「っ、政宗殿!」
「アン?お前も来いよ、お客様を持て成しもせずに帰しちゃ伊達の名折れだぜ」
騎馬で名高い武田の将の癖に、幸村は徒歩だ。
前に乗るよう手を伸べると、幸村はその場でかしこまった。
きっちりと膝をついてはいるのだが、どちらかというと駆け出す寸前の犬じみている。
「否、某用向きを伝え終わったら速やかに戻るよう言いつけられてござる!」
己の家のこと、ということで幸村が来たのだろうが、この急いた様子では何かあるのだろう。
「まあ、無理強いはしないがな。ここじゃ返書も書けない――いや、ちょっと来い」
路地の入り口に待たせてた小十郎の背中越しに、ちらほらと店が開き始める様子が見える。
「おい小十郎!最上の紅と筆買って来い!一刻以内でな」
「はっ、政宗様!」
「はあ?政宗殿?」
短いいらえと間延びしたいらえが返る。
ぽかんとした様子に肩をすくめ、政宗は軽く笑った。
「小十郎なら一刻たたずに戻ってくるぜ。Ah―…そうだな、ずんだ餅でも喰うか」
一膳飯屋に寄るには時間が足りない。
だが、このやたらと燃費の良さそうな男に餅はないか、と見やれば、意外にも目を輝かせていた。
「餅でござるか!」
「Good、アンタも好きかい?今の時間なら作りたてだ、美味いぜ?」
小鉢に入った餅を渡すと、かたじけのうござる、という言葉もそこそこに呆れるほど幸せそうな顔でがっついた。
「おいおい、餅だぜ?焦ってつまらすなよ?…おい、腹、減ってんのか?」
幸村は幸せそうな顔のまま、人懐こい笑顔を浮かべた。
「はずかしながら、食事もそこそこに駆けて参り申した」
「アンタあれか、集中すると他の事が見えなくなるTypeか?」
「た…たい…?ううむ、佐助にもよく言われておるのだが…某、まだまだ未熟者でござるな」
「いや未熟者っつ―かな…もう一皿喰うか?」
「アン?お前も来いよ、お客様を持て成しもせずに帰しちゃ伊達の名折れだぜ」
騎馬で名高い武田の将の癖に、幸村は徒歩だ。
前に乗るよう手を伸べると、幸村はその場でかしこまった。
きっちりと膝をついてはいるのだが、どちらかというと駆け出す寸前の犬じみている。
「否、某用向きを伝え終わったら速やかに戻るよう言いつけられてござる!」
己の家のこと、ということで幸村が来たのだろうが、この急いた様子では何かあるのだろう。
「まあ、無理強いはしないがな。ここじゃ返書も書けない――いや、ちょっと来い」
路地の入り口に待たせてた小十郎の背中越しに、ちらほらと店が開き始める様子が見える。
「おい小十郎!最上の紅と筆買って来い!一刻以内でな」
「はっ、政宗様!」
「はあ?政宗殿?」
短いいらえと間延びしたいらえが返る。
ぽかんとした様子に肩をすくめ、政宗は軽く笑った。
「小十郎なら一刻たたずに戻ってくるぜ。Ah―…そうだな、ずんだ餅でも喰うか」
一膳飯屋に寄るには時間が足りない。
だが、このやたらと燃費の良さそうな男に餅はないか、と見やれば、意外にも目を輝かせていた。
「餅でござるか!」
「Good、アンタも好きかい?今の時間なら作りたてだ、美味いぜ?」
小鉢に入った餅を渡すと、かたじけのうござる、という言葉もそこそこに呆れるほど幸せそうな顔でがっついた。
「おいおい、餅だぜ?焦ってつまらすなよ?…おい、腹、減ってんのか?」
幸村は幸せそうな顔のまま、人懐こい笑顔を浮かべた。
「はずかしながら、食事もそこそこに駆けて参り申した」
「アンタあれか、集中すると他の事が見えなくなるTypeか?」
「た…たい…?ううむ、佐助にもよく言われておるのだが…某、まだまだ未熟者でござるな」
「いや未熟者っつ―かな…もう一皿喰うか?」