ベスト・プレイスを求めて ◆CFbjQX2oDg
「メラやべえぜ。これもシャーマンファイトの一環……ってわけじゃあなあそうだな」
天を貫く巨大なリーゼント頭の男はキャンプ場に備え付けれられているベンチに腰掛けて一人呟いた。
『あのジジイはパッチ族には見えねえしな』
否、彼は一人では無かった。
リーゼントの男の名前は梅宮竜之介。通称『木刀の竜』。
彼はふんばりケ丘の居場所の無い、自分の居場所を求める現代の若者達をまとめるリーダーだ。
さらに彼には普通では無い能力がある。
それはシャーマン――人と霊とを繋ぐ者――だ。
リーゼントの男の名前は梅宮竜之介。通称『木刀の竜』。
彼はふんばりケ丘の居場所の無い、自分の居場所を求める現代の若者達をまとめるリーダーだ。
さらに彼には普通では無い能力がある。
それはシャーマン――人と霊とを繋ぐ者――だ。
「トカゲロウ、葉の旦那達の姿は見えるか?」
トカゲロウとは彼の持ち霊だ。
600年前の大盗賊。
麻倉葉の持ち霊である阿弥陀丸に討ち滅ぼされたことから恨みを抱き、現代に蘇った。
復讐の為に木刀の竜に憑いたことが縁となり、右葉曲折を経て二人は相棒となった。
600年前の大盗賊。
麻倉葉の持ち霊である阿弥陀丸に討ち滅ぼされたことから恨みを抱き、現代に蘇った。
復讐の為に木刀の竜に憑いたことが縁となり、右葉曲折を経て二人は相棒となった。
『こう暗くっちゃ誰かが居てもわからねえな』
「そうか。だが、お前が上空に入れば同じ様に探そうとしている阿弥陀丸師匠や馬孫が気づくかもしれねえ。引き続き頼むぜ」
トカゲロウに指示を出して、竜は気づいたら背負っていたリュックサックの中身を漁る。
中にあったルールブックとやらにはとりあえず目を通して置いた。
中にあったルールブックとやらにはとりあえず目を通して置いた。
「やっぱりハオのやつもいるのか。あいつと対峙して勝つなんてメラ難しいぜ。とにかく旦那たちと早く合流しないとな」
名簿に記されていた名前は約80人。
ハオの配下はいないようだけれども、シャーマンファイト予選の時の連中のように積極的に他の参加者を狩る人間はいるはずだ。
死神だか大魔王だか知らないが問題はそいつらだけじゃない。
“乗っちまった”連中が少なからずいる以上、この島が皆が笑って安心して過ごせるベスト・プレイスには成り得ない。
ここが殺し合いと呼ばれる舞台だからでは無い。
日常においても集団があれば、それに馴染めずにあぶれる者たちが出てくる。
他者との差異に怯えて逃げ出してしまう者たちが出てくる。
ハオの配下はいないようだけれども、シャーマンファイト予選の時の連中のように積極的に他の参加者を狩る人間はいるはずだ。
死神だか大魔王だか知らないが問題はそいつらだけじゃない。
“乗っちまった”連中が少なからずいる以上、この島が皆が笑って安心して過ごせるベスト・プレイスには成り得ない。
ここが殺し合いと呼ばれる舞台だからでは無い。
日常においても集団があれば、それに馴染めずにあぶれる者たちが出てくる。
他者との差異に怯えて逃げ出してしまう者たちが出てくる。
だが、それは本人が悪いのか?
いいや、それは違う。
ならどうすればいい?
簡単だ。
見つけてやればいい。作ってやればいい。
各々にあった“ベスト・プレイス”を。
いいや、それは違う。
ならどうすればいい?
