すぐに姿見せないなんて、ちょっと性格悪くなった? 佐助は、くすくすと小さく笑いながら今再び空を見上げた。
相変わらずの真っ暗闇。
さて、どうしようか? 笑いを収めながら考える。
このまま待っているのもいいけれど、焦らされるのは正直趣味じゃない。
大声で名前呼んでやればいくらなんでも出てくるかね、とそこまで考えたところで、佐助はもっといい事を思いついた。
…………これだったら、いくらなんでも出てくる、よね、多分?
思い立ったが吉日だ。佐助は、すぅと息を吸い込み、
相変わらずの真っ暗闇。
さて、どうしようか? 笑いを収めながら考える。
このまま待っているのもいいけれど、焦らされるのは正直趣味じゃない。
大声で名前呼んでやればいくらなんでも出てくるかね、とそこまで考えたところで、佐助はもっといい事を思いついた。
…………これだったら、いくらなんでも出てくる、よね、多分?
思い立ったが吉日だ。佐助は、すぅと息を吸い込み、
「早く出てこないとー…大変なことになっちゃうよー?」
謳う様な口ぶりで、楽しそうに告げて、それから、
とっ、と軽い音と共に、木の上から飛び降りた。
とっ、と軽い音と共に、木の上から飛び降りた。
そのまま佐助は全身の力を抜いた。着地どころか受身の体勢すら取らない。
このまま落下すれば、確実に、背中からもろに地面へ激突する。
といってもその地面には柔らかい木の葉と腐葉土が敷き詰められている。
それらが緩衝材となってさすがに死にはしないだろうが、それでも、骨の一本や二本は覚悟しなければならないだろう。
耳のすぐ傍で、空気の割れる音が聞こえる。
佐助は、己の体を闇に委ねるように、ゆっくりと目を閉じた。
このまま落下すれば、確実に、背中からもろに地面へ激突する。
といってもその地面には柔らかい木の葉と腐葉土が敷き詰められている。
それらが緩衝材となってさすがに死にはしないだろうが、それでも、骨の一本や二本は覚悟しなければならないだろう。
耳のすぐ傍で、空気の割れる音が聞こえる。
佐助は、己の体を闇に委ねるように、ゆっくりと目を閉じた。
その瞬間、「風」が吹いた。肌を切り裂きそうなほど、鋭い「風」が。
「風」に包まれる感触に、佐助は閉じていた目をゆっくりと開ける。
やや色素の薄い赤茶の眼が、「風」の姿を映しだすと、佐助の口元が楽しそうな笑みを結んだ。
「……へへっ、やっぱり来た」
やっぱ、俺サマの事がそんだけ大事ってこと?
へらへらと笑う佐助に、けれど「風」は何も言わずにすとんと地面へ降り立った。
まあ、何も言わないのは今に始まったことではないけれど。
佐助は、「よっ」と小さな声と共に、その腕の隙間からするりと抜け出して地に足をつけた。
そして、振り返って改めて「風」を見た。
やや色素の薄い赤茶の眼が、「風」の姿を映しだすと、佐助の口元が楽しそうな笑みを結んだ。
「……へへっ、やっぱり来た」
やっぱ、俺サマの事がそんだけ大事ってこと?
へらへらと笑う佐助に、けれど「風」は何も言わずにすとんと地面へ降り立った。
まあ、何も言わないのは今に始まったことではないけれど。
佐助は、「よっ」と小さな声と共に、その腕の隙間からするりと抜け出して地に足をつけた。
そして、振り返って改めて「風」を見た。
「風」は即ち、忍。―――伝説の忍、風魔の小太郎その人だった。