焦れて八つ当たるような声を漏らすと、政宗はますます満足げに笑った。
「アンタが全力でオレを止めるなら止まるさ、やってみたばっかりだろ?」
「……うう」
喉奥で唸ってにらみ据える。
「嫌われたかねぇしな?」
「き、嫌うとは一言も言っては……」
怖じて背を反らすが、布団に大した広さがあるわけもない。あっさり引き離したぶんの距離が詰まる。
「Right!つーかな、何でオレばっか惚れてんだよ、そっちも何か言え」
そんな事を言われても、幸村はこうした場合の常套句などしらない。
乞われて絵物語を妹に読み聞かせたことくらいはあったが、恋物語は避けてきた。
「う、うー……ぉ……」
早口に小さく言いおわすと、政宗は聞こえなかったかわざとか、
「なんだ?」
と笑った。からかわれているようで腹が立つ。
「お、おし、ぉぉぉぉぉお慕いして!おり申す!」
叫ぶように言って一つどついた。
「何でそのっくらいの言葉でそんなに追い詰められた顔するんだよ、ったく……可愛いな」
頭を撫でてくるのは褒美のつもりか。
「そのくらい!?」
噛みついたが嬉しげな目に阻まれそれ以上は何も言えない。
「もっとDeepに愛を語ってくれてもいいんじゃねぇか?」
「ああああぃ………!」
愕然とする間に骨張った手がつっと夜着の上から背筋をたどった。
反射的に体が逃げ、当然の事ながら政宗の胸にぶつかる。
「ふぁぅっ」
逃げを打ったことは解っているだろうに、政宗の指先は休まず背を、脇腹のあたりを、肩口をつっと辿っていく。
ただそれだけで体が焦れて熱を帯びて、体を丸め、胸板に顔を埋め必死で堪えた。
「……ったく、このオレが全部、一から教え込んでたんだぜ?それをなぁ……」
「ぅんっ、ふっ……」
肩口で踊る指がうなじをつまむ。
「こういう悔しさは、あんたにゃわからねぇのか?」
ちっとも悔しくなさそうな声、楽しげな声で。だが不満そうな口ぶりで。
「や、っ、あまり……ら、されるな、某、からだが、まさむ……」
もう予感などと言うものではない。体中に甘い熱が滲んで潤んで、大変なことになっている。
戯れめいた言葉を交わしていられるものではない。
気合いがそげ落ちた今、そこに政宗がいると言うだけで、ただの気配だけでも体は反応していく。
どうしたらいいのかと狼狽える。
だが何故なのか、思考は熱にとろけていかない。
この熱さに溺れ恥ずかしさを忘れ、確かな思考を放り出してしまえば楽だと知っているのに。
惑乱する幸村の太腿の内側に指先がたどり着く。
「ぁっ」
喉奥で細い声が漏れて、足が逃げる、開く、背がそれる。―――何たるざまか。無防備極まりない。
ヒュ、と政宗が口笛を吹く。
「うー………」
自分は唸ってばかりだ。恥ずかしくてたまらない。逃げたいが逃げられない。
せめて体を捩って顔を背け、寝具に思い切り埋め込んだ。
「怒るな、幸村」
「怒ってなど!」
「ならこっち向け、でないと背中からやっちまうぜ?」
は?と首をかしげる前にのしかかられ抱きすくめられた。
肩口に吐息。思わず背を反らし肩をすくめれば、待っていたかのように手のひらが腹を撫でる。
丸めようとすれば胸に回りかけていた手に体を押しつけた。
「にゃぁぁぁっ」
指がぶつかった勢いで沈み込む。痛むから、と触らないでいてくれるように懇願し続けていた。
隙を窺われ何度もそっと撫でられはしたが、こんな風につぶれるような状況を許したことはない。
「おいおい、どこの獣の仔だ……」
だから、痛みが遙か遠い、甘く痺れるような感覚を知らない。
政宗もすぐに察した様子で不意に揉みしだきはじめた。
「ぁぅっ、ま、お待ちっ、っ!」
背中越し、首筋を強く吸われる。
「Ha!もう止まれるか」
もう聞き慣れた閨の声。情欲に掠れた声音。体の外側からでなく、耳に滑り込んで内側から火を付ける声。
必死で胸ばかりに執着する腕に手をかけたが、もう、本当に力が入らない。
「ゃ――――」
せめて気強く制止の言葉を投げようとしたが、喉奥からこぼれ落ちたのは甘すぎる弱い声音一つきりだった。
もう、政宗だけではない。
幸村自身が止まれないところまで来ているのだと、やっと悟って体の命じるまま力を抜いた。
政宗が喉奥で笑い、幸村の体を反転させて鎖骨の辺りに顔を埋めた。
そこが弱いのだと、政宗はとうの昔に知っているのだ。子犬のような声が漏れる。
「ま、さ……くぅぅぅ……うぅぅん」
政宗は応える風情ひとつ見せずに乳房を持ち上げるようにして、先端を口に含んでいた。
もう、どうにも堪えようがない。
腕をどうにか伸ばし、政宗の頭を押しやろうとするが、指先はその髪をかき乱すだけ、何の役にも立たない。
