倒れこんでいるれいむにかけた。
『まだまだ許さないからね。まだ死ぬなよ。
俺が許可するまで死ぬなよ。
まあ、一生許可しないけどな。
狂うことも許さないからね。
罪を償いたいって思うんなら、逃げるなよ。
痛いことを毎日味わえな。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
息子夫婦の息子、つまり、おじいさんの孫から、虐待される日々。
孫の虐待は、飾りのないれいむに科せられた業と罪。
虐待されるたびに、体よりも心が苦しかった。
しかし・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『なあ、糞饅頭。これ、おじいちゃんからもらったんだってな。』
老人の孫は、れいむのリボンを取り、れいむに見せる。
その瞬間、静かに今まで謝っているだけのれいむだったが・・・
「やべ、やべでぇえぇっぇえええぇ!!!」
強い口調で老人の孫に食って掛かってきたのだ。
『なあ、れいむ。これとおじいちゃんの命、どっちが大切だ?』
「おじいざんのいのぢだよぉぉぉ!!!!でもぉぉぉおお!!」
『でも?なんだ?これの方が大切なのか糞饅頭?』
「ぞのおりぼんざんばぁぁあああ!!!おじいざんがらもらっだぁぁああ
でいぶのぉぉおぉ!!!だいぜづなものなんだよぉぉぉおお!!!!」
ゆっくりにとって、飾りとは、個を認識するための必須アイテムであり、
これがなかったためにれいむは、ゆっくりできないゆっくりとしか、
ゆっくりには認識されず、冷遇されたゆん生を歩んできた。
だから、れいむは、老人からリボンをもらった時、
これから、他のゆっくりにあってもゆっくりできないゆっくりと言われないからということで、
喜んだのではない。
正直、れいむにとって、リボンがあってもなくても、もうどっちでもよかったのだ。
ただ、老人からもらったというだけで嬉しかったのだ。
れいむはすでに、飾りがないからというだけで、
いじめてくるゆっくりなど、見限っていたのだ。
確かに、未だに死にかけた時に母の名を口にしたり、
機嫌がいい時には、母や姉たちが歌っていた歌を歌ったりするので、
家族に対しての未練はあった。
しかし、そんな未練なんかより、
今までゆん生で一番ゆっくり出来る日々を過ごした老人が何よりも大切に思い、
老人からリボンをもらった時には、何も考えず、ただ嬉しかったのである。
不幸にも、その嬉しさのあまり、はしゃいだ結果、
このような結果になってしまったが、このリボンはれいむからすれば、
大切な老人の形見であった。
『大切なもの?僕にはそう見えないね。汚らしいただの布じゃないか?』
「おにいざんがらばぁああ!!!ぞうみえるがもじれないげどぉぉおお!!!
でいぶにどっでばぁっぁああ!!!!おじいざんがらもらっだぁあぁあ!!!
だいじなぁっぁああ!!!だいじなぁあああ!!!!!!」
ビリッ!!!
ビリッ!!!ビリッ!!!ビリッ!!!
老人の孫は、リボンを破いていった。
『こんなもののためにおじいさんは死んだんだ。
これくらいのことはしても当然だろ?』
れいむは呆然とした。
れいむの頭の中にあるのは、老人と過ごした思い出。
初めてあった時、一緒に畑を耕した時、焼き芋を一緒に食べた時、
畑の帰り道で神社に寄った時・・・・
「あ・・あ・ああ・・・あ・あ・ああ・・あああ」
口を半開きにし、言葉を途切れ途切れで発するれいむ。
それを見て、イライラしてきた老人の孫。
どうして、お前が怒るんだ?
怒っているのは俺のほうなんだぞ?
糞饅頭のくせにおじいちゃんを殺しやがって!!!
『おい、どうした?糞饅頭?
まさか、リボンを破いたことを怒っているのか?
バカなお前にも分かるように教えてやるよ。
おじいさんを殺したおりぼんさんはゆっくり出来ないね!!