簡単だ。
見つけてやればいい。作ってやればいい。
各々にあった“ベスト・プレイス”を。
なんだ、やるべきことはいつもと同じでは無いか。と竜はニヤリと笑う。
自分にはこ難しいことは正直言ってわからない。
だったら自分に出来ることを、やりたいことをするまでだ。
居場所を求めていた竜たちは麻倉葉と恐山アンナにふんばり温泉という“ベスト・プレイス”を与えてもらった。
マッスルパンチ(通称)やスペースショット(通称)やアパッチ(通称)たちも喜んでいた。
あいつらが居場所を見つけられたことは素直に嬉しい。
だけど、連中に居場所を提供したのは大見得切った俺じゃない。
ならば、今度こそ居場所の無い連中に俺が“ベスト・プレイス”を与えてやる。
麻倉葉たちが竜たちにしてくれたように。
自分にはこ難しいことは正直言ってわからない。
だったら自分に出来ることを、やりたいことをするまでだ。
居場所を求めていた竜たちは麻倉葉と恐山アンナにふんばり温泉という“ベスト・プレイス”を与えてもらった。
マッスルパンチ(通称)やスペースショット(通称)やアパッチ(通称)たちも喜んでいた。
あいつらが居場所を見つけられたことは素直に嬉しい。
だけど、連中に居場所を提供したのは大見得切った俺じゃない。
ならば、今度こそ居場所の無い連中に俺が“ベスト・プレイス”を与えてやる。
麻倉葉たちが竜たちにしてくれたように。
『おい、竜。こっちに動く明かりが向かってくるぞ。ありゃー多分バイクって言うやつだ』
頭の中で行動指針を整理を終えた瞬間、計ったように声をかけられる。
どうやらトカゲロウが他の参加者を発見したらしい。
名簿で知っている自分の知り合いには、彼の知る限りではバイクの運転が出来る人物はいない。
おそらく近づいてくる人物は知り合いでは無いだろう。
だが、バイクに乗って移動しているってことは既に他の参加者と接触している可能性がある。
竜としても出来れば安全に接触したいところではある。
どうやらトカゲロウが他の参加者を発見したらしい。
名簿で知っている自分の知り合いには、彼の知る限りではバイクの運転が出来る人物はいない。
おそらく近づいてくる人物は知り合いでは無いだろう。
だが、バイクに乗って移動しているってことは既に他の参加者と接触している可能性がある。
竜としても出来れば安全に接触したいところではある。
「バイクか……成程な。なら俺が葉の旦那の為にやる事は決まっている。いくぜ!トカゲロウ!!」
竜の掛け声を合図に人間態から人魂モードへと姿を変えるトカゲロウ。
木刀の竜の右の掌にすっぽり収まっている。
左の掌には竜の支給品である阿弥陀丸の愛刀“春雨”。
本来の媒介である木刀ではないが、竜もトカゲロウも春雨には縁がある。媒介とすることは充分可能だ。
木刀の竜の右の掌にすっぽり収まっている。
左の掌には竜の支給品である阿弥陀丸の愛刀“春雨”。
本来の媒介である木刀ではないが、竜もトカゲロウも春雨には縁がある。媒介とすることは充分可能だ。
「憑依合体トカゲロウin春雨」
右手に掴んだ人魂を春雨に押し当てる。
春雨からエネルギーが溢れ出す。
春雨からエネルギーが溢れ出す。
霊は現実に干渉できないのが世の理。
真のシャーマンにはそんな道理は通用しない。
霊と語り
霊と触れあい
霊の力を使う。
それがシャーマンだ。
真のシャーマンにはそんな道理は通用しない。
霊と語り
霊と触れあい
霊の力を使う。
それがシャーマンだ。
春雨から溢れでるエネルギーが刀身に収束してくる。
流動体だったそれは確かな形を持って春雨の体積を増やす。
太く、雄々しく、逞しく
神々しい光を放ちながら天を貫くそれは完成した。
名を――
流動体だったそれは確かな形を持って春雨の体積を増やす。
太く、雄々しく、逞しく
神々しい光を放ちながら天を貫くそれは完成した。
名を――
「オーバーソウル!“ビッグ親指”!!」
キキィーーーーッ
闇を切り裂き光をもたらした黄金色のサムズアップ。
それは古代ローマにおいて自分に納得できたときに用いる仕草。
過去にこれを見たことのある某国の有名なとあるルートを走行していたトラックの運転手は語る。
あれで止まらなきゃ男じゃねえよ。彼は伝説に名を刻むことは間違いないね、と。
それは古代ローマにおいて自分に納得できたときに用いる仕草。
過去にこれを見たことのある某国の有名なとあるルートを走行していたトラックの運転手は語る。
あれで止まらなきゃ男じゃねえよ。彼は伝説に名を刻むことは間違いないね、と。
結論から言うと竜の目論見は成功した。
前方を走っていたバイクは大きなブレーキ音と共に停止した。
だが、あくまで停車したというだけだ。
前方を走っていたバイクは大きなブレーキ音と共に停止した。
だが、あくまで停車したというだけだ。
フルフェイスのヘルメットをした男――体つきからして恐らくだが――
が跨がっていたバイクからその身を下ろし悠々自適に竜の元へ歩いていく。
が跨がっていたバイクからその身を下ろし悠々自適に竜の元へ歩いていく。
強制されているとはいえここはころし合いの場。
参加者同士の会郷とは、それ即ち開戦の合図にも等しい。
唾液が喉を通る音さえ聞こえてきそうな緊張感が二人を包む。
