闇の時代に狼煙を上げろ ◆F5TvyuXOuQ
(……ダイ、君……駄目です……!)
微かな叫びに目を開けると山の頂だった。
「天文台か。人はいないようだが……」
学者の家系に育ったアバンは、文明の差異こそあれ、その建物をB-4の天文台であると断定した。
深夜であるが、高く晴れた月と星の灯りとその山の高さのおかげで、だいぶ遠くまで見通せた。
地図との差異はないか目測で調べると、題目通りかは別として何らかの施設が地図と同じ位置にあるのは間違いないようだ。
「天文台か。人はいないようだが……」
学者の家系に育ったアバンは、文明の差異こそあれ、その建物をB-4の天文台であると断定した。
深夜であるが、高く晴れた月と星の灯りとその山の高さのおかげで、だいぶ遠くまで見通せた。
地図との差異はないか目測で調べると、題目通りかは別として何らかの施設が地図と同じ位置にあるのは間違いないようだ。
ランダム支給品はピクニックバスケット。中身は豪勢にパンもおかずもたっぷりだった。
添付されていた説明文に「毒入り」と書かれていて、アバンは伊達眼鏡を拭いてそれを睨みつける。
ランダムというが、これは明らかに作為的だろう。
料理を振舞うのは、彼の趣味であったから。
毒など、それに対する愚弄である。
その次の支給品は刀だった。
造りはよく出来ている。ダイたちのように魔法剣として使わない限りは折れることもそうそうないはずだ。
そして最後。
赤と白の半球が組み合わさった手の平サイズのボール。
真ん中のスイッチを押すと魔物が現れるらしい。
魔法の筒の別の形態であろうか。
「試してみますか……デルパッ!!」
光と共に現れたのは――――地べたでビチビチ跳ねるしかない、鱗の剥げた汚れた魚だった。
アバンは多少の焦りを覚えながら「イルイル!」と唱えスイッチを押した。
「でも君には罪はないですね……ご主人様と引き離されたのでしょう? 私が、探します」
ボールの中で嬉しそうに身を捻らせるのを見て、安堵する。
心根は良い魔物のようだ。
添付されていた説明文に「毒入り」と書かれていて、アバンは伊達眼鏡を拭いてそれを睨みつける。
ランダムというが、これは明らかに作為的だろう。
料理を振舞うのは、彼の趣味であったから。
毒など、それに対する愚弄である。
その次の支給品は刀だった。
造りはよく出来ている。ダイたちのように魔法剣として使わない限りは折れることもそうそうないはずだ。
そして最後。
赤と白の半球が組み合わさった手の平サイズのボール。
真ん中のスイッチを押すと魔物が現れるらしい。
魔法の筒の別の形態であろうか。
「試してみますか……デルパッ!!」
光と共に現れたのは――――地べたでビチビチ跳ねるしかない、鱗の剥げた汚れた魚だった。
アバンは多少の焦りを覚えながら「イルイル!」と唱えスイッチを押した。
「でも君には罪はないですね……ご主人様と引き離されたのでしょう? 私が、探します」
ボールの中で嬉しそうに身を捻らせるのを見て、安堵する。
心根は良い魔物のようだ。
さて、これでアバン自身の状況確認は終わった。
今度はこの殺し合いについて――いや、それより前にダイだ。
バーンに攻撃が通用しなかっただけでなく、少女を、殺してしまった。
恐らく何の罪もなかったであろう少女を。
そしてその少女の死に激昂する声。
あの状況では憎悪は手が届かないバーンより、ダイが憎まれるのも至極同然。
それら全ての事実がダイの心に剣となって刺し込まれていく。
ダイは“純粋”だ。魔物だろうと分け隔てないその光にも闇にもなれる心は、このような状況では危険過ぎる。
彼がそのまま成長出来たのは、ひとえにポップやマァムたちの存在のおかげであろう。
だが、彼は殺しの感触も覚めやらぬままに独りで深夜の孤島に放り出される。
彼を宥め、止められるものは、ない。
――――早く、保護しなければ。
バーンに攻撃が通用しなかっただけでなく、少女を、殺してしまった。
恐らく何の罪もなかったであろう少女を。
そしてその少女の死に激昂する声。
あの状況では憎悪は手が届かないバーンより、ダイが憎まれるのも至極同然。
それら全ての事実がダイの心に剣となって刺し込まれていく。
ダイは“純粋”だ。魔物だろうと分け隔てないその光にも闇にもなれる心は、このような状況では危険過ぎる。
彼がそのまま成長出来たのは、ひとえにポップやマァムたちの存在のおかげであろう。
だが、彼は殺しの感触も覚めやらぬままに独りで深夜の孤島に放り出される。
彼を宥め、止められるものは、ない。
――――早く、保護しなければ。
バーンはダイを部下として欲していた。
ここでダイの心を壊し竜魔人として支配してしまうつもりなのか。
