幸い噂に違いなく、南蛮宗教の本拠地ザビー城は悪趣味かつお宝に溢れていた。
「ヒャッホゥ!」
「アニキー!」
以前木機を奪い取った奴らをぶちのめし、意気揚々と引き上げにかかる。
その最中に奴は現れた。
「ザビー様……」
緑色のモヤシルエット。でっかい輪っか。
「どうぅわあああああああぁぁぁ!でたぁぁぁあああああぁぁぁぁっ!」
腹の底から叫んだ。
豊臣とやり合っているはずの毛利が、どうして九州なんかにいるのか。
「……騒ぐでない。今は愛について考える時間ぞ」
細い姿が一歩元親に近づく。コツン、という小さな足音が反響する。
そしてもう一歩。ザビー柄ステンドグラス越しの光を受け、小作りな顔が笑んでいた。
オクラみたいな兜が、なぜか黄金色の長でかい坊主頭巾にかわっていた。
しかも大きさが明らかに合っていないらしく、目元まで落ちてくるのを片手で押さえていた。
「長曾我部元親……久方ぶり、と言うには早い再会か」
「よう……相変わらずつめてぇ目、しやがって……」
とりあえず絶叫を流してくれたのを幸い、重心を僅かに移動させ、距離を取る。
「何を言う。我は以前の我とは違う。今の我が名はサンデー毛利、愛にめざめし者ぞ」
何だそりゃ。つっこみかかる言葉を出さずに、左へ一歩。
「長曾我部、先日は色々と含蓄深い言葉を聞いた。今日は我が愛を受け取るが良い!」
恨みが籠もったような台詞に、淡々とした口調。
「お断りだっ」
流れる輪刀の一撃、それとも唐突な爆発を覚悟したが、それは起こらなかった。
視線の先、輪刀を構えたとたんに坊主頭巾がすぽん、とずり落ちて毛利の顔にはまっていた。
「ばかな!計算していないぞ!」
「いや、なんつーか……なあ?外せば?」
とりあえず助言すると、毛利はぐいぐいと坊主頭巾を後ろにやった。
「ふん。我が友からの防具、愛に生きる我が外すと思うか?」
頭巾と兜なら、どう考えても兜の方が防御力上じゃん。
のど元まで出かかった言葉を飲み込み、元親は距離を取った。
宝はもう頂いた。あとはさっさとズラかるだけ、だ。
時間は稼ぐ、さっさと行け、と目配せすると、
長曾我部のつづら兵小判兵が兵卒に囲まれ脱出しはじめる。
「雪辱、させてもらうぜ毛利ぃっ」
一気に踏み込んで放った蹴りを、ふわりと後方へ飛んで避ける。
続く碇槍の一撃を、毛利は派手にコケて避けた。
またも坊主頭巾がずり落ちたのだ。
「くっ……不覚!」
「いや、く、じゃねえ」
もの凄くやる気が削がれる。
結構痛そうなコケ方をした毛利は、幾分よろめきつつ起きあがった。
どうにもほそっこいせいか、感動的に打たれ弱い。
だが坊主頭巾の下の面は氷のように冷え込んだまま、焦りなど一片も見せずに輪刀を構え……よろけた。
どうやらコケざま、足首をひねったらしい。
踵のある靴なんか履くからだろ、とは思うが、どうにもコレをたたきのめすのは後味が悪い。
「俺が虐めてるみたいじゃねえか……なあ、毛利。
そのザマじゃ勝てねえだろ?降伏したらどうだぁ?」
「貴……貴様の蹂躙、許すまいぞ……来い!我が駒達よ!」
片足を引きずった毛利が片手をあげる。
「はっは!ザコなんざいくら来ようが、鬼に勝てるわけが……」
『アニキィィィィーッ!』
笑いが喉の奥で消えた。現れたのは、厳島で散ったはずの、長曾我部軍の者達だった。
一様に泣き出しそうな顔で、元親にむけ刀を構えていた。
「アニキ……」
「野郎、ども……?生きてたんだな……」
刃を向けられていることよりも、元親にとってはそちらの方が遙かに重要だ。