83名がこの会場にいるらしいが、そんなことは関係無い。
ここは俺たち二人だけの戦場だ、かかってこいと男は両腕を拡げて全身で表現しているようにトカゲロウは感じた。
参加者同士の会郷とは、それ即ち開戦の合図にも等しい。
唾液が喉を通る音さえ聞こえてきそうな緊張感が二人を包む。
83名がこの会場にいるらしいが、そんなことは関係無い。
ここは俺たち二人だけの戦場だ、かかってこいと男は両腕を拡げて全身で表現しているようにトカゲロウは感じた。
『おい、竜……あいつはやべえよ……』
オーバーソウルはバイクが停まった時から解除されている。
再び人間態となったトカゲロウは竜に警告の鐘を鳴らす。
600年前の大盗賊としての経験からか、現れた男のヘルメットに隠された内側から嫌な雰囲気をトカゲロウは感じとる。
再び人間態となったトカゲロウは竜に警告の鐘を鳴らす。
600年前の大盗賊としての経験からか、現れた男のヘルメットに隠された内側から嫌な雰囲気をトカゲロウは感じとる。
しかし竜はまるでシャーマンとして霊と触れあう力を喪失してしまったかのように無言で仁王立ちしてその場から動こうとしない。
トカゲロウが何度か叫びながら竜の体を揺さぶるが竜のトレードマークのリーゼントが揺れ動くだけ。
ついに二人の間の距離は文字通り目と鼻の先となった。
トカゲロウが何度か叫びながら竜の体を揺さぶるが竜のトレードマークのリーゼントが揺れ動くだけ。
ついに二人の間の距離は文字通り目と鼻の先となった。
霊に代謝があるはずがない。
だけれどもメットの男を前にしたトカゲロウは額に脂汗が浮かんできていることを感じる。
ヘルメットで口元は見えないが男が一息吸ったことを微かな音と、男の胸が若干膨らんだことからわかる。
だけれどもメットの男を前にしたトカゲロウは額に脂汗が浮かんできていることを感じる。
ヘルメットで口元は見えないが男が一息吸ったことを微かな音と、男の胸が若干膨らんだことからわかる。
『(――来やがるな!)』
覚悟を決めたトカゲロウが霊の自分は触れることが出来ないとわかっていても体を強張らせながらも身構える、
次の瞬間、トカゲロウの目に飛び込んできたのはガシッと抱き合う二人の姿だった。
まるで十年来の友人に出会ったかのように。
それを見たトカゲロウはと言うと――
次の瞬間、トカゲロウの目に飛び込んできたのはガシッと抱き合う二人の姿だった。
まるで十年来の友人に出会ったかのように。
それを見たトカゲロウはと言うと――
「なんでだよ!!!」
両目を飛び出させながら全力でツッコミを入れた。
トカゲロウの声が周囲に虚しく夜のキャンプ場に響いた。
トカゲロウの声が周囲に虚しく夜のキャンプ場に響いた。
【G-7/キャンプ場/1日目・深夜】
【梅宮竜之介@シャーマンキング】
[状態]:健康
[装備]:春雨@シャーマンキング
[道具]:基本支給品、不明支給品×0~2(本人確認済み)、位牌(トカゲロウ)
[思考・状況]
基本行動方針:ハミ出し者、怯えている者の為にベスト・プレイスを見つける。
1:バイクの男との情報交換(殺し合いに乗っていないと判断)
2:麻倉葉、恐山アンナたちとの合流
[状態]:健康
[装備]:春雨@シャーマンキング
[道具]:基本支給品、不明支給品×0~2(本人確認済み)、位牌(トカゲロウ)
[思考・状況]
基本行動方針:ハミ出し者、怯えている者の為にベスト・プレイスを見つける。
1:バイクの男との情報交換(殺し合いに乗っていないと判断)
2:麻倉葉、恐山アンナたちとの合流
【海堂 直也@仮面ライダー555】
[状態]:健康
[装備]:バイク@不明
[道具]:基本支給品、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:不明
1:不明
[状態]:健康
[装備]:バイク@不明
[道具]:基本支給品、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:不明
1:不明
[備考]
海堂が乗っていたバイクの出典は不明です。
海堂が乗っていたバイクの出典は不明です。
【支給品紹介】
【春雨@シャーマンキング】
梅宮竜之介に支給。
600年前の侍、阿弥陀丸の愛刀。阿弥陀丸の親友である刀鍛冶の喪助によって鍛えられた刀。
特別な力を秘めている訳では無いが、阿弥陀丸の手に良く馴染んでいる。
あと、結構普通に折れる。
【春雨@シャーマンキング】
梅宮竜之介に支給。
600年前の侍、阿弥陀丸の愛刀。阿弥陀丸の親友である刀鍛冶の喪助によって鍛えられた刀。
特別な力を秘めている訳では無いが、阿弥陀丸の手に良く馴染んでいる。
あと、結構普通に折れる。
| オープニング | 投下順 | Footsteps From Darkness |
| オープニング | 時系列順 | Footsteps From Darkness |
| GAME START | 梅宮竜之介 | [[]] |
| GAME START | 海堂直也 | [[]] |
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