だからゆっくりビリビリに破いて制裁してやったよ!!
ゆっくり出来ないおりぼんさんはゆっくり死ね!!!!』
「ゆああぁああ・・ゆあぁああ・・・・ゆぁあああ」
「ゆ゛っーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
孫に襲い掛かり、怪我を負わせた飾りのないれいむ。
おじいさんの息子も、れいむの心の痛みが分かる人であったため、
れいむにこれといった報復をすることもなく、別々に暮らすことになり、
れいむは、再び森で暮らすことになったれいむ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ゆんあぁっぁぁぁああああああああなあああああああああ!!!!
ゆんんあああああああああああああああああ!!!
ゆんやぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁっぁぁぁっぁっぁぁっぁああああ!!
どぼぢでっぇええええええええ!!!!
どぼぢでぇえええええええええええええ!!!!!!
ゆんやぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁああっぁぁっぁぁぁああ!!!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
れいむは泣いた。心の底から泣いた。
自身の呪われたゆん命を。
飾りがないというだけで、ゆっくりできないゆん命を。
そして、そのゆん命に抗うことを決めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ゆぅ・・・。ゆぅ・・・。
やっと・・・。ついたよ・・・。」
誰も知らない山奥で、
満身創痍のれいむが、一匹、そこにいた。
ゆっくり道という看板が建っている、その建物の玄関の前に。
すると、玄関から、一匹のありすが出てきた。
「こんにちわ。どちら様でしょうか?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゆっくり道は死狂ひなり。一匹の殺害を数十人して仕かぬるもの。
(ゆっくり道は死に狂いである。一匹を殺すのに数十人がかりでかなわないこともある。)
ゆっくり道という武術の存在。
天地を自由自在に駆け、
ありとあらゆる自然の現象を操り、
動物たち以上の膂力を持ち合わせ、
捕食種はもちろんのこと、人間すら簡単に殺めるという、
ゆっくりの武術。
飾りのないれいむは、ゆっくり道に、そのすべてをかけた。
呪われたゆん命と戦うため・・・。
しかし、その修行は、想像を絶する、超絶ゆ虐の数々であった。
ドススパークをまともに食らっても、ビクともしないどころか、
人間なのに、ドススパークを撃てる師範代から逃げ惑う。
さらに、ぺにぺにから、高圧の精子餡を発射する高弟のありす。
ゆっくり道の修行から逃げ出そうとするゆっくりを、容赦なく打ち抜く。
ハゲ饅頭と化した、ゆっくり道の始祖、ゆがん。
目にも止まらぬ早業で、ゆっくりたちを瞬殺するどころか、その視線で、
ゆっくりは、生きることを諦めるほどの恐怖の塊。
何匹、いや、何万匹、何十万匹のゆっくりが、虐殺されただろうか。
飾りのないれいむは、半狂乱になりながらも、生き延びた。
その結果、れいむは生き延びた。
そして・・・。
ゆっくり殺シアム。
それは、人間とゆっくりの一対一の闘いを繰り広げる闘技場。
どこにあるのかは、ゆっくりとそれに携わる虐待鬼意山たちにしかわからない、
夢のステージである。
飾りのないれいむは、虐待鬼意山と戦えるだけの力を身につけた。
ゆっくり殺シアムで、飾りのないれいむは、虐待鬼意山と戦うことになった。
「れいむは・・・まけないよっ!!!!!」
れいむの目は、痛みに怯えるゆっくりの目ではなかった。
無知ゆえに、人間や動物を威嚇するぷくーの目でもなかった。
一匹の武餡(もののゆ)がそこにいた。
瞳の奥には、真っ赤に燃える炎が見えた。
戦う相手は・・・空道鬼意山。
伝説の暗殺術、空道を用いた虐待鬼意山であった。
両方のお下げにカッターナイフを持ち、まるで二刀流のように構えたれいむは、
虐待鬼意山と向かい合った。
ドバァァァン!!!
