戦国BASARA/エロパロ保管庫

溺れる月3

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bsr_e

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取り返しがつかなくなる前にかすがは男の腕を擦り抜け身体を起こし、
寝間着を肩に羽織った。
「……ありゃりゃ」
頼りない月の光が滑り込み闇の中かすがの座る姿が朧に浮ぶ。
男が溜め息を吐いた。
「今夜こそ捕まえられると思ったのになぁ」
横になったまま頬杖をつきかすがの寝間着の袖をパタンパタンとひっくり返す。
子供染みた仕種を見ていると男と目が合った。
今夜まともに顔を見るのはこれが初めてだ。
その目は全てを達観した老人の様でもあり、駄々をこねて拗ねる子供の様でもある。
男の目には自分がどう映っているのだろう。
何故だか男が一瞬寂し気な笑顔を作った。
「ま、所詮月を捕まえようって方が野暮か」
男は起きて手早く身仕度を整える。
「んじゃ、またな」
かすがはいつも答えない。
一緒に居たい気持ちと主に対する後ろめたさが相俟って外方を向いたまま黙っている。
肩を竦めて「やれやれ」と呟くと物音一つ立てず男は去って行った。
残されたかすがは深呼吸をすると褥に顔から突っ伏し、暫くそのまま動かない。
後何回堕ちれば自分達は気が済むのだろう。
これから先何回主に秘密を作るのだろう。
何故いつ男が訪うか待ち遠しく感じるのだろう。
厭わしい――肌にも髪にも夜具にまで男の匂いが染み付いている。
雨音と暗闇に紛れてやって来る男も、それを拒めない自分も厭わしい。
でもあの痛みと泡沫の甘い夢に溺れるのは何物にも代え難い。
雨が降る夜は厭わしい。
月の無い夜が厭わしい。
厭わしさと期待を胸にかすがは次の雨の夜を待つ。
雨が降る夜、二人は共犯者になった。
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