構えた槍の穂先が我知らず下りる。
「ヒャッホゥ!」
「アニキー!」
以前木機を奪い取った奴らをぶちのめし、意気揚々と引き上げにかかる。
その最中に奴は現れた。
「ザビー様……」
緑色のモヤシルエット。でっかい輪っか。
「どうぅわあああああああぁぁぁ!でたぁぁぁあああああぁぁぁぁっ!」
腹の底から叫んだ。
豊臣とやり合っているはずの毛利が、どうして九州なんかにいるのか。
「……騒ぐでない。今は愛について考える時間ぞ」
細い姿が一歩元親に近づく。コツン、という小さな足音が反響する。
そしてもう一歩。ザビー柄ステンドグラス越しの光を受け、小作りな顔が笑んでいた。
オクラみたいな兜が、なぜか黄金色の長でかい坊主頭巾にかわっていた。
しかも大きさが明らかに合っていないらしく、目元まで落ちてくるのを片手で押さえていた。
「長曾我部元親……久方ぶり、と言うには早い再会か」
「よう……相変わらずつめてぇ目、しやがって……」
とりあえず絶叫を流してくれたのを幸い、重心を僅かに移動させ、距離を取る。
「何を言う。我は以前の我とは違う。今の我が名はサンデー毛利、愛にめざめし者ぞ」
何だそりゃ。つっこみかかる言葉を出さずに、左へ一歩。
「長曾我部、先日は色々と含蓄深い言葉を聞いた。今日は我が愛を受け取るが良い!」
恨みが籠もったような台詞に、淡々とした口調。
「お断りだっ」
流れる輪刀の一撃、それとも唐突な爆発を覚悟したが、それは起こらなかった。
視線の先、輪刀を構えたとたんに坊主頭巾がすぽん、とずり落ちて毛利の顔にはまっていた。
「ばかな!計算していないぞ!」
「いや、なんつーか……なあ?外せば?」
とりあえず助言すると、毛利はぐいぐいと坊主頭巾を後ろにやった。
「ふん。我が友からの防具、愛に生きる我が外すと思うか?」
頭巾と兜なら、どう考えても兜の方が防御力上じゃん。
のど元まで出かかった言葉を飲み込み、元親は距離を取った。
宝はもう頂いた。あとはさっさとズラかるだけ、だ。
時間は稼ぐ、さっさと行け、と目配せすると、
長曾我部のつづら兵小判兵が兵卒に囲まれ脱出しはじめる。
「雪辱、させてもらうぜ毛利ぃっ」
一気に踏み込んで放った蹴りを、ふわりと後方へ飛んで避ける。
続く碇槍の一撃を、毛利は派手にコケて避けた。
またも坊主頭巾がずり落ちたのだ。
「くっ……不覚!」
「いや、く、じゃねえ」
もの凄くやる気が削がれる。
結構痛そうなコケ方をした毛利は、幾分よろめきつつ起きあがった。
どうにもほそっこいせいか、感動的に打たれ弱い。
だが坊主頭巾の下の面は氷のように冷え込んだまま、焦りなど一片も見せずに輪刀を構え……よろけた。
どうやらコケざま、足首をひねったらしい。
踵のある靴なんか履くからだろ、とは思うが、どうにもコレをたたきのめすのは後味が悪い。
「俺が虐めてるみたいじゃねえか……なあ、毛利。
そのザマじゃ勝てねえだろ?降伏したらどうだぁ?」
「貴……貴様の蹂躙、許すまいぞ……来い!我が駒達よ!」
片足を引きずった毛利が片手をあげる。
「はっは!ザコなんざいくら来ようが、鬼に勝てるわけが……」
『アニキィィィィーッ!』
笑いが喉の奥で消えた。現れたのは、厳島で散ったはずの、長曾我部軍の者達だった。
一様に泣き出しそうな顔で、元親にむけ刀を構えていた。
「アニキ……」
「野郎、ども……?生きてたんだな……」
刃を向けられていることよりも、元親にとってはそちらの方が遙かに重要だ。
構えた槍の穂先が我知らず下りる。