闘いの開始を教える銅鑼の音が聞こえた。
人間は構えなかった。
ただ、棒立ちだった。
それに比べて、れいむは、お下げに2本のカッターナイフを持ち、
左のお下げを真横一文字、右のお下げを上段の構えを取った。
しばらくの間、両者、ともに動かなかった。
否っ!!!れいむは動けなかった。
何も構えない人間に不安を覚えていた。
そもそも、このれいむ。
ゆっくり道に来て、師範代やありすから、技を教えてもらうだけで、
一度も組み手らしい組み手をしたことがなかった。
ゆん生最初の闘いといっても過言ではなかった。
そんな緊張からか、自分から仕掛ける勇気が、れいむにはなかった。
しばらくすると、人間は、右手の手袋を取った。
不思議なことに人間の手は真っ赤に染まっていた。
れいむは、本能で感じた。
あの手は絶対にゆっくり出来ないっ!!!
ゆらぁ~
人間はゆっくりと、れいむに近づいていく。
れいむに電流が走る!!!
来るっ!!!
次の瞬間、人間はれいむの頭上に飛んでいた。
そして、真っ赤な右手でれいむの頭を触った。
「ゆあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁああああ!!!!」
れいむは叫んだ。
そして、れいむの髪の毛は抜け落ち、剥げた部分は真っ赤に染まっていた。
「かりゃいいいぃいいぃいいぃいいい!!!!!」
滝のような涙を流すれいむ。
辛手・・・
ハバロネやわさびなど、香辛料を混ぜた液体の中に一晩、手を漬ける。
その後、特殊な洗液で、また一晩漬ける。
それを交互に繰り返し、1ヶ月間懸けてできる、最凶のゆ虐法。
触るものすべてを香辛料に変化させるその真っ赤な手は、
触るだけでゆっくりたちを死の寸前まで追いやることが出来る。
何が一番すごいかと言うと・・・用法を間違えなければ、
死の寸前まであり、決して殺すことはない最高のゆ虐法。
そもそも、ゆっくりとは、
中枢餡の破壊、餡子の大量流出しか死亡する要因がない。
それ以外に死亡理由があるかのように思われるが、本当にそれ以外の死因はない。
レイパーありすにすっきりされて、黒ずんで死んでしまうのは、
体内の餡子を消費しすぎたり、ストレスにより中枢餡が破壊されてしまうからである。
冬篭りに失敗して、飢え死にするのは、
生命維持に必要な餡子を消費したり、上によるストレスで中枢餡が破壊される。
寿命により死んでしまう場合、
中枢餡が壊れてしまうからである。
つまり、どんな死因も直接的ではないにしろ、
このどちらかなのである。
では、辛手で体の餡子が、香辛料に変化した場合、
辛いものを摂取した時の拒絶反応で、ストレスで中枢餡が破壊されるのでは?
と思われるのであろう。
口から香辛料を摂取した場合、味覚を通じて、辛いという信号が中枢餡に届き、
ストレスを感じるが、辛手のようの口以外の場所から摂取した場合、
痛みのみが通じてしまうのである。
口以外の場所の場合、塩キャラメルと同じ原理で、
甘いもの=餡子に、辛いもの=辛手を塗すことで、余計甘さを感じてしまうのである。
そのため、中枢餡にはストレスは一切感じない。
しかし、辛いものを摂取したという事実だけが残る。
れいむの体の中には、今、耐えられない程の辛さがのた打ち回っている。
そんなれいむであったが、まだ心は折れていなかった。
まだだ・・・
チャンスはまだある・・・
れいむは諦めていなかった。
しかし、髪の毛が抜けるほどのダメージを受け、
全身真っ赤でヒリヒリと痛みを感じているれいむは、
その場から、一歩も動くことができなかったのだ。
人間はそんなれいむを見ると、だらしのない顔になった。
体の力を抜き、ボォーした表情で、どこかを空の方を眺めていた。
れいむは、今がチャンスと思った。
しかし、れいむのあんよは全く動かなかった。
それもそのはずである。
れいむのあんよはもう、餡子ではなく、香辛料であった。
痛いっ!!!
