鉄衛団(てつえいだん、ルーマニア語:Garda de Fier、英語:Iron Guard)は、1927年から1941年頃にかけてルーマニアで活動した極右・ファシズム運動およびその政党・準軍事組織の通称。海外ではIron Guardとして知られ、反ユダヤ主義・民族主義・神秘主義・反共産主義を強く掲げ、ナチス・ドイツやイタリア王国のファシズムとは異なり、正教会の影響を受けた独特の宗教的色彩が強いことで知られる。正式名称は当初神使ミハイル軍団(Legiunea Arhanghelului Mihail)で、鉄衛団はその戦闘部門の名前だったが、後に運動全体を指すようになった。
歴史
1927年にコルネリウ・コドレアヌにより神使ミハイル軍団として創設。1930年にその準軍事部門として鉄衛団が組織された。1930年代を通じて学生運動や農民層を中心に支持を拡大し、既成政党の腐敗批判やルーマニア正教に基づく「精神再生」を訴えた。1938年にカロル2世の国王独裁により非合法化され、コドレアヌは暗殺された。1940年、カロル2世退位後に復活し、イオン・アントネスクと連合して国民軍団国家(レジオナリー国家)を樹立、短期間政権を握った。しかし1941年1月の鉄衛団の反乱(レジオナリ・レベリオン)でアントネスクに鎮圧され、壊滅。指導者の多くは亡命した。
イデオロギー
反ユダヤ主義を極端に掲げ、ユダヤ人をルーマニアの「寄生虫」と見なし、経済的・文化的支配からの解放を主張。反資本主義・反共産主義・反フリーメイソン的要素も強く、農民中心の伝統回帰や神秘主義(死と再生、殉教の美学)を強調。「死の部隊」(Echipa Morții)というスローガンや、緑シャツの制服、宗教儀式を伴う行進などが特徴。ナチスよりも宗教的・オカルト的色彩が濃く、「ナチスすら恐れた」と言われるほどの過激さを持つと評されることもある。
組織と活動
準軍事組織として武装し、暗殺・テロ・政治的暴力を多用。指導者コルネリウ・コドレアヌのカリスマ性が強く、死後はホリア・シマらが継承。1940-41年の短い政権期にはユダヤ人迫害や政敵暗殺を激化させ、ホロコースト協力の一翼を担った。青年組織として十字兄弟団なども存在した。