「この子達は…終わってしまった魂。
だけど、それでも眩しい命のきらめきに焦がれるあえかな闇の群れ星」
市がどこか遠くに呼びかけるような声で語る。
だけど、それでも眩しい命のきらめきに焦がれるあえかな闇の群れ星」
市がどこか遠くに呼びかけるような声で語る。
総大将が捕らえられ、兵士達の戦意もすっかり消沈してしまった毛利軍に、
いまや勝どきの声はあがろうはずもない。ただ、浅井のこれからの動きを待つばかりである。
それにしても。
兜と具足を外され、奇妙な触手に体を拘束される元就の姿は兵士達に不埒な考えを
浮かばせるのに十分な艶かしさを持っていた。
体は若苗色の衣服に覆われているものの、闇の手は布地を透けて地肌をまさぐっている。
その動作はゆるゆるとしたものではあったが、
元就の背が時折不快さ故かよじれ、逃れようとする仕草に、
兵達の幾ばくかは獲物を追い詰める残酷な悦びを心に灯し始めた。
いまや勝どきの声はあがろうはずもない。ただ、浅井のこれからの動きを待つばかりである。
それにしても。
兜と具足を外され、奇妙な触手に体を拘束される元就の姿は兵士達に不埒な考えを
浮かばせるのに十分な艶かしさを持っていた。
体は若苗色の衣服に覆われているものの、闇の手は布地を透けて地肌をまさぐっている。
その動作はゆるゆるとしたものではあったが、
元就の背が時折不快さ故かよじれ、逃れようとする仕草に、
兵達の幾ばくかは獲物を追い詰める残酷な悦びを心に灯し始めた。
闇の手は冷たい。
元就は、皮膚に染み入る冷気に細腰を強張らせる。
どうにかして逃れる術はないかと考えを巡らせる元就を満足そうに見て、
市は夫に進言した。
「長政様、市、この子を楽にしてあげたい」
妻の真意をはかりかねて長政は問う。
「楽に?」
「そう…この子、自分で作った檻に閉じ込められて出て来れないの。
それなのに、檻の中だけで生きることに満足してる。可哀想に、
お外はこんなに明るくて楽しいことばかりなのにね」
何を愚かな、と反論する元就であったが、その口元は黒い手に覆われて声が出せない。
黒の手のひらからまた新たに小さな腕が生えてきて、唇を割られ歯をなぞられた。
噛み切ろうと思えども元就からの攻撃は空を切るばかりでまったく届かず、
彼女の脳の温度は歯痒さに上がっていく。
そんな元就を横目で見て、しぃ…と立てた人差し指を唇に当てる。
夫に視線を戻し、口をまた開く。
「だから…だから市あの子に楽しいコト、たくさん教えてあげようと思って…」
ねぇ?可愛い人?と、動けない元就に近づいて、彼女の頬を両手で包む。
頭半分ほど背の高い市に目線を無理に合わせられ、元就は首を伸ばす。
強く睨み付けても市は、先ほどからと変わらない優しい笑みを浮かべたまま。
元就の頬に触れる市の手にもじわじわと闇色の触手が細い指を絡める。
「あなたと市、ひとつになってゆくみたいね…」
ふふ、と笑って、市はゆっくりと囁く声を続ける。
「ね、この子たち、淋しいの…とてもとても。暗い河の底は冷たい…
だから、」
市が言葉を募るごとに、元就の体を擦る闇の手の動きが早まっていく。
そればかりか、徐々に常ならば触れない部分…内股や、更にその奥に近づいて来ている。
嫌だ。不快だ。
元就は、眩しい月に目を射られるような感覚を覚える。
あの日の月。ただただ黙って無残に純潔を失っていく元就を見下ろすばかりの白い月。
嫌だ。いやだいやだいやだ。やめよ。我に触れるな。何も聞きたくない。
そんな彼女を無視して市は言う。
「…あなたの熱を、温もりを分けてあげて」
元就は、皮膚に染み入る冷気に細腰を強張らせる。
どうにかして逃れる術はないかと考えを巡らせる元就を満足そうに見て、
市は夫に進言した。
「長政様、市、この子を楽にしてあげたい」
妻の真意をはかりかねて長政は問う。
「楽に?」
「そう…この子、自分で作った檻に閉じ込められて出て来れないの。
それなのに、檻の中だけで生きることに満足してる。可哀想に、
お外はこんなに明るくて楽しいことばかりなのにね」
何を愚かな、と反論する元就であったが、その口元は黒い手に覆われて声が出せない。
黒の手のひらからまた新たに小さな腕が生えてきて、唇を割られ歯をなぞられた。
噛み切ろうと思えども元就からの攻撃は空を切るばかりでまったく届かず、
彼女の脳の温度は歯痒さに上がっていく。
そんな元就を横目で見て、しぃ…と立てた人差し指を唇に当てる。
夫に視線を戻し、口をまた開く。
「だから…だから市あの子に楽しいコト、たくさん教えてあげようと思って…」
ねぇ?可愛い人?と、動けない元就に近づいて、彼女の頬を両手で包む。
頭半分ほど背の高い市に目線を無理に合わせられ、元就は首を伸ばす。
強く睨み付けても市は、先ほどからと変わらない優しい笑みを浮かべたまま。
元就の頬に触れる市の手にもじわじわと闇色の触手が細い指を絡める。
「あなたと市、ひとつになってゆくみたいね…」
ふふ、と笑って、市はゆっくりと囁く声を続ける。
「ね、この子たち、淋しいの…とてもとても。暗い河の底は冷たい…
だから、」
市が言葉を募るごとに、元就の体を擦る闇の手の動きが早まっていく。
そればかりか、徐々に常ならば触れない部分…内股や、更にその奥に近づいて来ている。
嫌だ。不快だ。
元就は、眩しい月に目を射られるような感覚を覚える。
あの日の月。ただただ黙って無残に純潔を失っていく元就を見下ろすばかりの白い月。
嫌だ。いやだいやだいやだ。やめよ。我に触れるな。何も聞きたくない。
そんな彼女を無視して市は言う。
「…あなたの熱を、温もりを分けてあげて」
いやだいやだいやだいやだアレはもういやだ、こんな、やっと振り切ったのに、
おもいだしたくない、やっと受け入れて、あきらめて…
おもいだしたくない、やっと受け入れて、あきらめて…
(にいさま)
やっと、氷の仮面を着けなおすことが出来たのに
市の赤い唇が開く。
根の国の扉のように。
根の国の扉のように。
「あなたの、慈悲を」
次の刹那、一際太い触手が元就の性器を強く擦りあげる。
同時に口の戒めを解かれた彼女は、喉奥から、あぁ、と悲鳴をあげた。
同時に口の戒めを解かれた彼女は、喉奥から、あぁ、と悲鳴をあげた。