どうして動かないっ!!!
れいむのあんよさんんん!!!
動いてっ!!!動いてっ!!!動いてよぉおぉおお!!!!
ヒュン!!!
れんむの右頬に風を切るような音が聞こえた。
バジィイイィイィイイン!!!!!
空気を裂く音が鳴り響く。
れいむの頬が真っ赤に染め上がる。
「ゆっ・・・・ゆひいぃいいいいぃいい!!!!!」
れいむは体中から体液をバラ撒いていた。
汗、涙、涎、うんうん、しーしー、そして、得体も知れない赤い液体。
お下げで持っていたカッターナイフを投げ捨て、
痛みのあまり、転げまわるれいむ。
「やべぇ・・やべぇ・・・やべでっぇっぇええええ!!!!」
れいむは、ピコピコとお下げを振り、拒絶を示している。
そんなことはお構いなしの人間。
再び、だらしない表情になる。
ヒュン!!!!!
バジィイイインン!!!!
「ゆぴいいぃいいいぃいいいぃいいい!!!!」
苦悶の表情を浮かべるれいむ。
もう、そこには武餡(もののゆ)はいなかった。
ただの虐待されるクソ袋がそこにいた。
「ぱぴぷぺぽぉぉおぉおぉおぉ!!!ぱぴぷぺぽぉぉぉおっぉぉぉ!!!!」
れいむは目玉をグルグルと回し、辺りにしーしーを撒き散らしていた。
今のれいむは、しーしー拡散機以外のなんでもなかった。
『コォォォホォオォオオオ!!!!』
人間は腹の底から出すような声を出し・・・
ヒュン!!!
ベジンンンンン!!!!
れいむの両頬に、両手で叩いた。
「ぷぺぱぷぺぷぴぱぷぺぷぴぱぴぱぁぁぁぁっぁあぁああ!!!!」
『ヒャァハァァッァア!!!!虐待だぁぁぁぁ!!!!』
『死ねぇぇっぇえええ!!!!苦しんで死ねぇぇっぇええ!!!』
『すげぇぜぇぇ!!!空道鬼意山!!!そこに痺れるぅうぅ!!!憧れるぅうぅ!!!』
観客の人間たちは、空道鬼意山を称える。
「ゆんやぁぁぁっぁぁぁああ!!!ゆっぐりでないぃいい!!!」
「もういやだぁぁぁぁあ!!!おうちかえるぅううぅ!!!」
「どぼぢでごんなごどずるのぉおぉおぉおぉおおおお!!!」
れいむ同様、汚らしく何かをブチ撒きながら、ケツをブルンブルンと振りながら、
泣き暴れる観客のゆっくりたち。
『もう・・・終わりにするか・・・』
空道鬼意山は、れいむに向けて、渾身の右ストレートを放つ。
辛手付きの正拳突き。食らってしまえば・・・。
「ぴぴぺぺぽぽぱぱぷぺぷぽぱぴぺぽぉぉぉぉぉおおお!!!」
その時であった。
れいむは、左のお下げで、右のお下げを抑えるような構えを取っていた。
ぱちぃ
空道鬼意山の拳が当たる前に、れいむの右のお下げが空道鬼意山の顎に軽く当たった。
が、何も起きなかった・・・。
ドブッ!!!!!