そもそも何のためにこのような計画が必要なのか。
名簿を見た限り、少なくともアバンが知っている相手は、皆それぞれに強さがあった。
それを眠ったまま連れてきた。
殺してしまえば、ことは済んだであろうに。
これまでの話で協力者がいるというのは確信が持てたが、大魔王バーンにそんなものが必要だろうか。
――やはり何らかの儀式だろうか。
殺すだけではなく憎悪や無念を集めなければいけないのだろう。
それで何が発動するのか、考えるだけで怖気が来る。
ここでダイの心を壊し竜魔人として支配してしまうつもりなのか。
そもそも何のためにこのような計画が必要なのか。
名簿を見た限り、少なくともアバンが知っている相手は、皆それぞれに強さがあった。
それを眠ったまま連れてきた。
殺してしまえば、ことは済んだであろうに。
これまでの話で協力者がいるというのは確信が持てたが、大魔王バーンにそんなものが必要だろうか。
――やはり何らかの儀式だろうか。
殺すだけではなく憎悪や無念を集めなければいけないのだろう。
それで何が発動するのか、考えるだけで怖気が来る。
そしてキルバーン。
確かに首を切断したはずだった。
あれで生きていられる生物はいないはずだ……首がダミー、或いは生物でないのなら話は別だが。
同じくハドラー。
度重なる改造による寿命で、己の腕の中で朽ちたはずだった。
確かに首を切断したはずだった。
あれで生きていられる生物はいないはずだ……首がダミー、或いは生物でないのなら話は別だが。
同じくハドラー。
度重なる改造による寿命で、己の腕の中で朽ちたはずだった。
「情報が足りないか……」
アバンは天文台の望遠鏡を覗き込んだ。
見たこともない星の配列。やはりここは何らかの亜空間であると考えるのが妥当なようだ。
ただ、瞬きもしない、大きさの個性もないその星空は、天井に絵の具を散らしたような不自然さがあった。
それを確認すると荷物を背負い、出立の準備をした。
見たこともない星の配列。やはりここは何らかの亜空間であると考えるのが妥当なようだ。
ただ、瞬きもしない、大きさの個性もないその星空は、天井に絵の具を散らしたような不自然さがあった。
それを確認すると荷物を背負い、出立の準備をした。
「ダイ君、ポップ、ヒュンケル……己や闇に負けてはなりませんよ。皆さんもどうか、生きてください」
エゴにしかならないのは知っている。
それを押し付けるしかない無力感を抑え、彼は打倒・大魔王バーンを改めて誓った。
エゴにしかならないのは知っている。
それを押し付けるしかない無力感を抑え、彼は打倒・大魔王バーンを改めて誓った。
【B-4/天文台/1日目・深夜】
【アバン@ダイの大冒険】
[状態]:健康、主催者たちへの強い怒り
[装備]:ルビーのヒンバス@ポケットモンスタースペシャル、刀@出典不明
[道具]:基本支給品、毒入りピクニックバスケット@オリジナル?
[思考・状況]
基本行動方針:バーンを殺す
1:ダイ君……
2:他の人(特に弟子)を探して保護したい
3:そのためにも山を降りる
[状態]:健康、主催者たちへの強い怒り
[装備]:ルビーのヒンバス@ポケットモンスタースペシャル、刀@出典不明
[道具]:基本支給品、毒入りピクニックバスケット@オリジナル?
[思考・状況]
基本行動方針:バーンを殺す
1:ダイ君……
2:他の人(特に弟子)を探して保護したい
3:そのためにも山を降りる
【ルビーのヒンバス@ポケットモンスタースペシャル】
ニックネームはMIMI。みすぼらしい外見のせいで、ついルビーが辛辣な言葉を浴びせてしまい、家出したポケモン。
それでもルビーのことを慕っている。
ニックネームはMIMI。みすぼらしい外見のせいで、ついルビーが辛辣な言葉を浴びせてしまい、家出したポケモン。
それでもルビーのことを慕っている。
【刀@出典不明】
詳細は後続の方にお任せします。
詳細は後続の方にお任せします。
【毒入りピクニックバスケット@オリジナル?】
5人前は軽く入る行楽の共。
ただしこの中の料理には全て程度は違えど毒が塗られている。
5人前は軽く入る行楽の共。
ただしこの中の料理には全て程度は違えど毒が塗られている。
| Footsteps From Darkness | 投下順 | 路地裏のガール・ミーツ・ボーイ |
| Footsteps From Darkness | 時系列順 | 路地裏のガール・ミーツ・ボーイ |
| GAME START | アバン | [[]] |
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