「おれさま印の罠に引っ掛けられてやんの! ばーかばーか!」
「元就!」
元就と元親の分断。ただそれだけのこと。
元親が幻の左で檻を破壊しようと殴り付けるが、壊れる素振りもない。
だが、これくらいで元就の策に狂いはない。
「案ずるな。我も仕掛けさせてもらうまで」
輪刀をくるりと回して先の手“発”を設置する。
決して広くはない檻の内だが、何か策でもあるのだろう。
それを知ってか知らずか、武蔵は仕掛けた檻によじ登り、中目掛け高くジャンプする。
「おれさま、空を飛ぶ!」
そのまま懐のどこからか石やらザビー教団で見たような野菜やら人形やらを取り出して、元就へ向け投げ飛ばす。
「すげえ…あいつ落ちながら戦ってやがる」
元親は流れ弾に当たらぬよう巧く柵に隠れながらそれをやりすごす。
その脚力もそうだが、鉄砲のような凄まじい速さと破壊力の石礫も恐ろしい。
それが元就へ雨のように降りかかる。“壁”で防ぎ、“発”で砂を巻き上げ一瞬、姿を眩ます。
その一瞬で白銀にきらめく輪刀を掲げ、日輪を照覧させた。
「…日輪に捧げ奉らん」
「うおっまぶしっ! …なーんてうっそー!」
武蔵が振りかぶる。一撃目の鉄パイプがまだ掲げたままの輪刀を引っ掛けて払い飛ばし、攻撃目的の二撃目を元就は辛うじて躱す。
が、柵が背に当たる感触がして、その強烈な一撃が掠ってしまうことを覚悟した。
「不覚…!」
だが、バットが元就の体を抉ることはなかった。
かわりに釘バットの先が戦装束に引っ掛かり、元就の体ごと引っ張られる。
勢いと力が相俟って布が裂かれる音がした。
装束、それにさらしが散り、締めつけられていた小振りな乳房が外気に晒された。
「…女?」
武蔵の疑問符に、元就はその胸を隠すこともなく堂々と振る舞った。
「…だからどうした。罠はこれだけではないぞ」
途端、伏兵戦術を台無しにして、まだこの戦いに参加していない捨て駒たちから白旗があがった。
顔面、もとい鼻から出血している者がいれば、股間を押さえ痙攣しているものもいる。
「使えぬ者どもめ。…まあよい」
運の良いことに、輪刀はあまり遠くへは飛んでいない。手を伸ばせば何とかなる範囲だ。
それよりも、先ほどまで策を殴り付けていた元親がはるか後方から叫んでいる。
「…毛利! ちーと辛抱しろよ!」
捨て駒に持たせておいたつづらから暗色の何かを取り出している。
それ以上のことは視界の範囲外で見えない。
ちらと武蔵を横目で伺えば、心なしか手をわきわきさせながらにじり寄って来た。
「なっ!」
勢いよく飛び掛かってくると砂浜へ押し倒し、俗に言うウンコ座りで元就の動きを封じてマウントポジションで元就の胸を掴んでくる。
「やべ、気持ちいい…」
「っく、…寄るな、触れるな、離れろ…」
「てめぇ! なに揉んでやがる! 今すぐこの柵をどけやがれ!」
元親はこの時程檻の中の獣が羨まし…恨めしいと思ったことはない。
「いーじゃん減るもんじゃないし」
緩んだ口から垂れる涎を拭いもせず、胸を揉みしだく手は止めない。
元就がその手を剥がそうと、その体を押し退けようと抵抗を試みるも細い腕では馬鹿力に敵わない。
「くっ…う…!」
強く握られ、痛みに顔をしかめる。元親に助けを求めるのは元就の矜持が許さない。動きが封じられているのは胸だけだ。
気付かれぬ程度、ほんの少しずつ体をずらしていく。弾かれた輪刀に指先が届くまであと数寸。
「元就!」
元就と元親の分断。ただそれだけのこと。
元親が幻の左で檻を破壊しようと殴り付けるが、壊れる素振りもない。
だが、これくらいで元就の策に狂いはない。
「案ずるな。我も仕掛けさせてもらうまで」
輪刀をくるりと回して先の手“発”を設置する。
決して広くはない檻の内だが、何か策でもあるのだろう。
それを知ってか知らずか、武蔵は仕掛けた檻によじ登り、中目掛け高くジャンプする。
「おれさま、空を飛ぶ!」
そのまま懐のどこからか石やらザビー教団で見たような野菜やら人形やらを取り出して、元就へ向け投げ飛ばす。
「すげえ…あいつ落ちながら戦ってやがる」
元親は流れ弾に当たらぬよう巧く柵に隠れながらそれをやりすごす。
その脚力もそうだが、鉄砲のような凄まじい速さと破壊力の石礫も恐ろしい。
それが元就へ雨のように降りかかる。“壁”で防ぎ、“発”で砂を巻き上げ一瞬、姿を眩ます。
その一瞬で白銀にきらめく輪刀を掲げ、日輪を照覧させた。
「…日輪に捧げ奉らん」
「うおっまぶしっ! …なーんてうっそー!」
武蔵が振りかぶる。一撃目の鉄パイプがまだ掲げたままの輪刀を引っ掛けて払い飛ばし、攻撃目的の二撃目を元就は辛うじて躱す。
が、柵が背に当たる感触がして、その強烈な一撃が掠ってしまうことを覚悟した。
「不覚…!」
だが、バットが元就の体を抉ることはなかった。
かわりに釘バットの先が戦装束に引っ掛かり、元就の体ごと引っ張られる。
勢いと力が相俟って布が裂かれる音がした。
装束、それにさらしが散り、締めつけられていた小振りな乳房が外気に晒された。
「…女?」
武蔵の疑問符に、元就はその胸を隠すこともなく堂々と振る舞った。
「…だからどうした。罠はこれだけではないぞ」
途端、伏兵戦術を台無しにして、まだこの戦いに参加していない捨て駒たちから白旗があがった。
顔面、もとい鼻から出血している者がいれば、股間を押さえ痙攣しているものもいる。
「使えぬ者どもめ。…まあよい」
運の良いことに、輪刀はあまり遠くへは飛んでいない。手を伸ばせば何とかなる範囲だ。
それよりも、先ほどまで策を殴り付けていた元親がはるか後方から叫んでいる。
「…毛利! ちーと辛抱しろよ!」
捨て駒に持たせておいたつづらから暗色の何かを取り出している。
それ以上のことは視界の範囲外で見えない。
ちらと武蔵を横目で伺えば、心なしか手をわきわきさせながらにじり寄って来た。
「なっ!」
勢いよく飛び掛かってくると砂浜へ押し倒し、俗に言うウンコ座りで元就の動きを封じてマウントポジションで元就の胸を掴んでくる。
「やべ、気持ちいい…」
「っく、…寄るな、触れるな、離れろ…」
「てめぇ! なに揉んでやがる! 今すぐこの柵をどけやがれ!」
元親はこの時程檻の中の獣が羨まし…恨めしいと思ったことはない。
「いーじゃん減るもんじゃないし」
緩んだ口から垂れる涎を拭いもせず、胸を揉みしだく手は止めない。
元就がその手を剥がそうと、その体を押し退けようと抵抗を試みるも細い腕では馬鹿力に敵わない。
「くっ…う…!」
強く握られ、痛みに顔をしかめる。元親に助けを求めるのは元就の矜持が許さない。動きが封じられているのは胸だけだ。
気付かれぬ程度、ほんの少しずつ体をずらしていく。弾かれた輪刀に指先が届くまであと数寸。