「――!決着の場を汚してしまったか!くっ、この幸村、あまりにも修行が足りぬ…!」
膝をつく代わりに、背を丸め顔を伏せて、腕の中に沈める。
汗の匂いすらしない。何たるざまか。
「情熱的じゃねえか、幸村ァ?」
揶揄するような口調に、更に恥じ入って顔を押し付けた。
「政宗殿には申し訳もない…顔などあげられぬでござる!」
鼻を鳴らすようなため息をつかれ、背中に腕が回った。
「吼えんなよ、腹に響くぜ?」
「痛みなど、どうと言うことはござらん」
背中で指先が遊んでいる。ととと、とごく軽く。
「そりゃ薬湯が効いてんだろ。悪いが無理やり飲ませたぜ」
「迷惑をかけ申した…」
意味わかってんのか、とささやくような声がする。
多分、解っている。苦しんでいるから薬を用意し、飲ませてくれたのだ。
そして、傍についていてくれた。
手のひらが背中を叩く。
小さい頃のような気持ちになる。
「――自分の体だろ。何も気づかないもんなのか?」
「少々のことなど、気合でどうにかなるものでござる…」
「ha,今日は気合が足りなかったってかい?」
声が振動でも伝わる。幸村はふと眼の前の胸板に耳を押し付けた。
体がぴくりと震えて、彼が隠しようもなく驚いていたのだ、と幸村に伝える。
「そうでござるな…このところやけに眠い上、気力がわきにくい気がしていたでござるよ」
気合が足りずに、体の”勝ち鬨”に負けてしまったのだ。
「ああ、気鬱ってのは、…そうか、悪かったな」
何かに納得した声音と振動に、幸村は掴んだ衣を軽く引いた。
「政宗殿?」
言いようのない沈黙、動きを止めた背中の腕。
「――解らないなら寝てな、honey」
「起きたばかりでござる」
「それでも寝てろ」
確かに体は億劫で、鈍痛は身じろぎのたびに襲いくる。
大人しくしていると、政宗はふあ、と欠伸をした。
「ahー…今日は疲れたな」
「政宗殿こそ寝ていればよかろうに。どうせ横になっているのでござる」
そう言ってから、何かがおかしいと首をかしげた。
「今は夜でござるか?」
「いーや、まだ夕刻だ」
決着を試みたのはまだ日が高いうち。
「……なにゆえ政宗殿が横になっているのでござるか」
彼に昼日中から転がるような自堕落さはなかったと思う。
「Huhn?今ごろ気づくか?アンタが手を離さないからだ。
――ったく、処置されてる間こっちは目隠しされてたんだぜ?」
処置、と口の中で繰り返す。
処置。
「っ!…な、なんたる失態…!某、またしても!」
「また?ah…ok、何もしらないGirlじゃこっちも調子狂うぜ。
大体Girlの前にLadyにしてたかもしれないなんて、趣味の悪いJokeじゃすまないだろ?」
何かに安堵し、納得しているようだが言葉の意味が分からずに聞き流す。
それに、今度はほんとうに顔があげられない。
薄目を開ければ、確かに自分が着ている衣も朝方とは異なっていて、
ついでに晒しも解かれて呼吸が楽だった。
「アンタ、いつもこんなに具合悪くなるのか?」
「い、いつも?」
低く真面目な声音に戸惑い、幸村はおうむ返しに繰り返した。
膝をつく代わりに、背を丸め顔を伏せて、腕の中に沈める。
汗の匂いすらしない。何たるざまか。
「情熱的じゃねえか、幸村ァ?」
揶揄するような口調に、更に恥じ入って顔を押し付けた。
「政宗殿には申し訳もない…顔などあげられぬでござる!」
鼻を鳴らすようなため息をつかれ、背中に腕が回った。
「吼えんなよ、腹に響くぜ?」
「痛みなど、どうと言うことはござらん」
背中で指先が遊んでいる。ととと、とごく軽く。
「そりゃ薬湯が効いてんだろ。悪いが無理やり飲ませたぜ」
「迷惑をかけ申した…」
意味わかってんのか、とささやくような声がする。
多分、解っている。苦しんでいるから薬を用意し、飲ませてくれたのだ。
そして、傍についていてくれた。
手のひらが背中を叩く。
小さい頃のような気持ちになる。
「――自分の体だろ。何も気づかないもんなのか?」
「少々のことなど、気合でどうにかなるものでござる…」
「ha,今日は気合が足りなかったってかい?」
声が振動でも伝わる。幸村はふと眼の前の胸板に耳を押し付けた。
体がぴくりと震えて、彼が隠しようもなく驚いていたのだ、と幸村に伝える。
「そうでござるな…このところやけに眠い上、気力がわきにくい気がしていたでござるよ」
気合が足りずに、体の”勝ち鬨”に負けてしまったのだ。
「ああ、気鬱ってのは、…そうか、悪かったな」
何かに納得した声音と振動に、幸村は掴んだ衣を軽く引いた。
「政宗殿?」
言いようのない沈黙、動きを止めた背中の腕。
「――解らないなら寝てな、honey」
「起きたばかりでござる」
「それでも寝てろ」
確かに体は億劫で、鈍痛は身じろぎのたびに襲いくる。
大人しくしていると、政宗はふあ、と欠伸をした。
「ahー…今日は疲れたな」
「政宗殿こそ寝ていればよかろうに。どうせ横になっているのでござる」
そう言ってから、何かがおかしいと首をかしげた。
「今は夜でござるか?」
「いーや、まだ夕刻だ」
決着を試みたのはまだ日が高いうち。
「……なにゆえ政宗殿が横になっているのでござるか」
彼に昼日中から転がるような自堕落さはなかったと思う。
「Huhn?今ごろ気づくか?アンタが手を離さないからだ。
――ったく、処置されてる間こっちは目隠しされてたんだぜ?」
処置、と口の中で繰り返す。
処置。
「っ!…な、なんたる失態…!某、またしても!」
「また?ah…ok、何もしらないGirlじゃこっちも調子狂うぜ。
大体Girlの前にLadyにしてたかもしれないなんて、趣味の悪いJokeじゃすまないだろ?」
何かに安堵し、納得しているようだが言葉の意味が分からずに聞き流す。
それに、今度はほんとうに顔があげられない。
薄目を開ければ、確かに自分が着ている衣も朝方とは異なっていて、
ついでに晒しも解かれて呼吸が楽だった。
「アンタ、いつもこんなに具合悪くなるのか?」
「い、いつも?」
低く真面目な声音に戸惑い、幸村はおうむ返しに繰り返した。




