ことの次第を聞いた信玄が、屋敷を震わせるほどの大笑いをするのに、それほど時間はかからなかった。
「そうかそうか。幸村に求婚があったか。おなごの方から申し込まれるとは、幸村も立派になったものよ」
「笑いごとじゃないですよ大将ー。俺どうやって断ったらいいんですか」
「本当のことを申せばよかろう」
「あなたが求婚した殿方は実は姫君なのでお受け出来ませんとでも言うんですか」
「笑いごとじゃないですよ大将ー。俺どうやって断ったらいいんですか」
「本当のことを申せばよかろう」
「あなたが求婚した殿方は実は姫君なのでお受け出来ませんとでも言うんですか」
妙な沈黙が流れた。
「……それは流石にのう」
「先方の面子丸つぶれですよ」
「先方の面子丸つぶれですよ」
はあ。とため息が重なった。
とかく佐助は、幸村直属となってからは圧倒的にため息の数が多くなっている。
とかく佐助は、幸村直属となってからは圧倒的にため息の数が多くなっている。
「大体ですね、なんであの人が世間的に男で通ってるかって、そもそもは大将が男名をあげたからでしょう!」
「何を言うか。そもそもあれは幸村がどうしてもと望んだことじゃ」
「……なんでまた」
「いやの。家を継ぐからには、おなごで生きるわけには参らぬと」
「……言いそうな話ですね」
「何を言うか。そもそもあれは幸村がどうしてもと望んだことじゃ」
「……なんでまた」
「いやの。家を継ぐからには、おなごで生きるわけには参らぬと」
「……言いそうな話ですね」
がく、と力が抜けた。
それであの、そこらの男よりもよほど男らしい姫君が出来上がったわけだ。
それであの、そこらの男よりもよほど男らしい姫君が出来上がったわけだ。
「とりあえず、どうにかして断りますけど、今後どうするんですか」
きっとまた来ますよ。と加えて言えば、ふむ。と思案に落ちた。
きっとまた来ますよ。と加えて言えば、ふむ。と思案に落ちた。
姫君であると流布出来ればいいのであろうが、幸村が許さないであろうし、何より信用されないだろう。
真田幸村の名は、武芸に秀でた武将として、とてつもなく有名である。
今更姫だと言われて、本気にする者がどれほどいることか。
真田幸村の名は、武芸に秀でた武将として、とてつもなく有名である。
今更姫だと言われて、本気にする者がどれほどいることか。
「婿でも取ればのう」
「……姫様いわく」
「幸村いわく?」
「……姫様いわく」
「幸村いわく?」
「む、むむ婿!佐助、破廉恥であるぞ!!」
「いやいや。例えばの話でしょー。大体結婚しないでどうやって真田の血を残すつもりなのさ」
突っ込んだところを聞けば、むむむ、と黙り込んでしまった。
どうやら、求婚の文は理解出来ずとも、そのくらいはきちんと分かっているらしい。
子供の作り方を知らないかもしれないという不安は、この際華麗に無視しておく。
「む、婿に望むならば……」
「望むならば?」
「そうだな、お館様のようにお強く、お館様のように懐が深く、お館様のように……」
「いやいや。例えばの話でしょー。大体結婚しないでどうやって真田の血を残すつもりなのさ」
突っ込んだところを聞けば、むむむ、と黙り込んでしまった。
どうやら、求婚の文は理解出来ずとも、そのくらいはきちんと分かっているらしい。
子供の作り方を知らないかもしれないという不安は、この際華麗に無視しておく。
「む、婿に望むならば……」
「望むならば?」
「そうだな、お館様のようにお強く、お館様のように懐が深く、お館様のように……」
「と、大将自慢を軽く一刻ばかり聞かされたので、大将責任もって嫁にしたらどうです」
「わしとしては構わぬが、昌幸の娘に手を出したら化けて出られそうでのう」
「わしとしては構わぬが、昌幸の娘に手を出したら化けて出られそうでのう」
話は遅々として進まないまま、月が天高く輝いていた。
幸村が恋をするのは、これより数ヶ月先のこととなる。




