「ん…っ、なに…を?」
「死ぬのはだめだ」
「…まよいごとを、…はいぐんのしょうになさけなどむようです」
「情けではない」
「わたくしにいきはじをかかせるつもりか」
「そんなつもりも毛頭ない」
「死ぬのはだめだ」
「…まよいごとを、…はいぐんのしょうになさけなどむようです」
「情けではない」
「わたくしにいきはじをかかせるつもりか」
「そんなつもりも毛頭ない」
もう一度唇を重ねる。困惑する謙信をよそに、くちづけたまま無言で髪をなでる。
「勘違いするな、おヌシほどの武人と渡り合えたこと、誇りに思うておるが…、
だがな謙信。おヌシのおらぬ世は、きっと」
髪をとく手を止め、その大きな両腕で押しつぶしそうなほどの力を込めて、
謙信を己の胸の中にうずめるようにぎゅうと抱きしめた。
「きっと、…ワシには耐えられん」
「勘違いするな、おヌシほどの武人と渡り合えたこと、誇りに思うておるが…、
だがな謙信。おヌシのおらぬ世は、きっと」
髪をとく手を止め、その大きな両腕で押しつぶしそうなほどの力を込めて、
謙信を己の胸の中にうずめるようにぎゅうと抱きしめた。
「きっと、…ワシには耐えられん」
抱きしめられた謙信の身体に男の胸の鼓動が、振動が、伝わる。
「おお、しんげん…なんということ…」
「首などでは足りん、…もっとおヌシが欲しい」
「おお、しんげん…なんということ…」
「首などでは足りん、…もっとおヌシが欲しい」
「…いけません、しんげん」
男の情熱に流されそうになる気持ちを抑えて謙信は拒んだ。
「言ったであろう、謙信。これは情けではないと。おヌシがどう思おうが知らん」
そう言うと、今度は手の甲を顔のあたりまで持ち上げて口づけた。
「とらよ…」
「もう、おヌシへの心に…気づいてしまった。失ってなるものか」
なるべく信玄から顔を背けるようにしていた謙信を逃すまいとして腕に力を込める。
男の情熱に流されそうになる気持ちを抑えて謙信は拒んだ。
「言ったであろう、謙信。これは情けではないと。おヌシがどう思おうが知らん」
そう言うと、今度は手の甲を顔のあたりまで持ち上げて口づけた。
「とらよ…」
「もう、おヌシへの心に…気づいてしまった。失ってなるものか」
なるべく信玄から顔を背けるようにしていた謙信を逃すまいとして腕に力を込める。
「…まったく」
気力のつきている謙信は為すがままにされるしかないが、悪い心地はしない。
「…あなたには、かないませんね」
表情がいくらか穏やかになったように見えた。
「ふふっ、観念しろい」
気力のつきている謙信は為すがままにされるしかないが、悪い心地はしない。
「…あなたには、かないませんね」
表情がいくらか穏やかになったように見えた。
「ふふっ、観念しろい」
謙信も覚悟を決めたようにゆっくりと目を閉じると、自分から信玄の感触と
ぬくもりをゆっくり感じ取るように唇を合わせた。
ぬくもりをゆっくり感じ取るように唇を合わせた。