かたちのよい唇からはとめどなく喘ぎ声が紡がれ、しなやかな肢体は
欲に火照り、より強い刺激を求めて何度も幸村の手に己の秘所を
すり寄せる。
指では足りぬと、言葉ではなくその肉体が訴えていた。もっと奥深くまでを
犯してほしいのだと、激しく収縮する秘めた部分が切望していた。
挿入したときと同じほど無造作に、幸村は埋め込んでいた指を引き抜く。
ひときわ高い嬌声が迸り、拘束された身を苦しげに悶えさせる高貴なる竜に、
半ばまで張り詰めかけている己自身を触れさせる。
隻眼が一瞬見開かれ、その貌は相反する感情に苛まれる。より強い快楽を
欲する本能と、それを否定する理性と。
だが先端で入口を擦ってやれば、葛藤はあえなく蕩けて消えて、残ったのは
欲望に忠実な浅ましい身体だった。
下から突き上げられ、抉られるたびにはねる姿はただの牝で、しかし
その姿に明らかに劣情を抱いている自分もまたただの牡でしかないと、
自嘲気味に幸村は思う。
頭でどんな理屈をつけようと、我が身が目の前の肢体を蹂躙している事実は
曲げられない。自由を奪った女の身体を貫き、柔肉で包み込まれた自身は
硬さと熱を増してより深い場所までを犯そうとしている。
ただの獣だ。自分も、相手も。
互いの意思など構うことなく、己の肉の悦楽を満たすことだけを考えて、
身体と身体を繋げている。
愛情を確かめる行為ではない。ここにあるのはただの欲だ。何を生み出す
こともなく、何を育むこともない。あとに残るのは虚しさだけだ。
それでも―――細い腰を捕らえ、己の腰に打ち付けるように攻め立てながら、
幸村は心に刻まれた傷がひどく甘く疼くのも感じていた。
このひととき、獣のように交わる自分たちは、いくさ場で刃を交わしたとき
よりも近くにいるのだと実感している。
他の誰も入り込むことのできない場所にふたりだけでいるのだと、思えば
生じる熱はいや増した。
やがて臨界を越えた自身が相手の内部で精を吐き出し、相手もまた
痙攣しながら身を仰け反らせて達したあと、糸の切れた操り人形のように、
しなやかな身体がゆっくりとこちらに倒れ込んできた。
心地良さすら感じる疲労のなか、無意識に腕の中の痩身を抱き締めて。
欲に火照り、より強い刺激を求めて何度も幸村の手に己の秘所を
すり寄せる。
指では足りぬと、言葉ではなくその肉体が訴えていた。もっと奥深くまでを
犯してほしいのだと、激しく収縮する秘めた部分が切望していた。
挿入したときと同じほど無造作に、幸村は埋め込んでいた指を引き抜く。
ひときわ高い嬌声が迸り、拘束された身を苦しげに悶えさせる高貴なる竜に、
半ばまで張り詰めかけている己自身を触れさせる。
隻眼が一瞬見開かれ、その貌は相反する感情に苛まれる。より強い快楽を
欲する本能と、それを否定する理性と。
だが先端で入口を擦ってやれば、葛藤はあえなく蕩けて消えて、残ったのは
欲望に忠実な浅ましい身体だった。
下から突き上げられ、抉られるたびにはねる姿はただの牝で、しかし
その姿に明らかに劣情を抱いている自分もまたただの牡でしかないと、
自嘲気味に幸村は思う。
頭でどんな理屈をつけようと、我が身が目の前の肢体を蹂躙している事実は
曲げられない。自由を奪った女の身体を貫き、柔肉で包み込まれた自身は
硬さと熱を増してより深い場所までを犯そうとしている。
ただの獣だ。自分も、相手も。
互いの意思など構うことなく、己の肉の悦楽を満たすことだけを考えて、
身体と身体を繋げている。
愛情を確かめる行為ではない。ここにあるのはただの欲だ。何を生み出す
こともなく、何を育むこともない。あとに残るのは虚しさだけだ。
それでも―――細い腰を捕らえ、己の腰に打ち付けるように攻め立てながら、
幸村は心に刻まれた傷がひどく甘く疼くのも感じていた。
このひととき、獣のように交わる自分たちは、いくさ場で刃を交わしたとき
よりも近くにいるのだと実感している。
他の誰も入り込むことのできない場所にふたりだけでいるのだと、思えば
生じる熱はいや増した。
やがて臨界を越えた自身が相手の内部で精を吐き出し、相手もまた
痙攣しながら身を仰け反らせて達したあと、糸の切れた操り人形のように、
しなやかな身体がゆっくりとこちらに倒れ込んできた。
心地良さすら感じる疲労のなか、無意識に腕の中の痩身を抱き締めて。
……微かに、本当に微かに、この刹那だけはまるで愛し合うもの同士の
ようだと思った。
ようだと思った。
事実とは程遠いそんな認識が、単なる戯言でしかないとわかってはいるけれど。
<(続くかもしれないけど一旦)了>