鈍い音がれいむの顔から発せられた。
「ぱひふへぱぽうえぽあぺぱえぽぺぇっぇぇぇぇっぇぇぇぇええっぇええ!!!!」
体中から真っ赤に染まり上がった餡子を撒き散らしながら、宙を舞うれいむ。
その光景は、時間がゆっくり進むかのように、緩やかであった。
れいむの体はゆっくりと、餡子をバラ撒きながら、空を飛ぶ。
れいむの顔は虐待鬼意山たちからすれば、
その顔だけで、一生分の飯と引き換えにしてもいいくらいの非常にゆっくりした表情であった。
もちろん、観客のゆっくりたちからすれば・・・
今まで見たこともないようなゆっくり出来ない表情。
今まで人間に顔を殴られたゆっくりの表情をたくさん見てきた人間とゆっくりたちであったが、
その表情はまさに、双方ともに、未体験であった。
醜く歪んだ哀れなれいむ・・・いや、れいむであったっぽいボロ雑巾は、
宙を舞いながら、涙を流した・・・
おしょら・・・を・・・とんじぇ・・・る・・・みちゃ・・・
能天気な声とは裏腹に、
悲壮感漂う汚物が、生まれてきたことを悔いているかのようだった。
地面に叩きつけられたと同時に、れいむの体に白いタオルが覆い被さった。
ドバァァァン!!!
『勝者!!!空道鬼意山!!!!!』
アナウンサーの絶叫とともに、人間の観客たちから、
一斉に叫び声がざわめき出した。
師範代が、れいむの体に白いタオルを投げ入れて、リタイアをしたのだ。
れいむは完全に負けた。
ボロ負けであった。
無惨にも戦士として臨んだ戦いは、いつも通りのゆ虐で終わってしまった。
空道鬼意山はれいむの体を持ち上げて、師範代に預けた。
『試合には勝ちましたが・・・・』
空道鬼意山は、師範代にそう告げると・・・
静かに去っていった。
暗い部屋の一角・・・
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・」
れいむは意識を取り戻した。
そこには、オレンジジュースをれいむの頭からかけている師範代がいた。
『れいむ・・・』
師範代はれいむの名を静かに呼んだ。
無様に負けた飾りのないれいむ。
だが、飾りのないれいむの、ゆっくりできない呪われたゆん命は、
さらに加速していくのであった・・・・
飾りのないれいむは、これからどうなっていくだろうか・・・
あとがき
お久しぶりです。ユグルイあきです。
もう、覚えてる人とかいませんよね?
エターナッたなぁ~って、自分でも、思ってましたしwwwww
昔、引退宣言(笑)した時、会社を辞めるか、辞めないか、
すごく迷っていた時期で、ゆ虐どころじゃなかったんです。
その結果、この4月に会社を辞めて、実家を継ぐことになりました。
そして、ある程度、生活も安定してきたので、ゆ虐再っ開!です!!!
あれから、フツフツと、ゆ虐SSのネタもいっぱいあったんですけど、
なかなか筆が進まなくて・・・。
とりあえず、ユグルイを進ませようと思います!!!
で、まず、「ユグルイ?どんな話だっけ?」「ユグルイ?何それ?」っていう
人のために、ビギンズナイト れいむと称して、今までのダイジェストを、
簡単にしました。
ゆっくり道の壮絶な修行の数々を、ここで紹介したかったのですが、
そこは、過去の作品を読み返して頂けたらなぁ~って思います。
ユグルイ、人気がないし、面白いって言う人が少ないのも知ってます。
でも、私は、ユグルイを完結させたいと思います。
かなり長くなるし、また、仕事の関係で、うpスピードが遅いかもしれませんが、
それでも、最後まで書くつもりです。
ということで、今後ともよろしくお願いします。
過去の参考作品
anko263 飾りの価値は 起
anko265 飾りの価値は 承
anko283 飾りの価値は 転
anko286 飾りの価値は 始
anko159 ユグルイ その1
anko162 ユグルイ その2
anko168 ユグルイ その3
anko173 ユグルイ その4
anko188 ユグルイ その5
anko236 ユグルイ その6
anko450 ユグルイ その7
anko456 ユグルイ その8
anko470 ユグルイ その9