聞けば、倒れていた小十郎を運良く猿飛が見つけ、この陣まで運んだとの事だった。
政宗が生涯唯一の好敵手と認める赤い戦装束の少女は、小十郎に事の子細を問わず
ただ傷を手当てをし、去ろうとする小十郎に馬を与えた。
そして、次こそは決着を着けると政宗に伝えて欲しいと、幼気に微笑んだ。
松永の居場所は、傷の手当てを受けている間に
聞くともなしに聞かされた、猿飛の「世間話」から見当は付いた。
小十郎はただ二人の厚意に痛み入り、頭を下げた。
政宗が生涯唯一の好敵手と認める赤い戦装束の少女は、小十郎に事の子細を問わず
ただ傷を手当てをし、去ろうとする小十郎に馬を与えた。
そして、次こそは決着を着けると政宗に伝えて欲しいと、幼気に微笑んだ。
松永の居場所は、傷の手当てを受けている間に
聞くともなしに聞かされた、猿飛の「世間話」から見当は付いた。
小十郎はただ二人の厚意に痛み入り、頭を下げた。
それから真田の馬を駆り、この東大寺に至るまでの時間は、
小十郎にとって永遠に等しいものだった。
攫われた政宗が、今どのような目に遭っているのかと考えると
身を内側から刻まれるような焦燥に苛まれたが、次々に立ち塞がる松永の手勢が
幸か不幸か、小十郎に意気消沈する暇を与えてはくれなかった。
時に完全に怒りに身を任せ、常日頃では…特に政宗の前では絶対に見せないような
凶暴な戦い方で、小十郎はそれに応える。
このまま自分は正気を失ってしまうのでは無いかとひそかに恐れもしたが、
今はそれよりも、政宗をかどわかした松永への、
不覚を取った自分への怒りの方が勝った。
小十郎にとって永遠に等しいものだった。
攫われた政宗が、今どのような目に遭っているのかと考えると
身を内側から刻まれるような焦燥に苛まれたが、次々に立ち塞がる松永の手勢が
幸か不幸か、小十郎に意気消沈する暇を与えてはくれなかった。
時に完全に怒りに身を任せ、常日頃では…特に政宗の前では絶対に見せないような
凶暴な戦い方で、小十郎はそれに応える。
このまま自分は正気を失ってしまうのでは無いかとひそかに恐れもしたが、
今はそれよりも、政宗をかどわかした松永への、
不覚を取った自分への怒りの方が勝った。
そしてついに辿り着いた本殿に、憎むべき敵の姿を見付ける。
「ほう…まるで鬼さながらの様相。」
髪を振り乱し、夥しい返り血に塗れた小十郎の姿を興味深そうに眺め、
松永は悠然と小十郎に歩み寄る。
松永は悠然と小十郎に歩み寄る。
「だが卿の本来の姿は、それだろう?
…よく、似合って居るよ。」
…よく、似合って居るよ。」
それ以上松永の口上を聞く気は小十郎には無く、
裂帛の気合いと共に刃を振るった。
裂帛の気合いと共に刃を振るった。