素直に喜色を浮かべる様子に、政宗はおかしな気持ちになった。
出会うたびに刃を交え、決着をつける時を求めていた。
硝煙と粉塵と汗と血臭立ち込める戦場で、獰猛な喜悦に侵されて力の限りを尽くした。幸村はいつでも激しい雄叫びを上げながら、まっすぐに向かってきた。
見えぬ右に回りこむことなど、一度もなかった。
そう昔の話ではない。
出会うたびに刃を交え、決着をつける時を求めていた。
硝煙と粉塵と汗と血臭立ち込める戦場で、獰猛な喜悦に侵されて力の限りを尽くした。幸村はいつでも激しい雄叫びを上げながら、まっすぐに向かってきた。
見えぬ右に回りこむことなど、一度もなかった。
そう昔の話ではない。
いま、何を仲良く朝から団子をつついているのか。
辺りは刻一刻と活気を見せる城下の風景。
隣には猫舌な様子で茶にふうふう息を吹きかける幸村。
辺りは刻一刻と活気を見せる城下の風景。
隣には猫舌な様子で茶にふうふう息を吹きかける幸村。
政宗は餅屋に握り飯をいくつかつつむ様に無理やり命じ、餅屋の壁に寄りかかった。
「Ha…おい幸村」
「何でござるか?」
「梅干は平気か?」
「むっ…」
途端にすっぱそうな顔になる幸村に、政宗はもう一度笑った。
「甘党だな、アンタ。婚儀は受けるが、それはそれだ。次に会ったら決着はつけさせてくれよ?」
とん、と刀の柄をつつきながら言うと、幸村は一気に茶を流し込んで全身に力をみなぎらせた。
「願ってもない!この幸村、全力でお相手いたす!」
馬蹄の響きが戻ってくる。小十郎だ。
「O.K、GUY…やっぱアンタはサイコーだね」
言いながら袖なしの羽織を脱ぎ、馬の鞍に広げてかけた。
「政宗殿?」
無言で控える小十郎から紅を受け取り、水で緩ませて筆に良く含ませる。
「紙を吟味してる時間はないんだろ?」
鮮やかな紺青の生地は、紅を落すと温かみの強い黒に変じる。
「Ha…おい幸村」
「何でござるか?」
「梅干は平気か?」
「むっ…」
途端にすっぱそうな顔になる幸村に、政宗はもう一度笑った。
「甘党だな、アンタ。婚儀は受けるが、それはそれだ。次に会ったら決着はつけさせてくれよ?」
とん、と刀の柄をつつきながら言うと、幸村は一気に茶を流し込んで全身に力をみなぎらせた。
「願ってもない!この幸村、全力でお相手いたす!」
馬蹄の響きが戻ってくる。小十郎だ。
「O.K、GUY…やっぱアンタはサイコーだね」
言いながら袖なしの羽織を脱ぎ、馬の鞍に広げてかけた。
「政宗殿?」
無言で控える小十郎から紅を受け取り、水で緩ませて筆に良く含ませる。
「紙を吟味してる時間はないんだろ?」
鮮やかな紺青の生地は、紅を落すと温かみの強い黒に変じる。
とほかりし花のこずゑも匂ふなり 枝にしられぬ風やふくらむ
仮名の散らし書きの出来栄えを眺める。
立って書いているんだ、字の崩れくらい大目に見ろよ、と口の中で愚痴って花押を書き添えた。
立って書いているんだ、字の崩れくらい大目に見ろよ、と口の中で愚痴って花押を書き添えた。




