「了解致した!」
きっちりと頭を下げて弾かれるように走り出した。いちいち走らなくてもいいというのに。
畳が痛むとか行儀がどうこうとか小十郎がぶつくさ言い出すだろうが。
もっとも、小十郎にどうにか出来る程度の女ではないが。
「……正直毛利と事構えようが、ぶった斬ってやると思ったがな。幸村が取りなしたからな…いい」
腹は立つが。ほぁ?と元親が髪をかいていぶかしそうな顔をした。
「そいつぁ有り難ぇが、何で政宗の嫁さんが取りなすんだ?」
この違和感。このアホ……本気で手当たり次第か。
「幸村に理屈なんかねぇよ、ただ嫌だったんだろ」
理由があるならば、止まらなかったかと思う。
今毛利と事を構えるなだとか、そんな計算の上に立った我慢など似合わないし、させない。
「へー。すげー、あの元就でも友達できんだな」
異様に複雑な言葉に口元をゆがめると、元親はあっさりと仲良さそうじゃねぇかよと言い切った。
あまり予想はしていなかった。
あんまり変な友達作るな幸村。
元親と仲良くなるかという予想ならしていたが、今のところあまり関心もないらしい。
ケリ一発で沈んだせいで、そう強くないという烙印でも押されたのか。
「そりゃそうだろ、家康程じゃねぇが、幸村は大概のヤツと仲良くなるぜ。
それより元親、てめ毛利なんかに肩入れするのか?」
ヤッたろ、と臭わせるとあっさり頷かれた。
「そりゃまあ、ああなったらほっとけねぇだろ。あいつが小十郎んとこ行っても複雑じゃねえか、政宗ん家」
この口ぶり、やはり訳の分からない技を知っている風。否。
毛利自身が”放って置きようがない”状況になったと言っている。
「あれぁ何なんだ?」
「ああ、アレ?しらねぇ。元就の考えてることなんざ解りっこねえだろ?」
このどうしようもない無警戒ぶり。本当にこいつ毛利に捕まるな、と思った。
つい昨日まで距離を取りまくっていた癖に、警戒を忘れ、かばい、名前で呼ぶ。
まあいいか、と思った。そのくらい自分で何とかしろ。
そのアホは少し困ったように続けた。
「ホント悪いな、政宗。元就はなんつーか、色々解ってねーみてぇなんだ。
別にお前の嫁さん貶めてぇとか、そんなじゃないって思うぜ」
「hunm」
鼻で息を吐き出すと、元親は困った風に眉を寄せる。
「なんつーかなあ。ぽろぽろ落ちる椿の花全部叩き落として、でも他の木には花あるし、
来年になりゃあまた咲くだろとか、心の底から思ってるような、な。あいつすげー基本のとこが変なヤツなんだ」
困った声音、それは憎んだ声でも忌避した声でもない。こいつまた同情しやがったな、と政宗は見当を付けた。
元々この海賊はアホで、女斬るのはおろか、ぶん殴るのも躊躇う質だ。
戦場で武装し、向かってくるなら男も女もない、敵でしかない。
なら迎え撃つだけだし、それが優れていれば男でも女でもRivalとも認める、敵ながら尊敬もしよう。
来る場所を間違ったようなバカなら叩き斬る。
だがこいつは、たかだか女だと言うだけで、それを可哀想じゃねえかとか戯言ほざくのだ。
アホだ。
「どう思って仕掛けたかなんて関係あるか?ガキの火遊びだって火事を引き起こす事だってあるんだ、」
そこで政宗はチ、と言葉を切った。
幸村の言葉をいれたのだ。この件を愚痴るのも怒るのも無しだろう。
「……つーか何で小十郎だ」
一気に話を変えると、ああ、と元親が頷いた。
「女にもてるだろ、アレぁ。マメじゃないだろうが、待ってる女にゃ事かかないっつーヤツだ、後腐れもないだろ」
「そりゃアンタだ元親、海に出た直後に女のこと忘れてんだろが」
「はっは!海に出て陸のこと引きずってちゃあ海神に嫌われちまうぜぇ?」
政宗も釣られて笑った。
「ha!オレは海に出ねーよ、出たって引きずり倒してやるぜ」
