エスタド・ノヴォ(Estado Novo)は、ポルトガルにおいて1933年から1974年まで続いた権威主義体制である。事実上の指導者は経済学者出身の政治家アントニオ・サラザールであり、国民同盟を基盤とする体制を構築した。
1926年の軍事クーデターによって第一共和政が崩壊し、サラザールは財務相を経て実権を掌握する。1933年憲法の制定によりコーポラティズム的国家体制が確立され、議会制民主主義や政党政治は制限された。文化的には保守的価値観を重視し、カトリック的倫理と家族主義を国家理念とした。経済政策も国家統制を重視する保守的路線をとり、国家パターナリズムが特徴とされた。
第二次世界大戦では中立を維持したが、戦後もアフリカ植民地の維持に固執し、アンゴラやモザンビークでの植民地戦争を継続した。長期化する戦争と経済停滞に対する不満が高まり、1974年4月25日に軍部による無血クーデターが発生する。いわゆる「カーネーション革命」によって体制は崩壊し、民主化が進められた。