「アンタが全力でオレを止めるなら止まるさ、やってみたばっかりだろ?」
「……うう」
喉奥で唸ってにらみ据える。
「嫌われたかねぇしな?」
「き、嫌うとは一言も言っては……」
怖じて背を反らすが、布団に大した広さがあるわけもない。あっさり引き離したぶんの距離が詰まる。
「Right!つーかな、何でオレばっか惚れてんだよ、そっちも何か言え」
そんな事を言われても、幸村はこうした場合の常套句などしらない。
乞われて絵物語を妹に読み聞かせたことくらいはあったが、恋物語は避けてきた。
「う、うー……ぉ……」
早口に小さく言いおわすと、政宗は聞こえなかったかわざとか、
「なんだ?」
と笑った。からかわれているようで腹が立つ。
「お、おし、ぉぉぉぉぉお慕いして!おり申す!」
叫ぶように言って一つどついた。
「何でそのっくらいの言葉でそんなに追い詰められた顔するんだよ、ったく……可愛いな」
頭を撫でてくるのは褒美のつもりか。
「そのくらい!?」
噛みついたが嬉しげな目に阻まれそれ以上は何も言えない。
「もっとDeepに愛を語ってくれてもいいんじゃねぇか?」
「ああああぃ………!」
愕然とする間に骨張った手がつっと夜着の上から背筋をたどった。
反射的に体が逃げ、当然の事ながら政宗の胸にぶつかる。
「ふぁぅっ」
逃げを打ったことは解っているだろうに、政宗の指先は休まず背を、脇腹のあたりを、肩口をつっと辿っていく。
ただそれだけで体が焦れて熱を帯びて、体を丸め、胸板に顔を埋め必死で堪えた。
「……ったく、このオレが全部、一から教え込んでたんだぜ?それをなぁ……」
「ぅんっ、ふっ……」
肩口で踊る指がうなじをつまむ。
「こういう悔しさは、あんたにゃわからねぇのか?」
ちっとも悔しくなさそうな声、楽しげな声で。だが不満そうな口ぶりで。
「や、っ、あまり……ら、されるな、某、からだが、まさむ……」
もう予感などと言うものではない。体中に甘い熱が滲んで潤んで、大変なことになっている。
戯れめいた言葉を交わしていられるものではない。
気合いがそげ落ちた今、そこに政宗がいると言うだけで、ただの気配だけでも体は反応していく。
どうしたらいいのかと狼狽える。
だが何故なのか、思考は熱にとろけていかない。
この熱さに溺れ恥ずかしさを忘れ、確かな思考を放り出してしまえば楽だと知っているのに。
惑乱する幸村の太腿の内側に指先がたどり着く。
「ぁっ」
喉奥で細い声が漏れて、足が逃げる、開く、背がそれる。―――何たるざまか。無防備極まりない。
ヒュ、と政宗が口笛を吹く。
「うー………」
自分は唸ってばかりだ。恥ずかしくてたまらない。逃げたいが逃げられない。
せめて体を捩って顔を背け、寝具に思い切り埋め込んだ。
「怒るな、幸村」
「怒ってなど!」
「ならこっち向け、でないと背中からやっちまうぜ?」
は?と首をかしげる前にのしかかられ抱きすくめられた。
肩口に吐息。思わず背を反らし肩をすくめれば、待っていたかのように手のひらが腹を撫でる。
丸めようとすれば胸に回りかけていた手に体を押しつけた。
「にゃぁぁぁっ」
指がぶつかった勢いで沈み込む。痛むから、と触らないでいてくれるように懇願し続けていた。
隙を窺われ何度もそっと撫でられはしたが、こんな風につぶれるような状況を許したことはない。
「おいおい、どこの獣の仔だ……」
だから、痛みが遙か遠い、甘く痺れるような感覚を知らない。
政宗もすぐに察した様子で不意に揉みしだきはじめた。
「ぁぅっ、ま、お待ちっ、っ!」
背中越し、首筋を強く吸われる。
「Ha!もう止まれるか」
もう聞き慣れた閨の声。情欲に掠れた声音。体の外側からでなく、耳に滑り込んで内側から火を付ける声。
必死で胸ばかりに執着する腕に手をかけたが、もう、本当に力が入らない。
「ゃ――――」
せめて気強く制止の言葉を投げようとしたが、喉奥からこぼれ落ちたのは甘すぎる弱い声音一つきりだった。
もう、政宗だけではない。
幸村自身が止まれないところまで来ているのだと、やっと悟って体の命じるまま力を抜いた。
政宗が喉奥で笑い、幸村の体を反転させて鎖骨の辺りに顔を埋めた。
そこが弱いのだと、政宗はとうの昔に知っているのだ。子犬のような声が漏れる。
「ま、さ……くぅぅぅ……うぅぅん」
政宗は応える風情ひとつ見せずに乳房を持ち上げるようにして、先端を口に含んでいた。
もう、どうにも堪えようがない。
腕をどうにか伸ばし、政宗の頭を押しやろうとするが、指先はその髪をかき乱すだけ、何の役にも立たない。




