薄暗い。
それが元就が意識を取り戻して初めて抱いた感情だった。
まだ完全に状況を把握できていない元就だが…わかることはただ一つ。
まだ完全に状況を把握できていない元就だが…わかることはただ一つ。
「…生きているのか…?何故…」
「それは私が助けたからですよ」
「…っ?!」
「それは私が助けたからですよ」
「…っ?!」
聞きたくもなかった、声だった。
声を聞いた瞬間に意識を失うまでの記憶が頭の中に叩きこまれた感じがした。
声を聞いた瞬間に意識を失うまでの記憶が頭の中に叩きこまれた感じがした。
「何故そなたが…助ける必要がある?明智…!!」
「くくっ…怖い怖い。せっかく助けたというのにそんな顔しないでくださいよ」
「何を笑う…!!」
「くくっ…怖い怖い。せっかく助けたというのにそんな顔しないでくださいよ」
「何を笑う…!!」
薄暗い中、ゆっくりと近づく度に照らされる光秀の顔に、声に、振る舞いに苛立った。
他でもない。一人で毛利軍を壊滅させ、自分の身を切り裂いたのは明智光秀であり、助けられる覚えなど元就にはなかった。
他でもない。一人で毛利軍を壊滅させ、自分の身を切り裂いたのは明智光秀であり、助けられる覚えなど元就にはなかった。
「何のつもりだ…!死に損なった我を笑うなら笑えばよい!!」
「おやおや、かの有名な智将である毛利殿が…今の状況にまだ気づかないのですか?」
「状況…だと…?―――っ!」
「おやおや、かの有名な智将である毛利殿が…今の状況にまだ気づかないのですか?」
「状況…だと…?―――っ!」
一瞬、元就は自分の五感全てを疑った。
視覚。確かに場所もわからない薄暗い場所に自分はいる。
嗅覚。ほのかに匂う血の匂いは…明智と自分から放たれている。
味覚。未だに感じる確かな血の味は、今までの出来事全てが事実だと告げている。
触覚。ジャラリと重苦しいほどの鎖が、抵抗などする気もない自分を更に戒めている。
嗅覚。ほのかに匂う血の匂いは…明智と自分から放たれている。
味覚。未だに感じる確かな血の味は、今までの出来事全てが事実だと告げている。
触覚。ジャラリと重苦しいほどの鎖が、抵抗などする気もない自分を更に戒めている。
そして…聴覚。
今まで気づかなかったことが信じられないほど、意識を取り戻してからの自分の声は…確かに自分のものではなかった。
いや…自身から発せられているにも関わらず。それは…聞き間違えようもなく女の声だった。
いや…自身から発せられているにも関わらず。それは…聞き間違えようもなく女の声だった。