「いいだ。オラがいないと皆困るだよ。」
「本当にそれで良いのか?」
「ああ、おめえさん達お侍が平和な世を早く作ってくれれば良い話だべ。」
「く…それもそうか。」
小十郎は苦笑いをしてもう一度いつきを腕の中に引き寄せた。
「本当にそれで良いのか?」
「ああ、おめえさん達お侍が平和な世を早く作ってくれれば良い話だべ。」
「く…それもそうか。」
小十郎は苦笑いをしてもう一度いつきを腕の中に引き寄せた。
「なっ……。」
「落ち着いたなら早く服を直せ、若い女が男の前でしていい格好じゃねえぞ?」
そう言われて漸く思い出したのか、いつきは慌てて前掛けを直したのだった。
「落ち着いたなら早く服を直せ、若い女が男の前でしていい格好じゃねえぞ?」
そう言われて漸く思い出したのか、いつきは慌てて前掛けを直したのだった。
「なんだか、すまなかっただな。」
「気にするな。」
顔は涙で真っ赤に腫れてはいたが、いつきは以前の元気を取り戻したのか、にっこりと笑った。
「気にするな。」
顔は涙で真っ赤に腫れてはいたが、いつきは以前の元気を取り戻したのか、にっこりと笑った。
「ま…戦の世が終って、その力が必要なくなれば元に戻るだろ。」
「戻らなかったらどうするだ?」
意地悪く笑って、いつきは聞いた。
「駄目な時の事なんて考えてるんじゃねえ。直るもんも直らなくなるぞ。」
「あはは、あんた駄目だべ。そこは『その時は俺がもらってやる』位、言わなきゃ、もてないべよ。」
「ったく。これだから女は面倒くせえんだ。」
小十郎はそう呟いて、いつきの額を軽くこずいた。
「戻らなかったらどうするだ?」
意地悪く笑って、いつきは聞いた。
「駄目な時の事なんて考えてるんじゃねえ。直るもんも直らなくなるぞ。」
「あはは、あんた駄目だべ。そこは『その時は俺がもらってやる』位、言わなきゃ、もてないべよ。」
「ったく。これだから女は面倒くせえんだ。」
小十郎はそう呟いて、いつきの額を軽くこずいた。
それから小十郎は本来の目的を果たし、社へ戻るといつきはまだ其処へいた。
「まだ居たのか。」
「目の腫れが引いてから帰るだよ。」
「そうか。」
頭をぽんと撫でてやると、いつきは嬉しそうに笑った。
「まだ居たのか。」
「目の腫れが引いてから帰るだよ。」
「そうか。」
頭をぽんと撫でてやると、いつきは嬉しそうに笑った。
「じゃあな。」
「傷のお侍さん。ありがとな。」
その呼び方に苦笑する。
「小十郎だ。次からそう呼びな。」
そう言って小十郎は馬に跨った。
「じゃあな。いつき。美人に育てよ。」
急にそう言われ、ぽかんとしたままのいつきを残し小十郎は馬を走らせた。
「傷のお侍さん。ありがとな。」
その呼び方に苦笑する。
「小十郎だ。次からそう呼びな。」
そう言って小十郎は馬に跨った。
「じゃあな。いつき。美人に育てよ。」
急にそう言われ、ぽかんとしたままのいつきを残し小十郎は馬を走らせた。
「あったり前だべよ!次にあった時腰ぬかすんじゃねえべ!」
姿が見えなくなった瞬間追い掛けてきた怒鳴り声に、肩を震わせながら小十郎は帰路についたのだった。
姿が見えなくなった瞬間追い掛けてきた怒鳴り声に、肩を震わせながら小十郎は帰路についたのだった。
いつきは小十郎が去った先を暫く見つめていた。
「オラに『これだから女は』だとよ。小十郎さん…か、変なお侍さんだべ。」
そう呟いたいつきの口元は嬉しそうに緩んでいた。
「オラに『これだから女は』だとよ。小十郎さん…か、変なお侍さんだべ。」
そう呟いたいつきの口元は嬉しそうに緩んでいた。