きっちりと頭を下げて弾かれるように走り出した。いちいち走らなくてもいいというのに。
畳が痛むとか行儀がどうこうとか小十郎がぶつくさ言い出すだろうが。
もっとも、小十郎にどうにか出来る程度の女ではないが。
「……正直毛利と事構えようが、ぶった斬ってやると思ったがな。幸村が取りなしたからな…いい」
腹は立つが。ほぁ?と元親が髪をかいていぶかしそうな顔をした。
「そいつぁ有り難ぇが、何で政宗の嫁さんが取りなすんだ?」
この違和感。このアホ……本気で手当たり次第か。
「幸村に理屈なんかねぇよ、ただ嫌だったんだろ」
理由があるならば、止まらなかったかと思う。
今毛利と事を構えるなだとか、そんな計算の上に立った我慢など似合わないし、させない。
「へー。すげー、あの元就でも友達できんだな」
異様に複雑な言葉に口元をゆがめると、元親はあっさりと仲良さそうじゃねぇかよと言い切った。
あまり予想はしていなかった。
あんまり変な友達作るな幸村。
元親と仲良くなるかという予想ならしていたが、今のところあまり関心もないらしい。
ケリ一発で沈んだせいで、そう強くないという烙印でも押されたのか。
「そりゃそうだろ、家康程じゃねぇが、幸村は大概のヤツと仲良くなるぜ。
それより元親、てめ毛利なんかに肩入れするのか?」
ヤッたろ、と臭わせるとあっさり頷かれた。
「そりゃまあ、ああなったらほっとけねぇだろ。あいつが小十郎んとこ行っても複雑じゃねえか、政宗ん家」
この口ぶり、やはり訳の分からない技を知っている風。否。
毛利自身が”放って置きようがない”状況になったと言っている。
「あれぁ何なんだ?」
「ああ、アレ?しらねぇ。元就の考えてることなんざ解りっこねえだろ?」
このどうしようもない無警戒ぶり。本当にこいつ毛利に捕まるな、と思った。
つい昨日まで距離を取りまくっていた癖に、警戒を忘れ、かばい、名前で呼ぶ。
まあいいか、と思った。そのくらい自分で何とかしろ。
そのアホは少し困ったように続けた。
「ホント悪いな、政宗。元就はなんつーか、色々解ってねーみてぇなんだ。
別にお前の嫁さん貶めてぇとか、そんなじゃないって思うぜ」
「hunm」
鼻で息を吐き出すと、元親は困った風に眉を寄せる。
「なんつーかなあ。ぽろぽろ落ちる椿の花全部叩き落として、でも他の木には花あるし、
来年になりゃあまた咲くだろとか、心の底から思ってるような、な。あいつすげー基本のとこが変なヤツなんだ」
困った声音、それは憎んだ声でも忌避した声でもない。こいつまた同情しやがったな、と政宗は見当を付けた。
元々この海賊はアホで、女斬るのはおろか、ぶん殴るのも躊躇う質だ。
戦場で武装し、向かってくるなら男も女もない、敵でしかない。
なら迎え撃つだけだし、それが優れていれば男でも女でもRivalとも認める、敵ながら尊敬もしよう。
来る場所を間違ったようなバカなら叩き斬る。
だがこいつは、たかだか女だと言うだけで、それを可哀想じゃねえかとか戯言ほざくのだ。
アホだ。
「どう思って仕掛けたかなんて関係あるか?ガキの火遊びだって火事を引き起こす事だってあるんだ、」
そこで政宗はチ、と言葉を切った。
幸村の言葉をいれたのだ。この件を愚痴るのも怒るのも無しだろう。
「……つーか何で小十郎だ」
一気に話を変えると、ああ、と元親が頷いた。
「女にもてるだろ、アレぁ。マメじゃないだろうが、待ってる女にゃ事かかないっつーヤツだ、後腐れもないだろ」
「そりゃアンタだ元親、海に出た直後に女のこと忘れてんだろが」
「はっは!海に出て陸のこと引きずってちゃあ海神に嫌われちまうぜぇ?」
政宗も釣られて笑った。
「ha!オレは海に出ねーよ、出たって引きずり倒してやるぜ」




