「………ああ、用心に越したこたぁねえな。だがいつき、オレがいる。変な奴らには手を出させねぇさ」
「うん!ねえちゃんが言うなら、きっと大丈夫だべ!」
おい、その本気で嬉しそうな様子、まさかいつき、その年で危ない目にあったことが……
考えるのは止した。代わりに木板の覆いを落とされた窓の下を軽くKnockする。
「Hey,Guys?何の用だい?……妙なこと考えてんなら覚悟しな。竜の爪、その体で味わいてぇなら別だが……」
ずざざざ、とこけて這いずる音が聞こえる。
「そこの木の上にいる奴!てめえもだ聞こえてるんだろが!失せな!」
次に重そうな何かが堕ちる音がした。
背後でいつきが唖然としていた。
おずおずと政宗の腕を取り、引きつり気味に首を振る。
「あ、あのな、ねえちゃん……みんな、周りにいるだけで、何にもしてこねえから」
取りなす言葉にぞわっと鳥肌が立った。
「余計気色が悪いだろうが……なんだ?何も言わねえで、ただまとわりつくってか?あああああキメェ、
ヤベエ、いつきオレの側から離れるなよ?絶対離れるなよ?」
小さな体を抱き寄せて囁くと、いつきは素直に頷いて頭を預けた。
「うん、じゃあ姉ちゃんも、ずっとここにいてくれるだな?」
「Yes!ああ、離れやしねえよ、いつきにあの気持ちわりーのを近づける訳にゃいかねぇな!」
今は追い返すだけで済ませたが、次からはただじゃすまさねえ。
それからはあ、と溜息をついた。平和そうな農村にもいろいろあるらしい。
「ていうか……なあ、いつき、お前好きな奴居るのか?」
抱きよせたいつきを、そのまま布団の上まで運び寝かせながら尋ねる。
「ななな、何言うだ、おら恥ずかしいだよ!」
こっちは可愛くてたまらねえよ。身を竦めて頬染めて抗議するなよ。
「いや、好きな奴いるなら、そいつが守った方が、な……」
囲炉裏の火はゆるく燻っている。だが、ちゃちな造りの家ではすきま風が容赦なく忍び込んでいた。
この寒さでは人肌の暖かさがあった方がいい。そう思って腕の中にいつきを抱えるように、政宗も布団に潜り込んだ。
いつきも、面はゆげに政宗の胸にすり寄る。
甘える仕草が似合っていて、自分にはこんな頃って無かったよな、と暫し感慨にふけった。
なにやらすり寄った胸の大きさや弾力に驚いたように、小さな手でぱふぱふしてくるのも、
いつきの無邪気な驚き混じりにされれば微笑ましい気持ちになるだけだった。
置かれた状況の違いもあるが、かなりの嫌悪を覚えた幸村の手とは大違いだ。
「もう、大好きな姉ちゃんに守って貰ってるだよ」
いつきは最終的に胸に頬をよせ、満ち足りた風に目を閉じた。
「なかなか口が上手いじゃねえか。……そうだな、巫女じゃ、結婚はできねえか」
硬く編まれた髪は、解くと緩く波打った。さらさらの髪だ、明日までこの癖が残ることはないだろうが。
「まだ、あんまり考えたことねえ。……それより、姉ちゃんは?」
どこか気後れしながら、いつきが見つめてくる。
「オレはいねえよ、元から独り身通す気でいたしな」
でなければ良縁を独断で断るわけも、十九にもなって結婚もせずに居るわけもない。
だが、いつきは不安げに言葉を続けた。
「だって、あのワンコのおさむらいさん、姉ちゃんのこと好きなんだべ?」
ワンコ………
上田城の虜75/かんなびのさと20
「うん!ねえちゃんが言うなら、きっと大丈夫だべ!」
おい、その本気で嬉しそうな様子、まさかいつき、その年で危ない目にあったことが……
考えるのは止した。代わりに木板の覆いを落とされた窓の下を軽くKnockする。
「Hey,Guys?何の用だい?……妙なこと考えてんなら覚悟しな。竜の爪、その体で味わいてぇなら別だが……」
ずざざざ、とこけて這いずる音が聞こえる。
「そこの木の上にいる奴!てめえもだ聞こえてるんだろが!失せな!」
次に重そうな何かが堕ちる音がした。
背後でいつきが唖然としていた。
おずおずと政宗の腕を取り、引きつり気味に首を振る。
「あ、あのな、ねえちゃん……みんな、周りにいるだけで、何にもしてこねえから」
取りなす言葉にぞわっと鳥肌が立った。
「余計気色が悪いだろうが……なんだ?何も言わねえで、ただまとわりつくってか?あああああキメェ、
ヤベエ、いつきオレの側から離れるなよ?絶対離れるなよ?」
小さな体を抱き寄せて囁くと、いつきは素直に頷いて頭を預けた。
「うん、じゃあ姉ちゃんも、ずっとここにいてくれるだな?」
「Yes!ああ、離れやしねえよ、いつきにあの気持ちわりーのを近づける訳にゃいかねぇな!」
今は追い返すだけで済ませたが、次からはただじゃすまさねえ。
それからはあ、と溜息をついた。平和そうな農村にもいろいろあるらしい。
「ていうか……なあ、いつき、お前好きな奴居るのか?」
抱きよせたいつきを、そのまま布団の上まで運び寝かせながら尋ねる。
「ななな、何言うだ、おら恥ずかしいだよ!」
こっちは可愛くてたまらねえよ。身を竦めて頬染めて抗議するなよ。
「いや、好きな奴いるなら、そいつが守った方が、な……」
囲炉裏の火はゆるく燻っている。だが、ちゃちな造りの家ではすきま風が容赦なく忍び込んでいた。
この寒さでは人肌の暖かさがあった方がいい。そう思って腕の中にいつきを抱えるように、政宗も布団に潜り込んだ。
いつきも、面はゆげに政宗の胸にすり寄る。
甘える仕草が似合っていて、自分にはこんな頃って無かったよな、と暫し感慨にふけった。
なにやらすり寄った胸の大きさや弾力に驚いたように、小さな手でぱふぱふしてくるのも、
いつきの無邪気な驚き混じりにされれば微笑ましい気持ちになるだけだった。
置かれた状況の違いもあるが、かなりの嫌悪を覚えた幸村の手とは大違いだ。
「もう、大好きな姉ちゃんに守って貰ってるだよ」
いつきは最終的に胸に頬をよせ、満ち足りた風に目を閉じた。
「なかなか口が上手いじゃねえか。……そうだな、巫女じゃ、結婚はできねえか」
硬く編まれた髪は、解くと緩く波打った。さらさらの髪だ、明日までこの癖が残ることはないだろうが。
「まだ、あんまり考えたことねえ。……それより、姉ちゃんは?」
どこか気後れしながら、いつきが見つめてくる。
「オレはいねえよ、元から独り身通す気でいたしな」
でなければ良縁を独断で断るわけも、十九にもなって結婚もせずに居るわけもない。
だが、いつきは不安げに言葉を続けた。
「だって、あのワンコのおさむらいさん、姉ちゃんのこと好きなんだべ?」
ワンコ………
上田城の虜75/かんなびのさと20




