』
ぱたり。
佐助は、無言で最後の行まで読みきって、無言でその冊子を閉じた。そのまま沈黙、一拍、二拍。
やがて無言のまま、自らの得物である巨大な手裏剣を構えて、
無言のまま、手にしていた冊子を放り投げ――――。
やがて無言のまま、自らの得物である巨大な手裏剣を構えて、
無言のまま、手にしていた冊子を放り投げ――――。
「――――お馬鹿さんっ!!!!」
問答無用の通常八連撃。
鮮やかに繰り出される攻撃、破られ蹴られ斬られ裂かれフィニッシュとばかりに
回転する手裏剣に細切れにされ、哀れ、鮮やかな表紙(そりゃあもう口に出して言えないほど
破廉恥なカラーイラストで飾られた表紙だ)のオフセット本は単なる紙吹雪となって宙を舞った。
次いで、
回転する手裏剣に細切れにされ、哀れ、鮮やかな表紙(そりゃあもう口に出して言えないほど
破廉恥なカラーイラストで飾られた表紙だ)のオフセット本は単なる紙吹雪となって宙を舞った。
次いで、
「ぎゃああああああああああああ俺のなけなしの小遣いがァあああああああああああ!!!!」
響くは断末魔の如き咆哮。
政宗である。
佐助によって縄でがっちりと縛られ(亀甲縛りとか言うやつだ)、毛虫のようにもだもだと地面の上でもがきながら、悲痛に泣き叫んでいる。そりゃもう男泣きも男泣き。滂沱の涙だ。
毛虫政宗の傍らでは、その家臣である小十郎が頭を抱えながらぐったりと項垂れていた。
その頬が心なしか赤いのは気のせいか。
小十郎は、ちらりと地を這う巨大毛虫を見遣ってから、目の端に浮かぶ涙を、そっと拭った。
政宗である。
佐助によって縄でがっちりと縛られ(亀甲縛りとか言うやつだ)、毛虫のようにもだもだと地面の上でもがきながら、悲痛に泣き叫んでいる。そりゃもう男泣きも男泣き。滂沱の涙だ。
毛虫政宗の傍らでは、その家臣である小十郎が頭を抱えながらぐったりと項垂れていた。
その頬が心なしか赤いのは気のせいか。
小十郎は、ちらりと地を這う巨大毛虫を見遣ってから、目の端に浮かぶ涙を、そっと拭った。
「小十郎は……貴方をそのように育てた覚えはありませぬぞっ……
民の血税を、なんという事に使って……っ!!」
「全くだよ! もう、何なのコレ!!!」
民の血税を、なんという事に使って……っ!!」
「全くだよ! もう、何なのコレ!!!」
たんっ! と舞い落ちてきた紙吹雪を足で踏みつけながら、佐助はぷんすかぷんぷん、
顔を真っ赤にして頭から湯気を立ち上らせながら、政宗をきっと睨みつけた。
辛うじて切り裂かれずに舞い降りてきたページを拾い上げて、小十郎は改めてそれに視線を落とした。
出てくるのは、自分と、恋仲の佐助。
内容は……うん、まあ、とてもとても声に出しては言えない様な卑猥でけしからん内容。
丁度そのページは真っ最中の場面で、小十郎は小苦い顔で、びりびりとページを千切り始めた。
顔を真っ赤にして頭から湯気を立ち上らせながら、政宗をきっと睨みつけた。
辛うじて切り裂かれずに舞い降りてきたページを拾い上げて、小十郎は改めてそれに視線を落とした。
出てくるのは、自分と、恋仲の佐助。
内容は……うん、まあ、とてもとても声に出しては言えない様な卑猥でけしからん内容。
丁度そのページは真っ最中の場面で、小十郎は小苦い顔で、びりびりとページを千切り始めた。
「ただの春本であれば、まだ許せたものを……っ」
「どーして、なんで! 俺と片倉さんなわけよ!!? しかも何コレすんごい破廉恥!!」
「いや……パンフに載っててつい」
「どーして、なんで! 俺と片倉さんなわけよ!!? しかも何コレすんごい破廉恥!!」
「いや……パンフに載っててつい」
パンフ、と示された冊子。佐助はそれをとりあえず手にとって、ページを捲った。
毛色の違うものもいくつかあるが、実際の戦国武将を題材にした春本が主に紹介されている。
しかもご丁寧に、武将毎に区別されて掲載されているようだった。
東国のお下げ少女に始まって、魔王の嫁に前田の肝っ玉母さん。
妹分に当たるくのいちのものもあって、佐助は少し目を逸らした。
他には華奢な出で立ちの西国領主、風魔忍軍、浅井の嫁……『暴走する根の国、淫欲に絡めとられた少女とその伴侶』とか言うのなんぞ、破廉恥な匂いがびしばしした。
しかしやっぱり、一際目を引いたのは、自分の名前だ。
毛色の違うものもいくつかあるが、実際の戦国武将を題材にした春本が主に紹介されている。
しかもご丁寧に、武将毎に区別されて掲載されているようだった。
東国のお下げ少女に始まって、魔王の嫁に前田の肝っ玉母さん。
妹分に当たるくのいちのものもあって、佐助は少し目を逸らした。
他には華奢な出で立ちの西国領主、風魔忍軍、浅井の嫁……『暴走する根の国、淫欲に絡めとられた少女とその伴侶』とか言うのなんぞ、破廉恥な匂いがびしばしした。
しかしやっぱり、一際目を引いたのは、自分の名前だ。